どうも。ちょっとテンションが上手くコントロールできない146です。
サンシャイン2期1話視聴しました!作画めっちゃよくないっすか?個人的にopも神だし。
ストーリーは無印よりもかなり重めの感じで…でも、必ず奇跡を起こしてくれると信じて!
とりあえずは2話を正座待機です。
あと平成ジェネレーションズFinal!まさかの弦太郎が復活!あと映司とアンク!紘汰も今年は来てくれるということで!いや~もう楽しみで仕方ないっすよ!
ビルドもベストマッチがバンバン出てくる感じの様で。
こんな感じでモチベ上げて何とか書きました。どうぞ。
僕は狭い部屋にいた。
外の世界はめまぐるしく変わり続けているらしい。
だが、僕はそんな外の世界を見たことがない。
何も知らない。誰も知らない。
じきに、僕自身が何者なのかも忘れてしまった。
それは昔のお話。
今も自分が何者なのかは思い出せない。
今いるのは別の狭い部屋。
でもそこには色んな人が入ってきて、僕を外に連れ出す。
知らなかったことすら覚えてない外の世界は、喧しくて煩わしくて憂鬱で。
とても眩しく、それでいて暖かい世界だった。
僕は白い夢を見る。
白い空間で、僕の後ろに白い獣が。
獣の影は一層黒く、影はたくさんの手を伸ばし、獣と影は僕に言った。
お前のせいだ。と。
そして、獣は僕を飲み込んだ。
これはそんな少年のお話。
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8/1 切風探偵事務所
「μ’sアイドルランク50位以内達成おめでとー!!
そして……」
「「「「夏休みだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」
穂乃果の掛け声で昂る、μ’sの3バカもとい4バカ。
穂乃果も凛も瞬樹もにこも、夏休みが始まるということで、サンバのカーニバルの如く荒ぶっていた。
「何がそんなに嬉しいんだよ。
他の奴ら見てみろ。はしゃいでんのお前らだけじゃねぇか」
「学生じゃなかったアラシ君にはわかんないんだよ!
夏休みというのは、勉強に疲れ果てた学生に与えられた一か月の休息…」
「穂乃果先輩の言う通りにゃ!
年中夏休みみたいな生活送ってたアラシ先輩にはわかんないだろうけど!」
「誰の生活がニートだ!はったおすぞ凛ゴラァ!!」
夏休み1日目。μ’s全員が集まり、事務所でちょっとしたパーティーを開いていた。
ただし、永斗はまだ寝ている。
理由は夏休みの到来…ではなく、最初に穂乃果が言ったように、μ’sのランクが50を突破したことの祝いだ。
先日のライブの後、その日の夜にはランクが53に。
次の日はさらに話題に火が付き、今ではランクが41まで上がっている。
ライブしないうちにランクは下がっていったが、絵里のおかげでレベルアップしたダンスや、9人になったことの話題性もあり、ランクを元に戻した上に上げることに成功した。
「まだ信じられないです…私たちがスクールアイドルトップ50に入ってるなんて…」
「何言ってるの。私たちの目標はラブライブよ。こんなの通過点じゃない」
「花陽ちゃん涙目やん。あとにこっちも」
「泣いてないわよ!」
それぞれが努力し、つかみ取った結果だ。
問題の廃校を免れたかどうかはまだわからないが、ネットとかで反応は良いし、大丈夫だろうとアラシは考えている。
「確かににこの言う通りね。ここはあくまで通過点。
これからランクを上げていくためにも、日々の練習に励む必要があるわ」
「そうですね。その辺もアラシと相談して練習メニューを作っているところです」
「こっから先は今までとはわけが違う。上に行けば行くほど、追い越すことは困難になる。ラブライブ出場のトップ20までの道のりはまだ半分も行ってないと思え」
μ’sのストイックトリオの絵里、海未、アラシの発言に4バカのテンションが一気に冷める。
「俺達には時間がない。ライブももっとやっていかないといけない。
というわけで、目標は夏休み中にライブを3回行うこと。これくらいはしないと人気グループには届かないんじゃないか?」
