ウォータイムが始まる前、CCMが鳴った。
―――ヒカルから?
「はい、どうしたの?」
『どうしたの、じゃないだろ。風邪をひいたんだろう?』
「うん、でもどうして知ってるの・・・?」
『美都先生がいっていた。アラタがミクはどうしたのかって尋ねたら、風邪をひいたから帰らせたって』
まぁ、帰ってないんだけどね、苦笑。
「うん、ごめんね」
『謝らなくていい。その声を聞いたら、尚更だ』
「えへへ・・・」
『・・・ちゃんと治せばいい。それじゃあ』
そういって、CCMは切れる。
ヒカルって、本当最近は柔らかくなったなぁ。
態度が柔らかくなったっていうか・・・
・・・大人になったんだよね。
自分の役割、ちゃんと見つけられたから。
そのあと、またCCMが鳴る。
今度はアラタだ。
「アラタ、どうしたの?」
『ミク・・・その声・・・ごめん』
「あぁ、大丈夫。大したことないから」
アラタの声、沈んでるなぁ。
「・・・どうしたの?」
『・・・全機撤退だって、美都先生が』
「そっか・・・それがどうしたの?」
『俺たちが撤退したら、ロシウスが―――ムラク達が全員LOSTするかもしれない・・・!』
アラタ・・・同じこと考えてる。
「・・・先生はなんて?」
『他国の心配はできないって・・・』
「そりゃあ・・・そうだよね。それで、なんで私に電話したの?」
『それは・・・頼れるのが、ミクしかいなくって・・・』
「そっか・・・」
アラタになら、ばらしてもいいや。
「アラタ、今から言うことは先生にも、ジンさんにも秘密ね」
『あ、あぁ』
「先生には、私はもう帰ったって事になってるんだけど、今から私はコントロールポットに乗り込んで、セカンドワールドに行く」
『えっ!?どういうことだ!?』
「見つからないようセカンドワールドに行って、デスフォレスト内に侵入する」
アラタは、驚きで声も出ないって感じみたい。
「どこまでいけるかわからない。それに、私だけでどこまでできるかもわからない」
『・・・うん』
「でも、多分一斉にロシウスも入るから、私が入れるのはせいぜい入口。
そこから先には、入れないと思う」
『わかった。それってつまり・・・』
私は聞こえないように小声で、でもはっきり言い放った。
「アラタが本当にムラクが危険だと感じたら、先生の指示を、無視してもいい。
私が、全部責任を負うから」
でも、とアラタが反論する。
『ミクが責任を取る必要は・・・』
「・・・その話はあと。話しは終わり。この後の行動は、アラタ次第だよ」
『ミク・・・あぁ、わかった!』
アラタの声・・・震えてる・・・
本当にいいのか、悩んでるんだよね。
でも、私だって戦うんだから。
―――1人じゃないんだから。
「じゃあね、頑張って」
『あぁ』
アラタはそういうと、CCMを切った。
大丈夫・・・きっとできるはず。
ウォータイムが始まる。
とりあえず全小隊、退却できたみたい。
それを見届けて、私も中に入る。
「うわ・・・ひどい」
最後尾に、こっそりついて行くと、中にはLOSTした機体。
でも、それ以上に・・・
―――私の汗がやばい。
頭痛もしてきた・・・くらくらする・・・
コントロールポット内に、もたれかかる。
熱、出てきたかも・・・。