ラブダブル!〜女神と運命のガイアメモリ〜   作:壱肆陸

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結構時間かかりました。146です。
F編もラスト2話です。残るはvsアサルト!お付き合いください!


第39話 終幕はX/復讐鬼

古びた洋館。長い机に、七つの椅子。

そのうち一つに座っているのは、組織の最高科学者、天金狼。その真正面の席には七幹部“傲慢”こと、朱月王我。その隣は七幹部“憤怒”、コードネーム“ゼロ”。

 

最後に一人だけ離れた席に、初老の男性が一人。白い服に身を包みながら、その風貌は神父のよう。

 

 

 

「あら?一番乗りのつもりで来たのに、随分と早いわね」

 

 

 

扉を開け最後に入ってきたのは、七幹部“暴食”。本名不明、ただ一つわかっているのは、音ノ木坂に潜伏しているメモリセールスということだけだ。

 

暴食が席に着くと、ゼロが口を開ける。

 

 

「これで全員か?」

 

「“色欲”がいないのはいつもの事ですが…“強欲”がいないのは、いささか珍しいですね」

 

「え!あの成金野郎いないんだ!ラッキィィ!」

 

 

それに反応したのは初老の男性、朱月は高笑いしながら喜んでいる。

ゼロに視線を送られた天金は、進行を始めた。

 

 

「とにかくこれで全員揃ったことだし、七幹部定例会議を始めよう。

今回の議題は…いうまでもないかな?“F”が倒された。それも、仮面ライダーの片割れに」

 

「それは驚嘆せざるを得ない事象です。不変であるはずのオリジンメモリを、どうやって倒したというのでしょう」

 

「それは僕にも分からない。なんにせよ、これまで以上の警戒が必要となってくる」

 

 

議論を進める間、朱月は一人笑い続けている。

遊び相手がまた強くなったのが、この上なく愉快な様子だ。

 

そんな中、暴食が嘲笑をゼロに向けた。

 

 

「それにしても無様ね。任された任務を先延ばしにした挙句、獲物を横取りされるなんて。憤怒なんていう馴れ合い集団、潰してしまった方が組織のためなんじゃなくって?」

 

「どうとでも言えクソガキ。貴様についても目に余る点が多々ある。

先日の組織の研究所が襲撃され、エクスティンクトメモリが強奪された件。貴様、その時何処にいた?」

 

「何?まさかとは思うけど、無能の分際で私を疑ってるの?」

 

 

目に見えるほど殺気がぶつかり合っている。

そんな中、なにもできずにただ立っているだけの人物が一人。

従者として連れてこられた、憤怒のエージェントの一人、ビジョンだ。

 

 

(何でオレがこんなとこ来なきゃいけないんだよ!怖すぎんだろこの人達!ファースト、アサルトは連絡つかないし、ハイドさんは来客ってなんだあの野郎!かといってリキッドなんか連れてったら何しでかすか分かんないし、ソリッドはコミュ障!ジャミングに関しては論外!マジでウチの奴ら使えねぇ!)

 

 

頭の中では文句の大嵐だが、声に出そうものなら一瞬でひき肉にされそうなので、必死に黙り続ける。

 

 

「その日は、そこの朱月とディナーを嗜なんでたわ。そうよね?」

 

「楽しい夜だったよー」

 

 

(だから怖いよ!人でも食ってんのか!)

 

 

「フン。まぁいい。あともう一つだが、ウチのアサルトが行方をくらませた。どうしようもない奴だが、俺の部下だ。何かあるようなことがあれば……死んで済むと思うなよ、小娘」

 

 

その一言で、場が戦慄で凍り付く。いくら手練れといえど、一瞬の恐怖を禁じ得ない。それほどの気迫。

 

 

(…やっぱ、ウチのボスがいっちゃん怖いわ…)

 

 

 

その雰囲気をリセットするように、パンと天金が手を叩く。

 

 

「そこまでだよ。じゃあ、最後にもう一つ報告。

今回の一件で、士門永斗を再び“怠惰”として計画に組み込むのは不可能と判断した。そこで、空席となった“怠惰”の代理として、この僕、天金狼が七幹部を務めることとした。ボスも了承済みだ。意義のある者は?」

 

 

驚愕するビジョン。今までこんな形での“怠惰”の継承は聞いたことがない。それに、長きにわたって裏で組織を支えてきた天金が、機は熟したといわんばかりに表舞台に立とうとしている。

 

しかし、他の幹部たちは表情を変えず、その場にいる誰も手を上げることはなかった。

 

 

「よろしい。じゃあこれでお開きとしよう」

 

 

これまでも組織内はギスギスしっぱなしではあったが、近頃はどこかおかしい。それぞれの腹の内が一層暗くなり、何が起こるのかが全く予測できない。ただ、何かが起こるという確信がそこにあるだけだ。

 

 

(どうなっちゃうんだよ、オレ達……)

 

 

