起きてください、ヒュプノス様!   作:岳鳥翁

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数年ぶりの投稿。
ごめんなさい、アカメの方を書くつもりだったんですが、漫画が手元になく、代わりに目に入ったダンまちを読んでいたらこうなりました。

つぎ、いつ投稿かわかりません。現在の和尚は、「小説家になろう」の方にかまけていますので、良ければそちらの方も読んでやってください。

後書きにURL張っておきます


四話

「ヒュプノス様! 起きてください、ヒュプノス様!」

 

 朝、俺はある程度の支度を終え、ヒュプノス様が眠る寝室を訪ねていた。

 声をかけながら軽く扉を叩いてみるも、反応はない。続けて扉が壊れない程度に叩いてみたがこれも反応はなし。

 

 またか、と諦めたようにため息を吐いた俺は、失礼します、とだけ言って入室。毎度のごとく眠りこけているうちの主神の肩をゆすった。

 

「ヒュプノス様、今日はオラリオに向かう日ですよ。起きてください」

「ゥ……あと一年……」

「いつまで眠り続ける気ですか……」

 

 

 寝言を言うヒュプノス様に根気よく声をかけ続けること十分。ようやく身を起こしてくれたヒュプノス様はいつものごとく腕を広げて待ちの姿勢にはいった。

 

 はいはい、抱っこ抱っこ

 

 そしてここはいつものルーティーン。

 所謂お姫様抱っこで一階まで降りた俺達は、いつものようにテーブルのイスにヒュプノス様を座らせて用意しておいた朝食を食べさせる。

 まだ眠気でぽやぽやしているうちの主神は、匂いを頼りに朝食であるトーストに口をつけた。

 

 本当なら、もっといい食事を神に出したいところではあるが、お得意様がいるとは言え、うちのファミリアは収入が少ない。そのうえ、儲けのほとんどはヒュプノス様の睡眠グッズに消えていく。つまりヒュプノス様のせい。

 

 ……まぁだからといって、女神(彼女)を捨てるようなことは絶対にない。

 

 

 ヒュプノス様が朝食を食している間、俺は最後の準備に取り掛かる。

 わざわざこの日のために購入した巨大な荷馬車。これだけで貯金の半分はとんでいったので痛い買い物である。

 必要最低限のものをこれに積み込みめば、かなりのスペースがまだ残る。もっとも、このスペースもすぐに埋まるのだが。

 

 

「ヒュプノス様、目、覚めましたか?」

「ん~……なんとか」

 

 まだ眠そうにしているが、先ほどよりは意識があるようだ。これなら、なんとかなりそうだ。

 

「ほら、ヒュプノス様。これからオラリオへ行って、魔石製品のベッドを買うんでしょ? 準備してください」

「ベッド!!」

 

 ほら釣れた

 

 眠気はどこへやら。昨日のベッドについて熱く語っていたヒュプノス様の姿がそこにあった。

 

「イスカ君! ベッドはどこ? 私の魔石製品のベッド……」

「だから今からオラリオにいくんでしょ? ほら、準備してください」

「……ねむぅ~」

「眠ろうとしない」

 

 テーブルに突っ伏しそうになる主神を倒れないように支える。すると、我が主神様は不服そうな顔でブーブーと文句を言ってくる。

 

「眠りの神であるこの私の睡眠を邪魔するなんて、イスカ君。これは反逆になるよ?」

「圧制! とか叫んで……何でもないです。とりあえず、もう出発しますから、荷馬車の方へ移動してください」

「抱っこして」

 

 また腕を広げて待ちの姿勢に入るヒュプノス様。俺は仕方ないとばかりに起こすときと同じようにしてヒュプノス様を外の荷馬車まで運んだ。

 

 

「フンッ!」

「悪いな、ブケ。遅れた」

 

 外で待たせていたブケファラスに一言侘びを入れておく。相変わらず腕の中の神様は気持ちよさそうに目を閉じているが、このままだと作業が出来ないので一度ブケの背中に乗ってもらう。

 手足をダランとさせ、突っ伏す形でブケの上に乗るヒュプノス様。

 

 落ちないことを確認すると、俺は直ぐに二階へ直行し、キングサイズのベッドの下に手を入れ持ち上げる。

 

 もともとの身体能力に加えて、恩恵(ファルナ)を授かったこの体にとっては簡単な作業である。ただ、このサイズのベッドは入り口を通らないので、仕方なく、壁をぶち抜く形で外へ出た。ベッドに傷はない。

 

 

 もうこの小屋に戻ることはないであろうから壊したが、まぁ、問題はないだろう。

 

 下へ降りると、ヒュプノス様がパチパチと拍手をしていた。寝たまま。

 

「それも持って行くの?」

「まぁそうですね。行ってすぐにベッドを買えるかもわかりませんし。それにヒュプノス様が使わないなら俺が使いますから。あとは……」

「あとは?」

「いざというとき、金になりますし」

 

 百万位したベッドである。それなりの金になってくれるだろう。

 それに、眠りの神が使用していた一品である。よく眠れそうだろ?

 

「え~やだ~」

「言ってられないときがくるかもなんですよ?」

「でもイスカ君が頑張ってくれるんだよね?」

 

 その言葉に、一瞬だけ言葉が出なかった。普段からだらしない姿を見せているヒュプノス様であるが、突然こういうことを言うのは卑怯なのではないだろうか。

 

「……まぁ、そうですね」

「…ふふっ。嬉しいなぁ」

 

 超越存在(デウスデア)である神様達は、この下界へ降りてくる際にその力は一般人同等か、それ以下になったという。

 しかしながら、彼ら彼女らは下界にいながらも、俺達のような子供たち(下界の者)の嘘を見破れるという。

 

「楽しみ♪」

「……行きますよ」

 

 荷馬車にベッドを積み込むと、直ぐにヒュプノス様がベッドに寝転んだ。どうやら、ブケの上から自力で動いたらしい。きっと、オラリオに到着するまでそうして寝て過ごすのだろう。

 

 食料と水はある程度用意したが、それも有限。ヒュプノス様に負担はかけたくないので、少し急ぎ足でオラリオに向かうとしよう。

 

「さぁ、行こうか。ベケファラス」

「フフンッ!」




「花を咲かせる魔法使いはとりあえず楽をしたい」
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