第五話: 波乱の予感?
川神市の川原でワン子は明人に修業をつけてもらっていた。
「川神流・蠍撃ち!」
「ダメだ!踏み込みがなってない!」
「押忍!!はぁっ!!」
俺にひたすら技を打ち続けるワン子、それを弾き何度も反撃を入れる。それでも、ワン子は負けじと俺に向かってくる
なぜ、こんなことになってるかというと話は数ヶ月前に遡る....
俺はワン子が川神院の師範代になり、百代を支えるという夢を聞いた時にワン子のことを写輪眼で見たのだが、ワン子に流れる気はそれほどの力を感じなかった。
そこに関しては俺がとやかく言うのは良くないと思い、俺は鉄心さんに話を聞いた。そして、ワン子はこのままでは師範代になるのは難しいことを知った。
鍛錬の問題とかそんな問題ではなく、才能の話....
俺はそれをワン子に伝えた。話してる時も俺は自分が最低なことをしていると思っていた。ワン子はそれを聞いて、泣き崩れた。
今まで夢のために百代のために頑張ってきたのにそれが才能と言うたった二文字で片付けられるのが耐えられなかったのだろう。
納得がいかなかった。俺はワン子が誰よりも努力して来たのをずっと近く見てきた。それなのに才能が無いなんて....
「ワン子!」
俺はとっさにワン子の両肩を掴んでいた。ワン子はそのまま、俺に泣き付いてきた。
「ワン子、これはお前の人生だ。何をどうするかはお前が決めることだ。だが、もしもお前が師範代の夢を諦めないなら俺が鍛えてやる!」
「え?」
ワン子は涙を流し、赤くなった目を俺に向けた。俺は滲んでいた涙をそっと拭き取り言った。
「ワン子、まだお前には色んな選択肢がある。なにも師範代だけがお前の全てじゃない。でも、俺はお前が誰よりも努力して来たのを知っている。それを才能なんて言葉で片付けるのはあまりにも酷だ」
そうだ。それは事実かもしれないし、必然なのかも知れない。だけど納得がいかなかった。なぜこいつだけこんなに悲しまなければならないのか?
何もしないうちから諦めるのはひどく怠慢な事だから
「だから、もしお前が武道を続けるなら俺が鍛えてやる!でも、それで確実にお前が師範代になれるかは分からない。それはお前が決めるんだ師範代として努力するか、他の道を見つけるか。すぐに決めろとは言わないゆっくり考えろ。自分が後悔しない道を」
ワン子の答えは一つだった。
「アタシやるわ!諦めたくないから!」
その瞳は真っ直ぐに俺を見据えていた....
そんなことがあり、今俺はワン子を鍛えている。才能の壁を超えるのは難しいが、できないことじゃない。
「はぁはぁ」
ワン子は膝を付き息を整えていた。俺は後ろからアイスキャンデーを首に付けてやった。
「きゃあ!びっくりした!」
「はは、悪いな。ほれ」
そして、くっ付いていたアイスキャンデーを二つに割りワン子にあげる。
「ありがとう明人」
「気にするな。アイスぐらい、いつでも買ってやる」
「うん、それもあるけどもう数ヶ月ぐらいアタシの鍛錬付き合ってもらってるし....」
「言ったろ?俺が鍛えてやるって」
そう言ってワン子の頭を優しく撫でる。
「うん....」
ワン子はどこか申しわけなさそうな顔をしてる。
俺はその頬をグイッと優しく引っ張った。
「あひぃと?」
「もう、何回その顔してると思ってんだ?気にするなって言ってるだろ?」
「うん、ありがと」
「さて、今日はもう帰るかな。明日からまた学園だからな」
「そういえば、明日転入生が来るってじいちゃんが言ってたわ」
このタイミングで転入生といえば....あいつか。
あの空気読めない奴。キャップのことだあいつも仲間に誘うだろ。
京がキレる前に手を打っとかないとな....
