電伝虫なう   作:あくる

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思ったより多くの人に楽しんでいただけているようでなによりです。
感想もありがとうございます。
今後の話の参考にさせていただきます。
なにせ見切り発車でどういう話を書くかも決まっていないものですから。

投稿期間が大分ひらく予定なのでゆるりと待っていていただければと思います。

今回活動報告にも書きましたが、無理やり切っているため不自然な所が多いかと思われますが、ご容赦ください


遠征へGO 前編

ちょうどあれから1ヶ月近く経ちまして、いよいよ遠征に向かいます。

 

ヒナさんの件については、やはり昇進するようなのでサングラスを送っておきました。

彼女はよくサングラスをかけているのですが、戦場にもつけていくので頻繁ではないものの、よく壊れるんだとかでとても喜んでいましたよ。

美人の笑顔は眼福です。

 

黄猿さんの速さにつきましては、正直覇気を使っていないと追いきれませんでした。

追いきれるとは初めから考えていませんでしたが、実際に見てみるとイメージとはだいぶ違いましたね。剃なら目で追えるので、心の何処かでなんとかなるのではと考えていましたが、目にしてみて瞬間移動とはまさにこのことを言うのだなぁ、としみじみ思いました。

 

そうこうしているうちに荷物の確認等が済み、出発準備が完了したので皆さん黄猿さんの艦に乗り込みます。

全員が乗り込み終わった後、黄猿さんの前へと整列し、改めて遠征内容の通達を受ける予定です。

一応基本的には連絡要因とはいえ将校の一人であるので私も制服の上から正義の書かれたコートを身にまとい、海兵の帽子を深くかぶり、一般海兵さんの列から少し離れた位置に整列していらっしゃる他の将校の方の横へ習ってならびます。

そうこうしている内に黄猿さんが最後に乗ってきました。

 

「皆揃ったかァい?今回の遠征は前半の海に行って、いくつか島を回りながらパトロールをしていくよォ。1月くらいの期間で帰ってくるけど気をつけてやっていこうねェ。」

「「「ハッ」」」

 

皆さん返事の後各々の配置される場所へと素早く移動していきます。

私はというと、船の中では内線があるので、能力をつかって遠くの電伝虫の連絡を傍受し、どこのあたりにどういった船があるかの割り出していくことになっています…が、

実際にはそう頻繁に電伝虫が使われるはずもなく、電伝虫が関与しなければ私の能力は使えませんのでパトロールなど船の上での仕事は戦闘関連以外では湿気ったマッチ並みに役に立ちません。

役に立つときはすごく役に立つのですが、それ以外はただ周りの電波に気を使うだけの簡単なお仕事。

甲板の方で仕事をしている方たちに申し訳ないほどです。

 

そんなやることがなくて暇な私は今、お前何してんの?仕事しろよ、という目線で見られたくないので獣型になり他の電伝虫の方に混じってじっとしております。

別に暇だから誰かが来たのを見計らい変形して驚かそうだなんて、そんな…少ししか考えていません。

 

それはともかく獣型はとても便利なんですよ。獣型になると他の電伝虫の大きさになり小さな隙間も入れるほどコンパクト、当然といえば当然ですが見た目もそっくりです。

なんと自分ではいじれないので誰かにやって貰う必要がありますが、殻の部分をいじると小電伝虫の大きさにもなり持ち運びにも便利。

他の電伝虫に混じるとダンボール愛好家の蛇さんもビックリのみごとなカモフラージュ率を実現。

獣型になり殻を装飾し、アクセサリーなどをつければアラ不思議。センゴクさんの持っている電伝虫やドフラミンゴの持っている電伝虫など他の人の電伝虫にそっくりにもなります。

まだやったことはありませんが、すり替えても少しの間ならバレないんじゃないでしょうか。

戦闘力のない悪魔の実なのにそれをカバーするほどのこの便利さ。

自分で言うのもなんですが、上の人達が手放したがらないのもわかります。

 

ちなみに獣人型はグロテスクと言うか、一言で表すなら…ウミウシの海王類?

それに腕がついていて、背中に殻、前面には人面が付いていると考えていただけるとわかりやすいかと。

足は電伝虫のあのウニョウニョの部分です。二足歩行ではなくなるので得意の剃も嵐脚も月歩もできません。

正直大きなグロい的です。使いみちがあるとすれば巨人族の方用の電伝虫代わりですかね。女性の前で変形すれば嫌われることまちがいなしです。

獣人型?ああ、良い奴だったよ。

 

―――――

 

出発から幾日か経ち、道中何事もなく無事に中継地点をかねた海軍支部のある、なかなか大きな春島につきました。街の様子がにぎやかで港からでも陽気な雰囲気が伝わって来ます。

今回は嵐もなく、海軍の船は船底に海楼石をあしらってあるので海王類の襲撃もなく、とても平和に運航できました。

今後の予定ですが、数日この島に滞在し町の様子を見つつ、補給を済ませることになります。

 

