モーレツ銀河海賊   作:ノナノナ

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第41話

 「チアキちゃん、やったあ!」

 茉莉香はモニターに消えていくステラスレイヤーを見て歓声を上げた。

 「今の、統合参謀総司令部とギャラリーも、ちゃんと見ていてくれたかな」

 宙域をモニターしている百目に質問した。

 「ああ、一部始終を見ている。それこそ全銀河がネットでな。それに、戦闘開始からいる偵察プローブも健在だ」

 「じゃあ、辺境星系連合も見てた訳だ。これでステラスレイヤーを諦めてくんないかなあ…、元々の使い方に戻るって」

 期待を込めて言うが、大人は冷めている。

 「それは無い。一度手にした強大な力をそうそう簡単には手放せない。開発には大変なコストが掛かっている。それが非合法な手段ともなれば相当な額だ」

 「金勘定の問題じゃ無いと思うんだけどなぁ…」

 「大人は無駄なしがらみに捉えられて生きているもんだ。――俺達もだが」

 つれない返事に茉莉香は口を尖らせる。

 「その大人たちだが、任務に失敗した第五艦隊は、遮二無二向かって来るぞ。それこそ死に物狂いでな」

 「ええええ、そうなの? 護衛する対象が無くなっちゃったんだから、それこそ無駄じゃない!」

 シュニッツアの指摘に茉莉香が反論する。

 「無駄とわかっていても男には引けない時がある。面子を潰され、任務に失敗して、何よりも大切な誇りを傷付けられた軍人は、何をするか判らない。」

 「軍人の誇りって?」

 「経歴だ。」

 経歴ねえ…と、ゲンナリする茉莉香だったが、ミーサが続けて言った。 

 「撃沈と大破の違いを、楽して無駄を省くでは済ませられないの。お・と・な・は」

 

 ハインリッヒ・フォン・カイデル元帥は、呆然自失の状態だった。

 これまでの戦果はゼロ、しかしこちらの損害も無い。ただし護衛の対象を失い任務は失敗。

 それだけでは無い。損害はないが、これが実弾だったなら被害は相当なものだ。戦艦のほとんどが撃沈か大破、二〇〇隻の大艦隊は大半が行動不能になっている。軍事演習なら、こちら側は全滅判定を受けているだろう。皇女に手を上げるという、帝国軍人にあるまじき不本意を飲み込んで得た結果がこれだ。

 そして、直衛艦隊で見た衝撃。

 帝国の私掠船免状とは、これほどのものだったのか。それを最初から使わず、海賊船団は、始めは重力制御相手に通常動力で戦い、次に重力制御で縦横無尽に暴れ回り、最期に私掠船免状の威力を見せつけ、ステラスレイヤーはこう使うものだよと言わんばかりにプラントを消して見せた。

 これでは、帝国艦隊は生徒と同じだ。

 いや、確かに海賊たちは先生で、帝国艦隊は教えられたのだ。だが、それで良しとするのか?

 データは取れた。貴重な重力制御推進での戦術も得ることが出来た。だが、プライドはズタズタ、経歴もボロボロ。第五艦隊のナンバーズ・フリートとしての名は地に堕ちた。

 これ以上、失うものがあってはならない。そう、帝国艦隊の名誉だけは――。

「全艦に通達。これより本艦は電子戦とネットワークを遮断する。その上で、敵に体当たり攻撃を敢行する。もとより無事では済まないが、ここで一矢報いるにはこの方法しか無い。任務には失敗したが、ここで止めたら我々に帰る所は無いと思う。付いてくる者だけで良い。また、クローンで逢おう」

 老将は最終攻撃を決断した。しかし、重大なことを失念していた。クローンは全ての兵卒に用意されている訳ではないことを。

 

 「第五艦隊に動きあり! 回頭しこちらに向かって来る。ノイシュバンシュタインの目標はオデット!」

 「全部じゃないけど、二〇〇隻の殆どが、それぞれ海賊船に向かってる。レーダー波も無い。各艦の連絡は発光信号でって…、オデットの私掠船免状絵を警戒してスタンドアロンになってる!」