取り敢えず、ここに来てしまったことを、強烈に後悔するビジョンであった。

 

 

 

 

________________

 

 

 

ーアラシsideー

 

 

 

 

「永斗!」

 

 

 

真姫から教えてもらった住所をもとに、古い診療所に駆け込む俺。

 

遡ること数十分前、一件落着し一息ついていた俺にかかった電話。それは、組織のエージェント、ハイドからの電話だった。奴が言うには、戦闘中に意識を失った永斗を保護しているから、来い。とのことだった。

 

 

言うまでもないが、めちゃくちゃ警戒している。ついさっきまで永斗を殺そうとしていたやつらだ。何されたか分かったものじゃない。というより、何故わざわざ俺に報告したのかが不可解だ。罠である可能性は高いし、そうでなくとも必ず何か裏があるはず……

 

 

「あ、病室で寝てるから、すぐ連れて帰ってもいいっスよ」

 

 

診療所にいたハイドから言われたのは、その一言だった。

 

 

「いやいやいや、ちょっと待て!どういう事だ!」

 

「何っスか?こっちも壁の修理とかで忙しいんで、出来れば手短に頼むっス」

 

「そうじゃねぇだろ!お前ら、永斗を奪って、挙句の果てに殺そうとしてたよな!?そんな奴らが簡単に永斗を返すわけねぇだろ!何が狙いだ!!」

 

「狙いって…健康な患者には退院していただくのが筋ってもんじゃないっスか」

 

 

そう言ってハイドは病室の扉を開ける。

窓際のベッドで寝ていたのは、紛れもない永斗。俺は思わず永斗に駆け寄る。

 

確かに、顔色は良いし、近くで見ても具合が悪いようには見えない。

 

 

「一通り調べたんスけど、体は理想的な健康体。正直、ウチで出来ることは何もないっスよ」

 

「だから返すってのか。筋は通ってるが、納得はできねぇな。ファングが倒され、永斗を殺す理由が無くなったとしても、ここで永斗を捕えておけば、仮面ライダーは大幅に弱体化する。お前ら組織としては、何としてでも捕えておきたいはずだ」

 

 

他にも理由はいろいろある。そもそも永斗が攫われた件に関しても目的が分からない。何にしても、永斗を俺に返すメリットは一つもないはず。

 

 

「気づかないフリしてあげようってのに、自分から言っちゃうんだから、もう…そうっスよ、組織は絶対こんな行動を許可したりはしない。だから、これはジブンの独断っス。これは君たちがファングを倒してくれたおかげで、仲間に犠牲が出ずに済んだことの礼と、有言実行の報酬」

 

 

有言実行…真姫の説得がどうとか言ってた件か。

それに真姫から以前のこの男の話を聞く限り、嘘を言ってるとは思えない。

 

 

「……永斗に何もしてねぇだろうな。この場所を仲間に伝えて一斉攻撃なんてことも……」

 

「ジブンは腐っても元医者っスよ。患者を売ったり、捨てたりするような真似は死んでもしない。そんで、士門永斗は目が覚めるまではジブンの患者っス」

 

 

言葉から伝わってくる強い感情。誰が聞いても分かる。コイツが言っていることは、間違いなく本心であると。…これは信じざるを得ないな。

 

それにしても、ラピッドにせよファーストにせよ、これ程の人間たちが何故組織にいるんだ……?

 

俺は永斗の腕を持ち、肩を貸して連れて帰ろうとする。呼吸は聞こえるが、意識は全く感じない。

すると、病室を出ようとしたとき、ハイドが声を掛けてきた。

 

 

「でも用心はした方がいいっスよ。どうも“F”は、完全には消えてないみたいっスから」

 

「ッ…!どういうことだ…!」

 

 

激しい戦慄を覚えると同時に、なんとなく腑に落ちた。

正直なところ、あれだけの戦闘を経ても、奴を倒せたとは思えない。それほどに、あの存在は強大だった。

 

 

「ファングメモリは組織が厳重保管してるんスけど、ヒビが入ってるだけで壊れては無かった。ていうかこの場合、傷が入ってる時点でおかしいんスけどね。一体何をどうやったら可能なんスか」

 

「…知るか」

 

「そっスか。言いたくないならいいっスよ」

 

 

俺が隠してる風に思われたみたいだが、実際は本当に俺も分からない。

あの時、おぼろげに誰かの声が聞こえたのは覚えている。確か、“全部をひっくり返すナントカ”とか言ってたような…

恐らく、あれは“J”の声。推測だが、あの一瞬だけオリジンメモリと繋がったことにより、より高次な力が発揮されたのだろう。俺のオリジンメモリ、ジョーカーには、まだ知らない力が眠っているということか…

 

 

「もしその力が“オリジンメモリを殺す能力”だとすれば、組織はいち早く君を狙いに来る。それこそ、ウチの上位メンバー全員で、なんてこともあり得るし、最悪“七幹部”が出てくる可能性もあるっス。あともう一つ……」

 

 

ハイドが何かを言おうとした時、外から爆音が聞こえ、ポケットに入っていたスタッグフォンが激しく反応しだす。これは…ドーパント出現の通知!

