電伝虫なう   作:あくる

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おまたせしました。
前にどういう風に書いたか覚えてないので違和感があるかもしれません。
半分は2016年に書いていたところなのでそれなりに繋がっていると思います。


遠征 中編

オハナシの後は料理をいただきました。

脂の乗った魚料理はどれも絶品でつい箸が進んでしまいました。

新鮮な魚の脂って味付けされていてもほんのり甘いのですね。

成る程、ここに人が多く訪れるのに納得のお味です。

さっきの話の雰囲気の後にも関わらずガツガツとはいかないまでもどんどん料理を口に放り込んでいる私に、黄猿さんは懐疑的な視線を向ける気配はもう無く目を細めて苦笑していらっしゃいました。

 

デザートまでいただき食休みをとっていると、なにやら外が騒がしくなっている様です。

耳をすますと所々から悲鳴や破裂音のようなものが聞こえてきてます。

黄猿さんの方を見ると黄猿さんも異変に気がついたようで視線が合いました。

 

「なにやら外が騒がしいようですが、何かあったのでしょうか。観光客のいさかいにしては、少々荒っぽすぎるような気がします。」

「ん~、これは海賊でも来たかねェ。」

「鎮圧に行きますか?…広範囲で暴れているようで支部の海兵だけでは手が回らなさそうな場所もいくつかありそうですし。」

「そうだねェ。そうしようか。

キミも鎮圧に向かいなさい、わっしでも通信くらいできるからねェ。」

 

見聞色の覇気を使い状況を述べると、言い終わるが早いか、黄猿さんは席を立つと私の分も含めたお代を置いて光になって行ってしまいました。

 

「連絡が着かなくなるから私がいるんですけど…はぁ。」

 

意図せず奢ってもらえてホクホクですが、そんな場合ではないので急いで黄猿さんに続きます。

 

黄猿さんは一番敵勢力が固まっていて被害が大きそうな場所に向かったようです。

早速黄猿さんが向かったであろう所から轟音と共に暴れている気配が消えていきます。

本当に敵に回さなくてよかったと痛感しました。

逆立ちしても勝てる気がしません。

 

まぁ何かあれば黄猿さんの子電伝虫に掛ければ良いですし、本部からの通信や本当に急ぎの用事なら黄猿さんの子電伝虫に直接かかってくるでしょう。たぶん。

上官命令、なにより人命第一です。島の各地から暴れている気配があるので鎮圧に向かいます。

 

 

月歩を使い現場へ急ぐと、そこでは親が子供の手を引いて逃げ惑い、その近くにいた勇敢な若者や漁師であろう筋肉質な男性たちが海賊と戦っていました。

なんとか持ちこたえているようですが、少し漁師たちが押されています。

このままでは被害が出そうなので、素早く事態を終息させねばなりません。

 

「月歩。嵐脚。」

「「「ぐわあああ!」」」

月歩で上空へ登り、空から市民に当たらないように配慮しつつ嵐脚を放ちます。

戦うときに限らず、人間にとって上空は死角です。

相手が塊になっていたのも幸いしきれいに吹き飛んでくれました。

 

とりあえすこれ以上一般人の方を巻き込むわけにはいかないので彼らへの視線を遮るようにして降り立ちます。

 

「な、なんだテメェは!」

「突然申し訳ありません。私は海軍中尉の座をいただいているブエル・A・フリードと申します。この度は皆様を無力化し拘束させていただくために参上いたしました。」

「ハッ、捕まるわけねぇだろうが。俺達は天下のグワン海賊団なんだぞ。

それに今近くには船長がいるんだ。

聞いて驚け、船長は1900万ベリーの賞金首だ!しかもサウスブルーでは大佐率いる軍艦だって潰したことがある。

それよりも4つも階級の下のテメェには勝てっこない相手なんだよ!

どうだ、今俺たちを見逃すなら命だけは助けてやってもいいんだぜ?」

 

 

「一般人の皆さん勇敢に戦っていただいてありがとうございます。お陰でとても助かりました。港の方は小競り合いもなく、海軍の応援も居ますのでそちらの方へ避難をお願いします。」

「「「オイ!聞けよ!」」」

「はい?」

 

名乗るといかにもしたっぱという感じの人が噛みついてきたのでスルーさせていただきました。

海賊を捕らえるのももちろん大切ですが、安全すべきは市民の安全です。

覇気で後ろを伺いながらもキッチリ市民を誘導します。

背中を向けて市民の方々に話をしているというのに襲って来ないで突っ込みをするのはもはや様式美なんですね、わかります。

最後の一人まできっちり誘導し終えたところで彼らの方へ向き直ります。

 

「えーっと、なんでしたっけ?