 「みんなに知らせて! 急いで!」

 百目とクーリエからの報告に茉莉香は緊張した。シュニッツアの『何をするか判らない』の言葉が頭を過ぎったのだ。そしてそれは的中していた。

 艦隊は撃って来ない。撃つにはレーダー・センサーが必要だからだ。だがその電波が出ていない。そのまま艦を砲弾にして直接肉薄してくる。

 「回避行動!」

 「回避出来ない。向こうは軸線をこちらの進行方向に合わせて来る」

 ルカからの報告にクルー全員が戦慄した。

 「特攻――」

 「冗談じゃないわ。乗組員の命を何だと思ってるんよ!」

 ミーサの呟きに、クーリエが低く警戒音を唸らせながら怒っている。

 茉莉香はマイクを引っ手繰って言った。

 「全乗組員に告ぐ。隔壁を閉じ弁天丸の中央に退避、衝撃に備えろ!」

 第五艦隊の衝突コースを回避しつつ韜晦している所に、オデットのチアキから通信が入った。

 「チアキちゃん! いま――」

 『ちゃんはいいから――。向こうが形振り構わず特攻仕掛けて来てるんでしょ、それならこちらの転送システム使えるんじゃない?』

 そりゃあ向かってくる相手を、ぱぱっと消してしまえれば簡単だ。

 「でも、いまから艦隊の質量計算するの無理よ。計測しているあいだに衝突されちゃう」

 はあーと、ため息を吐いて何言ってんのよというチアキ。

 『何のための被害判定よ。当たった攻撃と艦種、当たり所によって大破や小破が出るんでしょ、帝国艦隊相手に何度も軍事演習してるじゃない。演習に使う被害判定データ呼び出しゃ一発よ。模擬弾撃ったんだから、精密位置までマーキングされてるわ。――出来るでしょ、クーリエさん』

 あ、そうだったと気付く茉莉香。

 「いい手ねえ、十分使えるわ。でも転送させる前に、私からもお願いがあるの」

 『何でしょう?』

 「そっちの私掠船免状、使わせてくんない?」

 そう言ったクーリエの目は、怒りに燃えていた。

 

 弁天丸に回って来た私掠船免状の画面に、クーリエが何かコマンドを打つと、『終わったわよー』との返事とともに私掠船免状プログラムは閉じられた。何処かにハッキングを仕掛けたようだ。いま特攻を仕掛けて来ている第五艦隊ではない。第五艦隊は全艦艇がスタンドアロンしているからだ。

 「それじゃ、さっさとお帰り願おうかしら」

 全艦艇の位置と質量の情報入力を終えて、あとは転送場所の指定だけという所でジェニーが言った。

 「どこがいいと思いますか、リーゼさん」

 「やっぱり、お家がいいと思います。」

 リーゼの返事に、どっと沸くブリッジ。

 「ハラマキ、座標を『お家』に設定して。終わったら転送お願い」

 苦笑しながらチアキが言う。飛ばされた場所に気付いたら、第五艦隊は面目丸潰れだろうなと思いながら。

 「システム安定。」

 「エネルギー充填一二〇パーセント」

 「対閃光防御よし」

「波動砲…じゃなかった。超次元転送ビーム照射!」

 ブリッジに戦闘態勢のアラートもエネルギーゲージが上昇する音もなく、派手な発射音も轟かない中で、オデットの船首衝角から、白い閃光が再び発射された。

 先ずは向かって来るノイシュバンシュタイン。

 そしてオデットはビームを出しながら回頭しつつ、宙域を舐めるようにビームを走らせる。

 ビームが当たった艦艇は、次々と白く発光し、光の繭の中で輪郭を薄れさせ、この宙域から消えていく。

 ビーム照射が終わった後、ガーネットA星宙域に残っていたのは、赤色巨星と二一隻の海賊船だけだった。

 それと、一隻の潜航艇。アドヴァジーレ。

 仕事を終え、無限少年は無事、通常空間に帰還した。

『彼方さん!』

 格納庫で彼を真っ先に出迎えたのは、やっぱりヒルデだった。宇宙服で思わず抱き付いてしまう。抱き付かれた無限少年が戸惑っている。周りのクルー達もあっけに取られている。

