モーレツ銀河海賊   作:ノナノナ

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第20話

 加藤茉莉香は、今回の海賊営業の打ち上げの席で、チアキ・クリハラと共に部員たちに改めて話をした。帝国が危険視している海賊までも乗り出して来て、これからのオデットⅡ世は、乗り続けることが危険だと。今回、厳重だった海賊営業の中でも狙撃が起きた。海賊でない練習航海でも狙われる危険性は十分考えられる。現にグリューエルの話だと、この海明星に潜入を試みた形跡がある。潜入は、この星の色々な勢力によって、足を踏み入れた途端に失敗したようだが。だから、いまはこの星が一番安全な場所であることを、茉莉香とチアキが入れ替わり説明した。

 じっと聞いていた部員たち。二人が話し終わるとサーシャが尋ねた。

 「それは、いつまでなの?。」

 「今回の騒動にけりが尽くまでよ」

 チアキが答える。

 「侯帝と女王の確執が消えるまでですよね。それってリーゼが居なくなるまでって意味ですよね。女王の下に帰れるか、侯帝に引き渡すか。侯帝に引き渡すなら、絶対反対です!」

 「リーゼも、この星に留まってもらう。それがリーゼにとって最も安全。それに、こんな言い方したくないんだけれど、海賊の見方で言わせてもらうね。リーゼがオデットとここに居てもらう事が、植民星の海賊には都合がいいの。侯帝派も女王派も表立って出て来れない。帝国からの干渉を抑止できる」

 「茉莉香、それって本気で言ってるの? そりゃそうかも知れないけど、それじゃ現状を打破できないことくらい、解ってる茉莉香やチアキちゃんでしょ?」

 「待ってるだけじゃ、何も解決しないと思います」

 普段控え目なヤヨイまでもが口を挟む。

 「でも、これがいま考えられるベスト――」

 「嘘です。」

 グリューエルが言った。

 「それはベターであって、茉莉香さんにとってベストではありません。」

 「解ってよグリューエル! あなただってリーゼを危険に晒したくないでしょう」

 「それは本当。でもヨット部員もが抜けています。心配して下さるのは有難いですが、私たちに失礼ではないでしょうか」

 何処かのメトセラのように、人の本心を見抜く目で茉莉香を見据えるグリューエル。

 「茉莉香、私ら銃を直接向けられたことはないけどさ、砲口を向けられたことはあるんだよ」

 「丸腰の状態でね」

 そう言うハラマキとウルスラ。

 「確かに素人だけどさ、それなりの場数は踏んでるよ。皆、危険は納得づくでね。こちとら何故今回に限ってというのが正直なところだよ」

 真っ直ぐ見据えるリリィ。

 「茉莉香さんやチアキさんは、海賊だけで解決しようと思ってらっしゃるのではありませんか? でも、それは無理です。私たちは既に白鳳海賊団と名乗ってしまいました。ヨット部と海賊団を使い分けるのはこちらの都合であって、他所から見れは、私たちは海賊です。動かずに様子見でいるのは、結局相手の付け入る隙です。私たちは、クラスメイトを助けたいのです」

 グリュンヒルデの言葉に、ファムとキャサリンも頷いている。

 とうとう、茉莉香は弱音を吐いた。

 「チアキちゃん、――私、グリューエルたちを説得する自信ない」

 ばは――と、チアキは大きな溜息をついた。

 「茉莉香、それじゃあ説得するんじゃなくて焚き付けてるようなものよ。外堀埋められちゃったじゃない」

 「いい、あなたたち。オデットは私たちだけのものじゃないのよ。この先の後輩たちのものでもあるのよ。それに植民星の海賊免状はオデットで保障されてるようなものなのよ。百年後も二百年後も伝えていく義務があるの。いまの勢いだけで失う訳にはいかないわ。そこのところお解り?」

 「じゃあ、オデットを未来に残すために、いま出来ることをするべきだと思います」

 「出来ることなんてない」

 「状況に流されてるだけじゃ、相手のいいようにされるだけです。侯帝だか何だか知らないけど、相手がちょっかい出して来たんなら、きっちり対抗すべきです。植民星の海賊も含めて、今後舐められないようにこちらの態度を示すべきです」