 

 

「言うまでもなかったみたいっスね」

 

「こんな時に…仕方ねぇ、永斗をここに置いてく!」

 

「え!?ちょっとそれは困るっスよ!こんなのゼロに見つかったら何言われるか…」

 

「アンタの医者としての矜持を信じる!」

 

 

よくよく考えれば賢い判断ではないのかもしれない。

だがこの時の俺は、義理堅く、己に強いプライドを持つハイドという男に、感化されていたのだろう。

 

 

俺はそのまま外に出て、ハードボイルダーにまたがり、ドーパントが出現した現場に急行した。

 

 

 

 

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少し前。場所は西木野総合病院。

 

 

 

「来たぞ、烈!起きているか!?」

 

 

病室の扉を勢いよく開け、大声で叫ぶ阿呆は、自称竜騎士の津島瞬樹。

その横で恥ずかしそうに下を向いているのは、お目付け役として同行させられた園田海未だ。

 

瞬樹は他の患者が驚いているのを気にも留めず、真っすぐ奥のベッドに進み、カーテンを開ける。

 

だが、そこには誰もいなかった。

 

 

「ちょっと瞬樹、場所間違えたのではないですか?それはいくらなんでも恥ずかしすぎますよ…」

 

「馬鹿を言うな。この俺が友の場所を間違えるわけなかろう!俺と瞬樹は離れていても、天界の盟約で結ばれた盟友なのだから…!」

 

「何してるんですか。痛い発言で患者に余計なダメージ与えないでください。殺しますよ?」

 

 

敬語口調で一瞬海未がしゃべったのかと思ったが、横には病衣を着た烈がいた。

 

 

「ん?烈、いたのか」

 

「散歩して帰ってきたらこの惨状で驚いてますよ。それにしてもμ’sの園田さんがいるとは、珍しいですね」

 

「海未で構いませんよ。こちらとしても久しぶりですね、烈。いや、クロと呼ぶように決めたのでしたね」

 

「どっちでもいいですよ」

 

 

口調が同じで、どっちがしゃべっているのか分かりづらいが、一旦状況を整理する。

まず、この少女とも少年ともとれない辛辣な人物は、瞬樹の相棒である黒音烈。永斗が攫われる直前、キル・ドーパントことリッパーによって、仮死状態に陥らされていた。

 

それから数日後に目が覚め、そろそろ退院できるという。

 

すると、瞬樹が思い出したように口を開いた。

 

 

「そうだ、見舞いに来たのだった!禁断の果実を持ってきてやったぞ。今ここでアルミラージに転生させてやろう!」

 

「林檎を持ってきたのでウサギ型に切ってやる、と言ってます」

 

 

瞬樹の厨二発言を律義に訂正する烈。海未は苦笑いし、持ってきた見舞い品を手渡す。

 

 

「私は小説を持ってきました。そろそろ退院なので、役に立たないかもしれませんが、退屈な時に読んでいただければと」

 

「ありがとうございます、瞬樹と違って気が利きますね。これは…“モンテ・クリスト伯”ですか。確か、無実の罪で投獄された男が主人公の復讐劇…でしたっけ」

 

「はい。舞台が好きだと聞いたので」

 

「俺も読んだが、理解はできんな。人間の進むべき道は前だけにある。まして、復讐のために生きるなど騎士道ではない」

 

「何を馬鹿が一丁前に。どうせ大して読んでもないでしょう」

 

 

図星である。あらすじと冒頭3ページで瞬樹の脳がキャパオーバーを起こしていた。

 

 

「自分で持ってきておいてなんですが、小説だけでなく、たまにはこうやって外の空気を吸うのも…」

 

 

そう言って海未が窓を開けた瞬間、

爆音と共に、遠くで天にも昇りそうな火柱が上がった。

 

振動は病院まで伝わり、一瞬で院内はパニック状態に陥る。

 

 

「ドーパントですね。ボクも同行します」

 

「駄目だ。烈は海未と共にここにいろ。ドーパントは俺とアラシで何とかする」

 

 

一瞬で瞬樹の表情が変わった。空気をヒリつかせるような、本気の表情。

瞬樹は壁に立てかけておいたエデンドライバーを持ち、窓から飛び降りた。

 

その光景に、周りの患者は腰を抜かすが、すぐにエデン専用バイク マシンライバーンの飛行モードに乗った瞬樹が現れ、そのまま火柱が上がった方向へと飛んで行った。

 

 

 

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数分後、ハードボイルダーが現場に到着。ヘルメットを外し、アラシが現場に降り立つ。

確か、この場所は公園があった()()()()()

 

 

しかしアラシの目の前に広がる光景は、余りにも異様。

 

