ルーシィとウルキオラと双子のメイド(仮)   作:終わりの昼寝

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更新が遅くなりすみません。
次の更新もいつか分からないのですが暖かい眼で見てくれればと思います。


赤と青

屋敷内にある厨房で瓜二つの顔立ちをした双子の少女がいた。

 

 

ショートボブの髪型をした青髪に大きな青目の少女は右目を髪で隠しこの少女用にオーダメイドで造り上げられたであろう露出が若干高めの黒を基調としたメイド服を着こなしている少女は、頭のホワイトプリムを落とさないよう器用に頭を左右に陽気な鼻歌のリズムに合わせて軽く振っていた。

無論少女は料理の手を休める事なく手際良く調理していた。

 

 

「ふん〜ふん〜ふん、ふんふん〜ふん〜〜」

 

今日はルーシィ様の大好きなあの料理を作って差し上げましょう。ふふ、ルーシィ様の喜ぶ姿が目に浮かびます。

 

 

「レム、今日は随分と御機嫌ね?」

 

 

青髪の少女、レムと同質の声で話しかけた桃色の髪にこれまたレムと同様に可愛らしい大きな赤い瞳をした少女は、レムと揃いのなりをしており、違うのは髪や瞳の色と左目を隠しているところだろう。

それと料理の方はただひたすらに野菜の皮剥きをしていた。

そしてレムはよくぞ聞いてくれましと言わんばかりに表情をニンマリしながら左手を頬に当て右手だけで素早くキャベツを千切りにしていく。

……但し、千切りされていくキャベツたちは次々と山になりこの量を果たして料理に全て使うのかは.....不明である。

 

 

「はい姉様!今日は久々に、ルーシィ様に料理を作ってあげられるのがとても嬉しいんです!」

 

 

それを聞いたレムから姉様と呼ばれた少女、ラムは徐ろに赤いトマトを手に取り自分の鼻近くにトマトを持っていき悪戯っぽく言う。

 

 

「ふふ、今日はコックの赤っ鼻が体調不良で休みだわ、だから思う存分にレムが作ればいいわ!」

 

 

どうやらトマトを鼻近くに持ってきたのはその言葉から察するにコックの特徴的な赤い鼻をマネをするためだった様だが先程の思う存分にレムが作ればいいわ、という言葉は皮剥き以外は全く手伝いをする気がないという意味が含まれた言葉なのだろうか。だかレムは、それが当たり前かの様にそれについては何も言わず口を開く。

 

 

「ね、姉様、赤っ鼻なんてエイドさんに失礼ですよ。アレでもルーシィ様の父、ジュート様の舌を唸らせる料理が作れる数少ないコックさんなんですよ?」

 

 

彼女は気づかなかった。

この屋敷で十五年料理長として働き、ここで働く前のコック歴を合わせれば三十年以上とベテランであるエイドは当主ジュードの舌を唸らせる料理を数多く作ってきた。

そんな人物をアレと呼んだ事を。

だがラムはその事に気づき悪戯顔で話す。

 

 

「あらあらレム?そんな凄い方をアレ呼ばわりするなんて、レムはラムより度し難いわね?」

 

 

ラムに指摘されたレムは顔を赤くし、皮剥きをされている野菜を次々とキャベツと同様に千切りしていく。しかも目線はラムに向けたまま先程よりも素早くかつ的確に千切りしているそれは神業、いや鬼業であった。

だがラムは思う。これでなんの料理が作れるのかしら?と。

あれからレムはアレ呼びの件について弁解したりしてから徐々に気も収まりふと我に帰る。目に写るのは千切りされた幾つもの山となっている食材たちがあった。

最初に作ろうとしていた料理はとてもじゃないが現実的に作れず弱々しく姉にどうするか聞くとラムは少し考えた素振りを見せてから何か閃いたのか調理器具が置いてある棚から両手で持ってきた魔力式ミキサーを見せて提案する。

 

 

「これから新しく料理をお作りしてもルーシィ様が寝てしまう時刻になるでしょうしこれだけの食材を冷凍庫には入らないから数減らしかつスピードさがある野菜ジュースはどうかしら?」

 

 

それを聞いたレムは尊敬の眼差しで姉を見ながら興奮気味に話す。

だが、レムは知らない。

姉はただ楽をしたかっただけだった事を。

 

 

「流石です姉様!それにルーシィ様の御食事は昼時に作り過ぎたシチューにすればなんとかなりますからね!」

 

 

「そうよレム、もっとラムを褒め称えなさい!」

 

 

