A.大丈夫じゃねっす。でも、書いた奴出しとかないと、また次の投稿まで時間開いちゃう気がするんだもの。
3
『
それが、リアスが取った選択だった。
いくらライザーが不死身であるとは言え、ダメージを受けないわけではない。腕を吹き飛ばされれば当然痛むし、たとえ再生されても精神的な疲労は蓄積されるはずだ。そして心までが不死身でないならば、勝ち目はある。
斬輝の格闘センスと、私の『滅びの魔力』なら、いける。
一誠と祐斗には、そのための時間稼ぎとして行動してもらっているのだ。
驚くべきことに、斬輝はその作戦に難色を示さなかった。判った、と応えた後、一つだけ彼女に言ったのだ。
ヤバくなったら、
旧校舎から出て、新校舎へと続く通路を抜ける。その時、右側のグラウンドで繰り広げられる攻防が尻目に見えた。
ライザーの『騎士』と剣を交える祐斗……、『戦車』の突きをいなし、『
頑張って。
二人とも頑張って!
すぐに終わるから。
終わらせるから!
しばらく走ると、目の前に見慣れた建物が見えてきた。新校舎だ。先頭を走る斬輝が、そのまま両開きの扉まで向かう。
少しして、顔だけをこちらに向けて、かすかに頷く。鍵はかかっていないようだ。
リアス達も追って扉の前まで来るのを確認してから、
「開けるぞ」
言って、斬輝が扉を開く。続くように、リアスとアーシアも中へと入った。
ガラス張りの扉を抜けると、そこは四階までの巨大な吹き抜けを持つ昇降口だ。いつもなら、ここで上履きと履き替えているだろう。
「静か、ですね」
アーシアだ。
斬輝も、辺りを見回してから頷いた。
「ああ。むしろ静か過ぎるくらいだ」
人の気配はない。あとはこのまま敵本陣の学長室へと殴り込めれば、後は実力勝負だ。
だが、とリアスは思う。
ライザーはレーティング・ゲーム公式戦の経験者だ。いや、そうでなくても、そう易々と敵に陣地への侵入を許すものだろうか。
「でも油断は出来ないわ。場合によっては何か
「心配しなくても」
応えたのは、斬輝でもなければアーシアでもなかった。
「ここにいるのは正真正銘、俺だけさ」
むん、とする熱気が、背後からやってくる。
弾かれたように、振り返った。
ワイン・レッドのスーツが、三人を見据えていた。
「待っていたぜ、愛しのリ・ア・ス」
「いつの間に……」
思わず口にしてしまってから、それが愚問であることにリアスはすぐさま理解した。
転移だ……!
斬輝の勘は、当たっていたのだ。
「やっぱり、私達が来るのはお見通しだった、ってわけね……」
苦虫を嚙み潰したように呟くリアスに、そのとおり、とライザーは笑みで応える。
「
「……相変わらず品のない人」
「でもな」
斬輝が、両方の拳を構える。その全身はマントに隠れているため、傍目には右
「こっちはこっちで、てめぇが来るのを待ってたってわけよ」
挑むように前へ出ようとする彼を、ライザーが手で制する。右の掌をこちらに向け、左手はパンツのポケットに突っこんだままで、だ。
「まあまてよ、魔人くん」
「なに?」
「俺の炎にしろ、リアス……キミの『滅びの魔力』にしろ、ここで
「お気遣いどうも。で、何が言いたいのかしら?」
斬輝の隣で、ライザーを睨み据えたまま、リアスが問う。ちょうどその時、グレイフィアの声でライザーの『
「単純なことだよ」
そして、不死鳥の名を持つ男は、言った。
「場所を変えよう」
それは宣戦布告だった。
4
『
リアス達の相手をする、そっちは任せた。
判りましたわ、とだけ返して、これは認識を改める必要がありますわね、と『
兵藤一誠の実力が、当初想定していたものよりもいくらか高かったためだ。一五回もの倍加に耐えられるだけのスタミナを身に着け、なおかつそのパワーが凝縮された魔力の砲弾はイザベラを巻き込み、グラウンドを削りながら推進し続けて、一〇〇メートルほど先で巨大な爆発を起こしたのである。
『ライザーさまの〝
……直前に『
ふむ、と思案する。
『紅髪の
『雷の巫女』、
『
『
『
……そして『黒き血濡れの魔人』。
大仰な名前の割には大したことのない連中だと、そう思っていた。
下僕の中で警戒すべきはせいぜい相手の『
レイヴェル・フェニックスも、その中の一人だった。
「正直、あなどっておりましたわ、あなたのこと」
ドレスの裾についた砂埃を払いながら、それはリアスの『
「はっきり言って、あなたにイザベラが倒せるとは思いませんでしたの」
「へへっ、そりゃどうも」
「でも、その勢いもここまでですわね」
右腕を横へ振ると、レイヴェルの側にいた残りの下僕悪魔が赤龍帝を取り囲むように展開した。獣人の女戦士の双子である『
ふいに、視界の端に見慣れた炎の翼が映った。
ちょうどいい。
「ねえ『兵士』さん、あれが何か判るかしら?」
言いながらレイヴェルが指す先は、新校舎の屋上だ。そこにいる者を見た時、一誠の顔が驚愕の色に変わる。
「ぶ、部長!?」
黒い翼を広げたリアス・グレモリーが、『
少し遅れて校舎の四階の窓が開かれると、何か黒い影が勢いよく跳び上がる。黒き魔人だ。
「何でだ? 直接仕掛けるっつっても、早過ぎんだろ……」
「先ほどお兄さまから、リアスさま達と勝負をすると連絡がありましたの。おおかた、こちらの本陣に奇襲をかけるつもりだったのでしょうけれど……。残念でしたわね、経験者を嘗めてもらっては困りますわ」
どうやら図星だったらしい。ぎり、と赤龍帝の少年が歯嚙みするのが判った。
「お判りになります? これがあなた方にとってどれだけ絶望的であるか。いくらあなた方が善戦しようとも、こちらは
「勝つさ!」
即答だ。口から垂れる血を拭って、一誠の瞳は真っ直ぐにレイヴェルを捉えていた。
「俺、莫迦だからさ。チェスのことなんて全っ然判ってないけど、でもこれだけは知ってる」
赤い籠手に覆われた拳を握り、顔の前に構える。手の甲に嵌め込まれた緑色の宝玉が、光を反射して、きらり、と煌いた。
「たとえ倒れても、立ち上がれる限り俺は拳を握る。拳を握れる限り、俺は闘える。闘える限り、俺は……俺達は絶対に諦めない!」
消耗した状態で、なおも彼が笑みを浮かべる理由は、なぜだろうか。
「知ってるか?」
まさに多勢に無勢という状況で、なおも彼の目に闘志が宿っている理由は、なぜだろうか。
「俺達グレモリー眷属はな、みんなタフなんだよ!」
声が割って入ったのは、
「……吹っ飛べ」
その時だった。
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