A smile of a goddess   作:御沢

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―――私は、“人にはそれぞれ、役割がある”って言葉が、嫌いだった。

 

 

それは、パラダイス事件のころ。

 

 

お兄ちゃんやバンさん、ランちゃんたちは頼りになった。

 

他のジンさんたちもだ。

 

でも、私は・・・私は、まだ10歳だった。

 

自分の役割なんかない、と思ってた。

 

役立たずだ、って思ってた。

 

 

バンさん中心の、とってもいいチーム。

 

―――でも、私がいなくても、良いチームだったはず。

 

そう思って、何度も葛藤した。

 

私なんかいなくても、きっと勝てた。

 

 

パラダイスも、ミゼルも、きっと倒せた。

 

何度も思った。

 

戦いの最中も、終わった後も。

 

 

現に、ミゼル事件の時。

 

私は、ただの足手まといでしかなかった。

 

お兄ちゃんたちは、戦っていた。私は、倒れてしまって・・・。

 

目覚めたのは、戦いが終わってから。

 

 

爆弾の時も、散々迷惑かけて・・・

 

“私には、役割なんてない”と思った。

 

私に役割があるんなら、その役割はいらないんじゃないかって・・・。

 

 

―――でも、12歳の時、ようやく気付けた。

 

“私にも、ちゃんと役割があるんだ”って。

 

学級委員や、児童会長をやったりして、“役割”を見つけられた。

 

パラダイスの時、私はちゃんとみんなに交じって戦えた。

 

ミゼルの時は、私は情報収集をしていた。

 

そんなのどうでもいい、と思ってた。

 

でも、ちゃんと力になれていた。

 

―――ちょっと大人になって、初めて気がつけた。

 

 

「そーだっ!ジンさんのところに行こーっ!」

 

ヒカルを運んだあと、キヨカと少し話して、神威大門に戻る。

 

リクヤに呼ばれたたし。

 

 

リクヤは、電話の許可を取っただけだたけど。

 

シンのことについては、話せる雰囲気じゃない。

 

「わかった、許可します」

 

「ありがとうございます」

 

―――でも、悲しんでるのはわかる。

 

ちょっと、感情を表すのが苦手なんだと思う。

 

 

コンコン

 

「はい」

 

「大空ミクです」

 

「ミクか、入るといい」

 

優しい声が、聞こえた。―――ジンさんの声だ。

 

私は、そんなジンさんが大好き。

 

恋愛なのか、友達としてなのか、それはわからない。

 

でも、とりあえず好きなのには変わりない。

 

―――また、憧れでもある。

 

 

椅子に座ると、コーヒーを出してくれた。

 

「あちっ!」

 

「すまない、熱かったんだな?」

 

「うん」

 

・・・実は、コーヒーは飲めなかったり、笑。

 

 

そのあとも、しばらく話していた。

 

“自分の役割”についても。

 

「・・・そうだな。確かにミクは、いろいろ助けてくれたな」

 

「そんなつもり、なかったんだけど」

 

「それが“ミクの役割”だったんだよ」

 

「・・・そうかもね」

 

 

―――ねぇ、ヒカル。

 

私は、ちゃんと見つけられたの。

 

ヒカルにとっては、役割が“見つからない”んじゃなくて、役割なんて“いらない”って話なのかな?

 

でも、私は・・・。

 

「私は、仲間を助けたいの。ウォータイムに参加しないし、小隊にも属してないけど、ジェノックの仲間なんだから―――神威大門の仲間なんだから、助けたいんだ」

 

「そうか・・。さすがだ、会長」

 

ジンさんと笑いあうと、少し安心した。

 

 

明日になったら、少しは“らしく”なってるかな・・・?

 

 

 

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