4バカは一度冷静になり、夏休み日数をライブ回数で割る。
そのスピードは何故かいつもよりはるかに速かった。
「それって約8日に一回じゃん!」
「そうだな」
「プールはどうすんのよ!」
「却下だ」
「夏祭り行きたいにゃ!」
「我慢しろ」
「数多の戦士が集いし灼炎の戦場…またの名を夏コミ!」
「なんだそれ知らん」
「「「「宿題は!?」」」」
「それはしろ」
夏休み開始早々、幻想と希望を打ち砕かれた4人は、シンクロしているかのように同時に床に膝をついて倒れた。あまりの息の合いように、希と花陽は拍手している。
「あ、でも今日は練習は免除するか」
その言葉に死んでいた4バカは息を吹き返し、希望に満ち溢れた目でアラシを見上げる。アラシはそんな4人に向けて微笑みを見せる。
そして、どこからか大量の紙を取り出し……
「お仕事だ」
4バカは再び床に突っ伏すのだった。
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しばらく後、永斗の部屋。
「…ッ!ハァ…ハァ…」
机に電気を付けたまま寝ていた永斗は、突然青い顔で目を覚ます。
机の上には工具と設計図と完成した手のひらサイズの機械。
永斗が開発した新型ガジェット。その形状は小さな恐竜のよう。色は後で付ける予定なので、今は黒く塗ってある。機能としては、他のガジェット同様人工知能での自立活動。また、機動性を重視した設計で、大きさに反して馬力は凄まじい。
こういった部品は切風空助が事務所に遺しているため、永斗がそれを利用して新たなガジェットを作り出している。とはいってもまだプロトタイプなので、変形機能は搭載していないため、ギジメモリとスロットは未搭載だ。
永斗は身の回りを確認して状況を把握。
どうやら作業を終えて寝てしまったらしい。
頭が痛い。そして、またあの夢にうなされた。
オープンキャンパス以来、決まって同じ夢を何度も見る。おかげで寝付けないため、新たなガジェット開発に着手したわけだが。
夢に出てきた白い獣…何故か初めて見る気はしない。
だが、同時に覗き込んではいけない気がした。覗き込めば最後、本当に飲み込まれてしまいそうな…
そこまで考えると、スタッグフォンからメール受信音が鳴る。
確認すると、凛からのメールだった。内容を要約すると、“起きたら調査に来るように”ということだ。チーム分けの経緯も書かれている。永斗はそれだけ読んで大体の状況を把握。
…これは行った方がいいな。
永斗は考えるのをやめ、伸びをして立ち上がった。念のため、完成したばかりのガジェットを持って。
「面倒くさいなぁ…」
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ーアラシsideー
前回のオープンキャンパスの際、俺と海未がインタビューを受けたことを覚えているだろうか。
あの時の新聞が良くも悪くも注目を集め、俺達の探偵部としての側面が多くに認知されることになった。
それに加え、こないだのゲーム研究会の一件の実績もあり、学校内で探偵部に依頼が殺到。
こんなに依頼が来たのは創立以来だと思う。
余りに多いため、俺達は4人3グループに分かれることにした。
とりあえずバカ3人を分け、俺達マネージャー3人も分ける。あとの6人はそのままで、厳正にくじ引きを行った。これ以降の仕事で分けるのも面倒なので、しばらくはこのグループで固定という条件で。
その結果、こうなった。
チーム1 穂乃果・花陽・ことり・瞬樹
チーム2 希・海未・凛・永斗
チーム3 絵里・真姫・にこ・アラシ
お分かりいただけただろうか。つまり…
「にっこにっこに〜♡
あなたのハートに にこにこに~♡
笑顔届ける矢澤にこにこ〜♡
にこにーって覚えてラブにこっ♡」
よりにもよってにこと同じグループだ。
「何やってんだ。真面目にやれ」
「真面目よ!生きとし生けるものなら、このにこにースマイルに引き寄せられないわけないのよ!」
「猫どころか人も寄り付いてねぇじゃねえか!
