ガトーショコラも食べつつ、明日の作戦会議。
「アラタってば、本当に寒暖差が激しいよね」
「そうだな」
3人はしらけた顔で、ただ苦笑してる。私も、苦笑するほかないんだけど。
「そうそう」
私は思いだして、3人に呼び掛ける。
「明日は、ロシウス連合とよ、ウォータイム。ジェノックとロシウスって、なんか仲がいいよね」
「確かに」
「ロシウスとしか、最近試合していないしな」
―――まさか、明日の試合が、アラタにとって、好機となろうとは、この時は誰も予想してなかった。
そして翌日。
最近は、猿田教官の授業が多い気がするけど、まぁいいか。
今日の内容は、エスケープスタンス。5秒間、耐えられたら、LOSTせずに済むという対処法。
リクヤなんかが、エスケープスタンス使いまくり。だから、退学にならない。
後は、ブレイクオーバーとLOSTの違いについても習った。
猿田にあてられて、ハルキがエスケープスタンスについて、詳しく発表する。
「戦闘中、大きなダメージを受け、完全破壊―――つまりロストされそうなLBXは、エスケープスタンスを取ることが出来ます。エスケープスタンスを取っている間は、無抵抗となりますが、その状態で5秒間耐えられれば、戦闘からの離脱が認められ、ロストを間逃れます」
そういうハルキのこぶしは、震えていて。
私とサクヤは顔を見合わせて、うつむく。
授業が終わった時だった。
「ミク、来なさい」
視聴覚室のところに、美都先生がいた。
「なんでしょう?」
すると先生は、苦虫をかみつぶしたような顔をした。
「今日の相手は、ガウンタ・イゼルファーよ」
「ッ!」
瞳を大きく見開く。ガウンタ・イゼルファー―――通称バイオレットデビルは、あの法条ムラクの操るLBX。
ハルキは、仲間をあいつにLOSTにされた。2人も。
「・・・すべきことは、わかるわね?」
「ミーティングを開き、早急におとりを決めるように指示します」
「さすがね、ミク」
そう言い残すと、先生は立ち去った。
―――やばい、手が震えてる・・・。
皆は、こんな恐怖を毎日味わってるの・・・?
そう思うと、いてもたってもいられなくなった。
「私も、参加しないと・・・私だって、ジェノックの一員。そして・・・神威大門統合学園中等部、生徒会長だからねっ!」
だれもいない廊下で、私は1人で宣言する。
そして、昼休憩になった。
「やっと昼休憩だぁ~」
アラタが、机に突っ伏した。ごめんね、アラタ。
「ごめんね、今からミーティングだよ」
「えぇ~・・・」
アラタは、案の定って反応。そんなアラタを苦笑しつつ見て、私は本題に入る。
「今日は、5小隊すべて参加だよ。今日の攻撃目標は、ロシウス連合が建設中の長上型要塞“ギガントの壁”。それは、五本の柱が全体を支えている構造で、この支柱全てを破壊して、壁その物を倒壊させてね」
するとみんなは、バカにしたような顔になる。
「1小隊1本でいいじゃない」
「楽なミッションだよ」
私は事情を知ってるから、簡単だとは思えない。
「そう上手く行かないんだよね・・・。先程諜報班からの情報で、ギガントの壁の護衛に、あの“ガウンタ・イゼルファー”が配備されている事がわかったの」
ガウンタ・イゼルファーという言葉に、皆はびくっとなる。
「バイオレットデビルが・・・?」
アラタは、動揺している。
「バイオレットデビルって・・・?」
「ガウンタ・イゼルファーにつけられた通称のこと。最強のLBX」
「最強!?そんなに?」
サクヤが、答える。
「奴と1VS1で戦って、勝ったのはミクくらいだよ」
そう答えるサクヤの横で、ハルキが震えていた。
「このミッションで、重要になるのは・・・やっぱりおとりの小隊だよね。どこか、立候補する小隊、ある?」
努めて明るめで言った。ここで暗くなったら、恐怖しか残らない。
「おとりには、私も参加するから」
最後は付け足した感じ。でも、やっぱり立候補はいなかった。
「じゃあ、放課後までに考えててね」
私はそういうと、解散命令を出した。