9月22日、前の話を改稿する為カウントが飛んでいます、ご了承下さい
23日「流れ者と鴨王子」全編削除しました
おわび致しますと同時にご理解の程御願い申し上げます
「あ~うまい米が食いてぇ」ワーウルフのロボはエドウィンの街に来て後悔していた。遠く離れた別大陸で生まれ育った彼の故郷で主食といえばふっくらと炊き上がった米であり、パンや麺類は気が向いた時たまに食べる程度のものだった、一攫千金を夢見て故郷のある大陸を離れソロで流れの冒険者になってから訪れた土地ではオリゼと呼ばれる米は元からか料理の仕方かとにかく不味い、後は石みたいに固いパンか妙に粉っぽい麺類ばかりだ。
エドウィンの街逗留2日目、ロボは冒険者ギルドに立ち寄り仕事を見つけた、船宿の主人から川に住み着いた魔物を退治して欲しいという依頼だった。成功すれば宿泊費無料というのもありがたかった。路銀が尽きてきたので宿を引き払ったばかりだったのだ。
川の魔物を何とか退治して船宿から借りたボートに死体を乗せた、
「これで陸に上がって死体をギルドに持っていけば仕事は終わりだ、しかし疲れたな、自分でボートを漕ぐのは辛いか」そこへ亀とも水鳥ともつかない獣人が川から上がってきた。得物のボーガンを構える。
「そんな物騒なモンはしまって下さい、アッシはお宅さんに仕事を依頼した船宿で渡し守に雇われてる河童のトゥーンといいます」カッパとは種族の事か、初めて会う生き物だが物腰の低さと愛嬌のよさにロボは態度を軟化させた。渡し守ならちょうどいい、ボートを漕ぐのはこいつにまかせよう。
「なぁ、やけにごきげんじゃないか」鼻歌混じりでボートを漕ぐトゥーンにロボは話かけた、
「えぇ、アッシは毎月の給料日にちょっとした贅沢を楽しんでるんですがね、それが今日なんでさぁ、ピクルスで酒を1杯ひっかけて旨いオリゼを掻き込むのは何とも言えない…」
「オリゼだって、この街で旨いオリゼが食えるのか?」
「えぇ、宜しければご案内しやしょう、アッシも今日の仕事はこれで終わりですからね」
夕刻トゥーンに連れられ越後屋へやってきたロボ、彼に倣いカウンター席に座る。メニューとかいう店でだせる料理が載っている本に書かれた文字は生憎読めないが、その隣には料理の絵が描いてある、ウエートレスの説明によると肉や魚、野菜料理全てに米かパンが付くうえ米自体の料理もあるそうだ。悩んだ末にロボは米を使った料理を注文する事にした。カウンター越しの厨房でサラダを作っている女性に声をかけメニューを見せる。
「これだ、この黄金色のオリゼ料理をくれ!」女性はお待ち下さいとロボに愛想良く告げると手が空いた男に注文を伝え、サラダをウエートレスに渡し別の客へ対応する。
大輔は冷蔵庫から卵と叉焼を取りだし中華鍋で炒める、そこに手早くご飯を加え、塩胡椒と醤油で味を調え、最後にねぎを散らし器に盛る。
「お待たせしました、炒飯です」絵の通りの黄金色に輝く米料理にロボの心は踊る、一匙掬って食べる。それはかつて故郷で食べていた米料理、もしかするとそれ以上の味だ、米と卵と薫製肉の相性は抜群で胡椒の辛さが更に全体を調和させている、味付けは塩のみ、いやさっきの黒い液体、この香ばしさの秘密はあれか、スプーンが俺の意思を無視するかの如く止まんねぇ。旨い、旨すぎる。
「やべぇ食い過ぎた」ロボの目の前には器が3枚重なっている。これ一皿幾らだ?ギルドから金を受け取ってるとはいっても腹一杯になったら急に支払いが心配になってきた。
「炒飯3点で1アルと8アスになります」想像より遥かに安い料金にかえって驚いたがいまのロボなら充分払える。
「ね、いい店でしょう」帰り道トゥーンがまるで自分の事のように笑顔で問い掛ける。
「あぁ、この街にいる間はメシはあそこで食おう」ついでにこのエドウィンの街を拠点にしよう、ギルドならアパートぐらい紹介してくれるだろう。旨いモノを安くたらふく食えるなら金も貯める事ができる。腹をさすりつつ改めて一攫千金に思いを馳せるロボだった。
14話以降の投稿はしばらくあとになります明日からは1~13話まで加筆修正をしていく予定です
9月23日2話削除した為カウント繰り上がります
同じ国、世界に方言や外国語があるようにロボの故郷では米をオリゼとは呼びません