異世界料理店越後屋   作:越後屋大輔

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作中の花魁言葉はかなりテキトーです、受け流して下さい


第70話花魁?と大学芋

 定休日のある日、パックスが街の小さな子供達の世話をしながら一緒に遊んでいると休憩中のヴァルガスが話しかけてきた。

 「よぉパックス、今日はマスターはどうした?」

 「マスター、酒作る、勉強しに行った」この日大輔はこの世界で酒を作ろうと酒造免許を取る為日本にいた、ここでは国家資格は必要ないが酒は時に毒になるから知識はあった方がいいと判断し、パックスに留守を任せて試験会場へ出向いたのだ。

 「そうか、なら商業ギルド(ウチ)で酒作りの指導を頼んでみるのもいいな、ショーチューも作れりゃ俺には一石二鳥だな」ヴァルガスは豪快に笑うと仕事に戻っていった。

 

 一見日本の着物にも見える服の肩をはだけて艶かしい足が露になるテンプレな花魁姿をしたそのお客は来店した、カウンター席にかけ懐からキセルを取り出して火を付けようとしたのを大輔は止める。

 「すみません、店内は禁煙とさせて頂いております。お煙草はあちらでよろしいですか?」排気の行き届いたボックスルームへ移動するよう促す。この世界にも煙草はあり日本で営業していた頃から愛煙家と嫌煙家の諍いは大輔にとって悩みの種であった、嫌煙家だった元軍人である先代の熊実は店内で煙草を吸う客は容赦なくブッ飛ばしてたが、大輔は自身が喫煙者ではないものの別に嫌煙家な訳でもないので以前ズドンとへッポールに店を改装してもらった時にこの喫煙所の増設も依頼していたのである。

 

 一服し終えてカウンターに戻ってきた女はメニューを広げ何を食べるか考える。

 「何にしようかぇ?旨い酒と肴で一杯呑るのもよし、甘い菓子も捨てがたいでありんすねぇ」菓子類の項を見ると給するのに時間がかかる為大抵が予約が必要とある。ならば酒にしようと思い立ったところでメニューを見返すと10分程でだせる菓子が載っているのに気づきウェートレスを呼んで希望の品を告げる。

 

 「お、お待たせしました、ダイガクイモです」まだ年若いウェートレスは女と目が合うと恥ずかしそうにして奥へ引っ込む。

 「ヤッパわっちのこのスタイルは若い子ぉには刺激が強すぎでありんしたな、それにしても香ばしいええ香りやわ。湯気が立ってるって事は温かい菓子よろすな」皿と一緒に添えられたフォークがあるが今度は妙齢のウェートレスに声をかける。

 「箸はないかぇ?できればそっちの方が使いやすいでありんすが」

 「はい、すぐお持ちします」やはり大人の対応だった。

 「甘いけどくどさは全くないでありんす、香ばしいのはこの黒い粒々やろか?材料は確かこの辺りでバルタと呼ばれとる植物の根っこやわ。ここの人らはあんま食べんと聞いとりんすが」セットになっているという緑色の茶の渋味も菓子の淡くも存在感のある甘さと相まって心地よく口の中をリセットしてくれる。そういえばこの店の主はこの世界の人間ではなかったのを女は思い出した。

 「あの2人の仕業でありんすな」支払い額は想像よりずっと安く、代金に幾らか上乗せしたら店主に困りますと突き返された。この男なら加護が与えられたのも納得がいく、店主に笑みを見せて店をあとにする。

 

 「しっかしショーチューの原料がバルタとは意外だったなあ」大輔から酒作りを学んだヴァルガスは首を捻る、少なくともラターナでは家畜の餌や花を鑑賞用に育てるのが一般的なのだ。

 「小麦やオリゼで作る焼酎もありますけど、いつもヴァルガスさんにだしてるのはこの芋焼酎ですよ。バルタはどこで手に入れますか?」

 「カリーナはケパとスターキーで手一杯だしな、栽培は他の農家に頼むとしよう。コネがない訳じゃない」

 

 「自分達だけ美味しいモノ食べようなんてズルいでありんす!」天界に戻ってきた女は2柱の神様に詰め寄る。

 「べ、別に独占する気はなかったのよ、ねぇ」

 「そうでちゅ。その内お(ちゃちょ)いちようかなぁなんて… (うちょ)じゃないでちゅよ」

 「どうでありんしょ?」地球のオカマ神とこの異世界の幼女神にジト目を向ける彼女、その正体はどちらの世界でもないまた違う次元にある別世界の女神であった。

 「ほな、次はあいつらも連れだっていきんなんしょ、ヌシらの奢りで。せや、今度の会合はあの店でやればよろしおす。あ~楽しみやわぁ~」ニヤける花魁女神に対しガックリ項垂れる2柱、どうやら越後屋は王族どころか神々の御用達にもなりそうである。




私は越後屋をどうしたいんでしょう?どんどんおかしな方へ向かってる気がします。
・バルタ→さつまいも
※神々のフルコース
・前 菜→未定
・スープ→未定
・魚料理→未定
・肉料理→未定
・ソルベ→未定
・メイン→未定
・サラダ→未定
・デザート→大学芋
・ドリンク →未定

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