MRRPG 〜最強ゲーマーはゲーム嫌い?〜   作:永夜月ももん

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第12話

『そろそろ宿屋に泊まるか?』

 

『まだ8時前よ』

『もう少しレベル上げしませんか〜?』

『拙者はアキラ様が決めたことに従いますよ!』

 

『俺はちょっと用事があるから、レベル上げするなら、3人でやっててもらっていいか? 今のレベルなら雑魚は一撃で倒せると思うが、油断はするなよ』

 

『分かってるわ』

『は〜い!』

『御意!』

 

『じゃ、ちょっと行ってくる。明日の朝に宿屋で会おう』

 

3人と一旦別れ、1人になった。

エレベーターを降り、ダンジョンを出て、同じメッセージを3人に送信した。

 

 

【メッセージ送信】

『定例』

 

【メッセージ受信】

『了解』

『ぁ、今行きますね』

『うぃー』

 

 

メッセージを受信し、別のダンジョンに向かう。

 

静謐な幻想塔

〜 第40階層 400F 〜

 

 

エレベーターから降り、ダンジョンの中にある部屋の扉の前に来た。

扉を開けると、見慣れたメンバーが、テーブルを囲んで椅子に座っていた。

 

1人は眼鏡をかけた賢そうな男、萩谷(はぎや) 駿夜(しゅんや)。実際に頭脳明晰だ。シュンと呼んでいる。

 

1人は背が低く、見た目小学生くらいの女の子(一応中学生らしい)。二王頭(におうず) 緋桜里(ひおり)。気が弱く引っ込み思案だ。ヒオリと呼んでいる。

 

1人は椅子に(もた)れて机に足を乗せ、(だる)そうにしている女性。ダーリヤ・ブルダニン。戦闘を得意とし、気性は荒い。ブルダと呼んでいる。

 

『よ。元気?』

 

『悪くはない』

『は、はぃ! 元気です!』

『んー』

 

ちなみに、本当のプレイヤーはヒオリだけで、シュンとブルダはNPCだ。

 

『んじゃ、定例会を始めるー』

 

シュンが最初に話し始める。

 

『今のところNPCのことは噂にもなっていない。NPCからプレイヤーに接触したと言う報告もない』

 

『オッケー。だが、遅かれ早かれ問題になるだろうな。実際、今日はNPCから決闘を挑まれた』

 

『お!詳しく聞かせろよ!』

 

ブルダが食い付いてきた。

 

『サザンクロスの軌跡ってギルドの幹部らしい。星持ちだが、ブルダと比べたら相手にもならないよ』

 

『なんだ。つまんねぇな。あー、オレもアキラと戦いたかったぜ』

 

『勘弁してくれ。お前と戦うと疲れるんだよ』

 

ブルダは興味が失せたのか、寝始めた。マイペースだなー。

 

『ぁ、ぁのー』

 

『ん?ヒオリ、どうした?』

 

『サザンクロスの軌跡とぃうギルドは、まぁまぁ大きなギルドさんですょ』

 

『そうか。連合は?』

 

『組んでなぃみたぃです』

 

『マスタープレイヤーいるか?』

 

『ギルマスさんがマスターです。あと、サブマスさんも1人マスターです』

 

『序列までは分からないよな?』

 

『ごめんなさぃです』

 

『ありがとう。情報助かったよ』

 

『は、はぃ! ぉ役に立てて良かったです!』

 

『アキラ、これを見てみてくれ』

 

『ん? シュン、何だ?』

 

何か、紙の束を渡された。

 

『これ何?』

 

『紙に書いてあるだろう。それはメインを攻略するギルドの中で、規模が大きいギルドを纏めたものだよ。だが、個人のレベルとかまでは不明だから、あくまでギルドメンバーの合計人数で、ギルドの規模を表しただけのものになっている。纏めたのは、ギルドメンバーが50人以上のギルドだけだが、良かったら使ってくれ』

 

『たった2日でギルドの勢力を纏めあげるなんて、さすがだ。デキる男だな』

 

『このくらい普通だよ』

 

『ありがとな。使わせてもらう』

 

『使ってもらえるなら、作った甲斐(かい)がある』

 

『そうだ、秀天才集は載っているか調べてみるか』

 

『秀天才集? そのギルドなら、載せている。上攻略組だろう? ギルドリーダーは「88888」で、ギルメンの人数は73人だ。確か全員女性のギルドだよ』

 

『お前、ギルド全部覚えてるのか? それとも、女だけのギルドだから、下心でも?』

 

『アキラ。僕が色恋沙汰には興味がないことは知っているだろう? そのギルドは上の3Fに一番早く到達したギルドだ。ちなみに今は4階まで進んでいるそうだ。そういうギルドは、マークしているよ』

 

晃咲(みつさ)のギルドは分からないよな?』

 

『君の妹かい? その子はギルドに入っていない。PTメンバーだけで、上を攻略しているみたいだ。彼女たちも登るのが早い。同じく4階まで到達していたよ』

 

今日で4階まで行ったのか。やるもんだな。

 

『メイン攻略組はどこまで行った?』

 

『上は5階まで進むギルドが現れた。ギルド名は新黒蝶(しんこっちょう)。下は4階まで進んだみたいだ。こちらはギルドではなくPTで進んでいる。上と下のプレイヤー比率は6 : 4で、まずまずの安定。メイン攻略プレイヤーの総数は、昨日よりも一気に増え1千万人は超えたね。これだけ増えて、よくNPCと問題が起きないと思うよ』

 

『NPCたちはメインダンジョンにはあまり行かないからな。行ったとしても、1階層なんかには行かないだろう。それはいいが、プレイヤー達は未だ1階層を突破してないのか。シュンの予想では何日かかる?』