見てみろ、夏休み初日の街中にここだけ人がいねぇ!お前の何とかスマイル(笑)は虫コナーズですか!?」
俺達が担当する依頼は、迷子の猫探し。よくある案件だし、俺自身なぜか動物に嫌われてるから、正直なところしたくない。
ところが、この猫探しの依頼がやたらと多いのだ。
というわけで、一気に俺たちが担当することになったのだが、これが見つからない。
「もう結構探してるけど…全く見つからないわね。
聞き込みでも見つからないし、保健所も特には…」
絵里は保健所に連絡して確認したが、該当する野良猫は一切見つからなかった。
俺も犬探しの依頼は受けたが、猫探しは初めて。猫についてもよく知らない。
凛なんか適任だと思ったが、どうやら猫アレルギーらしい。あの口調で。よって、適任者がいない。
一応張り紙は貼っておいたが、いつ見つかるか…
「ホントいい加減にしてほしいわ!猫の迷子なんて飼い主の監督不行き届きじゃない!」
8月の昼間。暑さに限界が来たのか、にこが若干キレ始める。
真姫にいたっては、さっきから日陰に入って動かない。
「キレたって仕方ねぇだろ。依頼を無視する訳にもいかねぇし」
「巷では夏休みなの!大体、何がベテラン探偵よ。猫一匹も見つけられないじゃない。
学校も行かずに探偵やってた奴が聞いて呆れるわ!」
カッチーン
久しぶりに俺の中の何かが切れた。
「そういうテメェも何もしてねぇじゃねぇか。見た目は子供頭脳も子供のちょっと長く生きただけの小学生風情が。お前がやったことと言えば、街中での迷惑行為で住人をどん引かせたくらい。そんな事してる暇あったら、そのお粗末な頭を何とかする方法考えるか、凛みたく猫語でも話して猫の気持ちに寄り添っとけ。あ~そっか、頭がお粗末だから日本語を猫語にする機能も備わってないか~」
「アンタこそ上から目線で指示出す割には何もしてないじゃない。世間ではそういうのを無能っていうのよ。大体、猫語なんて話せるわけないじゃない。アンタは猫と会話できるの?そんなこともわかんないなんて、人としての常識が疑われるわ」
その後、一触即発の空気の中、沈黙が漂う。そして…
「上等だ!どっちが先に猫見つけるか勝負だオラァ!!
行くぞ、真姫!」
「やってやろうじゃない!途中であきらめて泣きつかないことね!!
行くわよ、絵里!」
「ちょ…にこ!?」
「ゔぇえ!?」
俺は真姫を連れ、にこは絵里を連れて駆け出した!
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一方そのころ穂乃果・花陽・ことり・瞬樹のチーム。
4人はどういうわけか、引くほどの長蛇の列に並んでいた。
「ことりちゃ~ん。これあと何分待つの~?」
「えっと…あと1時間くらいだって」
それを聞いて穂乃果がぐったりした様子でことりに寄りかかる。
無理もない。もう並び始めて1時間がたとうとしている。それも炎天直下のアスファルトで。
このチームが担当する依頼は、とあるアニメの限定グッズの入手。
依頼人は急遽部活の試合が入って来れなくなったらしい。
「こんなの探偵の仕事じゃないよ~!私もアラシ君みたいに捜索したり、凛ちゃん達みたいに調査したかった~!」
「しょうがないよ、依頼を無視する訳にもいかないし…
今度はもっといい依頼もらえるかもしれないから、頑張ろ♪」
ことりは精一杯励ますが、穂乃果は相変わらず嫌そうだ。
それと対照的に瞬樹、花陽は特に疲れてる様子はない。体力バカの瞬樹はまだしも、運動が苦手で体力も少ない花陽が平気なのは意外だった。
「だいたいおかしいよ!なんで4つも同じのが欲しいの!?
