「血心~私また新薬開発したんだ!ねぇねぇ、えらい?えらい?」
「はいはい、えらいえらい」
「ぶぅ~何よ~なんだか適当じゃな~い?」
「そんなことないよ。永琳はすごいなぁ」
「・・・なでて」
「え?」
「なでてよ~私この薬作るのすっごくがんばったんだからさぁ~」
「・・・今日は甘えん坊なんだな。よしよしがんばったね」ナデナデ
「えへへ・・・」
「ところで永琳、この薬って何の薬なんだ?」
「蓬莱の薬よ。輝夜に頼まれてちゃってね。まぁ昔から試作品みたいのは作ってたんだけど」
『へぇ飲んだら背でも伸びる薬なのかな?』
「クスクス、あの子が聞いたら怒り狂うわよ」
『でも本当にどんな薬なんだい?』
「そうねぇ、分かりやすく言ったら永遠の命を手に入れることができる薬・・・かしら。それでね・・・・えっと血心に言いたいことがあって・・・う~~~・・・血心!」
『な、なんだい』
「この薬、一緒に飲んで!」
『ええっ!?それってどういう・・・』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ずっと一緒にいたいの。血心が死んで離れ離れになるなんて嫌!もちろん輝夜も一緒よ。あの子もあなたの話をしたら会ってみたいって言ってたし、きっと二人とも仲良くなれるわ・・・・・・・・・・・だからっ・・・・だからずっと一緒にいて?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・もちろんだよ。俺は永琳から離れない。永琳を残して一人で死ぬなんてそんなことしないさ』
「!!・・・・ぅぅ・・・・グスッグス・・・私、私本当に不安で、いつか血心がどこかに消えちゃうなんて思って・・・・よかったよぉ・・・・」
『ははh亜は、永琳は心配性だなぁ、いツだって俺は永琳の味方さ。離Rゑたりしないよ』
「うん、うん、どこかに消えても必ず見つけ出してあげるからね?」
「えへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ。本当に夢みたい!ずーーーーーーーーと一緒だからね血心!」
スクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクススクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクススクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクス
月の都市 とある会議室
「八意様はずっとあの調子か・・・・・・昔はもっと聡明な方であられたが・・・・やはり地上から離れたとき、あの男を失ったショックが大きすぎたのか・・・・・・」
「都市にとってあの方は必要不可欠だ。今でもあの頭脳が都市の発展を支えている。特に害はないならあのままでいいのでは?」
「むぅ、しかし定期的に正気に戻っては研究室を破壊しつくしてるのだぞ?我々では止めるどころか近づくだけで病院送りだ」
「最近、輝夜様のお世話をしているらしいではないか。その時は比較的まともなのだろう?」
「あの状態でよく輝夜様のお世話係に任命しましたね。危険なのでは?」
「どうも輝夜様はあの男に雰囲気が似ているらしくてな。二人のときなら我々でも話が通じるし、懐いているようだからこのまま輝夜様は八意様のストッパーになってもらっ「ちょっとあんた達」!?」
月の都市の重鎮が集まる会議室の扉が何者かによって勢い良く開け放たれた。
「こ、これは輝夜様。どうしてこんなところに・・・」
扉を開けた人物は話に出ていた輝夜であった。会議室のメンバー達がざわめく。
「聞きたいことがあるの」
「ど、どんな事でしょうか?我々が知っている事ならいいのですが」
「あなた達は知ってるはずよ!なにせまだ地球にいたころからこの都市の有力者だったんだからね。私が聞きたいことは永琳があんな風になった原因、それと永琳が言う血心ってだれよ」
「そ、それは・・・・・」
話していた男達が急に黙り込む。永琳がこのようになった原因はある意味この男達にも責任があるため誰も自ら発言しようとはしない。その時
「私が説明しよう」
一人の将校が口を開いた。その男は永琳達と妖怪から都市を守るため警備していた兵士であった。永琳が山のヌシの咆哮をくらって気絶したとき、担いで逃げる途中に血心へ手榴弾を手渡した男である。
