( ̄~ ̄;)
あらすじ情報書き換えました、ご了承下さい
肉屋の跡取り息子のヨセフは店主の父親にどやされながら朝から腸詰めと薫製肉作りに追われていた、先日大量の肉を仕入れたので傷む前に全て加工しなければならない。本当なら凍らせてさえおければいいのだけど、その為の魔道具は高価で買えないし、専門の魔術師に頼むのもやはり金がかかる。
やっと作業が終わるがまだ休めない、次はエチゴヤへの配達が待っている。あの店には食材を凍らせておける巨大な魔道具箱があるので大量に注文が入る。汗だくになりながら荷車をひきエチゴヤに着く。
「まぁ、ダイスケならお茶くらいのませてくれるっすよね」彼もここの常連の1人であり、この街には他に同世代の男が殆どいない事もあり大柄で太っちょなヨセフと中肉中背な大輔、見た目は違うがお人好し同士な2人は個人的にも仲が良い。
「ちはっす、肉屋です。ご注文の品お届けに来ました」営業時間前のエチゴヤに着く。大輔は仕込みの手を止めてヨセフにアイスコーヒーを淹れる、ヨセフは他では飲めないこの茶が大のお気に入りだった。支払いを済ませた大輔はパックスと肉を冷蔵庫にしまいコーヒーを飲み終えたヨセフを見送る。
「それじゃ、またヨロシクっす」
「ええ、この次もお願いします」夕方今度は客としてヨセフは再び来店した。
「今夜は何を食うっすかね?」ヨセフはこの店では肉料理はあまり食べない、家が肉屋だからわざわざ他所で食べる気にならないのだ。よし、海の幸にしよう。ロティスを呼んで今日の魚料理は何があるか聞く、共にこの街で生まれ育ったいわば幼馴染みなので気心の知れた仲だ。
「今日はラーケンのカラーゲかな、赤と白どっちにする?」ラーケンって結構固くて食べづらいっすよね、ダイスケの事だから心配はないと思うっすが。
「両方一人前ずつお願いするっす」
「お待たせしました、ラーケンのカラーゲです」ぶつ切りにされた赤ラーケンの足と輪っかにされた白ラーケンの体が衣をまとい揚げられていた。
「柔らかっ!こりゃラーケンとは思えないっす、あっ、あとビールも頼むっす」同じラーケンでも赤と白は随分味が違う、赤は噛むほど海の風味が口に広がって、白は仄かな甘さが滲み出てこれは呑まずにいられない、顔を上げると商業ギルド長が向かい側に座ってきた、今日はカウンターが埋まっているようだ。
「ラーケンか、固くないか?」予想通りの質問をされた。
「ちょうどいい噛み答えっす、酒も進むっすよ」
「そうか。オーイ、俺にもこいつと同じのをくれ、あといつものショーチューな」カウンターではディーンとフンダーが唐揚げに舌鼓を打ちながらも
「ラーケンがこんな旨ぇとは、今まで逃がしてたのが悔やまれるのぅ」
「しかしな、マスター以外がラーケンをこれほど見事に料理できるとは思えねぇべ」その話をこっそり聞いていた宮廷料理長のジョルジオは歯ぎしりしたいほど悔しい気持ちをどうにかこらえていた。
「あ~いつ~ら~、言いたい放題抜かしおって!」彼らの言う事は本当であり、ジョルジオも認めざるをえない。それが分かっているからこそ余計に腹が立つ。そして今日の料理もまた旨い。
「確かに柔らかい、絶対
・ラーケン→烏賊、蛸両方をいいます。蛇足ですが白いのが烏賊、赤いのが蛸です