「そうか、ワン子明日そいつに勝負挑んでみろ」
「え?まだどんな人かも分からないわよ?」
「安心しろ。俺の予想が当ったていればパツキンで碧眼の女子がくるはずだ」
「え!?なんでそんなこと分かるの?明人は預言者かなにか?!」
「勘だ」
まぁ、あながち間違ってもいないな転生者だし、俺。
「ちなみにそいつは強いぞ、武器はレイピアを使ってくるだろ。これ以上のヒントは無しだ」
「たまに、思うけど明人となんで先に起こることを知ってるのかしら?」
「この目があるからかな?」
と自分の目を指しながらはぐらかす。
「さて、じゃあ今日はもう帰れ」
「分かったわ!じゃあね!明人!」
と言ってワン子は走って帰って行った。
この数ヶ月の修業の成果を転入生との決闘でハッキリさせるワン子が勝てば良し、負ければ....いや、やめておこう。
「さて、俺も帰るかね〜。あ、晩飯は何を作ろうかね〜」
そんなことを言いながら帰る明人を見つめる少女がいた。
黒い髪に馬のストラップを持っており、なにより帯刀している。
「また、お話をする機会を逃してしまいました松風!」
「まゆっち焦りは禁物だぜ。明日学園で話し掛けるんだ」
「そんな!私にはとても....」
「そんなじゃいつまで経ってもお礼が言えないぜ!まゆっち!」
「はい!が、がんばります!」
....傍から見たらかなりのヤバい人である。ストラップと会話している。
彼女と明人は入学式に正門でぶつかり明人が松風を拾ってくれたのが出会いだったが、明人は彼女の話を聞かずに入学式の準備に行ってしまったために彼女は明人にお礼すら言えてなかったのである....
「黛由紀江。推して参ります!」
「そのいきだ!まゆっち!」
彼女の叫びが夕陽で照らされる河川敷に響いたのだった....
翌日....Fクラス
ここは明人達風間ファミリーがいる二年F組。
俺の予想通り転入生のクリスが来た。
「クリスティアーネ・フリードリヒ推参!」
まぁ、そこまでは良かったのだが....
「ヒヒーン!」
なぜに馬に乗っている!?
クラスの大半が口をポカンと開けてるぞ!
そんな事を考えているとワン子が行動に移った。
「あなたを川神の流儀で歓迎するわ!」
ワッペンを地面に叩きつけるワン子。
「なるほど、受けて立つ!」
クリスも担任の梅先生から説明を受け、決闘を受諾した。
「よし、では全員グラウンドへ。遅い奴は私の鞭で叩く!」
相変わらず梅先生は怖い....あれでリピーターがいるのだからたちがわるい。
二年S組
「お、なんだか決闘が始まるみたいだぞ」
Sクラスの担任、宇佐見巨人がSクラスの生徒に呼び掛ける。
「フム、どれ。っ!あれは一子殿ではないか!」
外の様子を見た、九鬼英雄が声を上げる。
「隣にいるのは今日転入して来た者か。ん?おぉ、我が友、立花明人もいるでないか!あずみ!我も一子殿を応援しに行くぞ!」
「かしこまりました!英雄様ぁぁ!!」
と言って英雄とあずみは教室を出ていった。
「まったく、山猿のケンカにいちいち騒ぎおって」
そう言ったのは優雅な着物を着た不死川心だった。
「まぁまぁ、たまにはいいではないですか。ねぇ、準」
Sクラスの頭脳役の葵冬馬がとなりにいたハゲ....ではなく、井上準に同意を求める。
「そうだぞ、不死川。アメちゃん食べるか?」
「いきなり気持ち悪いことを言うではないわー!」
「まぁ、心。マシュマロ食べる?」
今度は榊原小雪が不死川に言う。
「どいつもこいつも此方をバカにしよって!」
Sクラスは賑やかだった。
川神学園 グラウンド
今まさに、ワン子とクリスの決闘が始まるところだった。
「行くわよ!クリ!」
「なんだその呼び方は?だったら、貴様は犬だな!」
「どちらとも準備はいいか?」
梅先生が試合の進行を開始する。
「それでは、時間無制限!一本勝負!始め!」
ワン子の未来が掛かった一戦が始まる....!!
最近の楽しみとして、この小説の評価を見てニヤニヤしたり、感想を見てニヤニヤしてたりしてます。
どうも、トロンボーンと呼ばれた男です。
今回から二年生編と言うことで始まりました。ワン子の才能のお話やちょっと出てきた、まゆっちのお話など。
色々と詰め込みました。次回はワン子とクリスの決闘となります。楽しみにお待ちください!
それと、読まれている実感が欲しいので良かったら読者の皆様、感想を書いてみてください。どんな事でも構いませんので....
では、また次回!お会いしましょう!さよなら〜(^_^)/~~