1つだけなら瞬樹君に任せて私たちは別の事できたのに…」
「依頼には観賞用、実用用、保存用、予備の保存用って書いてあったけど…
確かに4つは多すぎだよね?」
ことりは黙っている瞬樹と花陽に話を向ける。
「買いますよ。4つとはいかなくても、最低2つは」
「一人一つなら日を改めるか通販で手に入れるが?」
平然と答える2人を見て、穂乃果とことりはこの状況で平然としていた理由を察する。
慣れていたのだ。黙っていたのも、体力の温存のため。
格の違いのようなよく分からないものを見せつけられ、ことりも、文句がとめどなかった穂乃果もそれ以上は何も言わなかった。
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その頃、凛・海未・希のチーム。永斗はまだ合流してない。
このチームの担当依頼は、“謎の空き家の捜査”。
依頼人の家の近所に昔からある空き家があるらしく、最近になって異変が起きるようになったらしい。
夜な夜な誰かが出入りするのを見かけたり、中から変な音が聞こえたり、動物の鳴き声が聞こえることもあるらしい。
だが、扉には鍵がかかってるし、中に誰かが住んでいる様子もない。
こんなことで警察は動かないし、自分たちで調べるのは気が引けるので探偵部に依頼したらしい。
とりあえず、その空き家に到着。
「ボロいにゃ~」
「失礼ですよ。確かに…その…慎ましやかではありますが!」
空き家は長年使われてなかったということで、かなり老朽化している。
割とボロボロな切風探偵事務所よりもボロい。
「この家、何年も住まれてないらしいけど、
噂によれば、ここに前住んでいた人が突然死して、その亡霊が今でも…」
「ちょ…やめてください希先輩!」
「冗談やって、冗談」
だが、見た目は完全に幽霊屋敷でもおかしくはない。
言われて見ると、もうそうにしか見えなくなる。
「もしかしたら、凛ちゃんの足元に幽霊の手が…」
「に゛ゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
よほど怖がっていたのか、凛は涙目で飛び上がり、激しくあとずさり。
すると、凛は通行人とぶつかり、転んでしまった。
「にゃっ!?」
「っと…大丈夫っスか?」
ぶつかられた通行人は、凛の手を取り、立ち上がるのを助ける。
その通行人は男で、明らかに年上。なぜかこの炎天下に白衣を着ていた。
「あ…ありがとうございます」
「すいません…お怪我はありませんか?」
「あ、いや。大丈夫っスよ。
それにこう見えて医者っスから、怪我しても平気っス」
医者と名乗るその男は、白衣の汚れを落とす。
なるほど。医者なら白衣を着ていても不思議ではない。
…いや、そうでもない。と一同思うが、それは心の隅に置いておいた。
「この家、噂によれば夜になると出るらしいっスよ。
暗くなる前に女の子は帰った方がいいんじゃないっスか?」
男はそれだけ言い残して、去っていった。
一方、男が残した言葉に激しく反応する奴が一人。
「やっぱり幽霊出るんだよ!噂は本当だったんだ!
さっきのお兄さんも言ってたし、凛たち早く帰った方が…」
「ダメです!探偵たるもの、依頼を投げ出すなど言語道断!
ちゃんと捜査きるまで返しませんよ!!」
「海未先輩が変なスイッチ入ってるにゃー…」
凛も観念したようで、おとなしくなった。
3人はとりあえず扉の前まで行ってみる。案の定、そこには古い南京錠がかかっていた。
「困りましたね…これでは中に入れません」
「これで壊せないかな?」
凛が取り出すのは、バットショット。
念のためにと、アラシが持たせたものだ。
「仮に壊せたとして、その後どうするのですか?
ここはやはり、この家の権利者に相談を…」
ガチャ
鍵の開く音がして、凛と海未が南京錠を見ると…
希が針金を差し込んでいつの間にか開けていた。
「開いたよ!ほな、入ろ?」
「どうするんですか…完全に不法侵入ですよ!」
「そんなこと言われたって、あんな単純な鍵つけてた人も悪いし、表に晒されてる鍵だから色んな人が触って指紋なんか目立たへんって。それに、バレなきゃ犯罪じゃないって言うやん」
「言いません!!」
扉を開け、家の中に入ることに成功。
希の行動は完全にアウトだが、捜査も進まないので仕方なく海未も許容した。
物を壊したりしなければ問題ないだろう。
「でも埃っぽいねー。凛、さっきから鼻水が…」
「そうですか?」
そんなことを話しているうちに、家の一番奥までたどり着いた。
開けられる部屋は全部開けた。だが、特に何かある様子はなかった。
結局、ただの噂だったらしい。
「何もないようですね。仕方ないので、私たちも帰りますか」
「え~。もっと面白いと思っとったのに…」
希は残念そうに壁に寄りかかる。
すると、壁が回転し、奥に続く通路が現れた。
「これは…隠し通路ですか!?」
「忍者屋敷みたいにゃ!」
「面白くなってきたね!」
3人はそのまま奥へと進む。少し進むと、今度は別の扉が現れた。
海未が代表してドアノブを握る。
そして、意を決してその扉を開けた…!