そんな言葉を言いつつこれだけの野菜を野菜ジュースにすれば当分は紅茶類の上品な飲み物は飲めないなと思いつつも、後の事はすべて赤っ鼻のエイドに丸投げしようと考えていたラムだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから時間が経ち外は夕陽から入れ替わる様に月の光が外を照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レムは夕食を持ってルーシィがいるであろう部屋の扉前にいた。

 

 

 

「少々御夕食の時間が遅くなりましたが、ルーシィ様ならヒマワリの様な笑顔で出迎えてくれる筈なのです」

 

 

鍵を開けてカチっと音が鳴り鍵が開いた事を確認してから扉をノックし扉を開ける。

 

 

「ッ⁉︎…はっ‼︎」

 

 

扉を開けようとドアノブを引っ張ると扉は引っ張られた方にそのまま倒れる。

だがドアノブを掴んだままの右手で右方向に扉を放り投げる。

突然の事で力加減を間違えたのか扉はかなり遠くの方まで行き廊下に小さな丸い木のテーブルに置いてある花瓶に勢いよくぶつかり辺りに花瓶の破片が飛び散り中に入っていた水も廊下のカーペットにぶち撒ける。

しかしレムは気にする様子もなく部屋の中に入る。

部屋の中にはルーシィはいなかった。

部屋の中をくまなく探すも意味をなさなかった。

 

「…そんな…ルーシィ様がいない?き、きっと違う部屋にいる筈です、そうに決まってます!そうだ、姉様の千里眼の力でルーシィ様を探して貰いましょう!」

 

 

大丈夫、大丈夫と、ブツブツと似たような言葉を繰り返しながら姉がまだいるであろう厨房に向かう。

 

 

 

一方ラムは厨房にて洗い物をしていた。

 

 

 

「…………」

 

 

無言で洗い物を片付けていくが時折食器類の割れた音がするのは気のせいではない筈だ。

 

 

「残りは赤っ鼻のエイドに任せればいいわね」

 

 

そんな事を言いながら動かしていた手を止めて丸い椅子に座る。

厨房にある時計を見ると懐ろから何かが包まれている小さな布袋を取り出し結び目を解き広げると一口サイズより小さなビスケットがありそれを食べることなく口笛を吹く。

すると何処からともなく滑空しながら小さな動物達がラムの元へ集うこと十数匹。

手の平サイズの丸い目が特徴的なモモンガであった。

 

 

「餌の時間よ、レムが作ったんだからよく噛みしめて味わうといいわ」

 

 

モモンガ達は一斉に我先にと餌に行きムシャムシャモシャモシャと口一杯にしながら勢いよく食べる。

その光景を見やるとモモンガ達の飼い主は溜息を深く吐き冷たい目線で見やる。

 

 

「品性の欠片もないわね、けどそこまで貴方達には求めていないもの」

 

 

そう言うと後方で餌を食べずにいる他のモモンガ達より一回り大きいがやはりそれでも手の平サイズなのは変わらないモモンガに手の平を向けるとゆっくりとした動作で手の平に乗るモモンガ。その手を自分の顔近くまで寄せてから空いた手でレムが作ったのと違うモモンガに食べ易いように小さく作られたであろう丸い黒々しい餌をモモンガにやる。

 

 

「貴方には特別に私が作ったのを食べさせて上げる、泣きながら感謝して食べるといいわ」

 

 

それを聞いたモモンガは餌に近寄り匂いを嗅ぎ始める。すると焦げた臭いがしたのだろうか鼻を抑える仕草をして一瞬よろめく。本当にこれを食べないといけないのかと飼い主を見やるがそれに応えるように笑みを浮かべてただ「食べなさいと」一声かける飼い主にモモンガは小さく鳴いた後どうにでもなれと言わんばかりに豪快に食べる。しかし二口目には眼から涙が流れそれでも食べ続けるも無理がたたったのか弱々しく鳴いた後コロンと横たわり気絶してしまうモモンガ。

一部始終見ていた飼い主は、良いものを見たと言わんばかりに深い笑みを浮かべ「ふふ」と声を漏らした後突然厨房の扉がバタン!と強く開けられ息を切らしながらレムが厨房の中に入る。

服装が乱れ青白い顔に瞳に涙を溜めているレムは弱々しく滅多に言わない言葉をラムに言った。

 

 

 

 

”助けて…お姉ちゃん”

 

 

 

 

…この言葉により彼等の物語は加速する。




この先どうなるかまだ分からないですが次の話も楽しみに待って貰えれば幸いです。
これからもよろしくお願いします!。

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