池は蒸発し、芝生や草木は燃え尽きているが地面は凍り付いている。空を飛ぶ野鳥は地に落ち、あちこちに凸凹と大きな穴が開いていた。幸い、人間の遺体は見つからない。犠牲者はまだいないようだ。

 

そして、明らかに目立つ、一つの立った人影。

 

赤黒い髪に青く染めた部分が見える。雰囲気こそ変わっているが、間違いない。

 

 

「アサルト!」

 

「…んだよ。テメェは呼んでねぇ」

 

 

憤怒のNo2コードネーム“アサルト”。以前に一度戦い、敗北している。

シルバーメモリのカオスメモリの使い手であり、かなりの強敵だった。

 

だが妙だ。この状況は、奴のカオスメモリで作り出せる次元を超えている。

 

 

「派手に騒ぎを起こせばアイツが来ると思ったが、とんだハズレくじだ。お前に特段恨みはねぇが…邪魔すんなら消し炭にすんぞ…!」

 

「…お前の目的はなんだ。何がお前達をそうさせる!?」

 

「お前達…?なんか勘違いしてるみてぇだから言っとくが、俺はもう“憤怒”を抜けた。

今の俺はただの怪物…“怠惰”を殺すために生きる、“鬼”だ!」

 

 

アサルトは懐からベルトのバックル型装置を取り出す。その外見は、仮面ライダーのドライバーを彷彿とさせる。そして、ソレを腰にかざすとベルトが展開。さらにアサルトはメモリを取り出した。

 

それはシルバーメモリではなく、さらに高ランクの存在。

七幹部のみが持つ、ドーパントメモリ最高ランクの“ゴールドメモリ”だった。そのメモリには恐竜の骨と悪魔のようなイメージでXと刻まれている。

 

 

《エクスティンクト!》

 

 

 

「気が変わった。俺の前に立つ奴は、全員根絶やしだ!」

 

 

アサルトが腰の装置“ガイアドライバー”にメモリを挿すと、どす黒いオーラに包まれ、その体が変容していく。その姿は見た者を終末へと誘うような、黒一色の体。纏うローブは不吉という概念を物質化したような雰囲気。時折、発光するように体を不規則に走る赤のラインは、まるで血管のようでマグマのように赤い。

 

これがゴールドメモリのドーパント____エクスティンクト・ドーパント…!

 

 

「グラァァァァッ!!」

 

 

化け物の叫び声を上げると、エクスティンクトを中心に地面にヒビが入っていく。

そのヒビはアラシの足元にまで広がっていき、地割れを引き起こした。

 

 

「何だよ、この規格外の力…!」

 

 

ジャンプでダメージを回避したアラシだったが、大地は揺れを強め、地形が激変するほど地割れが大きくなる。急いでアラシはロストドライバーを装着し、ジョーカーメモリを起動させ、装填からの展開!

 

 

《ジョーカー!》

 

「変身!」

 

《ジョーカー!》

 

 

仮面ライダージョーカーに変身するが、足場もまともに確保できず、ジャンプを繰り返して回避を続けるしかない。

 

だが、エクスティンクトの能力はそれに留まらない。

エクスティンクトが掌をジョーカーに向けると、凄まじい熱気がジョーカーに襲い掛かった。

 

尋常ではないほど熱い。炎でもないのに、体が焼け焦げてしまいそうだ。

 

 

「クッソ…!負けるかぁ!」

 

 

が、ジョーカーは半ばやせ我慢で、そのままエクスティンクトに接近。殴りかかる。だが、その攻撃は片手で止められてしまう。エクスティンクトのパワーもパワーだが、やはり現実世界ではファング戦ほどの力も出せないどころか、レベル2の使用もできない。言ってしまえば、ただの劣化版ダブル。

 

勝ち目は無いと言っていい。

 

 

「答えろ、“怠惰”はどこだ!」

 

「怠惰…そうかコイツ、永斗を…」

 

 

前回戦った際、詳しい事情は分からないが、アサルトは永斗を恨んでいる様子がうかがえた。

そしてこの様子だと、どうやら現在の状況が把握できていないらしい。それなら…

 

 

「よく聞け。お前の言う“怠惰”は、永斗じゃなかった」

 

「何!?」

 

 

アラシは事の全てを、出来るだけ簡潔に説明した。

永斗に入り込んだもう一つの人格“F”の存在、その真相、そして“F”はアラシ達によって倒されたということを。

 

復讐が目的ならば、その相手が無くなれば戦わずに済む。そう思っていた。

だが…

 

 

「…だからどうした!」

 

 

帰ってきた言葉は、その一言だった。

 

 

「だから許されんのか!?例えそれが真実だとしても、奴がこの手で俺の家族を殺した事実は変わらねぇ!!」

 