「これは……」
____________________________
ーアラシsideー
「あ゛ー!もう全然見つかんねぇ!!」
「おかしいでしょ!こんだけ探して見つからないなんて!!」
猫探しが謎の対抗戦になってから数時間。
再び合流したアラシチームとにこチームは、双方共に猫は一匹も見つけていなかった。
しかし、確かにおかしい。
完全にやる気MAXの俺とにこが血眼になって探しても、目撃情報すら出ない。
これまでの調査から、俺達は一つの結論を出していた。
「こりゃ迷子じゃねぇな」
「えぇ、窃盗ね」
絵里の言った通り、この事件は窃盗事件でほぼ間違いない。
依頼には猫以外にも少数ながら別の動物の捜索願が出されていた。
「でも猫なんて盗んでどうするんだ?そんな何匹もいらねぇだろ」
「売るんじゃない?猫って種類によっては何十万も価値がつくって聞いたことありますし」
「でも盗まれたの普通の猫よ。特に多いのは三毛猫だけど…」
三毛猫なんて一般的なペット。そんなの大量に売っても大した稼ぎにはならないはずだ。
つーか猫って高い奴もあるのか…
「いや、ちょっと待って!今なんて言った!?」
すると、文句を言ったきり黙っていたにこが、突然慌てた様子で口を開いた。
「あぁ?だから、猫は種類によっては何十万も…」
「その後よ!絵里が言ったでしょ?」
「え…特に多いのは三毛猫だって…」
それを聞いて、真姫は何かに気づいたようだ。俺と絵里は何もわかってないが。
「三毛猫ってほとんどがメスなのよ!そうよね真姫?」
「えぇ。染色体の関係で、本来ならメスしか生まれないようになってるわ。
突然変異でオスになることもあるけど、その確率は1/30000…」
「だから、三毛猫のオスはとっても高く取引されるのよ!
にこが聞いた話だと、確か一匹3000万円……」
「「3000万!?」」
3000万っつったら…ダメだ、莫大すぎて想像できん。
つーかなんでにこはそれを知ってんだ。
「じゃあ、犯人はオスの三毛猫を狙って猫を盗んでたってことか?」
「さっきも言ったけど、30000匹に1匹よ。そんなの宝くじ買うのと変わんないと思うけど…」
確かに現実性に欠ける。盗まれたのがオスだけってわけねぇし…
いや、ちょっと待てよ…
「性別を変えればいいんじゃねぇか?」
「はぁ!?アンタ何言ってんの?そんなのできるわけ…」
「できるだろ?メモリを使えば」
その言葉で、全員がはっとしたように顔を見合わせる。
猫探しというあまりに一般的な案件のせいで、メモリ犯罪と言う可能性を完全に捨てていた。
メモリは人間ができないことを可能にする。不可能犯罪を可能にする代物だ。
生物の性別を変えるメモリなんかも必ずあるはずだ。
「メモリ犯罪って決まったからには、まずは検索だな。
永斗は…流石に起きてるだろ。凛達に連絡するか…」
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同刻、凛・海未・希チーム。
携帯から着信音が鳴り、凛は通話に出る。
アラシからだった。
「アラシ先輩…?」
『あぁ、凛か?永斗はいるか?至急検索してほしいことが…』
凛、そしてあとの2人も受話器越しにアラシから事情を聞いた。
猫の同時多発迷子は窃盗であり、メモリ犯罪。どこかに猫を収容しているアジトがあるはずだと。
「永斗くんはまだきてないにゃ…あと……
多分、凛たちそのアジトにいる…」
3人が扉を開けて、今目の前に広がる光景。
そこには多数の三毛猫が檻に入れられ、他にも多数の種類の白い動物がそこにいた。
ここに入ったときに凛の鼻水が出た理由。それは、凛の猫アレルギーが家に残った猫の毛に反応したから。
他の怪奇現象も、これで説明がつく。
白い動物はアルビノ種といって、これも高値で取引される。メモリの能力の産物だろう。
『何!?今すぐそこから離れろ!すぐにそっちに行く!』
状況を把握したアラシは、慌てた声で凛に叫ぶ。