 「決断は自分が選んだベスト、でしたよね先輩」

 下級生の言葉にチアキは目を剝いた。ナタリアやアイの言う通りなのだ。

 だがそれには、海賊会議が必要。基本一匹狼の海賊が連合を組むのだ。もしまとまっても免状を発行している各星系政府がどういうか――、連合を組んでの相手が『帝国』なのだ。

 「茉莉香、外堀どころか内堀まで埋められちゃったよ。この子達、前にも言ったけど、もう海賊だよ。――でも、親父になんて言えばいいんだ」

 チアキもうな垂れた。

 「そのままで宜しいのではありませんか? 時勢に敏い海賊の方々なら、すぐ重要性にお気づきになられる筈です。辺境海賊ギルドまでが表立ってオデットⅡ世に関わって来たのですから」

 そうにっこり微笑むグリューエルだった。

 二人の海賊は、白旗を上げた。

 

 ケンジョー・クリハラの招集で開かれた海賊会議には、チアキとグリューエルが状況説明のために出席した。グリューエルの臨席は、チアキが「みんなの前で説明するの、自信ない」とお願いしたものだった。

 海賊連合については、もともと一二〇年前に白鳥号で連合を組んでいた船どうしだ。今更連合を組むには及ばないと、あっさり通った。問題は帝国の内情だった。それがどう自分らが属している星系に圧力をかけて来て、私掠船免状がどうなるか。

 それについては、ケンジョーと同席したノーラが「心配には及ばない」と解説した。私たちの免状は、白鳥号に与えられた免状によって補完されている。その船と連合を組んでいる以上、星系政府がどうこう出来るものではないと。

 連合を組んでの相手が『帝国』となる事がもっとも危惧されるところだったが、撃たれたグリューエル本人が同席していることが、一番説得力を持った。彼女が撃たれたという意味を、時勢に敏い海賊たちはすぐに悟ったのだ。

 グリューエルは一言も発言しなかったが、ただ涼しい眼差しで海賊たちに臨んだだけで、それだけのことを成し遂げたのだった。

 「つまり俺達は、どうあってもオデットⅡ世を守り抜かなきゃならない訳だ。」

 そう締めくくるケンジョーに、居並ぶ海賊たちは同意した。

 

 

 加藤茉莉香は、サイレント・ウィスパーのコックピットにあった。

 行き先は、銀河系の辺境オケアノス。

 今回のフライトに、クーリエや艦隊の情報部員はいない。それに密航者の心配もない。グリューエルはチアキと海賊会議中だ。だからこのタイミングを選んだ。本当はミーサも一緒に来て欲しいところなのだが、それでは弁天丸の代表となってしまう。まだ海賊連合がどうなるか(恐らく纏まるだろうが)解らない段階で、それでは不味いのだ。

 あくまでヨット部『白鳳海賊団』の部長として茉莉香は向かっている。ジェニー・ドリトルはヨット部の顧問だが、教育実習生として来ている彼女は、いわば臨時の顧問。社会的にはフェアリー・ジェーンの社長であり、そんな彼女がこれから向かう先に一緒に行くわけにはいかない。

 座標オケアノス7187g3まで、あと短距離跳躍を一回という所まで来たときだった。以前、マイラの「愛の女王号」と会合した地点だ。ここで、髑髏星へ案内する先導者と待ち合わせをすることになっている。髑髏星は、セレニティーの黄金の幽霊船と同じ亜空間移動要塞。座標も、その辺で会えるかも知れないという程度のもので、定まった地点を持たない。