 

『そうだねー。明日には5Fの中ボスを見つけ、倒そうとするが負けてしまう。中ボスを回避できるかを考えて、6Fへと進む。明後日は、8Fか9Fまで進み、明々後日に、(ようや)く10Fに辿り着く。だが階層ボスが倒せず、ボスを倒すのに2,3日はかかる。合計で良くて、5日か6日はかかる計算だね』

 

『課金機能がないから、飛び抜けたプレイヤーはいないしな。てことは、ゲーム開始から1週間ぐらいはかかるってことか?』

 

『そうだね。アキラの予想は?』

 

『同じだよ』

 

『やっぱり?』

 

『やっぱりだ』

 

シュンは(こら)えられず笑いだし、俺もつられて笑ってしまった。

 

『僕らは上をたった1日で、ダンジョンごとクリアしたのにね』

 

『俺たちは強すぎただけだ。んで、古城の方はどうだ?』

 

『昨日、攻略組が第97階層を突破したらしい。ボスにだいぶ梃子摺(てこず)ってたみたいだよ』

 

『97か。どのギルド?』

 

『大帝』

 

『お前かよ!?』

 

『ああ、僕だ』

 

『らしい、とか、みたいだよ、とか言いやがって。まあ、おめっとさん。じゃあこの紙は誰が作ったんだよ?』

 

『うちの幹部にやらせた。正直言うと、僕は目を通してオッケー出しただけだ』

 

『おいおい、目を通しただけって。作った甲斐があるとか言ってなかったか?』

 

『言ったか? もう忘れたな』

 

『調子のいいやつだなー。よし、そろそろ終わりにするか。ブルダは爆睡してるし』

 

『ああ、さっきから(いびき)がすごいな。アキラ、お前が連れて帰れよ。じゃあな』

 

『いや! おい待てよ! シュン!』

 

『俺は非力だから無理だー。またなー』

 

バタン。

 

『行ってしまった』

 

『ぁの、大丈夫そぅですか?』

 

『大丈夫だよ。しゃーないなー。おぶって行くか』

 

『ぐー。爆炎犀だー。ぐー』

 

何の夢見てるんだよ!

ま、背負うか。

 

『よいしょ。んじゃ、またなヒオリ』

 

『はぃ! 今度近いうちに会いに行きますね!』

 

『はいよー』

 

ヒオリも帰ったので、ブルダを降ろす。

 

『2人共帰ったぞ。起きてるんだろ?』

 

『爆炎犀は?』

 

『いやいや、マジで寝てたのか!?』

 

『んー、で、その顔は守る仲間でも出来たか?』

 

『ああ』

 

『で、NPC?』

 

『NPCもいる』

 

『今度はちゃんと守れそうか?』

 

『守る。絶対に』

 

『そっか、ならいいんじゃねぇか?』

 

流瑠梨(るるり)はインしてないよな?』

 

『ずっとな。お前に嫌われたとでも、思ってんだよ』

 

『会って話した方がいいよな?』

 

『ああ。行ってこいよ。うちはマスターいなくて、オレの仕事が増えたかんなー』

 

『すまん。迷惑かけて』

 

『アキラは悪くねぇだろ。オレがマスターん()行ければ早いんだが、無理だからな。頼んだぞ、アキラ。流瑠梨は十分苦しんだ。助けてやってくれ』

 

『ああ、分かってる』

 

『それと、あいつらはなんとか抑えてる。変な動きしたら消しとくぜ。薔薇(ばら)の連中の足取りはまだ(つか)めてない』

 

『そうか。すまんな。(いや)な役割を頼んで。助かるよ』

 

『構わなねぇよ。じゃ、また定例で』

 

『またな』

 

 

友人たちと別れ、黎明の孤塔に戻ってきた。

 

ダンジョンの前に人が立っていた。

 

『ぁの! アキラさん!』

 

『うをっ?! 吃驚(びっくり)した。ヒオリ。先回りしてたのか?』

 

『ぁ、ごめんなさぃです。ダーリヤさんとぉ話しされてぃたみたぃだったので、(あしあと)辿りを使ぃました』

 

『そうか。どうしたんだ?』

 

『ぁ、アキラさん。ぁの、ゎ、ゎ』

 

『わ?』

 

『私の婚約者になってくださぃ!』

 

『え!?』

 

ゲーム開始2日目の夜。

何故(なぜ)かいきなり婚約を申し込まれた。

 




日記
(続き)

夜は3人の友達と会った。
シュン。ヒオリ。ブルダ。
シュンは、ギルドマスターであり、連合ギルドも組んでいる。
しかも連合ギルド長。実はかなり凄いやつだ。

そのシュンに任せている仕事は、プレイヤー達の情報収集。
しかし、プレイヤーは多すぎるため、メインダンジョンを攻略している者のみの情報を収集してもらっている。
また、プレイヤーとNPC間でトラブルがあった場合は、その対応も任せてある。

ブルダは、ギルドのサブマスター。ギルドマスターは、流瑠梨(るるり)という女の子なのだが、過去に色々あって今はインしていない。(ちなみにギルド名は、眠る右腕と封じた邪眼)

なので、今はブルダがギルドを纏めている。

ブルダに任せているのは、NPC間の問題の対応。
非道なNPCに注意を喚起したり、聞かなければ、そいつを消してもらっている。
ゲーム内の警察みたいな役割だ。(ちょっと過激だが)

両方、やってることは自慢できるようなことじゃない。
だが、誰かがゲーム内の秩序を守らないといけない。

運営は腐っているからな・・・

さて、もう寝よう。明日はガチで大変そうだ。
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