 思わず取ってしまった自分の行動に、我に返ったヒルデは、ヘルメット越しで真っ赤になっているだろう。そして無限少年も。

 ブリッジに戻った彼方少年を、ヨット部員が歓声を上げて迎えた。並んで立つ無限少年とヒルデの周りに輪が出来ている。

 「よくやったよ」

 「ありがとう彼方君」

 「君の理論が証明されたね」

 「おめでとうございます」

 「おめでとー、結婚式には呼んでね」

 ねぎらいの言葉の中に、若干違うものも含まれていたが。

 そこに、弁天丸から通信が入った。茉莉香だ。

 茉莉香の顔が出ると、さっとヒルデからモニターに走り寄る無限少年。

 『彼方君、無事成功したね。これは父さんが目指したものと同じだけれど、違う道。あなたが拓いた新しい道よ』

 亜空間と超光速跳躍に依らない、人と物資の瞬間大量移動。これで銀河系の交通と輸送は大きく変わる。

 「はい!」

 彼方少年は、茉莉香の言葉に誇らしく返事した。

 そんな彼方少年に、グリューエルが近づいた。物凄く社交辞令な笑顔を浮かべている。

 「無限さん、ここがオデットで良かったですね。もしセレニティーだったら、いまのあなたの行動、キャサリン小隊長から査問を受けるところですよ」

 ぽつんと置かれたヒルデに目を遣って、何気に怖い事を告げた。

 

 

 白い光に包まれて、気が付くと別の宙域にいた。

 「何が起きた?」

 「ここは、何処だ?」

 あの赤色巨星の姿がない。海賊船も消えている。

 「位置と時間を確かめろ。宙域のサーチ、それと艦と艦隊の被害状況!」

 自分に続いて我に返った士官たちに、カイデルは指示した。

 事態を呑み込めない士官たちが、ぽつぽつと自分の持ち場で作業に入る。

「時間は+-ゼロ。時間経過は銀河標準時で正常です。」

 「ノイシュバンシュタイン、艦に被害はありません。システムに異常なし」

 「艦隊は、宙域に散開しています。被害はない模様です。」

 次々と報告が上がる。艦隊の艦艇からも旗艦に連絡が入って来る。

 「現在位置は――これは……」

 一等航海士士官が言葉に詰まりながら、宙域をメインモニターに映し出した。

 画面に出たのは――、

 行き交う沢山の輸送船や客船。

 係留している軍艦の姿。

 そして見慣れた、巨大な宇宙ステーション。

 ブリッジの全員がその光景に絶句した。第五艦隊の母港、ポルトセルーナ基地だ。

 「強制的に、帰還させられたという訳か…」

 いつもと変わらぬ風景を目にしながら、カイデルは力なく椅子に沈み込んだ。

 「ステーションから事態の説明を求めてきています」

 通信士官が、どうするかと質問して来る。そりゃ第五艦隊二〇〇隻が、連絡もなくプレドライブ現象も無く、いきなり出現したのだから、向こうも相当戸惑っているだろう。しかし、いまのカイデルにはそれに応える気力もない。

 「これが、ステラスレイヤーを、ガーネットAに沈めた転送というやつか。」

 向こうがその気なら、艦隊ごとあの恒星に転送することも出来ただろう。初元入力が済んでいるのだからその方が容易い。

 「なんて奴らだ。」

 カイデルは呟いた。それをわざわざ此処に入力し直して飛ばした。――第五艦隊が傷付かないように。

 「流石はリーゼ様だ、――完敗だ――。」

 

 後日、核恒星系の統合参謀総司令部に呼び出されたハインリッヒ・フォン・カイデル元帥は、事実説明のあと将軍に降格させられた。任務失敗が理由だが、元の提督に戻っただけだ。

