いろんなところの整備士さん   作:ターボー001

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クラーラ書いたぞぉぉぉ!!!! 同志たち!!!


あとPCの状態悪くてルビが振れないです。すみません。








吸血鬼と妖精

老若男女問わず人、人、人の群れ。

 

 

そしてもう一つ、化け物、化け物、化け物の群れ。

 

 

本日プラウダ高校は文化祭であり、ハロウィンも近いとあって生徒全員が仮装して来校者を出迎えている。

 

 

 

 

もちろん俺も例に漏れず、安っぽい黒のマントと牙をつけて吸血鬼の仮装をして戦車道履修者達でやっている喫茶店の受付をしている。年代関係なく多くの人に来てもらって大盛況、受付作業をしながら横目で店の中を見るとスタッフ全員もせわしなく動いている。黒いバンダナを頭に巻きオレンジと黒の衣装を基調とした小悪魔風の衣装を着ているカチューシャがゆっくりとお茶を運ぼうとしているその後ろで、青っぽいロシアの民族衣装(何て言うんだろう?)を着たノンナがお茶をこぼしても大丈夫なようにスタンバっている。流石ノンナ、でもハロウィン関係あるのか?その格好。そんなことを頭の片隅に置きながら客を捌いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう~。」

 

 

午前の営業が終わり、午後の営業が始まるまで各自休憩となったので椅子に座り伸びをしていた。生徒全員が仮装しているというのが結構受けたらしく予想以上の売り上げを午前中で叩き出したとのことだ。ただその反面、午後も残っているのに疲労を隠しきれていないものが何名かいるようだ。両手を頭の後ろで組みながらそんな感想を思っていると目の前でカチャンと音がした。

 

 

 

「お疲れ様です、同志タクマ。」

 

 

 

目の前に妖精が現れた。いや、疲れて頭がおかしくなってるとかそういうのではなく、金髪碧眼の見知った顔の青い羽根を背中につけた妖精が現れたのだ。しかしすぐに湯気がその顔を少し隠してしまった。下を見ると紅茶とジャムが用意されていた。

 

 

 

 

「ありがとう、クラーラ。・・・にしても今日の紅茶はいつもより赤くないか?」

 

 

いつも用意してくれる紅茶も濃いものなので結構赤いのだが今日のものはカップの底が透けて見えない程に赤かった。

 

 

「同志タクマは今日は吸血鬼ですのでいつもより赤くしてみました。」

 

 

 

「ははっ。なるほど、血のイメージか。」

 

 

 

軽く笑い紅茶を少し飲み、ジャムのついたスプーンを口に含む。濃い紅茶であるがジャムの酸味がうまい具合に中和してくれる。この飲み方もすっかり癖になってしまった。最初は飲み方がわからずにジャムのついたスプーンをそのまま紅茶の中に入れ、かき混ぜてたらカチューシャの罵声が飛んできたっけ。

 

 

 

懐かしい記憶を思い出しながらリラックスしていると先ほど俺の目の前に座り、自分の分の紅茶も入れたクラーラがクスクスと笑いだした。

 

 

 

「? どうした?クラーラ。」

 

 

「同志タクマ、ほっぺにジャムがついてます。」

 

 

「えっ?嘘!? 恥ずかしい!!」

 

 

どこについてるのか探るため、両頬に手を添えようとしたが

 

 

 

「Приятного аппетита。」

 

 

 

クラーラの突然発したロシア語に動きが止まってしまった。俺の頭の上の?マークが見えたようでクラーラは説明してくれる。

 

 

 

「日本語の『いただきます』の意味に近いロシア語です。」

 

 

「へぇ~そうなんだ。・・・でも何で今、その言葉を」

 

 

 

刹那、頬に伝わるぬめり。クラーラの長いまつ毛が眼前にある。舌を出したクラーラがそれを口に戻す瞬間、その上に微量の赤いジャムが見えた。

 

 

 

 

「Спасибо, было очень вкусно・・・・これは日本語の『ごちそうさま』の意味に近いロシア語です。」

 

 

 

そう言って何事もなかったかのように紅茶を飲むクラーラ。そして俺の使ったスプーンでジャムをよそい、そのまま口に含んだ。優雅に紅茶を楽しむクラーラとは対照的に俺は紅茶の色よりも濃くなった顔をテーブルに突っ伏して隠していた。休憩時間が終わるギリギリまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうにか平常心を取り戻し午後の作業に励んで数時間経った頃、受付の接客中の俺に声が割って入る。

 

 

 

「同志タクマ。ご指名です。」

 

 

 

「は?」

 

 

 

日本語なのにノンナの言葉がわからず、素っ頓狂な声が出てしまった。

 

 

 

 

「行けばわかるわよ!!受付はこの偉大なるカチューシャ様が代わりにやってあげるから感謝しなさい。」

 

 

 

 

飲み物運ぶのに飽きてきただけだと思うが色々と面倒くさいことになるから言わない。

 

 