だが、凛にその声は届いていない。
メモリ犯罪、その犯人のアジトにいる。つまり、危険極まりない場所。
そして、凛には天金ことエレメント・ドーパントに襲われたときの記憶が根付いている。
凛の体は、恐怖で全く動かなかった。
「凛!早くここから逃げますよ!」
「どこに逃げるって?」
海未が凛を連れて逃げようとしたその瞬間。
扉の前には、ジャケットを羽織り、短いひげを生やした中年の男が立っていた。
「ッ…!そんな……」
「まさかここがバレるとはな…しかもこんなガキどもに。
女子に手を出すのは気が引けるが…おじさんも命掛かってんだわ」
男はじりじりと3人に寄っていき、懐からメモリを取り出す。
《ホルモン!》
「悪いけど、死んでくれや」
男は肘に刻まれた生体コネクタにメモリを挿入。
その姿は、理科の実験で使うようなフラスコや試験管で構成された人形のように変わり、
体に通るチューブには、毒々しい色と粘性を持つ液体が循環している。
ホルモン・ドーパントは両腕に装備された注射器を構え、凛に寄っていく。
「まずは…お前からだ!」
ホルモンはその針を振り上げ、凛めがけて刺突。
凛は恐怖のあまり、腰が抜け、目をつぶった。
だが、その針が凛に届くことは無かった。
部屋に電子音のような獣の鳴き声のような音が鳴り響き、凛に向けられた注射針が粉砕される。
「何ィ!?」
注射針を粉砕した何かは、扉の方へ戻っていき、そこに立っている人物の掌に収まった。
「一応持ってきといてよかった。
ビックリだよ。遅刻してきたら何この状況」
かなり遅れて登場。新型ガジェットを持った永斗だった。
「永斗くん!」
「遅いやん!」
「何してたんですか!」
「え…助けたのに怒られた。ひどくない?」
ホルモンもその存在に気づき、振り返り、今度は永斗に向けて注射針を向ける。
粉砕された針も、あっという間に再生してしまった。
「なんだ?おじさんも困るんだよ。こう何人も来られちゃ…」
ホルモンの言葉が止まる。
ドーパントになれば表情の変化は薄くなる。だが、それでもハッキリわかるほど、ホルモンの顔は青ざめていた。
紛れもない、恐怖によって。
「お前は…何でここに……!」
先程までとの態度とは対照的に、恐れをあらわにし、完全に逃げ腰になっている。
「来るな…来るな!化け物が!!」
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「やれやれ。だから言ったんスよ」
騒動の渦中にある空き家を、さっきの白衣の男は遠い目で見ていた。
だが、さっきと違って右目を医療用の眼帯で覆っている。
眼帯の奥に映る視界には、右に紫の髪のツインテール。左には青い長髪の少女。
目の前には背を向けたホルモン・ドーパント、そして、その奥には今回の任務の標的、士門永斗。
男は肩をかき、 ポケットからメモリを取り出した。
《ナーブ!》
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「来るなぁぁぁぁぁ!!」
ホルモンは半狂乱になり、注射針を永斗に向けて突き出す。
弾丸をも超えるホルモンの刺突。凄まじい速度で放たれた刺突は永斗に向かっていく…
刹那。
永斗は不思議な感覚に支配された。
視界が白く染まり、世界が止まったように見えた。
無気力な心の奥底で、自分ではない何かが雄叫びをあげている。
激しい破壊衝動、闘争本能に飲み込まれてしまいそうな感覚。
気付くと、永斗は突き出された針を掴んでおり、針は手の中で粉々に砕けていた。
動体視力、握力共に、普段の永斗とは次元が違う。
永斗は自分の掌を、驚き、もしくは恐れているような目で見つめていた。
「間違いない…お前はあの時の…!」
「はい、そこまで」
ホルモンが何か言いかけたその時。突如として壁を突き破って伸びる触手。
その触手にホルモンは捕らえられ、引き寄せられるがままに壁を突き破って外に放り出された。
