「何をしているの!時間よ。すぐにセカンドワールドに移動しなさい」
大きな威厳のある声で、そういう先生の後ろから、私登場。
クラスを見渡すと・・・皆、席に座ってる。
ハルキだけが、前に出てる感じ。委員長だからかな?
「ハルキ・・・どういうつもり?皆に言ったの?」
「現実世界の代理戦争を続けるべきか、皆で話をしていたんだ」
「そっか・・・話したんだ。またどうせ、皆が知るべきことだとか言うんでしょ?」
「・・・あぁ」
次に口を開いたのはユノ。
ユノも副委員長だもんね・・・。
「何故、私たちに嘘を教えて戦わせていたんですか?ミクは、知っていたの?」
「ひどいです!」
キャサリンも続く。
・・・まぁ、裏切られた感じかな。
ちらっとリクヤを見ると、リクヤも動揺中。
リクヤだけじゃない。
コウタとアカネはどうか知らないけど、リクヤとロイは知ってるはず。
・・・っていうか、ロイは代理戦争によって変わった国の1人だもん。
「先生、ミク」
アラタがたちあがる。
「セカンドワールドって、正しいことに使われているんですか?」
すると先生は、ため息をついて、私に目配せ。
私は、すぐにドアを閉め切る。
「ミク、お願い。私より、あなたのほうが知っているわ」
「そんなこと・・・ありますね。では、私が話します」
そういうと先生は、壁にもたれこんだ。
私は、教壇にあがって、皆のほうを向く。
・・・大丈夫、いつかは話さなきゃ、って思ってたし。
「戦争って、そもそも何だと思う?
・・・簡単にいえば、武力を使った最終手段。その結果が、領土や文化などに影響を及ぼすのは、歴史が証明してる。
そして―――何より多くの悲劇がおこることも。
その悲劇をなくすために、ERP―――エクスペリメント・リアリズム・プロジェクトが立ち上げたのが、第二の世界―――セカンドワールドなの。
ここでの戦いは、現実で戦争に発展しそうな問題の、朝廷システムになってるんだ」
「朝廷システム・・・」
「うん。いいかえると、“静かな戦争”だね。
事実、セカンドワールドが出来てから、ERP加盟国での戦争はおこってないの。過去3年間を思い出してみて。
実感がないのも無理ないよね。この島じゃ、情報も限られてるし」
「確たる証拠がないと、ミクの話は信じられないな。たかが生徒会長だろ?」
カイトの発言に答えたのは、先生だった。
「カイト、それは違うわ。
ミクは、表向きはただの中等部生徒会長よ。
でも、裏では、教職員よりもよっぽど秘密を知る存在。
ジェノックの表の司令官は私。でも、貴方達も知ってのとおり、実際に司令を出しているのはミクよ。
何故それが可能か。―――それは、ミクが司令官の資格を持ちえているから。
他にも、ウォータイム運営側の資格も持っているし、プロのLBXプレイヤーでもあるわ。
ハーネスの司令官・海道ジンとも旧友よ」
「何・・・ッ!?」
その言葉に、クラスはざわめいちゃう。
まぁ、驚くよね・・・。
しょうがない、しょうがない。
覚悟はしてたことだったし。
・・・て言うか、あの姿―――正しい司令官としての服装を見られた時点で、ほぼ100%知られると思ってたしね。
「つまり、ミクの言葉は信用していいものよ」
・・・先生がそういってくれたから、とりあえず落ち着いたけど・・・
信じられないのも無理はないよね・・・
そんなとき、手が上がるのが見えた。
「ロイ、どしたの?」
「僕が皆の疑問に答えます。なぜなら、その静かな戦争で、僕の国は変わったからです」
ロイ、話すんだ・・・。
まぁ、話してくれたら信ぴょう性は格段に上がるけどね。
ロイは、自分の過去を全部話してくれた。
―――ロイの出身国・イグアニアでは、移住してきた人とそうでない人の間で、土地の問題をめぐる戦争が続いていた。
銃声と爆発音、悲鳴が戦闘が始まると街に響いて、ロイ達はただ通り過ぎるのを待つしかできなかった。
そして、戦闘が終わると、子供たちは死体の始末。
―――そんな絶望的な日々の中、ロイや友達は、LBXを楽しんだ。
でも、そんな小さな、問題を抱えている国には大会なんてない。
子供たちは、神威大門にはいることを夢見ていた。
―――そんなある日、ロイが友達と別れて帰路についていると、橋にフェンスがしかれた。
それ以来、ロイは友達と会えていない。
そしてイグアニアは、イグリットとカリウスという2つの国に分かれた。
―――でも、人々は喜んだ。戦争の日々は終わったからだ。
―――ロイは後々、これが“静かな戦争”によるものだと知ったらしい。
話し終えたクラスは、やっぱりしんとしてる。