艦隊これくしょん 〜龍騎士提督奮闘記〜【完結】   作:無限正義頑駄無

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鎮守府巡り編、最終話です。



他の鎮守府、他の提督(後編)

 

「睦月です!張り切って、まいりましょー!」

 

建造によって生まれたのは、睦月型駆逐艦1番艦『睦月(むつき)』だった。

 

 

 

睦月改 Lv.1

艦種…駆逐艦

 

 

 

いきなり改の状態での誕生だ。

これに驚く春十だったが、アーケードにおいて建造で改艦娘が出て来るのは普通のことなのであまり気にせずにステータスを読み進める。

だが、装備欄を見た春十はフリーズした。

 

 

 

装備

1…12.7cm連装砲

2…61cm三連装魚雷

3…醒杖レンゲルラウザー

 

 

 

初期装備に加えて、仮面ライダーレンゲルの武器を持っている。

どうやら、提督改装で仮面ライダーレンゲルの能力を得たようだ。

彼女の腰にはレンゲルの変身ベルトであるレンゲルバックルと、ラウズカードを収納するボックスが装着されているが、それらは装備に含まれないらしい。

 

「およ?この杖とベルトは何でしょう?」

 

「睦月、それはだな……」

 

春十が睦月に提督改装と仮面ライダーについて説明する。

それを聞いた睦月が右腰のボックスから1枚のラウズカードを取り出す。

 

「ふ〜ん。こんな風にカードをスキャンして戦うんですね?」

 

「睦月!そのカードは……!」

 

睦月がスキャンしたのは、(ばく)が描かれた♣︎10のカードだった。

 

♣︎《REMOTE》(2200MP)

 

レンゲルラウザーのスキャナーを(くぐ)った♣︎10から紫の光線が放たれ、春十の服の……ラウズカードを入れているポケットに直撃した。

 

カッ!

 

「うわっ!?」

 

ポケットが光り輝き、その場の者たちの視界を奪う。

その光に紛れてポケットから何かが飛び出し、工廠から出て行く。

 

視界が回復した春十はポケットからラウズカードを取り出す。

♣︎10はカードに封印されたアンデッドを解放することができるカードだ。

果たして何体のアンデッドが解放されたのか……。

確認した結果、封印が解けたのは1枚だけだったが、その1枚が問題だった。

春十たちがそのアンデッドを探すべく外へ出ると、『それ』は待ち構えていた。

 

「あんたは……!」

 

「はじめまして、今代のギャレン」

 

「ギラファアンデッド、金居(かない)……!」

 

春十たちの目の前に居るのは、眼鏡をした男性。

ギラファノコギリクワガタの始祖にしてスートダイヤのカテゴリーK、ギラファアンデッド。

その人間体だ。

 

「封印が解けて早々悪いが、もう一度カードの中に戻ってもらう!」

 

春十の知る金居は、自身の種族の繁栄を第一とした邪悪な性格をしている。

『仮面ライダー(ブレイド)』の本編では、レンゲルの変身者である『上城(かみじょう) 睦月(むつき)』を騙したりもしていたのだ。

人間とアンデッドで価値観が違うことも含めて、話は通じないと判断した。

 

「悪いが俺も、自分を封印した本人以外にカードとして使われるのは真っ平御免だ。やるなら力尽くでやってみろ。ただし、俺は橘と戦った時のように油断したりはしないがな」

 

そう言って、純金の怪人体へと姿を変える金居。

その両手にはギラファノコギリクワガタの大あごを模した2本の剣『ヘルター・スケルター』が握られていた。

 

「上等だ!変身!!」

 

♦︎《TURN UP》

 

対する春十もギャレンに変身する。

だが金居には、どうやら『仮面ライダー(ブレイド)』の本編での記憶があるようだ。

それはつまり、『この距離ならバリアは張れないな!』が通用しないことを意味する。

 

その上で春十が勝つにはどうすれば良いか……。

そして春十は、♦︎K以外でまだ唯一使っていないカードを思い出す。

それは、宝箱を抱えたカメレオンが描かれた、♦︎10のカードだった。

 

♦︎《THIEF》(1600MP)

 

あらゆるものを奪い取るカメレオンの舌は、睦月に宿るレンゲルの力をコピーする。

それによって、ギャレンの姿に変化が起き始めた。

 

スーツは赤から緑に。

アーマーは銀から金に。

クワガタを模した頭部は蜘蛛のそれに。

眼は緑から紫に。

バックルに描かれたエムブレムは♦︎から♣︎になった。

 