 付近を航行する船影も、星間物質もまばらな寂しい宙域で、ひとり待っている茉莉香の後ろで、突然ノックの音がした。

 「ひゃう!」

 緊張と心細くなっている所の音に、茉莉香は変な声を上げた。

 音は座席の背後のカーゴ・ハッチからだった。

 あんの密航皇女!と思ったが、グリューエルはいないはず。頭にいくつかのハテナマークを浮かべながら、後部ハッチを開けた。

 中から現れたのは、やっぱり密航皇女だった。ただし妹の方の。それともう一人。

 「ヒルデ!それにリーゼも!!」

 「どうしてもと頼まれまして、私がお連れし同行しました。」

 白鳳中等部の制服姿で二人が出て来る。

 「でもどうやって!? フライト前に重量チェックも生命反応チェックもやったのに!」

 「茉莉香さんが航路プログラムを設定する前に、予め船体情報を変えておきましたから今回は誤差も出ません。船内の生命維持環境は、コックピットと貨物室になっています。事前にお調べになりましたか?」

 慌ててコンソールの船内情報を見ると、コックピットとカーゴがグリーンになっている。ここ最近、サイレント・ウィスパーは貨物室も使う事が多かったため、つい見逃していたのだ。

 「この密航皇女! そんな技どこで覚えたのよ」

 「私が、ただ電子戦席に座っていたとお思いですか? こんなこともあろうかと日々研鑽を重ねてきましたのよ。リーゼも同じです」

 「そんなスキル、お姫様にはいらない。てか持っちゃ駄目!」

 密航は皇女の嗜みと言わんばかりのヒルデに、被りを振って否定する。

 「それに私たちは、いろいろ使えますよ。お姉様と同じ教育を受けていますので、人の嘘を見抜く目は持っているつもりです。これは王族の嗜みです」

 「そりゃそうだろうけど、でも相手はギルドなのよ。何かを企んでいて、リーゼに含むものを持ってる海賊。そんなところに本人が行くなんてどうかしてる」

 「それは、私も承知で諫めたのですが…」

 そこでリーゼが口を挟んだ。

 「だからこそ、私が行かなくてはならないのです。今回の騒動は、不本意ながら私が中心で起きている事。それに帝国の派閥も、くじら座宮の海賊も、辺境海賊ギルドも巻き込んで動いている。騒動の核である私が態度を決めなければ、混乱は増すばかりです。これは、皇女としての責任です」

 茉莉香は意表を突かれた。これまで巻き込まれてばかりだと思っていたリーゼが、自分が巻き込んでいると言った。それは守られるだけの対象から、自分から動くという意味だ。

 彼女の強い意志を感じた。

 「わかりました。リーゼ皇女。ここは皇女と呼ばせてね。皇女に、改めて白鳳海賊団の代表をお願いします。私たちはその介添人です。」

 海賊帽を取り、胸に帽を当てて挨拶する茉莉香。それに、両手で制服のスカートの裾を摘まんで軽くお辞儀を返すリーゼだった。

 

 待ち合わせの宙域に小型艇が現れた。案内人の船は、茉莉香たちが乗るものと同じサイレント・ウィスパーだった。

 「相手のトランスポンダーを確認しました。銀河帝国所属、船名グランドクロス」

 「グランドクロス!?」

 ヒルデの報告に茉莉香は意表を突かれた。あのクォーツが乗っていた巨大な機動戦艦と同じ名だからだ。

 やがて通信に呼び出しがかかる。スクリーンのエンブレムは黄金の髑髏。

 通信に出ると、あの勝ち気な懐かしい顔が現れた。リーゼと同じプラチナ・ブロンドだ。

 『久方ぶりね、茉莉香。』

「先日はどうも、でも何で船名がグランドクロスなんです? それに何であなたがギルドの案内人なんですか」

 『先のはアンタ達にやられちゃったじゃない。私が乗る船は、それがグランドクロス。黄金髑髏は船じゃなく人に与えられるものだからね。ギルドの案内人は、まあ一宿一飯の義理という所かな。――あれ?』

