只今、ハルキの説教ターイム。
はぁ・・・あの様子じゃあ、この2人、相当大変そう。
ハルキって、大変なのばっかり当たるなぁ。
でも、アラタもやっぱり、本質が理解できてないよね・・・。
「本当の殺し合いじゃないじゃん?」
―――アラタが告げたその言葉は、やっぱり理解しないものにしか言えなくて。
「馬鹿」
私はただ、その一言をつぶやいた。
「ミク、何が馬鹿なんだ?」
横から、ヒカルが聞いてくる。
ヒカルは、なんとなくこの“ウォータイム”の大切さを、理解したみたいだった。
でも、それだけじゃ足りない。
「あのね・・・この戦いでLOST―――LBXが完全破壊されたら、退学なの。兵士―――操るLBXプレイヤーが、死亡したものとみなされるから」
するとヒカルは、少し顔をひきつらせた。
―――ほら、やっぱり怖いよね。
当り前だよ。
―――学校側が、私にウォータイム参加をさせないのは、このことが理由だ。
もちろん、上から見て指示を出したりしてほしい、というのもあるだろう。
しかし、私が戦いに出て、LOSTしてしまっては、元も子もない。
おまけに、学校側がひきぬいた特待生。簡単には、やめさせられない。
それにプラス、生徒会長まで引き受けたし。
「ヒカルは、理解した?これが、ウォータイムの恐ろしいところ」
「あぁ・・・」
空気が重くなりかけたところで、この話はやめた。
後々、また話せばいいや。
―――今は、全校朝会。
「学園長、派手だな~」
アラタは、私たちの後ろで言う。まぁ、それには同意。
「I agree with you」
英語で答えてみると、アラタの頭にはクエスチョンマーク。わかんなかったみたい。
ヒカルは、ちょっとだけ吹いた。理解したみたい。
そして、学園長―――ジョセフィーヌさんは告げる。
「ウォータイム強化月間として、2時間にします!」
・・・えぇ・・・マジですか・・・?
「2時間かぁ~!」
アラタは嬉しそう。私にとっては、めんどくさい。
私って、意外と冷めた性格だなぁ。
「流石、我が学園の生徒達!喜んで貰えてジョセフィーヌも嬉しいわ~!では次はお待ちかねっ!先週のシルバークレジット高額獲得者の発表よ~っ!」
まぁ、皆の気持ちは、こっちのほうに集中するよね。
アラタは、ユノに質問。
「シルバークレジットって?」
ユノは答える。
「ウォータイムで、いい成績をあげた者に与えられるポイントよ。あたし達の、評価の基準になってて、クレジットを貯めれば、高機能LBXや、装備が交換することも出来るの」
さすが、ユノ。説明がわかりやすい。
アラタも納得みたい。
―――でも、この結果は見えてるも同然だけど。
順々に告げて行き、いよいよ1位だ。
「そして先週の最高獲得者は・・・中等部二年、法条ムラク!」
法条ムラクに、周りはざわめく。
そりゃあ最近、ずっとムラクだし。
ロシウス連合―――いや、中、高等部で1、2を競えるくらい。
私は、何度か戦ったことがある。もちろん遊び。
勝ったこともあるけれど・・・実際のウォータイムでは、どうなのかは分からない。
授業に入った。
目の前では、アラタとヒカルが話している。
こんなんじゃ、そのうち―――
「何話している!」
ほぅら、言わんこっちゃない。猿田先生は、厳しいもん。
あと、古風な先生。はっきり言おう。めんどくさい。
アラタが立ち上がり、先生は激怒中。
「瀬名アラタだったな。新入り、この猿田の授業を聞く気がないと言うことは、戦闘のなんたることが、すでにわかっていると言う事だな?」
「あ、いや・・・」
アラタが戸惑ってる。助けてあげないでもないけど・・・
「問答無用!!言ってみろ、LBX戦の極意とは何だ?」
アラタは、苦笑いしかできてないじゃん。
「ミク、どうする?」
“うるさいなぁ”って顔のハルキに尋ねられて、私はちょっと苦笑い。
「貴方の大切な“仲間”、助けてあげますよ」
私はそういうと、スッと席から立ち上がる。
「先生、アラタのいい分もあると思いますけど?」
「なんだ、猿田に口答えするのか?」
剣幕が・・・。でも、私は恐れるわけない。4年前の戦いのほうが、よっぽど怖かった。
「いえ、口答えではないです。でも、アラタは昨日、来たばっかりですよ?気になることだって、あるでしょう。ヒカルだって。だから、片目をつむるくらい・・・」
「バッカモーン!!」
すると先生は、大声で怒鳴り始めた。
「じゃあ、お前はアラタの代わりに、答えられるのか?」
「はい」
即答できる。この学校の規則ぐらい、覚えてますって。
「―――ウォータイム中、LBXが完全破壊される事を“LOST”と言います。その場合、LBXを操縦していた人―――すなわちプレイヤーは、戦死したとみなされ、この学園から退学となります」
私のほうを向いたアラタが、目を見開いて驚くのがわかった。
「LBXが完全破壊されたら・・・退学!?」
「うん。弱者はいらない、ってことじゃない?」
この学園は、弱肉強食―――弱い者は、すぐに退学となってしまう、恐ろしいところだ。
プレイヤーだって、1つの駒にすぎないわけだ。