RYU   作:kurarin

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一話

「俺小説書いたんだけど、見てくれない?」

 

 

この一言から「彼」との関係は大きく変わってしまった。

 

 

 

 

------------2015年春

 

俺と「彼」は当時中学三年生。

普通に授業を受け、休憩時間には談笑を楽しみ、放課後は部活に行く。

普通の中学校生活を送っていた。

 

 

ある日の放課後、部室

 

 

彼「俺さ、最近小説書いてんだよね」

 

 

彼の突然の一言に、俺は笑いを抑え切れず、腹を抱えて笑った。

 

 

彼「なんでそんな笑うんだよ!!小説ぐらい自由に書かせろよ!!」

 

 

彼は俺がなぜ笑っているかを理解していないようだった。

否、理解したくなかったのかもしれないが、今となってはそれも分からない。

 

 

「小説を書く」

 

その行為自体は、なんら笑うべきものではない。

しかし、俺は当時中学生、「男子中学生が小説を書く」という行為の痛さに、笑いが出てしまったのである。

 

 

彼は中学校入学当初から、突然何かを始める人間だった。

 

帰りのホームルーム中に突然「水遊び」を始めたり。

修学旅行で皆が雑談を楽しんでいる中、ドラマを見始めたり。

会話の途中途中に江頭のモノマネを始めたり。

 

そんな彼が、いきなり何かを始めることは俺にとって慣れっこだったし、

 

「あぁ、いつものあれか」

 

その程度に思っていた。

 

 

しかし、彼が書いた小説がどのようなものであるか、彼はどのような小説を書くのか、俺はとても気になった。

 

俺「まじか、書いたら見せてや」

 

彼「え゛え゛ぇ゛ーーー」

 

相変わらず江頭の真似がうまい。

 

俺「江頭の真似はしなくていいからさ、書いたら見せてね?」

 

彼「お前絶対俺のことバカにするだろ!?」

 

いつ俺が彼のことを馬鹿にしただろうか。

 

 

周りが彼の住んでいる場所を「マサラタウン」と言って馬鹿にした時も。

彼がホームルーム中に水遊びを始めた時も。

彼が外出を禁止されていることを皆が馬鹿にしている時も

 

俺は彼のことを馬鹿にはしなかったはずだ。

 

 

俺「俺がお前のこと馬鹿にしたことないだろ?完成したらみせてね」

 

彼「う゛ーん゛…わ゛か゛っ゛た゛よ゛…」

 

俺「江頭の真似はもういいって…」

 

 

とにかく、彼は小説を書き終わったら見せてくれるようだ。

期待を胸にし、その日は部活を終えた。

 

 

 

 

 

その日から俺は彼の小説のことが頭から離れなかった。

 

教室での休憩時間も。

英語のペアワークの時間も。

体育で二人組を組むときも。

 

会話する相手がいなかったので彼の小説のことをずっと考えていた。

 

 

 

------そして、一週間後の部室

 

 

彼「小説書いてきたよ、見せようか?」

 

 

 

 

 

 

 

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