普段見れない主人公の一面など見れるかも知れませんお楽しみください!
番外第一話 : ワン子との一日
一部の者しか知らない川神襲撃からはや数日経った。あれから川神は平和そのものだった。釈迦堂、板垣一家の行方を九鬼が突き止め監視を始め不安の種は徐々に消えて行った。
そして、川神襲撃事件の一番の貢献者はというと....
「う〜ん、分からないわ。明人助けて〜」
武神川神百代の妹である川神一子に明人の家で勉強を教えていた。明人はこの事件がきっかけで仲間達との親睦を深めようと思っていた。明人はファミリーの皆にどことなく距離を開けていたと思う様になっていた。自分の居場所なのに結局一番繋がりから逃げていたのは自分だと明人は再確認したのだ。
「ワン子、そこはさっき教えたろ?ノートを見返してみろ。公式が載っているから」
「う〜分かったわ。え〜と、あった!これね」
一子は明人と先程一緒に覚えた公式を見つめ数式と格闘していた。かくゆう明人とはというと
「♪〜」
鼻歌をしながらお茶の準備をしていた。キッチンは綺麗に整理されており清潔感に溢れている。明人との家は住宅地にある普通の家だが明人の両親は共働きのため現在は一人で暮らしている。一人であればこの家の広さなら充分過ぎるぐらいである。リビングには食卓机があり、そこから少し離れた所には大きめのテレビに小さめなテーブルにソファと本当に充分な設備があった。一子はテレビの前に置いてあるテーブルでノートと格闘していた。
「どうだ?分かったか?」
お茶と焼き菓子を持って一子の隣に座る。一子は明人が持ってきた焼き菓子を一つ食べ苦悶の表情を浮かべた。
「分からないわ」
「はぁ、じゃあ一緒にやるか。見せてみろ」
「うん!」
その言葉を聞き、一子の顔には笑顔が戻っていた。
それから、一子は極力一人でやりどうしてもの時は明人の力を借り着々と問題を解いていった。
「終わったー!」
「お疲れ様」
用意したお茶もお菓子も全て食べ終え一子の今日のノルマは終了した。すると一子は電池が切れたロボットの様にテーブル突っ伏した。
「普段から勉強してればこんなことにはならいんだぞ?」
「分かってるけど、どうしても鍛錬を優先しちゃうのよね」
「ワン子は俺との鍛錬してるんだからもう少し鍛錬の量を減らしても問題無いんだぞ?それにもしワン子が体を壊したりしたら大変だ」
「心配してくれてるの?」
「当たり前だろ?」
「ありがと」
一子は明人に満面の笑顔を見せた。明人はそれに返すように優しく微笑んだ。すると、ふいに一子が明人の方に頭を寄せてきた。
「ワン子?」
あまりに突然なので明人も戸惑う。明人の問いかけに一子は答えずに明人の服を掴む。そして、先程とは悲しげな表情で話し始めた。
「本当はね。怖いんだ」
「怖い?」
「もし、このまま実力が付かなかったら明人の努力して来たのが無駄になっちゃうって」
それは一子の本心だった。一子は滅多に弱音を吐かない。だから明人は意外だった。だからこそ明人は一子の頭を優しく撫でる子供をあやすように
「無駄にはならないぞ。お前が努力して来たことは俺が誰よりも知ってる。それにまだ結果が出てないのにそうやって決めるなよな」
「うっ、ごめんなさい」
その言葉に明人は微笑む。
「一子久しぶりに髪とかしてやる」
明人は近くにあったブラシを持ち、自分の膝をポンポンと叩く。明人は昔一子の髪をよくとかしていた。一子もそれを受けいれていた。
「うん!」
一子はなんの抵抗も無く明人の膝の上にチョコんと座る。一子は小柄なのでとても軽く華奢だった。
『こんなに華奢だったんだな。一子って』
一子の後ろ髪をとめている髪飾りを外すと上で結ばれた綺麗な髪がフワッと降りてくる。その瞬間に甘い香りが明人の鼻をくすぐり脳を揺らす。
「明人が髪とかしてくれるの好き」
「そうか?俺もお前の髪をとかすのは好きだからな」
と言って一子の髪を丁寧にそして優しくとかしていく。
「一子大丈夫だ。お前がどんなに道に迷っても俺が引っ張るやる。だから安心しろ。俺はもうどこにも行かないから」
「うん、明人。これからよろしくね」
それはお互いの決意だった。一子は川神院の師範代を目指す夢を諦めずに進んで行く。勇往邁進の心で
「でも、いつまでも引っ張られるつもりは無いわ!いつか明人を追い越してみせるわ!」
「はは、そのいきだ」
それから一子は明人の手料理を食べ満足そうに川神院に帰って行った。
この番外は甘めに作って行こうと思います。
追記
番外の技集を更新しましたのでよければ見てみてください。