番外編
とある速水隼太郎の理由・前編
とある人……俺が心から敬愛する人に俺が仕切っていた少数グループ、“ブラッディキャッツ”を潰されてから数日
…まぁ、今まで俺がまとめていたものがぶち壊されたのは気分的に悪い、実際最初はあの人を殺す気で憎んでいたし、なんとかして一発ぶん殴ってやろうとした。
俺ァ一発やられたら必ず一発返す男、速水隼太郎だからな。
結果から言おうとすっか。
無理だ。
俺みたいなちっぽけな男じゃあの人には一発どころかかすり傷一つつけられやしなかった。
え、なんでかって?
隙が見当たらないんだよォォォーー〜ッッッ!!!!わかりやがれこのアホンダレャァァァ!!!!
あの人を狙う時になればわかる。
寝てるところを狙えばわかる。
両手が塞がっているところを狙えばわかる。
誰かと会話しているところを狙えばわかる。
とにかく狙えばわかる。
“常に周りを見ているんだ”
いや、もしかしたら違うかもしれねぇがそんな感じだ。
物陰からコッソリと見ていてもわかる。
“目を向けてすらいないのに”
視線を感じるんだよ。
露骨にな。
いいかよく聞け、人間ってのは目ん玉は左右合わせて二つ。
ここまでは理解できるよな?
じゃあ“その二つの目ん玉だけで周り360°が見渡せるか”?
そういうことだ。
え?『じゃあ聞くがなんで方条を慕ってるんだ?』だって?
簡単だ、答えは超シンプル。今から話す話を聞けばわかるってもんよ。
あぁン?『どうせ今回も短くなるんだろ?』だァ?
何いってんだ?別にお前にこうゆう話をするのは始めてだろ?
はァン!?『違う違う、察しろよ』だァァ〜?
テメー意味わっかんねェェンだよ!!
全く……。いいか?耳ん中ストローで全部吸い出してから聞けよ?
あれはブラッディキャッツが潰れて、そっから3日経ったぐらいの話だったな……
俺、速水隼太郎は荒れていた。まるで憧れて北海道に行ったものの、あったのは羊とジンギスカンキャラメルだけだった感じにな。
とにかくイライラしててよ、行き場のない怒りってやつを物なり人なりにぶち当ててた。
そんな日の夜でよォ、俺ァやっぱり方条助丞を探してた。
なんでだろうな、もうイイコチャンは帰っちまう7時なんだぜ?
でもよォ、なんでか知らねーが俺はあの人を探してた。
今日こそ一発ぶちかましてやろーかとな。
そんな訳で俺ァ街を練り歩いてた、フラフラと酔ったジジィみてぇにな。全く、自分でも情けないと思ったぜ、あの時はな。
この街での威厳も、ワルの権利も、自信も木っ端微塵にぶっ壊れちまった。
例え瞬間接着剤を使おうが直らないくらいバラバラにな。
そーゆーこった、でもな?見つけちまったんだよ、見つける事ができちまったんだよ。“方条助助”をな。
しかも居たのは“あの”裏ラーメン屋だぜ?あの辺の路地は道が超入り組んでて普通のヤツが入ったらまず出て来れねーワケよ。
あーそっか、お前は裏路地なんてあんま入った事ないしわからねぇか。
裏ラーメン屋ってのは“裏路地ラーメン屋”の略称。あそこのラーメンは超美味いんだがひっきりなしにこの町の裏路地だけを折りたたみ屋台でマッチョジジィが移動しながら毎日ランダムの場所で短い時間だけ開店してんだよ。
ま、狭いしイスもないから基本立ち食いになるけどな。
そこにヤツは居たのさ、呑気にヘンテコリンな格好で豚骨ラーメンを食いながらな。
で、俺は当然の如く方条につっかかった訳だ
『テメー、覚えてっかゴラァ!』
そしたら方条はなんて言ったと思う?
『えっと…たしか君は速水隼太郎だったっけ?』
いや、本当に覚えてるとは思わなくてよ。
結構感動しちまって覚えてくれてる事を感謝したいぐらいだったのよ。
『あ、いやそうだけどよ…。』
何と言うか、いたたまれない感じだった。殴りかかるにしても俺を普通に覚えてくれてたヤツに対しては地味に引けたし、かと言って殴りかからないにしても腹の虫がおさまらねぇ。
『ん……ま、食べてきなよ。美味しいよ、コレ。』
そう言い、何一つ嫌な顔せずにカウンターの中心から右へ退く方条
…まぁ、もうヤツに察知されているので不意を突くという手はなくなった。なら別にこの好意を無下にすることはない。
ーーやれやれ……。面倒になりそうだぜ。
そうため息をつき、俺は
ジョジョ文法、未だ習得出来ぬ代物よ…