「お、お前!」
黙っていたメンバーが静止しようと口を開くが輝夜の
「黙りなさい」
の一言で全員口を閉じた。
「さぁ聞かせてもらおうかしら。あの時なにがあったかを」
「あぁ・・・・そうだな・・・どこから話そうか・・・・・・俺は八意様を担いで妖怪の群れから逃げていた途中だった」
そうしてあの時あったことを包み隠さず話し始めた。
「そもそも血心っていう男が何者なのか俺にはわかりません。妖怪の襲撃が起きる二週間前くらいに森で倒れていたって話です。そんな怪しい男を八意様は自分で面倒を見ると言ってきました。危ないから軍で管理すると言ったんですが聞かなくて、短い間でしたが打ち解けたようで八意様が笑顔を見せるまでになっていましたよ。輝夜様なら分かるでしょう、八意様は心を開かない。心を開いたのはあの男と輝夜様ぐらいですよ」
「そんなに信頼していたの・・・・・・・・なんで月に連れて来なかったの?」
「それが出来てたらこんなことにはなってなかったでしょうね、彼は逃げる私達の時間稼ぎのため殿を引き受けてくれました。必ず生きて帰る、そう約束してね」
「じゃあ彼は・・・・・」
「八意様が目を覚ました時には全てが終わった後でしたよ」
その言葉を聞いて会議室にいる人間の顔が強ばった
「あ、あの時は仕方なかったんだ!妖怪が目の前に迫ってたっていうのに大人しく待ってろっていうのか!」
「確かに・・・・・さっさと逃げ出したお陰で今も私達は生きている。しかし貴方達は人間としてしてはいけないことをしてしまった」
「してはいけないこと?」
輝夜がつぶやく。
「上層部の人間は彼に救われた私達の静止を振り切って・・・・・・・・・核を使用しました」
「・・・・・・・」
「全て更地、建物も妖怪も彼も塵一つ残っていませんでしたよ。そこには大きなクレーターが一つ存在しているだけです」
輝夜は全てを聞いて、永琳がなぜ狂ってしまったのかを理解した。輝夜が産まれるずっと前の出来事。しかし目の前の将校は昨日の事を話すように鮮明に覚えているようだ。
「八意様が気付かれた後、暫くは呆然とした様子地上を眺めていました。食事も喉を通らない日々が続いたようです。それから年月が経つごとに彼女は見えないものが見えるようになって虚空に話しかけるようになりました。そしてだれも八意様の心の傷を癒すこともできないまま今に至る訳です」
全てを話し終えた将校はゆっくり息を吐いた。
「・・・・・・話してくれてありがとう。血心って男が永琳にとってどれだけ大事な存在だったかわかったわ。それを失った原因も・・・・・・」
そうして沈黙が流れる。すると今まで口を閉ざしていた上層部のリーダーらしき人物が重い腰を上げて口を開いた。
「一つ言わせて欲しい。我々はあの時指導者としての義務を果たしたのだ。多数を守るためには鬼とならねばならぬ時もある。壁を破るほどの妖怪が出てきては月に逃げたとしても、いずれ脅威になるかもしれない。私があの時に戻っても核を使用する。それだけの覚悟をもって私は今まで生きてきた・・・・」
輝夜は何も言えなかった。あの日の責任が誰にあるのかなんて誰にも言い切れないだろう。全ては悲しい事件、運命だったのだと納得するしかないのかもしれない。
結局永琳を元に戻すなんて無理なのだ。あの日、都市を焼き付くした炎とともに、永琳の心も焼き付いてしまった。
輝夜は立ち上がり部屋から出ていこうとする。すると後ろからあの将校が声をかけた。
「最後にこれは願望でもあるんですど・・・・・彼の目は真っ直ぐ私を見つめていました。そして必ず死なないと約束したんです。顔をあわせたのは数秒でしたけどわかるんです、彼が嘘をつくなんてありえません。きっと今でもどこかで生きてるんじゃないかって・・・・そう思えるんです」
「・・・・・・・今日はありがとう。これからは・・・・今の私に出来ることを探すわ」
そう言うと輝夜は会議室から走り去っていった。
「今の私に出来ること・・・・・・・・・・・私は地上に行く!地上に行って彼を見つけてみせる!」
少女は一人決意をする。彼女もまた大事な人を守るために立ち上がった。
「約束したんでしょ、あんた!永琳をずっと悲しませるつもり!?私が見つけるまで絶対に生きてなさいよ血心!」
そして少女は地上に墜ちる