今の春十の姿は、まさに『仮面ライダーレンゲル』そのものだ。

ギャレンラウザーもレンゲルラウザーに変化しており、APもオリジナルの初期値と同じ6000ポイントとなっている。

 

「睦月、お前の持っているカードを借りるぞ」

 

「は、はいっ!」

 

春十は睦月のカードボックスから、♣︎2〜♣︎Kの12枚のカードを抜き取る。

♣︎Aは彼女のレンゲルバックルの中に入ったままだが、これで十分だろう。

 

「さて……、いくぞっ!」

 

その宣言と共に、春十はレンゲルラウザーをギラファアンデッドに振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旦那様とギラファアンデッドの戦いが始まりました。

 

「光莉さん。提督は、大丈夫なのでしょうか……?あの怪人からは、変身した提督や横須賀の長門さん以上のプレッシャーを感じました……」

 

提督とわたしを交互に見ながら質問してくる赤城さん。

旦那様は現在、光を纏った双剣の激しい剣戟に、少しずつ後退を強いられている。

見れば、他の皆さんもハラハラしながら旦那様を見守りつつ、わたしの返答を待っている。

 

「ギラファアンデッドの双剣は、ギャレンのアーマーを軽々と打ち砕きます。旦那様がレンゲルをコピーしたことでスペックは上がっているでしょうが、相手にとってその程度の強化は僅かな誤差でしかないでしょう」

 

「そんな……」

 

赤城さんは一瞬だけ悲痛な表情になった後、何かを決意したかのように艤装を展開する。

そんな赤城さんを、わたしは手で制した。

 

「光莉さん!どうして止めるんですか!?このままじゃあ提督が!」

 

声を荒げる赤城さん。

旦那様のことを真に想って行動しようとしてくれているのは嬉しいですが、手を出さないということもまた、ひとつの絆です。

わたしは旦那様が勝つと信じています。

 

「はぁっ!」

 

ガキンッ!

 

ずっと隙を(うかが)っていた旦那様が双剣を大きく弾く。

それによってギラファアンデッドが仰け反り、絶好のチャンスが生まれる。

旦那様は、ミツバチの描かれた♣︎2と、土竜(もぐら)が描かれた♣︎3をレンゲルラウザーにスキャンする。

 

♣︎《STAB》(400FP)

♣︎《SCREW》(600FP)

 

♣︎《「螺旋槍殺(SPIRAL SHAVER)!!」》

 

『5000AP』

 

旦那様の声とレンゲルラウザーの音声が重なり、旦那様の手の中で高速回転するレンゲルラウザーが、ギラファアンデッドの腹部に吸い込まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カキィン!

 

甲高い音を立てて、レンゲルラウザーが弾かれる。

ギラファアンデッドに突き刺さる筈だった螺旋槍殺(スパイラル・シェイバー)

それは、ギラファアンデッドの正面に展開されているバリアに阻まれた。

 

「やっぱ一筋縄じゃいかないか……」

 

「こっちは結構ヒヤリとしたけどね」

 

ギラファアンデッドの言う通り、バリアの展開があとコンマ数秒遅ければ、螺旋槍殺(スパイラル・シェイバー)は間違いなくその身体を貫いていただろう。

だが一度見せてしまった以上、もう同じ手は通用しない。

 

春十は、象が描かれた♣︎Jと、虎の描かれた♣︎Qを取り出す。

 

「エレファントアンデッド、大地(だいち)さん。タイガーアンデッド、(じょう) (ひかる)さん。俺に力を貸してください」

 

あのバリアを正面から破るには、もっと強いパワーが必要だ。

春十は、前世で見たS.I.C.のとあるフィギュアを思い浮かべた。

 

『面倒臭ぇなぁ……。早く終わらせろよ?』

 

『いいだろう。この戦いで、お前が真の戦士か見極めるとしよう』

 

気のせいだろうか。

そのような声が聞こえて、カードの絵柄の象と虎が動いたような気がした。

 

ブンッ!

