「彼女はエネ。数年前に、俺の端末に現れたある種のプログラムみたいなものだ。
だが、こいつをAIと断じることはできない。こいつは意思を持ち、自我を持ち、自分のしたいように動く」
「ふうん。でさ、エネちゃんはなんで司波くんの端末に出てきたの?」
『さあ?なんででしょうね。そもそも、私がなんで電脳体になってるのかすらわかりませんし、目覚めたのが数年前、ご主人のことを見つける数日前ですし』
「それじゃ、なんで達也のことを『ご主人』って呼んでるんだ?」
『いやー、端末に居る以上、私はご主人に仕えることになるじゃないですか。だからご主人と』
「どんなことが出来るんですか?」
『コンピュータ関連なら大半はできますよ?前、とある事情で、お店の家電を全てハッキングしましたし』
「いや、何があったのよ」
「立て篭り事件だよ。その時、人質みたいな感じになったんだが、犯人の隙を見てエネを解放したんだ。シャッターや監視カメラが一括管理されてたから、シャッターを開けてもらってカメラの画像を消去してもらった」
「……すごいんですね」
「正直、ハッキング・クラッキングではこいつに勝てる気がしない」
他愛のない会話をしていると、予鈴が鳴り、全員、席に戻った。
オリエンテーションを行うところだが、本鈴と共に、一人の女性が入ってきた。
『あれ、あの人、公安の人事ファイルで見ましたね。確か、『ミズ・ファントム』ってあだ名がついてるスパイさんですよ』
公安にまで侵入していたらしいエネ。
「欠席者は居ないようですね。
それでは皆さん、入学、おめでとうございます。
私はこの学校で総合カウンセラーを務めている小野遥です。皆さんの相談相手となり、適切な専門分野のカウンセラーが必要な場合はそれを紹介するのが私たち総合カウンセラーの役目になります」
『調査完了です!確かに、カウンセラーの資格を取ってますよ。あと、BS魔法師のようです』
エネが遥のことを調べた理由は、彼女がスパイとしてこの学校に侵入しているのではないか、と言う懸念。カウンセラーの資格を取得していようと、その懸念が晴れるかは怪しいのだが。
確かに、スパイには向いてるかもしれない、と達也は思った。一瞬にして、教室内の空気を掌握した。見事なまでのエモーションコントロールだ。
(要注意、だな)
その後、履修登録を完了した生徒は退室しても構わないと言われ、とある生徒が退室し、エネがその生徒を、SB魔法の大家、吉田家の「吉田幹比古」であることを達也に告げた。
最後の方のグダグダ感。