 

「はいはい。じゃあ2人とも受付頼んだぞ。」

 

 

 

そう言い残して喫茶店の中に入っていく。入るとすぐに女子スタッフの1人が俺を見るなり手招きをしたのでそちらに向かうと若い女性のお客さんが3名いた。

 

 

 

「すみません、一緒に写真を撮ってもらえませんか?」

 

 

 

 

 

話しを聞くと吸血鬼の格好をした俺と記念写真を撮りたいらしい。それも首に噛みついているというポーズの指定つきで。吸血鬼マニアなのだろうか? お客さんである以上、無下には断れないので了承するしかなかった。

 

 

 

 

「じゃあここら辺の首筋に噛みついてる感じでお願いします。」

 

 

そう言ってお客さんが長い髪をまとめて首筋を指差す。突然見えたうなじに少しドキッとしたが平常心を保ち、口を大きく開け、顔を傾けてカメラに牙が映るようにして首筋ギリギリまで近づける。体勢と表情をキープさせながら写真を数枚撮り、無事に終わった。

 

 

 

 

 

「ありがとうございました!!」

 

 

 

 

お礼を言うお客さんを見送り、さあ受付に戻ろうとした時に後ろから声がかかる。

 

 

 

「すみませーん。私たちもいいですか?」

 

 

 

「あっ、私たちも!!」

 

 

 

「えっ?写真撮れるの?じゃあ私たちもお願いします。」

 

 

 

・・・・・嘘だろ?

 

 

 

 

 

結局、午後の残りの時間は全て写真撮影に費やされてしまった。吸血鬼ってこんなに人気なの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人も化け物も少なくなった放課後。黄昏の陽で照らされるテーブルの上を拭いていると小さなウチの暴君が寝息を立てていることに気づいた。

 

 

 

 

「あーあ、気持ちよさそうに寝ちゃって。」

 

 

「無理もありません。慣れない環境と仕事で疲れたのでしょう。」

 

 

 

「いいぞ、ノンナ。あとの片づけやっておくからカチューシャをベッドに運んでこいよ。」

 

 

「すみません。同志タクマ、助かります。」

 

 

優しい笑みを浮かべながら静かにカチューシャを抱っこするノンナ。教室に入ってくるオレンジの陽も相まってすごく穏やかな気持ちになる。ノンナの背中を見送り、再びテーブルを拭き始めた。

 

 

 

数十分経ち、片づけも終わり日も落ちた頃、再び青い妖精がひょっこり顔を出した。ただし後ろの羽は外したようである。

 

 

 

「おお!!クラーラ。どうした?片づけは終わったぞ。」

 

 

 

「へぇ~そうですか~。」

 

 

何やら口を尖らせてアヒル口で答えてくる。機嫌が悪そうだ。

 

 

 

「どうしたんだよ? らしくないぞ。」

 

 

 

「同志タクマはずいぶんとモテるんですね~。」

 

 

 

 

・・・記念撮影の件のことを言っているのか?

 

 

 

「あれはただ吸血鬼の仮装が人気だっただけだよ。」

 

 

 

「Нет。」

 

 

すぐ否定された。

 

 

 

 

どう言えば納得してくれるのだろうと腕を組んでいるとクラーラが椅子を指差した。

 

 

 

「同志タクマ、それは何でしょうか。」

 

 

 

椅子には俺が着ていた安物の黒いマントが掛けられていた。文化祭が終わったのでいつまでも着ている意味もないので外したのだ。

 

 

 

「俺の衣装だけど。」

 

 

 

 

言い終わると同時にマントを手に取り、羽織ったクラーラはこう言った。

 

 

 

 

「自覚がない人にはお仕置きです。 Приятного аппетита。」

 

 

数時間前に聞いた気がするロシア語。その後どうなったかを思い出した俺だが時すでに遅し。

 

 

 

 

カプッ。

 

 

 

 

「いっ!!」

 

 

 

首筋に伝わる若干の痛み。歯と歯で肉を挟まれているが噛まれてはいない。甘噛みというやつだ。クラーラの唇が押し付けられてその柔らかさと温度が少しずつ首筋に伝わってくる。10秒ほどこの状態だったろうか。ゆっくりと歯を緩めて離れていくクラーラ。

 

 

 

 

「Спасибо, было очень вкусно。」

 

 

 

 

悪戯っぽく笑いマントを外すクラーラ。そして首筋を押さえ鼓動が早くなっている俺に羽織わせる。

 

 

 

 

「吸血鬼が金髪の若い女性を狙うのは定番ですよ? 同志・・・いや吸血鬼タクマ。」

 

 

 

長い金髪をかき上げて首筋を見せてくるクラーラ。ここまで言われたら退けない。

 

 

 

 

「Приятного аппетита。」

 

 

 

そう言って俺はクラーラに少しずつ近づく。

 

 

 

 

満月の夜、吸血鬼は大きく口を開け、金髪の美女のその首筋に噛みついた。

 

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