最初に仕掛けてきたのは竜兵だった。
まっすぐ、俺に突進してきて拳を振りかざす。
「オラァ!」
「ぐっ!」
それを腕でカードしたが予想をはるかに超えた威力に俺は後ろに吹き飛ばされる。
「まだまだ!」
拳を放った竜兵の後ろから天使が勢い良く飛び出し、武器のゴルフクラブで攻撃を仕掛けてくる。
「須佐能乎!」
天使のゴルフクラブが届く前に俺は須佐能乎を発動させ、それを防ぐ。
「これは対策してるぜ」
すると、天使がニヤリと笑みを浮かべて即座に須佐能乎から距離をとった。
「辰ねぇ!」
天使の後ろから辰子が現れバス停で須佐能乎を攻撃した。普通の攻撃なら須佐能乎はびくともしないが辰子の攻撃は壁越えの力とほぼ同じそれを真正面から受けた須佐能乎には亀裂ができ、それが徐々に大きなっていった。
「こっちも忘れんなよ」
俺の背後に回っていた釈迦堂さんの気を込めた拳を須佐能乎の背後に直撃する。そして、須佐能乎の背中にも大きな亀裂がはしり須佐能乎が砕け散る。
そして、辰子が追撃の構えをとる。
「決めるよ。たつ!本気でいきな!」
長女板垣亜巳のその言葉を聞き辰子の目は鋭いものに変わり。さっきとは比べ物にならない威力の攻撃が俺の左脇腹に直撃した。
「ぐはぁ!」
自分の体から無数に鈍い音が聞こえ、俺はドアを突き破りホールの外に吹き飛ばされる。何度も地面に叩きつけられようやく俺の体は安定した。腹には痛みが走り、上手く体に力が入らない。
「クッソ!」
立ち上がろうとすれば力が入らずまた俺の体は地面に倒れる。そして、腹から何か熱いものが逆流してきそれを吐き出した。
「ごほ!ごほ!はぁはぁ。まじかよ....」
地面には赤い血の塊が落ち真っ赤に染めていた。これ全部俺の血かよ。
「へぇ、辰のあれをくらって生きてるとはね」
さっきまでホールで戦っていた。板垣一家と釈迦堂さんがいつの間にか俺の前に立っていた。
「まぁ、これで終わりだけどね。天やりな」
亜巳に命令され天使が俺の前に立ちゴルフクラブを振り上げる。
「ま、ウチらを相手にしたのが間違えだったな」
ダメだ....意識が....。
『これが俺の限界か....』
俺はそっと瞼を閉じた。そして、天使のゴルフクラブは俺の頭部に当たらなかった。
「随分な姿じゃないか。明人」
聞き覚えのある声に俺は目を開ける。そこには幾度となく俺に勝負を挑んで来た武神の姿があった。
「もも....よ?」
朦朧する意識の中に確かに俺は仲間の姿を見た。百代が天使のゴルフクラブを受け止めていた。
「私だけじゃないぞ」
そう言うと百代は後ろに目線をやる。俺はそれに合わせ後ろを見る。そこには
「風間ファミリー参上!」
俺の大事な仲間がいた。
「大丈夫か明人。さぁ、自分が肩を貸そう」
クリスがすぐさま俺に駆け寄り肩を貸してくれる。
「みんな、どうして?」
「水臭いぞ明人!全部一人で抱え込むなんて」
俺の質問に対してキャップこと風間翔一が言う。
「俺達仲間じゃねぇか!もっと俺達を頼れよ!」
「そうだぜ明人。全部自分でしょいこむなよ」
「僕達も力不足かもしれないけど精一杯頑張るよ!」
「頭脳戦ならやれるさ」
キャップの言葉に岳人とモロ、大和が続けてくれる。
「そうよ、明人。アタシも明人を手伝うわ!」
そして、俺の隣には風間ファミリーの女性陣が並んでいた。
「はい、私も明人さんには大きな恩がありますから」
刀を鞘から抜きながらまゆっちが言ってくれる。
「うん、困った時はお互い様」
次に弓を引きながら京。
「そうだな、明人は自分の過ちを正してくれた恩人だ。その恩返しをさせてくれ」
そして、俺の肩を持っていたクリスが俺の目を見て言った。皆自分の危険をかえりみず俺に協力してくれる事にとても嬉しかった。
これが仲間か....
