私はロイに尋ねる。
「はっきり聞くね。戸惑いはある?」
「はい。それはもちろん。でも、悲鳴や銃声が聞こえるより、はるかにましです」
「そうだよね・・・ありがとう」
「いえ・・・」
そしてロイは、リクヤのほうに向きなおる。
「リクヤさん、お父上からのメッセージです」
「何!?」
え・・・東郷総理からの・・・?
「バンデットが本格的に動き出した以上、第3小隊だけでは守れない。ジェノック全体の協力を仰げ、とのことです」
成程・・・一理ある・・・。
「リクヤ、その通りだよ」
「でも・・・ッ、お父さんがそんなことを・・・!?」
「はい」
リクヤは、信じられないって顔。
「・・・ッ馬鹿な・・・!」
第3小隊と私以外、話しについていけてない。
って事で、戸惑いの声が上がる。
「おい、どういうことだ・・・?」
アラタの問いかけに答えたのは、アカネ。
「私とロイは、リクヤさんを守るためにここに派遣されてきました!」
そのあとを私が続ける。
「その通り。日本の総理大臣・東郷儀一さんに命じられて2人はここに来た」
「はぁ?総理大臣?」
アラタってば、なんで気づかないかな?
「リクヤの名字、東郷だよ?そして総理大臣も東郷。
今までのお父さんの話とか踏まえて考えると・・・?」
「ってことは、リクヤは総理大臣の息子なのか!?」
ジェノック、今日は本当に驚くことが多いね。
「その通りだよ。
話しを戻すけど、リクヤを守るって事は、正確にはリクヤのLBX、DCオフェンサーを守るって事。
シンやアキト、ユウジにタカオ、そしてロイとアカネ・・・皆、同じ目的で派遣されてきたの。
その話には、私も一枚かんでて。
・・・リクヤのLBXは、何としても守らなきゃいけないの。自身をLOST―――退学させてでも、守らなきゃいけない・・・。
なんでかというと・・・その中には、パラサイトキーが入ってるから」
「パラサイトキーですって!?」
そんな声をあげたのは、先生だった。
でも、当然皆はわかんないわけで。
「あの・・・なんですか、パラサイトキーって?」
私と先生は顔を見合わせて、うなずく。
「生徒には、ミク以外秘密にされている情報よ。それをふまえて聞いて。
パラサイトキーは、セカンドワールドのシステムを管理している場所、通称ロストエリアに入るためのプログラムのことよ。
それは3つ存在しており、それぞれがセカンドワールドで使われているLBXのどれかに入っている。
ロストエリアに入るためには、その3つをそろえる必要があるわ」
「何でそんなものが、リクヤのLBXに入ってるんだ?」
アラタの問いかけに、私が答える。
・・・リクヤ、震えていて、それどころじゃない。
「すべては、リクヤのお父上の東郷総理が計画したことなの。
リクヤが神威大門に来るときに、お父上から託されたの。
私は見届け人として、その場にいたんだけどね。このことは、決して口外するなっていわれてた。
だから、私も1枚かんでるってわけ。
パラサイトキーがあれば、世界情勢も思うがまま。そんなこと、絶対にダメ。
そこで、総理が管理されていたパラサイトキーを、リクヤに託したってわけ」
「それなのに、なんで今更・・・っ!」
リクヤは、頭を抑え込んでる。
・・・やっぱり、私1人で戦える問題じゃなかった。
「つまりバンデットは、そのパラサイトキーを奪って、現実世界を操ろうとしているわけか」
ヒカルのその言葉、大正解。
「多分大正解。
キョ―――バンデットの、左手の攻撃は、プログラムデータをスキャンするためで、鹵獲しようとした機体が自爆したのも、それを悟られないようにするためだと思う」
危ない危ない、思わず“キョウジ”って言うとこだった。
・・・これは、まだ言わないほうがいいと思う。
「でも変ね。ミクもそう思わない?」
美都先生に言われて、確かにって思う・・・。
「パラサイトキーって不思議でさ、はいってるLBXが完全破壊―――LOSTされそうになると、別の機体に移動しちゃうの。
バンデットが本当に、パラサイトキーを狙ってるんなら、今までの行動って・・・?」
「そのことを知らないんじゃ・・・?」
ハルキと話してると、ロイが呼びかける。
「ジェノックの皆さん!リクヤさんを守るために、協力してください!お願いします!」
アカネと2人、頭を下げる。
そりゃあ・・・私は協力する気だけど、皆は戸惑うよ・・・。
「・・・戦おうぜ」
ふいに、アラタが口を開く。
「戦おうぜ、これからも。
だって、セカンドワールドの戦争は、現実世界の戦争をなくしているんだろ?
だったら、俺たちが守るしかない、バンデットの奴らから!」
「・・・僕も同感だ」
「当たり前じゃない?」
そのあとも、次々に賛成の声が上がる。
―――私たちの世界は、私たちが守らなきゃ。