人は争い、奪い、憎しみ合う....それは今までの歴史が物語っている。
そして、そんな世界は矛盾した世界だ。何かを守るためには何かを犠牲にしなければならいない。それを繰り返せばまた憎しみが生まれる。
「フフ、まるでイタチごっこだな....」
広い音楽ホールに一人たたずむ仮面の男。彼はずっと、考えていた。人は何故こうも愚かなのか?何かを犠牲し、何かを守るなぜこんなにも不器用なのだと?彼はこの世界に絶望していた、そして彼はいつしか決心していた。
『こんな世界は壊してしまおう』
そんな時に彼は求めていた力に出会ったのだ。立花明人....世界を破壊できるだけの力を持つ者。彼はその力を欲した。そして、彼も辿りついたのだ自身の体を犠牲して、この世界を破壊する方法を彼は手に入れた。
「さぁ、いよいよ始まるぞ。川神崩しの時間だ」
その言葉を口にした仮面の男の目は紅く、ただ紅く、輝いていた。
☆
川神学園・屋上
「立花明人、お前の言っていた薬の件調べておいたぜ」
「お忙しい中すいません。あずみさん」
「まったくだよ、アタイは英雄様に仕えて忙しいってのによ」
「他に頼れる人がいませんから」
俺は先日の男から回収した薬を英雄のメイドをしている忍足あずみさんに解析を依頼していた。あの男が何故写輪眼を持っていたは分からないがこの薬と関係あると俺は思ったからだ。
「それで、成分のほうは?」
「基本的な部分は麻薬と変わらないだが、少し妙なところがあってな」
「妙なところ?」
俺は思わず聞き返した。あずみさんは頷いて話し始める。
「この薬、投与してから何日か掛けて、脳の視神経に作用するんだ。おそらく、これがお前が言っていた目の変化ってやつだと思うぜ」
視神経に作用....間違えない、この薬を打てば誰でも写輪眼を手に入れられると言うこと。そして、確かなのはこの川神で何が起こっていること。これは早急に対処する必要がある。
「明人、九鬼から忠告だ。この件からは身を引け。この問題は九鬼で処理する」
「それは無理ですね。川神で起こる問題は俺の問題でもある」
「これは遊びじゃねぇんだ。もう、負傷人も出てる。しかも、お前は一般人で英雄様のご友人だ。そんな奴に何かあってみろ、それこそ問題だ」
確かにこれは遊びじゃない。この薬のせいで失目している人だっている。これはもう、一般人が出る幕じゃないのかもしれないがこのまま、放って置くわけにもいかない。それで、万が一にファミリーの皆に何かあったら俺は....
「俺なら、大丈夫ですよ。それはあずみさんが良く知ってるでしょ?」
俺はあずみさんに笑いかける。
「分かった。でも、何かあったら報告しろよ」
「はい、それはもちろん」
そして、俺とあずみさんはそれぞれの教室に向かった。
その日の放課後から俺は捜査を開始した。
☆
川神・親不孝通り
「あの〜すいません」
俺は早速、親不孝通りにいる不良に薬の出どころを聞いたが....
「あ?誰だてめぇ?」
五人組の不良が俺の周りを囲んだ。
「この薬のことを調べてるんですが、どこで貰えるか分かりますか?」
そう俺が言うと周りの不良達は笑い始めた。そして、リーダーらしき男が俺の胸ぐらを掴み。
「知っててもお前なんかに教える分けないだろ!ボケェが!!」
とそのまま、俺に殴り掛かってきた。それと同時に周りの不良達も俺に向かって襲いかかってきた。
「はぁ、仕方ない」
結局は力づくか....上手くいかないもんだな。
数分後....