「ッ…!何でそうなるんだよ!?永斗は罪を受け止め、償おうとしている!それにお前も分かるだろ!真の意味であの事件を起こしたのは“F”だ!そんで“F”はもう倒された!もう復讐も必要ないはずだ!!」

 

「俺がこの3年間、どんな思いで生きてきたと思ってやがる!!奴を殺すことだけを考え、すべてを捨てて強くなった!それが見当外れで先を越されたから終わりだぁ?ふざけんのも大概にしろ!」

 

 

エクスティンクトの足元から凍り付き始め、地割れで原型を留めていない大地も全て、一瞬のうちに氷河に覆われる。無論、ジョーカーの足も凍ってしまい、この絶望的状況の前に、動くことすらもできない。

 

 

「俺は“怠惰”を殺す!!だから手始めに、テメェが死ねぇ!!」

 

 

エクスティンクトの前に形成される巨大な岩塊が炎を纏う。小さいが間違いない、恐竜を絶滅に至らしめたと言われる地球外からの悪意なき殺戮兵器___隕石だ。

 

隕石は重力を無視し、水平方向に氷河を削りながらジョーカーへと襲い掛かる。

避ける術は無い。眼前に迫るは、確実な死_____

 

 

 

 

 

 

 

《ドラゴン!マキシマムドライブ!!》

 

 

翼竜の光剣(ワイバーン・クラウソラス)!」

 

 

エデンドライバーにドラゴンメモリを装填した必殺攻撃で、隕石を粉砕。

マシンライバーンから仮面ライダーエデンが降り立った!

 

 

「何をしている、アラシ!」

 

「礼は言うけど遅ぇよ、そっちの病院の方が近かっただろ」

 

「道に迷った!」

 

「さっきの感謝返せ!」

 

 

隕石の熱で、足元が溶けたようだ。エデンとジョーカーは並び立ち、エクスティンクトを見据え、構えを取る。

エクスティンクトはエデンの姿を見て、憤りを爆発させる。

 

 

「増えやがっただぁ?もう一人は聞いてねぇぞ“暴食”!!」

 

「ごめんなさいね。言ってなかったかしら?」

 

 

 

突然、大きな悪意が目の前に現れた。パーカーを着た、小柄な人物、声は高い…おそらく女だろう。だが、ソイツが“悪”であることは、一瞬で理解できた。

 

2人の背筋を電撃が走るような感覚が襲う。アラシは二度、これに近い感覚を体験したことがある。一度目は朱月組で朱月王我に出くわしたとき。二度目は永斗奪還の際、ゼロと呼ばれる男と出会ったとき。

 

 

「自己紹介するわ。私は七幹部が一人、“暴食”。面識はあるはずよ?特にそこの、黒い仮面ライダー」

 

 

そう言うと、暴食は黒いパーカーのチャックを下ろした。顔は依然として判別できないが、アラシはその人物が誰なのかを一瞬で理解する。

 

その下に着ていたのは、音ノ木坂学園の制服。そして、彼女の手に現れたのは、ガイアメモリの入ったスーツーケース。

 

 

 

「お前…あの時のメモリセールス!」

 

「当たり。面白そうだったから呼んであげたのよ。私の庭にね」

 

 

スパイス・ドーパントの事件の直後にすれ違ったメモリセールスこそが彼女。あれは故意的だったことに、多少の驚きを隠せない。

 

 

「もうおしゃべりは十分でしょう?太陽クン、2人まとめてやっちゃって」

 

「言われるまでもねぇんだよ!」

 

 

小さな隕石を多数生成し、エクスティンクトはジョーカーに向けて放つ。

しかし、エデンがその間に入り、全ての攻撃を叩き落した。

 

 

「千載一遇のナントカという奴だろう!?アラシはその女を逃がすな!」

 

「一人でいけるか?…って、愚問だったな!」

 

 

エデンがエクスティンクトに、ジョーカーは暴食に向けて駆け出していく。

生身といえど、油断してかかれば痛い目を見るのは明白。ジョーカーは殺さない程度の力で殴り掛かる。

 

しかし、その拳は暴食には届かない。まるで反発するかのように。

 

 

「んだと…!?」

 

「心外ね、手加減されるなんて。それなら…」

 

 

暴食はパーカーのポケットからガイアドライバーを取り出し、腰に装着。そして暴食も、アサルト同様にゴールドメモリを取り出した。指で隠れてメモリのイニシャルは見えない。暴食はそのままドライバーにメモリを挿入。

 

凄まじいエネルギーが放出され、暴食の姿が変貌する。

 

 

「これが…七幹部のドーパント態…!」

 

 

黒色と赤銅色の体をした、獅子のような姿。半生物的とでも言えばよいのだろうか、生物のようにも見えるし機械的なモールドも入っている。隆起する筋肉に、ネコ科特有の形状の脚。さらに妙な模様が入った長い帯を纏わせており、天女の羽衣を連想させる。

 

ガイアドライバーのバックル部分は、エクスティンクト同様に黄色い球が現れていた。

 

