異世界料理店越後屋   作:越後屋大輔

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納得いくストーリーが書けず書いては削除を繰り返しました、異世界の女神様遂に初来店です。



第44話神様コンビとオムライス

 とある晩、ギム盗賊団はエドウィンの街の外れにあるあばら屋を根城にして次の獲物を狙っていた。目を付けたのは養蜂を産業にしている小さな村だ。

 「お頭、あんな貧乏臭い村襲っても大した金になりやせんぜ」子分の1人が言うが

 「金なんぞどうでもいい。それより村には人間もいるだろう、ひっひっ、また殺せる、人間を殺せるぞー!」快楽殺人者のギムは単に人殺しがしたいが為、盗賊団を結成した、金品は殆ど子分達で山分けしていた。

 その頃村に2人連れの男女が訪れていた、女の方…いや幼女と言った方が正しいか。歳は3、4才くらい。白い肌と赤い唇を持ち幼いながら美しい顔立ちで絹織物で作られたような上等なドレスを纏っている、この貧しい村には不釣り合いに思える。

 男の方は美しいとは言い難い、髪を何かの油で固めており、派手なだけでセンスのない服装に色つきの眼鏡をかけている。実に奇妙な組合せだ。

 「ただの通りすがりだけど、知った以上見過ごせないわね」

 「真っ直ぐ(まっちゅぐ)エドウィンの街へ行かなくて、正解(ちぇいかい)でちた。悪い人は懲らちめるでちゅ」

 「先代のここの女神に聞かせてやりたいわね」

 

 「お頭、村の連中みんな寝静まってます。やるなら今でさあ」

 「オイ、2人彷徨(うろつ)いているぞ」

 「どうせ、道に迷った旅行者だろ。ひひひ、俺ァ殺せる数が増えりゃいいんだ。野郎共、松明はあるな」

 「へい!」

 「行っけー、皆殺しだ!村中焼き払え!」

 暗がりから盗賊団が一斉に村へ襲い掛かる、ところが誰1人村へ入れなかった、旅行者と思われるさっきの2人連れに拳や蹴りで追い払われる。反撃にでるも全然歯が立たない、子分達が松明を投げて家々を燃やそうとしてもどういう訳か火が移る事なく松明は凍ってしまう、思い通りに行かずたった2人に邪魔されてギムは面白くない。やがて子分達は恐ろしくなり全員逃げていく、逆上したギムは剣を振り回し幼女に斬りかかるが、

 「ミミズになりなちゃい!」その一言でギムが今までいた場所から消えて代わりに一匹のミミズが這っていた。

 「貴方みたいな悪党は人間の記憶を持ったままミミズでいなちゃい、この(ちゃき)何度転生(てんちぇい)してもずっとミミズでちゅ」

 「アラ、顔に似合わずえげつない事するわね、子分共はどうする気?逃げちゃったわよ」

 「あっちは王都方面でちゅ、(おちょ)かれ早かれ捕まるでちょう。それよりエチゴヤへ行くでちゅ」

 「流石にこの時間は営業()ってないわよ。まあ、お楽しみは明日に取って置きましょ」

 翌日開店するやいなや越後屋に訪れた2柱は昨日から頼むモノを決めていたので早速注文する。

 

 「お待たせしました、オムライスです」越後屋のオムライスは炊いたトマト味のチキンライスに焼いたオムレツを乗せるタイプである。お客の好みでオムレツをナイフで上から割り開いて食べるのもアリだ。

 「相変わらず腕がいいわね」これまで何度か大輔の料理を食べている男は素直な感想をいう。一方越後屋の料理の初体験の幼女は

 「卵がふわふわでお口の中で(とろ)けまちゅ、オリゼもふっくらパラパラで美味ちい。この世界(ちぇかい)では普通食べられまちぇん」今日まで我慢しただけの、否それ以上の価値がある。付け合わせのサラダと食後のアイスクリームも平らげる。

 男の方が支払いをして店をでる、以前こちらへ来た時あっちの宝石類を売って現金に換えてあった分が残っていた。

 「どうだった?満足したかしら?」幼女に問うと

 「はぁ~最高でちゅ、美味ちいモノ食べるってこんなにも(ちあわ)せな事なんでちゅね」その恍惚とした顔は少々みっともない。

 「んもぅー(^へ^)折角の美人が台無しよ」やがてどこへともなく消えていく2柱だった。

 

 「そういえば今日のお客さん、注文慣れてましたね、常連さんでもないのに」

 「そうだなぁ、どっかで会った気もするんだけど…誰だっけ?僕、一度きたお客さんは忘れないんだけど」2柱は大輔をはじめ、店にいた全員の記憶もしっかり操作して天界へ帰っていった。




先代女神は亡くなったようです
(-人-)♪チーン/▽

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