「で?本当に知らないの?」
リーダーを地面に倒し、その上にまたがり腕をいつでも折れるようにしておく、徐々に腕を上げていき、相手に痛みを与えていく。これが一番効果的だ。
「知らねぇって言ってんだろうが!早くどきやがれ!」
男はジタバタと暴れる。俺は男の顔を掴み目を見る。すると男は大人しくなり、目も朧気になった。
「で?この薬はどこで手に入る?」
再度男に同じ質問をする。すると、男は無気力な声で話し始めた。
「はい、この先の道のさらに奥に潰れた音楽ホールがあります。そこにいる仮面の男から自分は貰いました」
「仮面の男....はい、ご苦労さん」
俺は男を開放し、その場所を後にする。
☆
男の言ったとおり、その音楽ホールはかなり奥にあった。潰れたとは思えない程外装は綺麗だった。
「川神にこんな場所が....」
扉は開いており、中に入ると広いロビーに出た。そこで聞こえてきたのはパイプオルガンの音だった。壁越しからでも聞こえる完成された曲。確かこれはアメイジング・グレイスだったかな。そんな事を考えながら音が聞こえてくる扉を開けた。
広いホールに観客は誰もいなく、パイプオルガンの席にポツンと座り演奏している者。背中しか見えないが体格からして男。その男が奏でるパイプオルガンの音色はとても落ち着くものがあり、聞いている者の心を癒すような演奏だった。
やがて、演奏が終わり。男はこちらに向き直る。片目の空き、螺旋の紋様が入った仮面を付けている男。
「まさか、ここまで来るとはな。初めましてだな、立花明人」
「そうだな、あんたは俺のことを知ってるみたいだが」
「まぁ、それなりにな」
その空いた穴からは紅く光る目が見えた。こいつも写輪眼を持っている。
「あんたは一体何者だ?」
俺の質問を鼻で笑った後に仮面の男は言った。
「俺は何者でもない、何者でもいたくないのさ」
「そうか、ならトビと呼ばせてもらうよ」
NARUTOで言うならこいつの立ち位置はそこら辺が妥当だろ。
「好きにしろ。で?俺に用があるんだろ?立花明人」
「あぁ、お前がこの薬を何の目的で撒いてるかは知らないが今すぐやめろ。これは警告だ」
「なるほど、お前はその薬についてどこまで知っている?」
「俺と同じ目を作る薬だろ?」
「近からず、遠からずだな。その薬はな俺の駒を作るための薬だ!」
と言うとトビは印を結びだした。
「分布月読!!」
その紅く輝く目がさらに怪しく光出した瞬間。あいつが立っているステージの端から続々と人が出てきた。そして、その皆が写輪眼を持っていた。
「これは?」
「その薬はな、たんに目を増幅させる薬ではない。その目を持つ者は皆俺の幻術に掛かるんだよ。恐れず、痛みを伴わず、ただ、俺のために動く俺だけの兵を作るための薬だ。すでにここ近辺には撒き終わっている」
「お前の目的はなんだ?」
「俺の目的か?そうだな、しいていえば世界の破滅。だが、今は川神を潰すことだ!」
仮面の男はそう言った。暗く、この世に絶望している声を出しながら
「そんなことはさせない!」
俺は仮面の男に飛び、須佐能乎を出し、トビに殴りかかったが須佐能乎の拳は届かなかった。黒い骸骨に阻まれた。
「ばかな!」
「お前だけがそれを使えると思っていたのか?」
俺はすぐさま距離を取った。俺がいた場所は骸骨の拳が振り下ろされていた。そして、骸骨はみるみる俺と同じ二面四腕の阿修羅の形になった。
『オォォォ!!』
トビの須佐能乎が雄叫びを上げる。
「さて、川神崩しの余興だ。存分に踊ってもらうぞ!立花明人!」
トビが俺に須佐能乎で向かってくる。
「舐めるな!」
俺も須佐能乎を展開し、迎え撃つ。両者ともに刀を須佐能乎に持たせ、切り合う。ホールに剣がぶつかり合う轟音が鳴り響く。
「八坂ノ勾玉!!」
俺は須佐能乎に勾玉状の遠距離武器を持たせ、トビへと投げた。トビはそれを刀でホールの上へと弾き飛ばした。上から崩れた天井が落ちてくる。
「なかなかやるな、立花明人。少し、甘く見ていたか....。もう少し遊んでやりたいんだがな。あいにく俺は忙しい。後はお前達に任せるとしよう」
そうトビが言うとステージから飛び出してくる影が四つ。
三人は女子で一人は男。薄紫の髪に棒のような武器。青髪に眠そうな目。赤いツインテールにゴルフクラブ。黒髪の長髪の男。
「板垣一家か!」
俺がそう言うと棒を持つ、女性が
「へぇ、私達を知ってるのかい。面白いじゃないかい」
「ウチら知ってるならウチのヤバさもしってるだろ?」
「Zzzzz〜」
「おい、辰ねえ。寝るなよ」
そして、こいつらがいるっているってことは....
「やっぱり、あなたですか」
板垣一家の後ろから歩いて来た男。かつて、川神院の師範代。
「釈迦堂さん!」
「よぉ、明人元気そうだな。相変わらず怖い目だ。お前ら相当強いぞ覚悟して行け」
釈迦堂さんがそう言うと四人は一人づつ名乗りを上げた。
「長女板垣亜巳!」
「次女の板垣辰子」
「長男板垣竜兵!」
「三女板垣天使!」
そして、四人は同時に俺に向かってきた!
崩れ行く、ホールの中で激闘が始まろうとしていた。
次回は板垣一家と釈迦堂との戦いです。
気長にお待ちください!