 

(ゴールドメモリのドーパントが2体……様子見は危険すぎる。だが…)

 

 

アラシは獅子のドーパントに攻撃を続けるが、反発するように攻撃が届かない。

獅子のドーパントがジョーカーに向けて咆哮。衝撃波となってジョーカーを襲った。

 

 

「ぐあぁッ!」

 

 

獅子のドーパントがクラウチングスタートのようなポーズを取ると、脚の形状が変化。それにより瞬発力が大幅に向上。吹っ飛んだジョーカーが地面に落ちる前に追いつき、さらに殴打。一撃毎に雷撃を喰らっているような痛みが、連続で襲い掛かった。

 

 

「あら?案外味気ないわね」

 

「うるせぇ!」

 

 

ジョーカーだってなされるがままではない。なんとか体勢を戻したジョーカーは、いったん距離を取る。さっきのハメ技は喰らうとマズい。だが、超瞬発の接近なら分かっていれば対処できる。

 

しかし、その考えは裏切られることとなる。

獅子のドーパントがジョーカーに向けて手を向けると、その腕が伸び、まるで鞭のようにジョーカーに迫ってきた。しかも空中で伸縮操作自在。回避してもしつこく追ってくる。

 

 

 

(見た目の通り“ライオン”か、ライトニングみたいな電撃系のメモリかと思っていた。だが…)

 

 

一度腕がジョーカーを捉えると、一瞬で獅子のドーパントが腕を元に戻して距離を詰め、ジョーカーに馬乗りの状態に。

 

 

「じゃあコレはどうかしら。少しは食べ甲斐、見せてくれる?」

 

 

獅子のドーパントの帯が、赤く発光し始める。

ヤバいのは肌で分かる。だが、獅子のドーパントの体は想像を絶する程重く、体が微動だにしない。

 

 

次の瞬間、獅子のドーパントを中心に大爆発が起こった。

それこそ隕石が落ちたかのようなクレーターが地面に残り、変身解除したアラシがその中心で倒れている。

一方の獅子のドーパントは、あの爆発の中心にいたにも関わらず、傷一つついていない。

 

 

 

「口ほどにもないわね。やっぱり片割れだとこんなものかしら。それに…」

 

 

 

こっちとは別の場所で爆発が聞こえ、こちらも変身が解けた瞬樹が爆風に吹き飛ばされて来た。

爆炎をかき消してエクスティンクトが現れ、獅子のドーパントと並び立つ。

 

状況は…絶望的としか言いようがない。

 

 

 

「そっちも終わったみてぇだな。そんじゃあ、死ね!」

 

 

エネルギーを込めた腕を、生身の2人に振り下ろすエクスティンクト。

大地を砕くパワーをモロに喰らえば、まず命はない。2人は無念の表情を浮かべない。その眼は清々しい程にしつこく、まだ諦めていない。だが、現実は非情にも、エクスティンクトの攻撃は_____

 

 

 

届くことはなかった。

 

 

 

「どういうつもりだぁ…“暴食”!」

 

 

エクスティンクトの攻撃はアラシ同様、反発するように動きを阻まれている。

 

 

「どうもこうも、私たちの計画はオリジンメモリを揃えることよ。適合者を殺してどうするの」

 

「知らねぇんだよ、んなことは!じゃあ何だ?“怠惰”も殺すなとか言うんじゃねえだろうな!?」

 

 

エクスティンクトの攻撃の矛先は、獅子のドーパントへと変わる。

暴風、隕石、氷河が一斉に獅子のドーパントへと迫っていく。

 

 

「全く…世話の焼ける子だこと」

 

 

しかし、それらの攻撃は全て獅子のドーパントの前で静止。エクスティンクトも動きを封じられてしまった。

 

 

「今はこの子で手一杯だから、今回は見逃してあげるわ。それに貴方達は、もっと育ってからが楽しみですもの。また学校で会いましょう?夏休み明けまで、何事もなければ…ね」

 

 

 

そう言って、暴食とアサルトは一瞬にして消えてしまった。

なんとか生き延びた2人。だが、無様な敗北、ゴールドメモリに太刀打ちできなかった不甲斐無さが、彼ら自身を追い詰める。

 

 

 

さっきまで公園だった焦土の中心で、2人の少年は声にならない無力感を叫ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

「永斗くん!」

 

 

 

ハイドの診療所に永斗がいるということを知った凛、花陽、絵里は診療所に急行。だが、そこには既に他のメンバーが。そして、眠っている永斗と体に包帯を巻いたアラシと瞬樹がいた。

 

 

「アラシ先輩!?瞬樹くんまで…」

 

「!?その声は我が天使!」

 

 

花陽の声を聞いた瞬樹は一瞬で完全復活。アラシもなんとか立ち上がった。

 

 

「その分ならもう大丈夫そうっスね」

 

「あぁ、恩に着る」

 

