いろんなところの整備士さん   作:ターボー001

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戦場と化したコメント欄に応えるべく書いた物語です。
こちらの作品で戦場に赴いた方々の返信とさせていただきます。
(返信のネタがないので・・・・すみません。)

ダスビダーニャ!!同志タクマ!!


ちなみに作中の曲は本当にある曲なので気が向いたら聞いてみてください。


えっ?クリスマス?何を言ってるんだい?ピロシキでも食ってろ!!







サンタクロースが死んだ朝

 

 

 

 

スリープモードだった体が本能的に目を覚ます。目の前を泳ぐ白い物体は風に流され目視でわかるくらいに早く移動していた。寝ていた時より風が強くなり肌寒くなってきたようだ。身を起こそうとした時、腹部に重みがあるのがわかり目線を下に向けて確認すると金髪の小さな体躯の少女が手を組んで寝ている。今この時間、昼食後のお昼寝という偉大なシステムを生み出したカチューシャだ。彼女が起きるまで午後の授業は始まらない。おかげで下校の時間が遅くなりがちだが、お昼寝大好きな俺にとってはありがたすぎるシステムだった。カチューシャ様、ありがたやありがたや。・・・っと拝んでいる場合じゃなかった。なんでカチューシャが俺の腹を枕代わりに?という疑問は少し考えればわかった。いつもノンナの膝枕か室内のベッドで寝ている彼女だ、今日は外で寝るつもりだったが恐らくノンナが何か用事で一緒に来れなかったのだろう。「後で行きます。」とかノンナに言われ一人で寝床を探しに来たところにちょうど枕代わりになる俺が寝ていた、そして現在に至ると。こんなところだろう。しかしそうだとするとノンナの姿が見えないのが気になる。

 

 

 

「カチューシャと二人きりでお昼寝とはいいご身分ですね、同志タクマ。」

 

 

突如、カチャリという音と共に額に伝わる金属の冷たい感触。そこに焦点を合わせる。これは・・・・マ・カ・ロ・フ? マカロフだーーー!!!

 

 

綺麗な目から光が消えたノンナが俺にマカロフを突き付けて立っていた。ノンナはカチューシャの事になると誰であろうと見境なく粛清する。たとえ俺が相手であろうとも。何か弁解をしようと思案するが・・・その・・・ノンナは今立っている状態で俺は寝そべっている状態なのだ。彼女は制服でスカートだ・・・つまり・・・見えている。

 

 

 

「・・・・白。」

 

 

 

なんでこんな事言ってしまったのか、俺自身わからない。ただこれは事実。

 

 

 

俺の発言を聞いたノンナはすぐにスカートを抑えた。ブリザードの両頬に赤が灯る。普段見れない彼女に表情に可愛いなぁと思っていると涙目で睨まれ、再び額にマカロフが突き付けられ

 

 

「До свидания」

 

 

 

そして銃声が数発響いた。マカロフで撃たれたのに何故かデザートイーグル、ロケットランチャー、対戦車ライフル、IS-2で撃たれ、C4特攻されて降り際にグレネードと熱々のボルシチを投げつけられた気分になった。

 

 

・・・良い子の皆、例え本物でもモデルガンでも自己防衛以外で人に銃口を向けちゃいけないぜ。俺ちゃんとの約束だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨシヨシ、同志タクマ。」

 

 

「ううっ・・・クラーラ優しい。」

 

 

 

今の俺の状況は銃声を聞きつけてやってきたクラーラに膝枕されている状態だ。対してノンナは俺たちの隣でカチューシャを膝枕してそっと優しく頭を撫でている。それを見たクラーラが俺の額をさすりはじめた。マジ女神、クラーラ。俺は思わず膝枕されている状態のまま彼女の背中に手を伸ばして抱きしめてしまった。

 

 

 

「フフッ、甘えん坊ですね同志タクマは。」

 

 

「とばっちりを受けたんだ、甘えたくもなるさ。」

 

 

先程、ノンナには先に俺が寝ているところにカチューシャが来たことを説明した。彼女はばつが悪そうな顔をしながらも俺の言葉を無視している。・・・別にいいもん。クラーラと仲良くするだけだもん。そう思っていると突然クラーラに手首を掴まれどこかへ移動される。ポヨンと柔らかい感触と共に止まり

 

 

 

「大丈夫ですか? 揉みますか?」

 

 

という質問が投げられた。・・・揉む? 揉むってまさかこの幸せな感触は!!!

 

 

「・・・クラーラこれは?」

 

 

「落ち込んでいる男性にはこれをするといいとSNSで見ました。」

 

 

色々と間違っているぞ、クラーラ!!!そしてSNSの野郎ども!!ありがとう!!

 

 

しかしそう思ったのもつかの間、後ろからまたもやカチャリと音が聞こえる。

 

 

「同志タクマ!!少しでもその手に力が入った時は撃ちます!!」

 

 

やっぱりSNSの野郎どものバカヤロオオオオ!!!