永斗達も壊れた壁から外の空き地に出る。
そこに立っていたのは、白色の体色の、複雑に分かれた樹木のような突起物を、全身から生やした怪人。
その無数の突起物一つ一つが、神経線維を彷彿とさせる。
「“例の一件”の後、メモリを盗んで消えた工作員がこんなところで見つかるとは。
それにしても、そんな強力なメモリで小銭稼ぎなんて…もったいないお化けが出るっスよ」
「お前は…思い出したぞ。憤怒の3番手、ハイド!」
「へぇ、知ってるんスか。じゃあ…
勝てないってのも、分かるっスよね?」
ホルモンは昂っているせいか、聞く耳を持たず、ナーブ・ドーパントに襲い掛かる。
「全く…ただ黙ってくれてたらそれで満足なんスけどね…」
ホルモンは注射針で刺突を繰り返すが、ナーブはそれを軽くあしらう。
「鯨さえ数滴で仕留め、肉体を溶解させる猛毒にもなる特殊ホルモン。
でも、当たらなければどうってことはない」
それどころか、大ぶりなホルモンの攻撃の後は、必ず隙が生じる。
ナーブはその隙を見極め、指先から神経線維を伸ばし、ホルモンの身体に突き刺した。
ナーブは伸びた神経を指先から分離。切り離された神経はホルモンの体内へと消えていく。
「終わりっス」
「しまっ……」
ナーブが指を鳴らす。その瞬間、ホルモンの身体に高圧電流が流れたような衝撃が走った。
体内の神経が焼けるような激痛に襲われ、ホルモンは怪人態のまま気を失ってしまった。
「今回はジブン等にとっても一世一代の任務。
今、彼にいろいろと話されちゃ困るんスよ。万が一の事があるっスからね」
ナーブは触手でホルモンの体を持ち上げ、そのまま去っていこうとする。
だが、それを引き留める者がいた。
「待って!」
去っていくナーブに向け、震える体を抑えながら
凛は泣きそうな声で、それでいて力強く、ナーブを呼び止めた。
「凛!?」
「なんのつもり!?」
海未と希は、凛を止めようとする。だが、凛は止まらない。
「さっきの人、永斗くんを怪物って言ってた!永斗くんを怖がってた!
何か知ってるんだよね!?永斗くんが忘れちゃったこと!」
そこまで言うと、ナーブが凛に向けて指先を向ける。
指先から神経が伸び、真っ直ぐ凛の首元へ……
届く寸前で止まり、指先が触れた凛の首元から一筋の血が流れた。
それでも凛は引こうとはしない。真っ直ぐ強いまなざしで、ナーブを見つめている。
「健気っスね~。なんでそこまで知りたいんスか?
自分のため?そこにいる彼のため?それとも一時の感情?
これは持論なんスけど。人生ってのは半分以上が選択で、間違えれば間違えるほど、その人生は正しさや幸せから外れていく。人生の先輩のアドバイスっスけど、この場合は“知らない”のが正解っスよ。もし知っちゃえば…
君、もう正しくなんか生きられないっスよ?」
ナーブの口調が変わる。漠然とした恐怖がその場にいる全員に襲い掛かった。
ナーブはそのまま去っていく。
だが、永斗も凛も、呼び止めることも、追うこともできなかった。
_______________________________
8/1 活動報告書
皆の働きもあり、一日で複数の依頼を解決することができた。
瞬樹のチームは無事にグッズを確保。
俺達は結果として結構な事件になってしまったが、なんやかんやで盗まれた猫や動物は見つかり、飼い主がいる奴は飼い主のところに戻してやった。ホルモンを倒せば元に戻るらしい。早急にメモリを破壊しなきゃな。
一方、永斗達が会ったという、3番手のエージェント“ハイド”。
ファースト、ラピッド、ルーズレス、あと話に少し出てきたリッパー。そしてハイド。
エージェント部隊の全容も見え始めてきた。
だが、帰って来てからと言うもの、永斗達のチームの様子がおかしい。
ずっと何かを考えているような…永斗はまた奥の部屋に引きこもっている。
俺が聞いても詳しく教えてはくれない。ドーパントに出くわしたのがそこまで効いたのか?