 そして事の顛末を女王に報告するために、セナートの聖王家王宮に参内した。

 謁見の間では、帝国艦隊の最高司令長官、戦時総督である侯帝陛下も臨席していた。

 二人を前に、老将は今回の経過を報告し、第五艦隊の失態を詫びる。

 女王は任務失敗を詰るどころか、カイデル及び第五艦隊にねぎらいの言葉を送った。

 「何よりも、艦隊の将兵を一人も失うことなく、帰還してくれたことを嬉しく思います。」

 その言葉に、老将は耳まで赤くなった。帰還させたのはリーゼ様だ。自分はあの時、艦隊もろとも特攻するつもりでいた。

 そして女王は続けた。

 「銀河帝国の記憶バンクがハッキングを受けていたのです。あのワイルドカードと同じ、私掠船免状によるものでしょうね。記憶情報の上書きや呼び出しは出来ませんでした。」

 ではあの時死んでいたら、自分の人生は終わっていた?

 老将は青くなった。そしてはたと気が付いた。自分や士官たちにクローンは用意されているが、多くの兵士にはそれがない事に。

 政府や大企業の最重要人物、及び危険な任務に就く者にはクローンが用意されている。もし本人に何かあった場合でも滞りなく業務や任務を続けられるようにだ。政府機関ともなると、他人に引き継げない個人だけが知る機密情報もある。外交や交渉事でそれを失う訳には行かない場合もある。

 クローンを持つ人物またはクローンは、就寝時に一日の体験を情報として記憶バンクに送信する。個人の命そのものであるから、記憶バンクは帝国でも最高ランクの機密に位置付けられ厳重に管理されている。利用に煩雑なことはなく、ただ寝るだけで送信機となっている枕から情報が送られてバンクに上書きされる。危険な任務に就いている場合は二四時間リアルタイムでモニターされている。それで、いつどこで肉体が消滅という事態になっても、容易にそれまでの記憶を引き継いだクローンと入れ代われるのだ。

 従ってクローンを持つ人物またはクローンは車を乗り換える気軽さで自分の命を扱える。尤もそれは人命の警視にもつながるという事で、クローンへの引継ぎは三回、特殊な任務においても五回までという上限が設けられているが、それでも命は一回限りからすれば気安さは否めない。

 「今は復旧していますが、この機会にクローンのあり方を考えてみても良いのではないかと考えています。命というものについてです。有識者に諮問していますが、私は記憶バンクを廃止すべきだと思っています。」

 政府や大企業の最重要人物にクローンは用意されているが、女王をはじめ、聖王家にはいない。歴史に『やり直し』などというものは無いからだ。老将は、ただただ平伏した。

 カイデルが退席して、近習たちも居なくなった謁見の間で、女王と侯帝は二人きりになった。

 「女王よ」

 侯帝は今の報告を振り返りながらいみじくも言った。

 「世継ぎは自分の責任を果たした訳だな。帝国が犯そうとしていた過ちを、皇家の者が正した」

 「そうですね。リーゼは良くやってくれました。国民の不安に応えて配備したステラスレイヤーですが、幸い使わずに済みました。この意味を辺境星系連合も汲んでくれると良いのですが…」

 「まあ無理だろう。いきなり身の丈を越えた武器を手にしたんだ。その責任まで考えは及ぶまい。だからこそ海賊に期待するのだが――」

 半ば諦めにも似た、愁眉の相を浮かべる侯帝。

 「…ええ…」

 女王もそれに同意する。

 「今回は、帝国艦隊と海賊の双方に被害が出なくて何よりでした。」

 「被害なら出ているぞ、いや今まさに進行中だ」

 自らを慰めるように言葉少なく言う女王に、侯帝は反論した。

 女王は驚いて問い質した。

 「辺境星系連合のステラスレイヤーが、何かやったのですか!?」

 そんな報告は受けていない。

 「いや我が家だ。うちの孫がな、あれ以来、『絶景かな 絶景かな』と、テーブルに登っては言いおる!」

 一応、煩わしいと言いたいのだろうが、侯帝の顔は思いっ切り惚気ていた。

 

 

 これから辺境に向かう弁天丸。海賊船団の戦勝祝い(どんちゃん騒ぎ)は無い。

 まだ辺境星系連合との艦隊戦が残っている。皇女に対する気兼ねがない分、こちらの方が難しい。浮かれている場合ではないのだ。もっとも旗艦(オデット)の方は、何かと理由を付けて騒いでいるだろうが。

