異世界料理店越後屋   作:越後屋大輔

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最近こちらのアイディアが枯渇気味で…、どなたかオリキャラや料理を考えて下さる方はいらっしゃいませんか?


第86話ヴァルガス家とフルーツポンチ

 今度商業ギルドで新しい野菜を扱う事になったのでヴァルガスは今までにない使い方を教えてもらおうと大輔を自宅に招いた。

 「普通に売っただけじゃ仕入れ分を捌けんからな、マスターの知恵を借りたいんだ」これを受けて大輔は

 「それなら僕1人より複数の地元民の意見が必要ですね、とりあえず従業員に声をかけておきます」こうして店の定休日の日、ヴァルガスの自宅に全員集合したのである。

 まずはヴァルガスの妻シンシアがこちらではごく普通の野菜の塩煮を作りみんなに振る舞う。

 「どうかしら?」普段の家庭料理ならそこそこ自信のあるシンシア、何せ主婦歴は長く夫と3人の子の食事を毎日作ってきたのだ、だが金物屋姉妹やラティファはまだしもエクレアに来て久しいとはいえ別大陸生まれのニドや異世界人の大輔やパックスの口に合うかどうか不安な面持ちで問うてみる。

 「ええ、美味しいです。これがこちらの家庭の味なんですね」大輔に褒められホッと一安心したと同時に若干照れ臭くなる。

 「まあ、専門職の人にそう言ってもらえると嬉しいわ」

 「まあ、食い飽きてるがな」ヴァルガスが口を挟むと案の定シンシアに小突かれる。

 「あ、あはは(苦笑)、確かに宣伝するには家庭料理のレシピじゃ捌き辛いですね」

 「だろ?だからマスターに目新しい料理を教えてほしいんだ」

 「ええ、何か試作します。ところでこれって中身がありませんでしたか?」

 「流石によく知ってるな、仕入れ先曰く見た目が不気味だってんで捨てちまうらしい」

 「僕にしてみれば中身の方が調理しやすいんです、そちらを取り寄せて頂けませんか」

 「ああ、構わん。向こうも厄介払いできて喜ぶだろう」また改めて試食会をする事になりその日はお開きになった。

 

 翌日の営業日にラティファは学校の友達も試食会に誘いたいと大輔にお願いをした、客としてきていたヴァルガスからも許可を得られ次の日学校に着いてその友達を招待した。

 

 次の定休日に再びヴァルガス家に集まった越後屋一同、今日はジャップ一家も招かれていた、実はラティファが招待した友達がジャップ夫妻の里子マチルダなのである。

 「商業ギルド長、本日はお招きありがとうございます」

 「先生、今日は固い事ぁ言いっこなしだ、それよかこっち(・・・)はイケる口かい?」親指と人差し指を合わせ口元へ寄せるヴァルガスのジェスチャーをみて察したジャップ、堅物なイメージの彼だが決して嫌いではなくむしろ好きである。

 一方ヴァルガス家のキッチンを借りて料理を作っている大輔、シンシアはその様子をじっくり観察している。

 「まあ、煮たり焼いたりする以外にも色々な料理があるのねえ」

 「すみません、これからデザートを作りますので先にこちらを食卓に出して下さいますか?」

 「ええ、いいわよ。これも美味しそうね」

マチルダやラティファもシンシアを手伝い料理と取り皿を並べる。

 「まずはテンプラ、それとこれはキムチというピクルスですって。殿方にはお酒も用意してあるわよ」

 「こりゃ随分赤いな、カプシン粉か?」

 「口にするにはいささか覚悟がいるようですな」といいつつもヴァルガスとジャップは口へ運ぶ。

 「なんだ、思ったほどから…ヒィ~きたーっ!」殆ど無意識にグラスの酒で辛味を胃に流すヴァルガス、あまりの辛さにジャップも涙が出ているが

 「確かに相当辛い、しかしクセになりそうな辛さですな。皆さんはご経験済みで?」従業員一同に聞いてみる

 「マスターが違う野菜で作ったのを食べた事があります」

 「辛い料理は減量に効果あるらしいよね」

 「アンタは黙ってなさい!」

 「オイオイ、人ン家で姉妹喧嘩はやめてくれよ」

 「おいら、辛いの苦手」

 「ゾーン大陸にも似たようなモノがありました、でもこれほど美味しくはなかったですね」

 「ただ辛いだけじゃなくて野菜の甘味やサウルの味もしっかり感じられるのね」意外にもジャップの奥方は落ち着いて吟味している。

 「「うぅ~お水ぅ~」」揃って同じセリフを吐くラティファとマチルダ。

 「嬢ちゃん達はお気に召さなかったようだな、大人でもこれはしんどいしな」苦笑しながらシンシアが持ってきた冷たいお茶を薦めるヴァルガス、ふとテンプラに目をやるとなにか閃いたらしくキムチと重ねて食べる。

 「テンプラと一緒だと辛さが和らぐな、しかもサッパリ食える」

 「どれ私も、ウムこれはよいですな」

 

 幾つかの料理を堪能したみんなの元にこの日全ての料理を作り終えた大輔が最後の皿を食卓へ運んできた。これまで食べていたこの球体の野菜を器にして捨てられてるという中身を一度取りだし果物や白玉、今回は炭酸水を使わずこの野菜の果汁を活かし自身を含めた大人向けにウィスキー入りも用意する。

 「お待たせしました、デザートのフルーツポンチです」

 「これがマスターの言ってた中身を使った料理っつーかデザートか」

 「これも真っ赤だな、しかしカプシン粉の赤さとは違う」各自リーポで自分の分を取り分ける。

 「あっまい!美味しいこれ」

 「これが野菜か?」

 「捨ててた奴ら、これを知ったら悔しがるだろうな」

 「この白いのはオリゼを練っていますな、甘いモノにも合うとは驚きました」

 「ギルドで上手く宣伝すりゃ売れ行きが伸びるな、マスターんトコにも卸させてもらうぜ」

 「はい、よろしくお願いします」メーロというこちらの野菜を久し振りに調理した大輔には充実した日であった、なおこの野菜は現代日本ではスイカと呼ばれている。

 

 

 




また二次モノに戻ります、ご勘弁を。
m(._.)m

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