 クォーツ・クリスティアは、モニターの後ろに映る少女に気付いた。

 『リーゼじゃないか! 何でお前がここに居るんだ? 茉莉香!どういうつもりだ』

「お久しぶりです、叔母様。私は聖王家の皇女としてだけでなく、白鳳海賊団の代表として来ました。ギルドの連合と『ルビコンを渡れ』の真意を聞くために。」

 暫らくの沈黙ののち、クォーツは口を開いた。

 『――白鳳海賊団の代表。それが、どういう意味を持つか、解って言っているのかい――』

 「はい。」

 『そうかい。――あいつ(鉄の髭)も、とんでもない子(娘)を持ったものだな。銀河帝国の世継ぎを海賊にしてしまうなんて』

 彼女の言う「あいつ」と「とんでもない子」が、誰を指しているのか分からない茉莉香。

 「叔母様もですわ。聖王家に連なるものが海賊ギルドと通じているなんて、スキャンダルを越えています。お母様は知っていたようですが」

 『女王も大したタマだよ。それを知ってて政敵の攻撃に使わない』

 そう言って苦笑いするクォーツ。

 『茉莉香! 髑髏星が現れる座標を送る。付いて来な。』

 二隻のサイレント・ウィスパーは、最後の跳躍に消えた。

 

 茉莉香たちは、髑髏星の内奥深くにある、辺境海賊ギルドのアジトにいた。

 そこで対峙しているのは、ギルドの頭目ミューラ・グラント。

 メトセラにして、今回のリーゼの亡命に関わり、『ルビコンを渡れ』のメールを送った本人。

 「折角メトセラが、苦労して安全地帯に送ってあげたというのに、オデットでは心細くなってこっちに来たのかい?」

 「いいえ、私は白鳳海賊団の代表として、貴方とお話をしに来ました」

「ほう。」

 人を見透かすミューラの目が細くなる。

 「それはクォーツから聞いた。でも本人の口から直接聞きたかったものでね」

 「それはこちらも同じです。今更縒りを戻したいなんて、どういう風の吹き回しかを。聞けば去年、ギルドはオデットを襲ったとか」

 「アレはやんごとない事情だったんだよ、浮世の義理ってやつでね」

 きゅうっと細かったミューラの眼が元に戻り、仕方がなかったという表情になる。

 「嘘です。」

 茉莉香と一緒に立つヒルデが呟いた。

 その言葉にミューラの視線が強くなるが、ヒルデは怯まない。ミューラは構わず続けた。

 「あの時の失敗のお陰で、向こうの信用は落すし取引は減るしで散々だった」

 「それは本当。でも隠してる」

 リーゼも、まっすぐミューラを見据えたまま返した。

 「あなたが欲しかったものは、単結晶の衝角ではなく、オデットⅡ世そのもの。いやオデットが持つ私掠船免状ではありませんでしたか」

 「それが解っていてここに来たのかい? 私掠船免状(オデット)が無くても、正統後継者が居れば代わりになっておつりが出ることぐらい、解るだろう」

 「それならば、私たちがここに降り立った瞬間に麻酔でも使って眠らせてしまえば事足りました。でもそうせず、私たちと会っている。今回の目的が別にあるからです。それは何ですか」

 「それは今後の交渉によるねえ。帝国の世継ぎに有力星系のお姫様付きだ。言い値で買い手はいくらでもいる。帝国とだって交渉できる」

 「嘘と本音が混じってる?」

 ヒルデが呟く。

 茉莉香は気が気で無かった。さっきから冷や汗が出っぱなしだ。ここはギルドの本拠地で自分たちは丸腰なのだ。それに対峙しているのが、あのミューラなのだ。なのに二人のお姫様は平然と相対している。