さあ、黄猿さんが勝手に降りていってしまう前に見つけて同行しなければ。

いつどこで何があるのか分かりませんので、たとえなにも起きていなかったとしても今回の仕事は黄猿さんの連絡係なのですから、彼に置いていかれないようにしなければなりません。

見渡すと船から降りようとしているのを発見しました。

 

ふむ、改めて見てみると黄猿さんってとても分かりやすい格好をしていますね。

普段は真っ黄色なのはどうかと思っていましたが、この仕事ではとても便利で、高身長も相まってまるで動く灯台のようです。

ピカピカの実で顔を光らせていただければ完璧ですね。是非このままでいてもらいたいです。

…失礼なことを考えているのを察知されない内にさっさと話しかけましょう。

 

「ボルサリーノ大将、お供いたいます。」

「ん?おォ~、悪いねェ。忘れるところだったよ。

でも今日は間違えないからわっしは一人で大丈夫だよォ。だから君も散策でもしておいで。」

「そういう訳にはいきません。この島に着く少し前に『オジキは大丈夫だと言って何時も連絡がつかなくなるから、大丈夫だと言われても絶対についていけ。』と戦桃丸さんから仰せつかっていますので。

確かに魅力的な街ですので散策したい気持ちもありますが、今度有給を取って友人と来ることにしますので、ご安心ください。」

「こりゃ、手厳しいねェ。

…友人っていうのは、クザンの所の出世頭のことかァい?」

「出世頭…あぁ、スモーカー中佐やヒナ中佐のことですか。

いえ、彼らではなく私がセンゴクさん直属になったころからの友人です。旅行が好きみたいで出掛ける時に良くくっついてくるんですよ。暇なときは一緒に出掛けたりしていますね。

まぁ、それはともかく、遠征の間で艦から離れる場合はお供させていただきますので、改めましてよろしくお願いします。」

「おォ、よろしく頼むよォ。それじゃあ、行こうか。」

「ハッ」

 

黄猿さんにひとまず納得していただけた様なので、早速街へ降りていきます。

やっと仕事らしい仕事が出来そうでよかったです。ワーカーホリックというわけでは無いのですが、しばらくやることがないと無性に仕事がやりたくなるのは何故なのでしょうね。

 

 

降り立った街ですが海に囲まれたこの世界でもこの辺りの魚は特に美味しいと有名らしく、あちらこちらに沢山の魚屋やその魚を使った料理店が立ち並び、近くの通りを通るだけで腹の虫が鳴きそうなほど美味しそうな匂いが漂ってきます。

ここの魚や料理を求めて色々な島や国から人がやって来るそうで、それ故にトラブルが絶えないらしく、それを何とかするために数十年前にここの支部が建てられたんだとか。

八百屋などでも普段よく使う野菜と並んで魚料理に添えるのに丁度良さそうなものが多くあります。

しばらく通りと進んだ後、細い路地へ入りました。黄猿さん曰く街の中心への近道らしいです。路地には昔ながらの趣がある老舗があり、どうやら調味料や発酵食品を売っているらしく、通りすぎるときに外から少し見てみると発酵食品独特の香りがしました。

 

路地を通り、入り組んだ道を暫く歩くと街の中心部近くまで来ました。中心部付近では高そうなホテルがいくつか建っていて、大体のひとは食材を求めるついでに船を止めた港の反対側にあるビーチを満喫してから帰るそうで、観光客で賑わっています。

黄猿さんは何を目的にして中心部へ来たのでしょうか。

確かに支部は中心部の方にありますが、今向かっている方向とは少しずれていますし、ブラブラするだけなら真っ直ぐ中心街へ向かってこないでしょう。

食事なら港近くの料理店でも美味しい素材の味を生かした料理が食べられると思うのですが。

 

相変わらず私の足のコンパスに合わせて歩いてくれている黄猿さんが向かったのは、大通りを少し外れたところにある古そうな酒場でした。

沿岸部ならまだしも華やかな中心部にあるには少し違和感がある建物です。

黄猿さんは「こっちだよォ~」と言って悠々と店の中に入っていきます。

違和感が拭えませんが離れるわけにもいかないので私もそれに続きます。

 

店に入ると暗めの色に塗装してある木材で中がつけられていて、それに合わせて落ち着いた雰囲気の椅子や机が並べられていました。

正義のコートは船に置いてきてありますが、仕事中ということで海兵の服を着用しているのでそれはもう目立ちます。

真っ白ですから仕方ありませんね。

ですが、目立つこと間違いなしの真っ黄色のスーツを着ている黄猿さんは何故馴染んでいるのでしょう。

やはり顔でしょうか。あのいかにもおじ様という感じの顔になれば服の色なんて関係無いということですかね。

黄猿さんはもうすでに奥まったところにあるテーブル席へついています。

 

「ここだよォ。」

「あの、ボルサリーノ大将、なぜここに?