 

「うおっと!」

 

だがその思考はギラファアンデッドの反撃で中断される。

回避した春十は、ラウズアブゾーバーに♣︎Qをセットし、♣︎Jをスキャンする。

 

♣︎《ABSORB QUEEN》

 

♣︎《FUSION JACK》

 

音声と共に、新たな変化が春十に起きる。

 

両腕と上半身は重厚な黄金のアーマーに覆われ。

レンゲルラウザーの石突にディアマンテエッジが出現し。

左手にはボウリング球よりも巨大な鎖付きの鉄球が装備される。

 

仮面ライダーレンゲル・ジャックフォーム。

 

仮面ライダー(ブレイド)本編に登場しなかった、幻のフォームの一種だ。

エレファントアンデッドと融合したことで2800EPが加算され、レンゲルラウザーのAPは7800に上昇する。

 

「おらぁっ!」

 

ガンッ!

 

強化されたレンゲルの拳が、ギラファアンデッドのバリアとぶつかり合う。

 

「くっ……!」

 

苦悶の声を漏らすギラファアンデッド。

確かな手応えを感じた春十は、追撃を掛けるべく、白熊の描かれた♣︎6をスキャンする。

 

♣︎《BLIZZARD》(1200MP)

 

『6600AP』

 

レンゲルラウザーの先端から冷気が噴き出し、バリアが凍りつく。

 

「何だと!?」

 

「もう一発!」

 

春十がもう一度バリアを殴りつける。

 

バリィン!

 

氷結したバリアが粉々に砕け散った。

もう、ギラファアンデッドを守るものは何も無い。

 

「馬鹿な!」

 

「トドメだ!」

 

春十が(さい)の描かれた♣︎4、コブラの描かれた♣︎5、(さそり)の描かれた♣︎8をスキャンする。

 

♣︎《RUSH》(800FP)

♣︎《BITE》(1200FP)

♣︎《POISON》(1800MP)

 

♣︎《VENOCRUSH》

 

『2800AP』

 

「ハァァァァァーーーーーッ!」

 

春十が両足を踏みしめて跳び上がる。

そしてギラファアンデッドに向かって、猛毒の(こも)った足で何度も挟み蹴りを繰り出す。

 

ズガガガガガァン!

 

それをまともに喰らったギラファアンデッドは大きく吹き飛び、仰向けに倒れる。

 

パキン。

 

ギラファアンデッドの腰にある、ウロボロスを模したベルトのバックルが左右に割れて、『♦︎K』の文字が露出する。

 

春十は、ギラファアンデッドが抜け出て空っぽになったカード、♦︎Kのプロパーブランクをギラファアンデッドに投げつける。

ギラファアンデッドの身体に突き刺さったプロパーブランクは、ギラファアンデッドを再びカードの中に封印すると、春十の手元に戻る。

 

春十は変身を解除して、ギラファノコギリクワガタの絵柄が浮かび上がった♦︎Kのカードを光莉たちに向けて掲げる。

それに応じて、皆が春十の元へとやって来る。

一番乗りは、全速力で走って来た光莉だ。

その勢いのまま春十に抱き着き、地面に押し倒す。

 

「必ず勝つと信じていましたよ、わたしの旦那様」

「当たり前だ」

 

こうして、仮面ライダーとアンデッドの戦いは幕を閉じた。

 

翌日からは特にトラブルも無く、舞鶴鎮守府でゆっくりと時間が過ぎていく。

春十が睦月にラウズカードを用いた戦い方を指導したり。

赤城と加賀は舞鶴鎮守府の艦娘との演習で、提督改装の一歩手前まで行ったり。

そして遂に、春十が着任する鎮守府『呉鎮守府』が完成したとの連絡が届く。

 

「今日でお別れか……。あなたたちと過ごす日々は楽しかったわ」

 

「俺もだ。また会える日を楽しみにしているよ」

 

別れの挨拶を交わす春十と舞鶴提督。

 

 

 

 

 

序章(プロローグ)はこれで終わり。

 

 

 

 

 

龍騎士提督とその仲間たちの本当の戦いが今、始まる……。

 

 

 

 





本作の♦︎10は対象の姿と能力をコピーできるという設定です。
ただしコピー対象には条件があります。

1…本物の仮面ライダー
2…春十の指揮下で提督改装した艦娘
3…何の能力も持たない一般人

このいずれかに該当する者だけです。
また、(ブレイド)系以外のライダーをコピーした場合、コピーを解除するまでラウザーは消滅し、ラウズカードは使えません。


螺旋槍殺とベノクラッシュは、暗黒騎士ガイア(遊戯王)と仮面ライダー王蛇の技です。
このカードの組み合わせなら再現できるんじゃね?って思ったので出しました。
他にも何か思いついたら出していきます。


最近のアーケードの収穫
最上×2
蒼龍改(2枚目)
吹雪中破ホロ
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