 「リーゼ・アクアとあるが、君の本名はリーゼ・アクシア。偽名を使う相手に代表が務まるのかい」

 「アクアは、白鳳海賊団での名乗りです。人からつけられた称号ではなく、自分でつけました」

 「――価値ある血統じゃなく、海の道すじかい――」

 ミューラの独り言に、え?そういう意味なの?と茉莉香は首を傾げた。

 「リーゼは、根本という意味なのです。聖王家の正当な流れ、リーゼ・アクシアとはそういう世継ぎの尊称です」

 ヒルデが小声で囁くのに、本名にまで尊称とは難儀な、と思う茉莉香だった。

 「本当に皇女としてよりも、海賊として来たようだな。」

 ミューラの目から鋭さが消えた。

 「では、改めて申し入れる。辺境海賊ギルドは、訳あって白鳳海賊団に加わりたい。理由は、ギルドが接している銀河帝国と辺境星系連合との戦争だ。」

 「辺境星系連合の中心は、いまギルドが反目している七つ星共和連邦。それにサンピエント自治政府やファミール共和国、セリア王国などが連なっている。どれもギルドのお得意様だった星系だ。だがギルドはどちらの陣営にも組みするつもりは無い。それは海賊の独立に反する。だが現状のままでは、帝国と連合のどちらからも擦り潰されるのは目に見えている。そこで、帝国私掠船免状を持つ白鳳海賊団に我々は注目した。全面戦争が起きれば、海賊は商売が出来なくなる。全面戦争を避けたい」

 ミューラ・グラントは、とんでもないことを言い出した。

 「本当?」

 茉莉香は小声でヒルデに訊いた。

 「少なくとも、嘘は言ってないようです…」

 ヒルデも顔には出ていないが動揺していた。ことが帝国とはいえ王家の世継ぎ争いだった話から、いきなり銀河大戦に飛んだからだ。内戦という事態も悲惨だが、それに外患が加わるとなれば、もっと混乱を極め収拾がつかなくなる。

「帝国は、今は平静を保っていますが、要である聖王家は分裂状態です。外部の勢力が王室の内紛に目を付けて攻め込んでくるとなれば、分裂が一気に表面化し纏まりを失います。戦力に劣る勢力でも、勝算はあります」

 「その結果はどうなるのよ…」

 「多くの星系が、文明と共に失われるでしょう――」

 ヒルデの言葉は、最後はほとんどかすれ声だった。

 「…うそ…」

 二人をよそに、リーゼは落ち着き払って言った。

 「いま私たちには、その話の信憑性を確かめるすべはありせん。ただの法螺なら安心、事実だったら大変な事ですね。でも信じましょう。貴方が海賊だからです。ここで噓を言っても海賊の誇りを貶めるだけですから」

 「しかし、なぜ白鳳なのです? 確かに私たちはいにしえの私掠船免状を持っていますが、それだけの事。ただの太陽帆船に、戦争を止めるほどの力はありません」

 「おやまあ、普命種(ノーマー)はそんなことも忘れてしまったのかい。長命種にとってはつい昨日のことなんだがねえ。帝国の私掠船免状は天下御免さ、抗えるのは発行主である皇帝以外いないんだよ。だから高らかに宣言して欲しい。海賊がここに居るぞってね」

 「それが、『ルビコンを越えろ』の意味なのですね」

 ミューラは頷いた。

 「内憂外患で狼狽する中に現れる第三の勢力、帝国は戦争どころではなくなるだろう。」

 「――しかし、新たな勢力の出現に、帝国と星系連合が手を結んでこちらに向かってくる可能性はありませんか」

 「それはそれで終戦の一つの姿だ。少なくとも両者が傷付く事はない。だがそれに対する保険が、君だよ。なぜ海賊ギルドが皇女を私掠船免状の下に送り届けたと思う」

 星系連合はお構いなしに襲ってくるだろうが、帝国艦隊は皇女を攻撃出来ない。もし、帝国と星系連合が手打ちとなれば、星系連合もおいそれと手が出せなくなり、両者にとって八方塞がりの状態となる。そんな姿を両国の国民は見て何故だと思うだろう。

 メトセラは、言葉を続けた。

「皆に思い出させてやってもらえないか。たった二百年前の掃討戦争を、帝国に海賊が居たことを、今も海賊が居ることを。」

 

 

 白鳳海賊団と辺境海賊ギルドとが会合を持ったその日。

 辺境の緩衝地帯に七つ星共和連邦を主体とする星系連合の艦隊が集結しつつありとの報を受けて、第七艦隊に緊急警戒出動の命令が下った。

 

 

 

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