 

 

「そういえば先ほど、貴方は寝言で『シャロン』と言っていましたね・・・誰ですか?シャロンって。」

 

 

 

 

「ええええっ!?」

 

 

 

急に本人もびっくりな情報が入ってきた。「寝言に対してそんな追及されても答えようがない。」そう答えようとしたが幸せな感触の近くの手首に力が込められる。

 

 

 

「同志タクマ、答えてください。」

 

 

見上げるとたわわな果実が2つしか見えなかったが、顔を傾けてきて後ろに黒いオーラを漂わせて問いかけてくるクラーラの笑顔が見えた。あっ、コレはさっきの答えじゃ納得してくれないやつだ。となれば原因を探らなくてはいけない。俺が何故その寝言を言ったのかを。しかし俺には「シャロン」という人物の知り合いはいない。となれば人名ではなく、別の何か。シャロンシャロンシャロンシャロンシャロン。あっ!!

 

 

心の中で何回か叫んで謎が解けた。なんてことはない、寝る前に聞いていた曲名だ。プラウダのイメージカラー “赤” を意味するバンド名の名曲・・・残念ながらイタリア語でだけど。胸ポケットに入っている音楽再生機器がその曲で止まっているからそれを見せれば納得してもらえるかな?

 

 

 

「えっと・・・イタリア語で赤を意味す「イタリア!? まさかアンツィオの生徒ですか!?」

 

 

 

話しを最後まで聞かないでクラーラが俺の手首にさらに力を込める。

 

 

 

「イテテテテテッ!!」

 

 

 

痛みに耐えきれなくなり思わず

 

 

 

「あっ!・・・んっ・・・。」

 

 

 

揉んでしまった。クラーラの喘ぎ声が響き数秒、時が止まる。ハッとしてノンナを見るとトリガーに手をかけていた。

 

 

「うわああああ!!待って待ってノンナ!!」

 

 

もう片方の手を伸ばしてマカロフを取ろうとしたが・・・

 

 

 

むにゅり

 

 

 

「ひゃうっ!!」

 

 

 

咄嗟に出た手のスピードは勢いがつきすぎてマカロフの横を通り過ぎて彼女の胸を鷲掴みにしていた。普段の彼女からは考えられない声が出て、俺の両手は幸せな温かさと感触で包まれた。そして同時にこの先の展開はもう知っている。

 

 

 

(この世からダスビダーニャ。)

 

 

 

心の中でそうつぶやくと銃声が聞こえ意識が飛んだ。撃たれた勢いで胸ポケットから音楽再生機器が飛び出し、地面に落ちると名曲が再生された。

 

 

 

 

 

「「・・・・そういうことですか。」」

 

 

誤解は一応解けたようである。

 

 

 

「ふあ~よく寝た。なんか銃声が聞こえた気がするけど。」

 

 

「おはようございます、カチューシャ。」

 

 

「あれ? ノンナ? 確かタクマのところで寝てたと思うんだけど?」

 

 

「きっと夢ですよ。タクマはあそこで寝ています。」

 

 

「・・・なんでうつ伏せで死んだみたいな格好になってるの?」

 

 

「きっと寝相が悪いんですよ。カチューシャ様。」

 

 

「そうなの?・・・あっ!!コレ!!私が欲しかった音楽再生機器!!・・・まさかサンタが来たのかしら?」

 

 

「クリスマスはもう過ぎていますが?」

 

 

それよりもサンタを信じているのですか?と言おうとしたがそっと言葉をしまい、今日のカチューシャ日記に『カチューシャはサンタを信じている』と書こうと決めたノンナだった。

 

 

「きっと遅刻したのよ!! でも私のところだけ遅刻するなんて許せないわ!いつか粛清してやるわ。」

 

 

「それでしたらもう大丈夫かと。」

 

 

 

 

「?・・・まあいいわ。カチューシャが起きたから午後の授業を始めるわよ!!この様子だとタクマも遅刻ね。粛清対象だけど時間が惜しいから放っといて行くわよ、ノンナ、クラーラ!!」

 

 

 

「「Да!!」」

 

 

 

 

 

 

3つの足音が歩き出す音が聞こえ、遠くなっていく。・・・と思ったら急にまた近くなってきて俺の耳元で止まった。

 

 

 

 

「また今度、続きをしましょうね。」

 

 

 

クラーラのささやきが聞こえてきた。・・・えっ?続き?続きしていいの?

 

 

 

反対側の耳からも聞こえる。

 

 

 

 

「揉むのなら2人だけの時にしてください。」

 

 

 

ノンナの声だ。・・・2人だけの時ならいいの?ねえ?ねえ?

 

 

 

 

 

そう聞き返したかったがうつ伏せになったまま動けず、再び遠ざかっていく足音を聞きながら起き上がることを諦め死んだように再び寝ることにした、クリスマスが過ぎたある冬の出来事である。

 

 

 

 

 

 

 









こちらが2016年最後の更新となります。ガルパン小説を書き始めて、お気に入りやコメントを頂けるたくさんの同志の皆様に出会えてよい1年になりました。ありがとうございます。来年もマイペースで更新していく予定ですのでよろしくしていただければと思います。それではよいお年を。

そして最後に

パンツァーフォー!!
ガルパンはいいぞ!!

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