フランドールの日記   作:Yuupon

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 投稿間隔開いてきてるのにスローペース。
 ……大丈夫かなこれ(エター的な意味で)
 なお、今回は後半シリアスです。
 
 あと濃い黄色の髪のサイドテールの女の子にご主人様呼びされる新作はこちら↓(ノルマ達成)
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ナナシの日記6

 

 

 

 九月二十六日

 

 

 スカーレットが忘れ物したらしく届けに行く事になった。

 ……紅魔館スッゲェ遠かったわ。何キロだよ。走って行ったのに片道二時間掛かるとか。

 ……正直届ける必要無いだろ、と何度思ったかは覚えてない。

 ともかく到着して……衝撃を受けた。

 門の前に女の人が居たんだ。超美人だった。ナイスおっぱい。

 ……ごほん。

 まぁ有り体に言えば物凄く綺麗な中国服の門番さんが居て、で門の前に寄り掛かって寝てたんだ。疲れが吹き飛んだね。

 ともかく起こして事情説明して門番さんにスカーレットの忘れ物を渡したら「わざわざすいません」からの「お疲れでしょうし少し上がって下さい。私の客にしますから」のコンボを受けた。

 休ませてくれるのは願ってもない。そんなわけで少しお邪魔させて頂いて紅茶を貰った。あと話もしたな。

 会話内容はスカーレットは寺子屋でどんな感じ? っていうありきたりなものだった。

 うーん、どうだろなぁ。少なからず俺は可愛いと思うし、最初はコミュ障かとも思ったけど案外話せるやつだと思うけど。あとは各方面への才能が凄い。大抵のことは出来る。そこで普通なら嫉妬を買うところだけどそういうのも無いあたり人柄も良いよな。

 こんな感じに返したっけ。門番さん、美鈴さんは「うんうん」と朗らかな笑みで話を聞いてくれた。

 

 で、話を終えた後に色々あって美鈴さんのやってるガーデニングを少し見せてもらう事になって行ったけど凄かったな。季節ごとに違う花を植えてるらしい。素人目にも凄いと分かる出来だった。

 奥にはスカーレットのガーデニングスペースもあるらしい。

 ……でさ、門番さんに断って少し見せてもらいに行ったら見掛けない女の子がいた。青みがかった髪の女の子だ。羽根があったから吸血鬼だと思う。紅魔館の主人のレミリア・スカーレットさん……だっけ?

 なんかあたりを気にしてるようにキョロキョロしててさ、様子がおかしかったから物陰で全力で気配を遮断しつつ観察してたら、なんかその女の子はスカーレットのガーデニングスペースの向日葵から種を一粒とって、ジーッと眺めてから、コソッと齧ってた。

 ……齧ってからまたあたりを気にするようにキョロキョロ。

 ……アレ、なんだったんだろうな?

 ……紅魔館の主人がそんな事するとも思えないしレミリアさんじゃない別の吸血鬼なんだろうとは思うけど。

 紅魔館で下働きしてる子だったのかもしれない。お給金が少なくて飢えを凌ぐために食べてた、とかそんな理由があったりして、と邪推してみるけど真相は本人のみぞ知る事だ。

 ちなみに家に帰るまでに妖怪に三回襲われた。今は第二の我が家(永遠亭)なう。

 

 

 

 #####

 

 

 九月二十八日

 

 

 人里で不可解な事件が起こった。

 とある民家の一室の屋根裏で小さな子供の死体が発見されたんだ。

 死因は絞殺。鈍器のようなもので殴られた跡もあって、強打されてた。口にはガムテープがされていて、死体の横には『殺人鬼参上』と荒っぽく被害者の血で書かれた文字があった。

 

 ……死んだ子供は寺子屋に居たやつだった。俺とは別のクラスだったけど。双子だった妹の方は同じクラスでさ。その子が泣いてるのを見て犯人に対してすっげえ腹が立った。

 直ぐに人里は大騒ぎになったよ。

 人里内に殺人鬼がいるかもしれないんだ。そりゃそうなるよな。

 それで詳しく調べられたんだけどさ、亡くなった男の子は長い間虐待を受けていた形跡があったんだ。

 それが分かって自警団の人達が「両親が犯人で事件の隠蔽を行うために血文字やガムテープを用意したんじゃないか?」って考えてた。

 

 妹ちゃんは兄を殺した犯人が両親かもしれないって聞いて、泣いてたよ。二歳上の兄らしいやつが慰めてた。

 ……俺も永遠亭で医術を学んでたからさ、人里の医者と一緒に死体を見たんだ。殆ど話したこと無いやつだったけど……死に顔は酷いもんだった。

 頭からは血を流し、首には縄のようなもので締められたような跡がハッキリ残っていた。

 体には擦り傷があって、殺した犯人と格闘したんだろうと予想された。

 人里の自警団の人達が両親を厳しく問い詰めてたよ。彼が発見されたのが自宅だったからさ。殺人鬼が存在する可能性もあるけどまずは両親に疑いを掛けたみたいだった。虐待の件も含めて問い詰めてたな。

 でも二人とも何も答えなかった。妹ちゃんは泣きじゃくるばかりで兄は黙りこくったまま問い詰められる両親を見てた。

 俺はどうも見てられなくてさ。兄の方の肩を叩いて話しかけたんだ。そしたら何故か兄のやつは一瞬痛そうに表情を歪めた。

 

「っ、何かな?」

「……いや、これから頑張れよってさ。妹ちゃん、俺のクラスメイトだから気にかけるようにするけど……でも」

「……あぁ」

 