少し胸騒ぎがする。ラピッドが残したあの言葉、今回の一件…
μ’sの活動は順風満帆。だが、探偵部には不穏な風が吹いている気がしてならなかった……
______________________________
その夜。
誰もいない道路で、ハイドは部隊のボスであるゼロに連絡を取っていた。
「良い駒が手に入りました。あと、奴が目覚めつつあるっスね。あまり時間はないかもです。
じゃあ…ハイ。他の奴らにも知らせておくっス」
ハイドは電話を切り、メールを打つ。
メールの内容は“七幹部怠惰の奪還作戦の全容”。一部を除くエージェントに一斉送信した。
_______________________________
同刻、どこかの裏路地。
男が重傷を負い、ゴミ袋を背もたれにして倒れている。
その男はメガネをかけた長身の人物。そう、エージェント部隊No4ラピッドだ。
「何のつもりだ…“アサルト”……!」
血を流しながら、力尽きそうな声で言葉を放つ。
“アサルト”と呼ばれたのは、赤黒い髪の一部を青く染めた青年。ラピッドの前に立ち、見下すような態度を取っていた。
「何のつもりだ?それはこっちのセリフだろ。
俺を除いた奴らに任務連絡が来てんのは知ってんだぜ?
おかしいじゃねぇか。No4で、メモリも壊された負け犬に届いてて、No2の俺に届かないなんてよぉ!おかしいよなぁ!」
「貴様が…我々に協力しないからだ……
任務中も身勝手な行動で…どれほどの損害が出たと思っている…!誰が貴様に…協力を求めるか…!!」
「はぁ?協力だぁ?なんでそんなことやんなきゃいけねぇんだ?
そうだろ?俺達は憤怒。“怒り”のもとに集まったってだけで、行動理念なんかまるで違う。
お前で言うと、“理不尽な社会”への怒りだったか?」
「では貴様は…何に対する怒りを持っているというのだ…!」
アサルトはその質問に答えない。
その時、ラピッドのポケットの携帯から、メールの着信音が響いた。
アサルトはポケットから携帯を抜き取る。ラピッドにはもはや、妨げる力もない。
そのメールを開き、しばらく目を通す。
読んでいくうちにアサルトの表情が変わっていく。怒りを含んだ、不気味な笑みに。
読み終わった瞬間、アサルトの高笑いが夜の街に響いた。
笑い終わると、アサルトは携帯を投げ捨て、ゴキゴキと指を鳴らす。
そして、ラピッドの方へと振り返り、言った。
「さっき聞いてたよなぁ?俺の怒りが何なのかって。
俺は復讐するために組織に入った。俺の全部を殺した、七幹部“怠惰”に!
あの悪魔をぶっ殺すためになぁ!!」
アサルトの拳が、建物の壁に叩きつけられる。
一瞬の激しい振動と音があり、壁は凹み、ヒビが広がっていく。
「丁度任務に一人欠番ができた。だったら、代理が必要だよなぁ?
待ってやがれ“怠惰”…!テメェは俺が葬ってやる!!」
困惑、恐怖、怒り、苦悩……
様々な感情が交錯し…
物語は“絶望”へと向かっていく……
今回登場したのは、鈴神さん考案の「ホルモン・ドーパント」と、「ナーブ・ドーパント」です!
いや、ホルモンの扱いは反省してますよ。なんか事件起こして速攻で解決されるっていう…ね?
もう少しホルモンは登場しますんで。ナーブはまだまだ活躍させますし!
エージェントも結構出てきました。まとめとくと
No1ファースト(スラッシュ)No2アサルト(???)No3ハイド(ナーブ)No4ラピッド(ヴァイパー)No5ルーズレス(ティラコスミルス)No?リッパー(???)
みたいな感じですね。
言い忘れてましたが、活動報告で質問コーナーやってます。
何か疑問点がございましたら、何でもいいので気軽にどうぞ!精一杯答えます!
まだ“F”編は終わりません。結構な話数になると思われます。
まぁ、永斗の過去編とか入って来るんで、ご了承ください…m(__)m
そろそろラブライブ本編のエピソード書かなきゃだよなぁ…
感想、評価、アドバイス、オリジナルドーパント案ありましたらお願いします!