「本当っスよ。敵の仮面ライダー3人も治療なんて、裏切り扱いもおかしくないっスからね!」

 

 

普通にハイドとアラシ達が一緒にいる状況が理解できない3人。全員揃ったこともあり、アラシが状況を説明する。

 

 

「なるほど…つまり永斗に恨みを持つ敵が幹部級の力を付けていて、そこに本物の幹部まで混ざって惨敗した。そこで状況も状況だから一時停戦…ということね。今更だけど、随分と物騒な世界に巻き込まれたものね…」

 

「流石は絵里、理解が早くて助かる。正直なところ、アサルト一人でも、エデンとジョーカーじゃ手に余る。せめて永斗が目覚めてくれれば…」

 

 

ファングを倒してから随分経つが、永斗が目覚める気配はない。

状況としては詰みに近い。そんな中、穂乃果は神が降りてきたと言わんばかりの勢いで、思いついたことを提案する。

 

 

「それじゃあ、永斗君が起きるまで待てばいいんだよ!この間みたいなタイムリミットとかないんだから、それまでここで皆で待てば…」

 

「ダメよ。そのアサルトって人がいつ暴れだすかもわからないし、その度に止めに行かなければいかないんだから、そんな余裕はないんじゃない?」

 

「真姫ちゃんの言う通りっス。ついさっき、こんなものが届いたっスから」

 

 

ハイドは自分の携帯電話を皆に見せる。表示されたのはメール画面で、こんな文章が打たれていた。

 

 

 

[明日の正午までに怠惰を近くの廃工場に連れてこい。そこで全て終わりにする。]

 

 

 

「メアドはアサルトのもので間違いないっス」

 

「つーか場所バレてんじゃねぇか」

 

「知らないっスよ。大方、ウチのメンバーの誰かがチクったんだろうっスけど。これは減給っスね。

まぁ言ってる場合じゃないっスか。どうやら、アイツは本気みたいっスから」

 

 

そう言って、ハイドは座りながら親指で窓を指す。

全員が窓の外を見ると、外は雲一つない快晴だった。しかし、空に見えるのは太陽ともう一つ。

 

遥か上空に見える、小さな点。

 

 

「あれってまさか…」

 

 

いち早く嫌な予感を察知したにこが、恐る恐る聞く。

帰ってきたのは無慈悲な返答だった。

 

 

「隕石っスね。今は宇宙空間で静止している状態みたいっス。既に世間では大騒ぎ、高さと大きさから人類絶滅とまではいかなくとも、余裕で東京都半壊か全壊っス」

 

 

開いた口が塞がらないとはこのことだろうか。大規模殺人を起こしたファングを倒したかと思えば、さらにヤバいのがやってきた。つまりアサルトは、ここら一帯を壊滅させることで、永斗も殺そうとしている。

 

 

「全てを終わらせるってこういうことかよ…」

 

「つまりはこう言いたいのだな。明日の正午までに奴を倒さなければ、魔都・東京は壊滅!」

 

「でもそれっておかしいよ!そのために関係ない人を巻き込むなんて…まるで……」

 

 

“3年前の事件と同じ”。穂乃果がそう言いたいのは、全員が分かった。アサルトは自分の家族を奪った悲劇を、自身の手で繰り返そうとしている。

 

 

「ゴールドメモリの毒素で大分キてるっぽいっスね。でも、どーにも不可解な点が多いんスよね…例えば」

 

「わざわざ隕石にした事…とかか?永斗を殺したいのなら他にも手段はいくらでもあるはずだ。場所も割れてるんだし、速攻でココに攻め込めば終わり。逆に隕石みたいに目立つ形にしてしまったことで、遠くに逃げれば回避できる状況になってしまってる」

 

 

そう考えると、アサルトの行動はある意味最悪手とも言えるだろう。いくらなんでも少し不自然だ。

 

 

「流石はダブルの片割れ、その通りっス。組織の意向に従うなら、君達適合者を無理矢理でも逃がす所なんスけど…

 

まぁやめとくっス。それに、例え関係のない人でも、一度私怨で誰かを殺せばもう後には引けなくなる。ジブンだってアサルトを助けたいんス。だから…」

 

 

ハイドは真剣な眼差しをアラシ達に向け、覚悟を決めたように言った。

 

 

「共同戦線っス。“憤怒”と仮面ライダー、二つの勢力でアサルトを止める」

 

「利害は一致してるってか。背中預けるには信用できねぇが…そうするしかねぇみたいだ」

 

 

明日の正午までにアサルトを倒すのが勝利条件。今回のアサルトの行動から考えて、暴食は関与してないと考えてもいいだろう。それでも現時点の戦力じゃ勝つのは無理だ。ここは同盟を受け入れるしか手段はない。

 

 

「と言っても、ほとんど先のファング戦でメモリブレイクか負傷してるんで、戦力はほぼいないんスけど…ジブンも万が一に備えてここで居残りした方がいいと思うし…あーでもいたっスね、一人だけ出撃できる奴」