 返事は簡素なものだった。続いて任せろ、と彼は言った。

 でも……どうも一瞬見せた痛そうな顔が俺の記憶をこびり付いて離れなくて、事件のことを考えたんだ。

 そしたら一つ妙なことに気付いた。

 

 殺された死体に残っていた擦り傷だ。真新しく、犯人と格闘した時に出来たものだって判断されてた。でも殺されたのは寺子屋の初等部に通うような子供なんだ。それに殺されたやつは小柄だった。それこそ大人なら一撃で殺してしまえるような。そんな子供に格闘した跡が残っていたってことはそれ即ち『犯人は体格がそう変わらない子供』の筈なんだよ。

 それに気づいたあと他にもおかしな点があることに気づいた。

 

 例えば死因は絞殺なのに鈍器で殴られた跡もあったことだ。

 仮に大人が犯人なら鈍器で子供の頭を殴れば一撃で死ぬ。鑑定結果では殴られたあとに絞殺されているって出たのに、それなのに撲殺が死因じゃなく、絞殺なのは明らかにおかしいんだ。これも犯人が子供であると指している。

 

 例えば長期の虐待の跡。

 基本的に殴る蹴るの怪我だが、その傷がどれも妙に小さいんだ。

 他にも髪を引っ張ったり、引っ掻いたりの跡もあったけどそれらもサイズが小さかったんだ。

 

 例えば現場に残された血文字、捜査に非協力的な家族。

 例えばさっき軽く触っただけで痛がった兄。

 

 これだけのキーワードが揃って、俺の頭の中に一つの真実が見えたんだ。

 

 まず事件が起こる前から長い期間ずっと兄が弟に虐待をしていた。それは殴る蹴るの暴行から始まり引っ掻いたり引っ張ったり多岐に及ぶ。

 そして昨夜、いつもの通り弟への虐待を行なっていた兄は勢い余って弟を殺してしまった。さっき軽く触っただけで兄が痛がったのは弟から反撃を受けた傷が痛んだからだ。

 ともかく、殺害を知った両親は兄を庇うためわざわざ殺人鬼なんてでっち上げをして、外部犯に見せかけようとし、事件のことを黙秘した。

 勿論こんなのは全部俺の妄想に過ぎない。証拠なんて無かった。

 

 だから改めて現場の民家を調べてみたよ。

 兄の部屋を物色した時に、まず殺されたやつの身体中に付いてた傷跡が兄の持ってたおもちゃの形と良く似てることに気付いたんだ。あと、首を絞める時に使った縄状のものなんだけど、兄の部屋に束ねられた縄跳びがあった。

 他にも殺人鬼の紙、あの筆跡がさ……両親のどっちが書いたものか分からないけど年賀状のものと見比べて節々がよく似ている気がしたんだ。

 ……でもそれでもそれは状況証拠に過ぎなかったからさ、いくつかある証拠のうちおもちゃと縄跳びを持って永遠亭に行って検査してもらったんだ。おもちゃは兄の皮膚を割り出すため。縄は犯人を探るため。持ち手のグリップじゃなくて縄の部分に不自然にふたつの皮膚が付いてないかって。

 勿論、俺が言った二つの皮膚のうち一つは被害者の皮膚。もう一つは犯人のもの。

 そしたら……付いてたんだ。被害者の首の皮膚が。縄跳びに。そしてもう一つの見知らぬ皮膚がびっしりと握りこむような形で不自然に。

 そして……その皮膚が兄のおもちゃについていたものと一致したんだ。

 

 それが分かった瞬間頭が真っ白になった。

 でも分かった以上は言わなきゃならなかった。妹ちゃんのことを思うとそれがどれだけ残酷なことか知っていても、言わなきゃならなかった。

 犯した罪は裁かれなきゃならないから、だから俺は真実を明らかにした。

 

 兄を呼び出して推理を披露したんだ。証拠も突きつけた。

 兄の顔が歪んで、睨んできたよ。逆上して襲い掛かってもきた。でも敵わないと知って、最後には観念して項垂れた。

 

「……俺は、殺してない! 殺してなんか……殺して……う、あああああああああああ!!!!」

 

 悲鳴じみた叫びが脳裏を離れない。胸糞悪くてたまらない。

 兄は最終的に自首したよ。両親が庇おうとしたけど真実を語ったらもう否定材料が無かった。

 ……最後にソイツ、俺に対してこう言ってきたよ。

 

「……こんなこと言えた義理じゃないって分かってる。分かってるけど、妹を頼む……弟は妹を虐待してたんだ。それに腹が立って殴って、いつしか俺が弟を虐待するようになった。だから、頼む。あいつが自殺なんかしないように見ててほしい」

 

 そんな約束をした。

 ……なんでこんなことになっちまったのかな。

 頭の中がぐちゃぐちゃだった。そして、帰る時にスカーレットに会ったよ。

 稗田の家から出てきていた。俺の様子を見て首を傾げてたから多分事件のことは何も知らないだろうなぁって思った。

 

「……よぉ、どうしたんだこんなとこで?」

 

 無理して明るく振舞って尋ねるとスカーレットは小さく笑ってさ、

 

「ちょっと事件を解決してたの」

 

 ってそう言ったんだ。嬉しそうだったから残酷じゃない、幸せで愉快な事件だったんだろうな。

 

「……そっか、奇遇だな。俺も、同じだよ」

 

 それだけ言って帰った。

 ……タイミングが悪いよな。でもスカーレットは悪くない。

 ともかく妹ちゃんのこと、暫く気にしておこう。

 

 




 
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