失礼ですが、建物の雰囲気もなにやら周りと違いますし、酒場なら港の近くにも有ったのではないですか?」

「そりゃあ、ここの飯が旨いっていうのもあるけど、ここは海軍に全面協力してくれている店でねェ。特にここの席は視線も通りにくいから、込み入ったことを話すのに適してるんだよォ。」

「込み入ったこと…ですか。」

「そうそう、と言ってもただの確認だからそう気を張らなくて問題ないよォ。それで、フリード君は色々な機密を知っている訳だけど、君はそれを利用したりしているのかな、と思ってねェ。わっしがふと思っただけなんだけど不安や不信の芽は早めに摘んでおいた方が君も楽だろう。」

 

そう言うと黄猿さんはこちらに見定めるような視線を向けてきます。

そうでした。普段うっかりしていてドジっ子おじさんと化しているので忘れかけていましたが、そういえばこの人どんな所でも悠々とした態度を崩さず、心の内が読めない海軍の中でも屈指のやり手でした。

しかも雰囲気から察するに、私の周辺をもうすでに調べてあって、怪しい繋がりがないと一応わかった上で、私に今後もそういうものに関して繋がる意志が無いか、海軍の不利になる活用をしないか、の確認をしているとみました。

末恐ろしいですねぇ、この人が敵じゃなくて心底よかったと思います。

 

私としては情報管理はしっかりと責任を持ってやっていますし、そんな自他共に命にかかわる情報を利用しようだなんて考えたことなんてないので探られても痛くはありませんけれど、このプレッシャーと見透かすような視線で口ごもってしまいそうです。

いえ、これくらいで口ごもるほど柔い精神していたら今の仕事を続けられるはずもありませんし、友人やスモーカー君たちにも何故かため息つれながら図太いと太鼓判を押されるほどなので実際にはそうではないのですが。

それにしても居心地が悪いです。

こんな雰囲気からはさっさと脱却してしまいたいので、色々断ってからとっとと返答してしまいましょう。

 

「確かにそうですね。その芽が成長して隊が乱れることになったら目も当てられませんし。

あの、正直に答えるつもりではありますが、大将の気分を害す可能性があるのですが、承知していただけますでしょうか。」

「それくらいなら、大丈夫だよォ。」

「そうですか、では失礼して。

私は面倒なことは極力避けたいと考えています。正直話したことによるデメリットが大きすぎますし、そもそも利用なんてしたら一海兵である私の首なんて簡単に飛ぶに違いありません。利用するということは少なからず口に出すということです。そんな言ったら自他共に被害が及びそうな大きな爆弾をぶん投げるほど、私は愚かではないつもりです。つまり、そんなことを考えたことありません。

それにぶっちゃけますと、たとえ首が飛ばなかったにしてもまた世界政府から監視が来るじゃないですか。嫌ですよ、あんな隠れてコソコソしようとしているのにまるわかりな監視は。面倒くさいですし、鬱陶しいにも程があります。そもそも仮に利用しようとしても、交渉相手が私を瞬殺できる人ばかりなのにどうしろっていうんですか。私は仕事して給料貰って休みに魅惑のオフトゥンでゴロゴロするのが幸せなのに、そんな幸せが満喫できなくなるようなことまちがってもしたくないです。」

「…本当に正直に言ったねェ。わっしびっくりだよ。」

「すみません、本音を言うときに包み隠すのがうまくできないので、ひとつ残らず言った方が楽なんですよ。

それで、いかがでしょうか。多少なりとも疑惑が晴れたなら幸いです。まぁ、これ以上言えと言われても言いようが無いので後の判断は大将にお任せするしかありませんが。」

「ん~、わっしも確認だけのつもりだったし、少なくとも今は信用する事にしようかねェ。」

「そうですか、それは何よりです。」

 

今は、と言われたのが流石黄猿さんという感じがしました。

おそらく私がこれから怪しい組織とかに関わる素振り見せたなら、きっとまたなにか有るのでしょうね。

私は社会的な立場の安定を失いたくは無いし、海軍を裏切ることは今度ともしないつもりなので無用な警戒だと思うのですがねぇ…。

未来は誰にも分からないので明言するのは(はばか)られますが。

それはともかく、包み隠さずぶっちゃけた時の黄猿さんの顔が一瞬ぽかーんとしたのが面白かったです。

 

とりあえずオハナシについては一段落つけそうですね。




普通に考えて黄猿さん、戦桃丸さん以外にも将校の人って乗ってますよね?
1月の遠征で指揮官が3人だけとかはないですよね?
そこら辺よくわかりません。

語彙力がないので適当に誤魔化したような感じはスルーしてください。


追伸、お試しで深く考えずにのせてみたら色々設定を生やしていただいて、疑いようもなく幸福です。
文字では表せませんが、心踊っております。
ありがとうございます。

追追伸、お気に入り百突破&評価バーにも色がついてありがたい限りです。
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