俺たちを見逃せ、でしたっけ。

お断りしますよ、仮にも海兵ですからね。

あぁ、それと実は今この島に黄猿さんがいらっしゃいまして…

万が一私が見逃したとしても皆様すぐに消し炭にされてしまうかと。」

「「「な、何ィ!?」」」

 

「おい、どうするんだ。大将がいるなんて聞いてねぇぞ。」

「何でこんな前半も前半の海にいるんだよ、普通もっと後半の方にいるはずだろ。」

「知らねぇよ、とにかく早く船長に伝えるんだ。」

「でもアイツが邪魔だぞ。」

「中尉位なら俺達でもやれるだろ。とりあえずアイツをなんとかすんぞ。」

「つー訳だ…悪く思うなよ?行くぞヤロウ共!」

「「うおぉー!」」

 

「嵐脚。」

「ギャン!」「グフッ!」「ゲルググ!」

 

こちらに突っ込んで来られたので、とりあえず嵐脚で他の方々同様に吹き飛ばして気絶させておきました。

この方たちはさっき私が嵐脚で大半を気絶させたことを忘れているのでしょうか?

そんな真っ直ぐこちらに向かって来られても外せ、と言われる方が難しいのですが…

何か最後の一人だけ悲鳴が普通と違ったような気がしますが、気にせず全員纏めてお縄をちょうだいするとしましょう。

 

 

 

しっかり拘束し終えたところで応援の海兵の方々が到着しました。彼らが海賊の塊を運んでいったのを見届けます。

そういえば彼らの話ではこの近くに彼らの船長がいるとのことなので、黄猿さんへ早速報告するとしましょう。

覇気で場所を探ってみると直接報告するには遠い距離。こういう時こそ私の悪魔の実の力が発揮される時です。向こうで暴れている海賊たちは散り散りになって逃げている方たち以外の鎮圧は完了した模様。

これなら今通信しても黄猿さんの邪魔にはならないでしょう。

 

能力を使うとキーンと頭の中に小さく耳鳴りのような音が鳴ります。

これが通信が向こうの電伝虫に繋がった時の合図のようなもので、ブラウン管テレビをつけたときの感覚と似ています。

恐らく向こうでは黄猿さんの子電伝虫がプルプルプルと声を発していることでしょう。

 

……………。

………、……。

 

…出ません。

黄猿さんが所持しているはずの電伝虫に電波を飛ばしても応答がありません。

おかしいですね、掛けられた通信くらいはいくらうっかりな黄猿さんでも取れるはずなのですが。

実際シャポンディ諸島でもそういう描写があったと記憶しています。

ひょっとして私が側にいるから電伝虫を持っていかなかったとか?

いえ、先程の問答から考えればそこまで信用されているとは考えにくいですし、百歩譲って私が信用されていたとしても電伝虫を持っていないのはおかしいです。

かけ間違い?しかし子電伝虫さんに直接会って電波信号は覚えました。

かけ間違いなどあるはずがないのですけど。

 

 

……まさかとは思いますが、黄猿さんが忘れてきた、なんて。

いやいや、えー。マジですか。

あれだけやり手の仕事モード状態の黄猿さんで、ですか?

いや、でもサカズキ大将はともかく、ボルサリーノ大将ならあり得なくもない…のか?

うーん、こうなると直接いったほうがいいですよね。

 

 

どうするか考えていると、近くの建物から物音が。

少しずつこちらに近づいて来ているようです。

念のため月歩で空中へ避難しておきます。

 

――ドカーン

 

物音が徐々に大きくなっていき、壁一枚の距離まで近づいてきた時、騒音と共に近くの民家の壁が吹き飛ばされました。

 

「ぬわ~っはっはっは!