 

 

“一人かよ…”と言いたげなアラシだったが、心に置いておくことにした。

 

 

「本当は士門永斗が目を覚ませば手っ取り早いんスけどね」

 

「永斗くん……このまま目を覚まさなかったら…」

 

「心配すんな凛。俺達はやれることをやった。後は、永斗を信じるだけだ」

 

 

もし永斗が目を覚まし、戦力に加われば勝率は跳ね上がる。だが、ハイドの力ではどうしようもできない状況にあるため、待つしか方法がない。

 

それでも凛は、心配そうな、それでいてどこか後ろめたさを感じさせるような表情で、眠り続ける永斗を見ていた。

 

そんな凛を見たハイドは、何を思ったのか、凛の肩を叩き、声を掛けた。

 

 

 

「ちょっと手を貸してくんないっスか?」

 

 

 

__________________

 

 

 

 

ハイドと凛は、診療所の奥にある台所に移動。

 

 

「同盟結成を祝して皆にお茶でも出したいんスけど、どうも人数が多いじゃないっスか。だから手伝ってもらおうと思って。食器棚から人数分のカップ出して貰えないっスか?」

 

 

とりあえず言われたとおりに動く凛。その間、ハイドは棚の奥から紅茶のパックを取り出し、お湯を沸かしている。

 

これはどういう状況なのだろうか。

 

凛にとってハイドはモロ恐怖の対象である。過去に2回、ドーパント態のハイドと対峙して殺されかけているのだ、無理はない。今だって震えで手からカップが落ちそうになっている。落としたら落としたで殺されそうなイメージがあるので、死んでも落とさないが。

 

一方のハイドも、怖がられているのは察している。こんな協力関係、元から無理があるのだから仕方がないし、こっちだって親に顔向けできない程度のことはやってきている。本来ならあくまで一般人である彼女たちとは関わるべきではないのだが、ハイドは凛にどうしても聞いておきたいことがあった。

 

 

「凛ちゃん…だったっスか?前にジブンの昔話したことあったっスよね?」

 

「え…!?あ…ハイ…」

 

 

完全に怯えきっているせいか、驚きのあまり心臓がとまるような思いをした凛。

昔話…永斗奪還のときの話だ。

 

 

「君に叱られて、その後は真姫ちゃんにも叱られて、色々と考えたんスよ。その結果、こうやって君達にも手を貸してる。真姫ちゃんは、あの時のジブンの決断は間違いじゃなかったって言ってくれた。でも分かんないんスよ、ずっと間違いだと思っていたあの選択が、本当はどうだったかなんて」

 

 

凛からカップを受け取ったハイドは湯を注ぎ、紅茶のパックが入った袋を開けた。

 

 

「ジブンは君に忠告した。“士門永斗のことを知るのは間違い”だって。今でもそう思ってるっス。君達は忠告を振り切って彼を奪い返しに来てファングまで倒して見せたけど、彼の罪はどう繕ったって消えない。それでも君は、自分の行いが“間違い”じゃなかったって言えるっスか?」

 

 

今すぐに否定したい。でも、のどより先に言葉が出ない。

まただ、自分の弱さが嫌になる。誰よりも意思が弱く、臆病で、覚悟がなくて……それなのに皆の隣にいる自分が、それを許されている自分が許せない。

 

 

「凛…は……」

 

 

結局、その答えは出せないまま時間は過ぎる。

日が落ちると、アラシと瞬樹以外は帰宅。今すぐに攻め入る手もあったが、まずは体力の回復を優先させた。決戦は明日に持ち越された。

 

 

 

 

___________________________________

 

 

 

 

数時間前。仙台の山奥に住む技師 山神未来の元に一人の来客が訪れた。

取り掛かっていた“2つ目のロストドライバー”の制作を切り上げ、その姿を見た未来は、少し曇った表情を見せたかと思うと、すぐに鋭い視線を向ける。

 

その先にいたのは、黒服の男性。組織の七幹部の一人、“憤怒”ゼロ。

 

その意外な来訪者に、未来は冷たい声で問いかける。

 

 

「珍しいね。どの面下げて今更何をしに来たの?()()

 

「山神、有無を言わず俺の話を聞いてほしい。

お前に2つ、頼みたいことがある」

 

 

その時のゼロが何を思っていたのかは、メモリーメモリを手放した未来には分からなかったが、何か一つ“大きな覚悟”をしていたことだけは、その目にはっきりと映った。

 

 

 




次回でラストです。しれっと色々明らかになりましたが、気にせず行きましょう!
鈴神さん考案のエクスティンクト・ドーパントも大活躍です!

次の話も書き終わってるので、少ししたら投稿します。
予告しますが、次回は秘密になっている誰かの正体を明らかにします。


感想、評価、アドバイス、オリジナルドーパント案などございましたら、よろしくお願いします!

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