異世界料理店越後屋   作:越後屋大輔

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やっとこちらの話がまとまりました


第78話雑貨屋と明太子スパ

 Cランク程度の冒険者だったヒューイとミザリーの夫婦は大した功績も残せないまま盛りの年齢を過ぎて引退する事になった。別にこの2人が人より劣っていた訳ではない、冒険者とは本来食い詰めた奴らが最後につく職業だしそこで名声をあげて一攫千金など夢のまた夢。あの噂のサル獣人の一行ほどの実力者だって約3百年振りに彗星の如く現れたのだ、大抵は志半ばで魔物や猛獣に襲われたり盗賊退治のつもりで返り討ちに遭い命を落とす者も珍しくない。だからこの夫婦はむしろ運が良かった部類に入るだろう、今は2人の子供を育てながら雑貨屋を営んでいる。

 

 「父ちゃん、母ちゃん早くいこー」8才の息子シーダが両親を急く、3才の娘サニーも朝からそわそわして落ち着かない。

 「待ってろ、今エチゴヤさんに納品する品物を用意するから」この日の夕刻、店を閉めてからヒューイはバターやカッセや蜂蜜等を荷車に積んで一家で越後屋へ向かう。エドウィンには牧場がなく養蜂場も街外れにあるのでヒューイ達の雑貨屋が一手に仕入れて街の家庭や商家に売っているのだ。

 

 「ごめん下さーい」営業中の越後屋にヒューイは入口から訪ねる、普通出入りの商人は裏口から入るモノだがここにはその裏口がないからしょうがない。

 「ヒューイさん、ミザリーさん、いつもありがとうございます。では品物をチェックさせてもらいますね」大輔はパックスと一緒に荷車から木箱を下ろして中身を確認する。

 「確かに受けとりました、ところで今日はどうなさいますか?」ヒューイ一家は越後屋に配送する時、たまに夕食をここですませる事がある。

 「ええ、いただきます」ヒューイが答えると子供達のテンションが一気に上がる。

 「ねえ母ちゃん、オラパスタが食べたい」

 「私もぉ」

 「ワガママ言わないの、大して予算ないんだから!」ミザリーは子供達を叱るが

 「ご心配なく、お一人様1アル以下になりますから」気まずい夫婦だった。

 

 「お待たせしました、メンタイコスパゲッティーです」一家は目をパチクリさせる。この店でパスタを食べるのは初めてじゃない、だが今日のはいつものとは違っている。燻製肉やケパが合わされているのは一緒だが今日のはパスタそのものがほんのりピンク色に染まっていて同じ色の細かい粒が全体を覆っていた、その頂点には細かく刻まれた黒い紙が乗っている。

 「しかしマスターが変なモノだす訳ないしな」と思いつつヒューイはパスタを一本だけ食べてみる。

 「これは程よいピリッとした辛みが、赤カプシンか。それだけじゃなくて磯の香りがするな、何を入れてるんだ?」

 「サウル加減がちょうどいいわね、見た目からもっとキツイ味だと思ったけど油っぽさもさほど感じない」

 「ウホォー辛ぁい、でもうんまぁい」

 「さっすがぁ、母ちゃんの料理より1000倍旨ぁい」

 ゲ・ン・コ・ツ!

 「ご馳走さま、じゃこの次もヨロシク」

 「ええ、またのお越しを」

 

 「今日の料理も旨かったなあ。まああれで身を立ててんだから当然といえばそれまでだけど」帰り道、荷車を引きながらヒューイは妻と会話をする。

 「そうね、シーダじゃないけど私には真似できないわ」後ろから荷車を押しながら同意するミザリー。

 「しかしウチのガキ共は暢気なモンだな」シーダとサニーは荷車に陣取って早くも寝ついている。

 「ZZZ…父ちゃん母ちゃん、今日はオラの奢りだゾ。腹いっぱい食べてね」

 「ハハッ。シーダの奴、夢の中で俺達にご馳走してんのか」

 「将来に期待してるわよ、シーダ」荷車はズッシリと重いが子供達の為ならこのくらい平気である。今の2人は一攫千金なぞ興味もない、家族4人で仲良く笑って暮らして行ければそれで充分幸せなのだから。

 

 




この一家、実はモデルがいます、お分かりでしょうか?
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