この島は金目のもんがたっぷり有りやがって笑いが止まらねぇぜ。

このグワン様が島の宝と観光客の財産をぜぇ~んぶ頂いてってやんよ。ぬわっははは!」

 

音のした方を確認すると、破壊された壁からテンプレの台詞を吐きながら2メートル位の大柄で太めの体型の男が姿を現しました。

手にはマサカリを握っています。

 

―まずい。

ああ、どうしましょうか。

これは大変なことになってしまいました。

このグワンと名乗った海賊を早くなんとかしないとまずいです。

とりあえずこの方を戦桃丸さんに会わせるにはいきません。

なんとしてもここで退場していただかなければ。

 

何がまずいって外見的特徴が戦桃丸さんと丸かぶりしているのです。

太めの体型に武器がマサカリというだけでもアレですが、髪は短めのおかっぱ、身につけているものは前掛けのようなもの。

ジャンプだろうがなんだろうがここまで被りすぎているのはどう考えてもまずいでしょう。

戦桃丸さんは身長は3メートルほどだったはずなのでスモール戦桃丸といったところでしょうか。

…顔は比べ物にならないほど頬肉、顎肉マシマシのだるんだるんではありますが。

 

「んあ?宙に浮いてやがる…テメェなにもんだ?」

 

シルエットが衝撃的でうっかり眺めていたら、見つかってしまいました。

いえ、隠れているつもりはなかったのでいいのですけれど。

グランドラインでは空中を歩ける者は少なくないのですが、どうやら彼は知らないようです。

演技の可能性もあるので様子見も兼ねて一度下に降り立ちます。

 

「初めまして。先ほどは上から失礼しました。

貴方が先ほどから暴れている海賊の船長で間違いありませんか?」

「ぬわっはっは、ああ!この俺様がサウスブルーでも有名なグワン海賊団の船長、叩き割りのグワン様だ!

さっきは逆光でよく見えなかったが、海兵か。なんだ?俺様の首でも取りに来たのか?

無駄だ、無駄だ!ぬわーっはっはっは!」

「そうですか、名乗ってくださってありがとうございます。

私は海軍中尉のブエル・A・フリードです。

首…確かにあなたを拘束するのが仕事なので間違ってはいませんが、それはともかく今すぐに自首していただけませんか?

お恥ずかしながら、私正面切っての戦いはちょっと…」

「あぁん?自首しろだぁ?俺様の事を嘗めてんのか?

テメェみたいな格下に何で俺様が配慮しなきゃならねぇんだよ!

ふざけたこと抜かしやがって!痛い目みてぇようだな!」

 

「おらぁ!」

 

グワンが鉞を振りかぶりながら突進。私に向かって降り下ろされます。

 

「紙絵。」

 

マサカリが降り下ろされた風圧に身を任せひらりと身をかわす。

その勢いで背中に回り込んで蹴りを入れ、そのまま月歩で空中へ。

 

「まったく、あぶないじゃないてすか。当たったらどうするんですか。」

「当てる気でやってんだよ!どこまでもなめやがって!」

 

 

それにしても前半の海とはいえ六式をしらない海賊で助かりました。

麦わらのルフィがそうであるように知らなくとも十分に強い可能性はありますが、これだけの規模の海賊で情報がないのならこの海賊団は質より量なのでしょう。

情報は力。それがない海賊団の船長なら私でもまだやりようがあります。

 

「嵐脚」

 

他の方たちのように一発でサクッとやれたら良かったのですが、仮にも1000万ベリーを超えた賞金首。

そうはいかないようです。

 

 

攻撃によって起こった砂煙に薄ぼんやりと人影が浮かぶ。

砂煙が晴れると大きな鉞を盾のように構えて攻撃を受けきったようで、舞い上がった砂で汚れているものの傷は殆ど無いようです。

 

「くっそ、さっきから何なんだ。空飛んだりわけわからんもんが飛んできたり…

おいテメェ!能力者か!なんの能力だ!」

「能力ではありません。

これは能力者でなくてもできるいわゆる技術、もしくは武術の類いですよ。

身体能力は必要になりますが訓練すれば使えるもののはずです。」

「チッ、いちいち勘に障るやつだな。律儀に答えやがって余裕のつもりか。」

 

彼が苛立たしげにこちらを睨めつけると私の後ろに何か見つけたのか口角を上げニヤリと嗤いました。

考える前に剃でその場を離れると、一瞬遅れて私のいた場所に弾丸がめり込みました。

発砲者がいるであろう方向に目を向けると拳銃を構えている男性が目に入ります。

どうやら殲滅できてないない海賊が残っていたようです。チッ、と舌打ちし嵐脚を放ちます。

 

「ぐえっ」

 

まったくあっぶないですね。

下っ端集団を見つけてからは覇気を使っていませんでしたのでギリギリでした。

まだいたとは…嘗めプはだめですね。

拳銃を持ってるヤツを取り逃がすなんて油断するにもほどがあります。

ひょっとしてこれが私が昇進出来ない理由なのでしょうか。

 

「隙だらけだぜ!おらぁ!」

 