 「今頃オデットでは、無限君を囲んで祝賀会だろうね。船長、行きたいんでしょ」

 ニヤニヤ顔でクーリエが誘う。

 「まあね。でもクーリエ、オデットの私掠船免状使って何やったの?」

 「ちょっとした警告よん。記憶バンクを一時的に凍結させたの」

 「記憶バンクって、あのクローンの? 帝国銀行並みの超SSS防壁よ!」

 「自分が死んでもデータとして引き継がれる。だから無問題なんて思ってる奴らに、あのトーヘンボクも含めて思い知らせてやったの。クローンだか何だか知らないけど、今そこに居るあなたは、他の誰でもないあなた自身なんだかんねって!」

 そもそもあの私掠船免状は、敵対する艦艇を乗っ取るために使われるもの。それを帝国政府の機関に使うって、それじゃあ丸っ切りワイルドカード。ってクーリエ、ワイルドカード作っちゃったの!?

 「作ってません。私掠船免状を窓口に利用しただけです」

 同じことのよーな気がする。という茉莉香の視線に、ぐるぐる眼鏡は涼しい顔。師匠が弟子に後れを取る訳にはいかないのだろう。

 「それはそうと、リーゼちゃんの口上のお陰で、私たち海賊だか盗賊だか判らなくなってるんだけど、海賊部長としてはどうするつもり?」

 腕組みしながら、背後からミーサが聞いて来た。

 「いやあ、あはははは。」

 どーすんだよと思いながら、笑って誤魔化すしかない。

 「しっかり手綱を握っといてね。部長なんだから」

 「はい、善処します。」

 しおらしく返事をする加藤茉莉香。

 「盗賊って言やあ盗人だろ。まあ海賊もそうなんだが、今回、俺達は何を盗ったんだ?」

 三代目がクルー達に訊ねて来た。

 「壊したもんなら、ステラスレイヤーに帝国艦隊のプライドだろ。何も盗っちゃいねえ」

 「一文の得にもなんないもんばっかし!」

 「まあ、向こうさんには得難い経験が手に入った。重力推進システムの闘い方だ」

 重力制御は艦隊戦には不向きな物。むしろゲリラ戦で効果を発揮する。

 ――結局、請け負った注文は半分果たしたが、まだ実利にはなっていない。訝るなかで、ケインがしたり顔で言った。

 「何を盗ったか? そりゃあ『貴方(帝国)の心です。』だろ!」

 ブリッジがしらける。

 思いっ切り滑ったケインだったが、一人だけ反応してくれた者がいた。三代目だった。

 「それ先週の金曜日にやってたやつだろ!」

 「そうそう。ドロボーが、お姫様を悪者の手から救い出すってやつ!」

 意気投合する二人に、何よそれという目を向けてる女性陣たち。

 「ヒロインがいいんだよなー」

 「楚々としていて、可憐で、悪巧みなんかかとは無縁という感じでさ。まさにお姫様!」

 うんうんと頷きながら話に花を咲かしている二人に、茉莉香が注文を出した。

 「あのー、解ってると思うけど、この海賊団にもお姫様が居るから。しかも三人」

 「今の言葉、聖王家とセレニティーを敵に回したわよ。あなたたち」

 冷たくミーサが突き放し、ぎくりとなるケインと三代目。

 「帝国情報部と連合王国枢密院から刺客が送られる。」

 「三角頭巾を被った暗殺者が、鉄爪をワシャワシャいわせながら取り囲むわよ~」

 ルカの一言に続いて、クーリエが指を鷲掴むようにくねらせて言う。

 「なんだかんだ言って、お前らも見てんじゃんか!」

  そんなクルー達に、コホンと咳払いをして、茉莉香は言った。

 「これからもう一仕事です。これをやんなきゃ意味がない。上手くいくかは運任せってって言うけど、そうも言ってられない。目指すは辺境宙域、辺境星系連合と銀河帝国との緩衝地帯よ!」

 おうと、クルー達が持ち場に就く。

 「さあ、海賊の時間だ!」

 

 

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