異世界料理店越後屋   作:越後屋大輔

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投降が大分遅れましたm(._.)mネタ自体は3つあったんですが平行して文章にしつつ手直し等してたらどれもまとまらなくて、その中から一編だけ書き上げ(駄洒落ではない)たので投降します。後二編は未だ未完成orボツになる可能性があります。
 書いたものを見直すと細かい矛盾点とか目に付きます
今回はそこらへんの帳尻合わせをしています。時系列は4話と5話の間になります。


第18話ドワーフと天麩羅

 越後屋が異世界転移して1ヶ月、随分客足が増えた。それ自体は喜ばしい事だが何せ小さな店である。行列ができるほどではないが営業中にお客さんが途切れる事はなく大輔1人では給仕まで手が回らず、金物屋の女将さんやヴァルガスに頼み商業ギルドで臨時のバイトを手配してもらい何とか切り盛りしていた。これも単なる物珍しさで三日くらいで落ち着くだろうと思っていた大輔だったが彼の作る料理は余程この世界の人々に気に入られたのかその様子はなかった。

 「マスター、人を雇いなよ。このままじゃアンタの体だって持たないよ」女将さんがそういってくれる、しかし問題がある。

 「僕の店、1度入ったらでられないですよ。住み込みにしても帰る保証がない場所で働こうなんて人はそうそうみつかりませんし」

 「そりゃあっちの人の話だろ、こっちで探せばいいじゃないか。そういやうちの娘達なんだけど、上はご亭主に死なれちまって子供を養ってかないとならないし、下は外に出たがらなくてねぇ、うちの宿六が甘やかすから益々閉じ籠りっぱなしだよ、マスターんとこで使ってくれないかい?」押しつけられた!と思ったが恩ある女将さんの頼みじゃ断れないし、ウェートレスはいたほうがいいかもしれない。とにかく人手問題は解決しそうだ。

 夜になって店を閉めようとしたらヴァルガスが若いドワーフ2人組を連れてきた。名前をズドンとヘッポールというらしい。

 「マスター、コイツら雇ってくれないか?実は牢から出所したばかりでアテがねぇんだ」大輔はこの申し出を難色を示した、元犯罪者を雇うのは吝かではないが既に給仕のアテはある。それにドワーフといえば職人気質で知られる種族、接客向きとは思えない。しかしヴァルガスの手前只断るのも気が引ける、

 「少しここで待ってて下さい」自室の机からあるものを取りだして中を確認して計算する。再び店舗スペースにでるとヴァルガスに聞いてみた。

 「ヴァルガスさん、店を増築したいんですがこの額で足りるか見立てて頂けますか?」さっき確認したのは貯金通帳だ、20人も入らない今の規模では集客数にも限界がある。以前からリフォームを考えていたが今が丁度いいタイミングだ。この2人にも短期間ではあるが仕事を与える事ができる、この世界で日本円は使えないが一旦レジにしまえば後でこっちのお金になる。

 「こんだけありゃ充分だ、よーし、お前ら明日から大工仕事やらせるからな、しっかり働けよ!」大輔の気持ちを察したヴァルガスがドワーフ達にかつをいれる。

 翌日から工事が始まった、流石にドワーフは仕事が早い、たった2人しかも3日で完璧に仕上がった。増築費用はヴァルガス経由で支払われる。今後は商業ギルドの建築部門で働けるらしい。因みに日本と繋がる裏口周りはそのままにしてもらった。

 その日の夜、2人を夕食に招いた、好きな料理を聞いたらやはり酒に合うものが好みだそうだ。となれば餃子がいいか、でも今から作ると時間がかかる。そうだ、アレがいい。完成させると2人の前にウィスキーと料理を並べる。各自の皿には小さい籠、その中に敷いてある紙に料理が乗っていた。油のはぜる音が食欲をそそる。

 「お待たせしました、天麩羅です。具材は野菜がソランゲとカプシン、ケパとヒスピのカキアゲ、海産物がペナとハゲルと夏避け貝になります。添えてある天汁かテーブルに備え付けのサウルか醤油を付けてお召し上がり下さい」ヘッポールは早速テンツユとかいうスープに揚げたソランゲを浸して食べる。

 「ソランゲって改めて食ってみるとウメぇな。色もキレイだし、揚げると味が全然違う」彼はソランゲ=ピクルスにされた物しか知らなかったので意外な出会いをしたともいえよう。

 一方野菜嫌いのズドンは夏避け貝から手を出す。

 「この独特の苦み、クリーミーな旨みが最高だな。ショーユとかいうソースとの組合せもたまらん」

 「なぁズドン、野菜も食ってみろ。カプシンのやつがピリッとしててこの酒に合うぜ」相棒に薦められるままカプシンを一口噛むと

 「辛っ!」慌てて酒で胃へ流す。

 「ひーっ辛いっ、でも悪くない。おっこのケパのは甘い、けどこれも酒に合う、ヒスピがいいアクセントになってる。これならオレも野菜が食える」

 「ペナも程よく身が締まっててハゲルも揚げ物なのにしつこさがねぇ、こいつは酒が何杯でも飲めちまう」

 酒には強いはずのドワーフだが2人共いつしか酔いつぶれてテーブルに突っ伏して寝てしまった。

 「おそらく久しぶりのお酒で酔いが早かったんだな」大輔は小柄な2人を彼ら自身の手によって注文通りに仕上がった座敷へ運ぶとそっと毛布を掛けた。

 




 今回の異世界語
・ペナ→車海老
・サウル→塩(ラターナのある大陸だけで使われる)
・ハゲル→鯛
・カプシン→ししとう、唐辛子
・夏避け貝→牡蠣
カタカナじゃない異世界語は今回初でした。
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