声と共にブンッとマサカリが横凪ぎに振られます。

戦闘中だとゆっくり考えられませんね。

彼の実力はだいたいわかりました。

もうなんとかなりそうな感じがしますし、様子見は終わりに致しましょう。

 

「鬱陶しいので、とっととお縄につきやがれください!」

 

振られたマサカリをバックステップで避け、グワンが追撃しようとする際に態勢を低くし、右足を一歩踏み出して相手の懐に入り込みます。

そのまま踏み込んで顎に掌底。

 

「ぐッ」

 

バキッという音とともにグワンの首が右上に曲げられます。

それと同時にカランッという音をたててグワンの手からマサカリが転がり落ちます。

頭が思わぬ方向へ向けられた相手がバランスを崩した隙に地面に手をつき、右足を軸に回転。伸ばした左足で足払いします。

 

「だいたい私は!」

「おわッ」

 

 

不安定な態勢を支えていた足を払われ、尻餅をついた相手に間髪入れずに首の付け根あたりに上段蹴りを放ちます。

 

「正面切っての戦闘は!」

「うおっ」

 

グワンに咄嗟に腕でガードされましたが、彼は踏ん張りが効かず仰向けに。

相手が態勢を整える前に足を振り上げ、みぞおちに踵落としをします。

これで、フィニッシュです!

 

「苦手なんですよ!」

「ぐえぇえ」

 

腹をおさえ身悶えているうちに素早く獣人型に姿を変え、相手の上にのし掛かります。

 

「うっ…ぐ。うおっ、なんだこりゃあ…グニュグニュしてやがる。気色悪ィ…」

「失礼ですね。電伝虫はお嫌いで?」

「電伝虫ィ?……ハァ!?でっか!」

「獣人型は大きなグロい的なんですが、大きいだけあって上に乗られればなかなか抜け出すことは難しいのですよ。

さっきの拳銃の方以外にもう増援はいないみたいですし丁度良いかな、と。」

 

ついでにカチャリと手錠をはめて拘束完了しました。

手錠をはめてもジタバタともがいているようですが、この軟体生物ボディにはほぼ無力です。

少なくとも億越えぐらいの実力がなければ、打撃は食らう気がしませんね。

フゥハハハ!無駄無駄ァ!

 

それから近くにいる部隊の方の電伝虫にこちらに応援に来ていただけるように連絡をしておきます。

流石に私一人で海賊団船長とその部下を連行するのは大変ですからね。

逃げられてしまっては元も子もありません。

 

覇気と電波で島全体の状況を確認すればもう暴れている海賊はいなくなったようです。

さて、現状を報告しなければなりませんが黄猿さんには繋がりませんし、奥の手を使いましょうか。

 

電伝虫には様々な種類があり、その数だけ機能を持っています。

写真撮影、映像録画、印刷、通話、電波妨害、通信傍受、傍受阻止などなど。

その中に拡声器のような機能を持った電伝虫もいるのです。

アラバスタやドレスローザ等で使われたシーンをご存知の方も多いでしょう。

そして栄えている島には大抵放送用のスピーカーがあちこちに配置されているのです。

今回使うのはその機能。

 

ズリズリとグワンを引きずって島全体に放送するスピーカーのついた柱のもとへ移動しまして、スピーカーに繋がっているコードを手で握ります。

手から電波を流すとあちこちのスピーカーからノイズが発されました。

 

『ザザッ――あー、あー、マイクテスト。繋がってますね。

こちら海軍中尉フリードです。島民の皆さまお騒がせしました。

海軍によって今回暴れていた海賊、グワン海賊団の鎮圧が完了いたしました。船長のグワンも拘束済みです。もう大丈夫です。

ボルサリーノ大将、こちら島の南東にてグワンを捕獲。部隊がつき次第、艦へ連行します。

あとその話しかけているのは黒電伝虫です。

子電伝虫を艦まで取りに戻っていただけると幸いです。

突然の放送失礼いたしました。

―――ジッジジ―プツン』

 

放送を終えてコードから手を離します。

今行ったのはスピーカーを介してですが、もちろん私自身をスピーカー兼マイクとすることもできます。

黄猿さんの迷子案内放送も鎮圧作戦もこれにて終了ですね。







覇気と六式のいくつか使えるのに1900万ベリーのやつに苦戦するわけなかった。
あんだけ悩んでたのに#戦闘描写とは
総合的な実力はスモーカー&ヒナみたいな感じ
覇気と六式使えるから真面目のくせにナメプ癖で実力にマイナス

中編とか言ってるけど次回で終わるか不安
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