俺が一番欲しかったものだ。この関係が壊れるのが怖かった。だから、俺は一人で色々やって来た。でも、それは間違えだったと痛感する滑稽な話だな。
「明人。ここは私達に任せろ!お前は追う奴がいるんだろ?さっきから丘の方で黒い気配を感じる」
俺がそう考えていると百代がそう言って。天使のゴルフクラブを弾き飛ばす。
「釈迦堂さん!あなたは私が相手する!」
百代は釈迦堂さんに威圧的な目を向ける。
「ちっ、面倒なことになったな」
釈迦堂さんはそう言いながら。構えをとり、それに合わせ板垣一家も各々臨戦態勢に入った。
「クリスありがとう。もう大丈夫だ」
「無理をするな。骨が折れているぞ」
「大丈夫だ応急処置は終わっている」
クリス肩を担がれている間に自己修復し、なんとか一人で立てるようにはなった。俺は百代達に背を向け、あいつの元へ走り出す。
「みんな!死ぬなよ?」
「「「「「「「「「当たり前だ!!」」」」」」」」」
俺はその言葉を聞き、丘へと走り出した。
最後の戦いが始まろうとしていた。
川神市・丘
ここでは、川神の町並みを一望できる。時刻は既に夜になっており街の光がとても綺麗に輝いていた。
それは一人で眺めている男がいた。片目が空いた仮面を付け、どこか寂しげな雰囲気を出し、ただ町を見ていた。
男はこの世を憎んでいた。
人が織り成す憎しみの連鎖。妬み、嫉みから争いは産まれ小さな物はいつの間にかに大きなものになり戦争へと発展した。男は家族を失った人が作った憎しみによって男の家族は殺されたのだ。以来男は全てを恨み生きてきた。そして、一つの答えが男の胸に生まれたのだ。
『この世界に希望は無い。あるのはただ深い絶望のみだ。だったらこんな世界壊してしまえばいい。そして、新たな世界を作ろう』
そんは時にあの目にあったのだ。男は一目で直感した。この力さえあれば世界を作り直せると。そして、男はあらゆる知識を貪りあの薬を完成させたのだ。
『この力があれば世界を創れる!まずは川神から滅ぼす!』
その信念抱き男は川神へと足を踏み入れた。それがある一人の男に阻止されつつある。
「希望など無い!あるのは絶望のみだ!」
男は誰もいない夜空に叫んだ。返すものはいないと思っていた。
だが....
「そうでもないさ」
後ろから男に声がした。自分の力の根源を持つ者の声が男はゆっくりとその者の方を向いた。
「来たか....立花明人」
「止めにきたぞトビ。この世界にはお前が思うほど絶望なんか無いってこと教えてやるよ」
そう言った者の目の色は赤では無かった。紫色の目に螺旋状の模様が入り見ているだけで吸い込まれそうになる。そんな目をしていた。
「なんだ?その目は?」
「これの目は輪廻眼、写輪眼の行き着く先だ。これでお前を打ち倒す」
「面白い!やれるもんならやってみろ!」
闇に生きる者。光に生きる者。それは必然だったのかもしれない。偶然だったのかもしれない。そんなことは誰にも分からない。ただ、目の前の者を倒すことこそが自分の使命だと彼らは直感したのだ。
「「この世界は」」
今ここで
「終わらせる!」
「終わらせない!」
光と闇の戦いが始まる....
長い間お待たせしました。
トロンボーンと呼ばれた男です。
色々と一身上の都合がありまして、投稿が遅れてしまいました。すいませんm(*_ _)m
さて、やっとここまで来れたと自分の中で大きな達成感がありますね。次回は遂に決着でございます!首を長くしてお待ちください!
それと次回から語り手を明人の一人称から三人称に変えたいと思っています。読者の皆様は混乱するかも知れませんが宜しくお願いします!
では、今回はこのあたりでさよなら〜m(*_ _)m