ブリーフィングルームを出て、ちょっと移動。
幸いにも、非常用の回線が使われているのは、1か所しかないみたい。
なんとか頑張ってみると・・・
「できた・・・っ」
その回線に入り込めた。
入り込めたら、この会話が聞けるの。
案の定、この会話はアラタとムラクだ。
「どうして俺をかばった」
ムラクは確かに、ここが不思議かな。
でも、アラタはただ純粋に“LBXが最も輝く場所は、セカンドワールドじゃない”っていう答えを聞きたかったみたい。
自分がLOSTする危険を冒してまで、ムラクを守れるのは、すごいと思う。
この会話は、私が聞いていいものじゃないと思う。
でも、私には―――聞く義務があると思う。
私の勘だけど・・・
ムラクはもしかしたら、代理戦争こと・・・アラタに言うと思う。
でも、この会話はやっぱり2人の会話。
ちょっと悪いけど、私は口を挟まない。
「お前はLBXの本当の楽しさを知っている。なのにどうして、悪魔と呼ばれるような戦い方をするんだ?」
不思議そうに尋ねるアラタに、ムラクは冷静に対応する。
話は、司令官の話へ。
「お前は知らないだろうが、シルバークレジットを一定量獲得すると、司令官の資格をとれるシステムがある」
「司令官?」
「俺はもう少しで、その資格を得る。お前の身の回りにも、いるだろう」
「ん?」
「・・・ミクのことだ」
自分の話が出て、思わずときっとする。
「ミクは、特待生としてこの学園に入学してきた。
大体多くても、優勝回数は20くらいなものだ。それなのにミクは、軽く60は超えている。
当り前だ。あいつは―――大空ミクは、プロのLBXプレイヤーなのだからな」
「ミクが・・・プロ!?」
「あぁ。だから、入学と同時に司令官の資格を得ている。そして、共に戦士として戦う資格も持ち合わせている」
そっか・・・私、ジェノックに何も言ってなかったな・・・。
「そして、ウォータイムを運営する側の人間でもある。俺は、司令官の資格を得て、やがてはそちら側の人間になるつもりだ」
「なんだって!?ミクが、運営する側!?ムラクも、その資格を得たい!?」
「・・・俺は、ここにいる皆を救いたい。この、馬鹿げた戦争から」
・・・ムラク・・・やっぱり、苦しんでる・・・。
「何言ってんだ。戦争って言ったって、ただのシュミレーションだろ?
それにここで行われているのは、世界平和に役立つ大事なプロジェクト―――」
「違うんだ!」
ムラクの声を聞いて、私も思わず俯く。
・・・ちゃんと、伝えて行かなきゃだよね。
「シュミレーションなんかじゃない。俺たちは、代理戦争をやらされているんだ・・・!
・・・かつて、セカンドワールドの亡んだ仮想国があった。その直後、現実の世界から1つの国家が消えた。
セカンドワールドでの戦いは、現実世界に反映される。
・・・これは、国家の存亡をかけた、本当の戦争なんだ!」
「・・・ッ!」
アラタは、言葉を失ったみたい・・・。
まだ話は続いたのかもしれないけど、とりあえずいったん切る。
・・・この話を聞くたび、頭が痛くなる。
「・・・っはぁ・・・」
頭を抑え込んで、壁にもたれこむ。
本当・・・いやになっちゃうよ・・・。
「ミク?」
ふと、上から聞き慣れた声。
「・・・タケル・・・なんでもない」
「そんなわけないよ。顔色悪いし」
タケル・・・鋭いなぁ。
「そうかな・・・でも、心配してくれてありがとう」
「当り前だよ」
ニコッって笑うタケルは、アスカちゃんそっくりだった。
・・・そうだよね。
私は1人じゃない。もちろんムラクも。
だったら、一緒に―――皆で、この学園を救い出そうよ・・・!