プラウダ編
「んー。」
「えっと・・・クラーラ?」
「んー。」
放課後の人気が少ない体育館裏、授業が終わるなり俺はクラーラに呼び出された。特に何の疑問も持たずについていくと突然、俺の横に手を伸ばし壁ドン。そしてそのたわわに実った2つの果実を押し付けながらポリッツを口に咥えて目を閉じながら俺に差し出してきた。
ちなみにポリッツっていうのは細い棒状のお菓子で8割ほどがチョコでコーティングされており、そこに塩味が少し効いていて甘塩っぱい人気のお菓子だ。
「聞いてクラーラ、これは一体何?」
しつこく聞く俺に拗ねた顔をしながらクラーラは答えてくれた。
「今日はポリッツの日といって普段お世話になっている異性にこのようにしてポリッツを渡す日本の文化的な日だと聞きました。」
誰だクラーラにこんな情報を吹き込んだ奴は!!! いや待て、クラーラもこんな情報を鵜呑みにするほどバカな子ではなかったはず。・・・わかったうえでやってる?・・・いやいやそれは俺の自惚れか。
「さあ、同志タクマ。早くしないとチョコの部分が溶けてしまいます。」
より一層密着してくるクラーラにたじたじになっていると
「何をしているんですか?」
ノンナの冷たい声が聞こえてきた。
「えっとですね・・・ノンナさん。これはクラーラが色々と勘違いしておりまして。」
声だけではなく眼光も冷たいノンナに思わず両手を挙げながらさん付けで話してしまう俺。対照的にクラーラは一切気にすることなく俺に密着してポリッツを咥えたままだ。
「あっ、同志ノンナも一緒にいかがでしょうか?」
「はっ!?」
「ええ、そうさせてもらいます。」
「えっ!?」
クラーラとノンナの発言に驚きながら顔を左右に動かしていると懐からポリッツの袋を取り出し1本引き抜きを口に咥える。へ~ノンナさんも自分で用意してたんですか、へ~。
押し付けられた果実が2つから4つに増えて完全に逃げ場がなくなった俺。そしてポリッツを咥えた2人の美少女。
「えーと・・・2人と・・!!!! 」
口の両端にポリッツを差し込まれ強制的に言葉を遮られる。近づいてくる美少女2人の眼前。
甘塩っぱい後に刺激的な味が襲ってきたのは言うまでもない。
聖グロ編
「ハルキ。」
「はいよ。」
戦車道の練習が終わり、いつものお茶会がはじまる。ただ、今はこの部屋には俺とダージリンしかいない。だから敬語は使わない。後輩達は恐らく後片付けをしているのだろう。・・・サボったなダージリン。
「今日の紅茶は一層おいしいわね。」
俺に突っ込まれないように布石を打ってくる。
「・・・急に寒くなったからな。」
突っ込むのは諦めた。そういう仕事はローズヒップの仕事だしな。違う意味だけど。
「ところでハルキ、スプーンが見当たらないのだけど。」
砂糖を少し追加しようとしたダージリンがジェスチャーを交えて伝えてくる。
「あれ?おかしいな。あるはずだ・・・・。」
予備のスプーンがあるところを見渡すが綺麗に一本も無い。・・・綺麗になさすぎる。まるで図ったかのように。
「・・・ダージリン?」
少しドスを効かした声で聞いてみるが相変わらずの涼しい顔で紅茶を飲んでいらっしゃる。
「こんな格言を知っているかしら? スプーンが無ければポリッツを使えばいいじゃない」
どこから出したのかポリッツを1本だして紅茶に入れ、かき混ぜはじめた。
「そんな格言はない!!」
俺の言葉を無視し、かき混ぜている手を止めてポリッツを紅茶から取り出し口に咥えるダージリン。紅茶の熱で溶けたチョコが口周りを汚す。
「あら、汚れてしまいましたわ。」
「淑女が聞いて呆れるな。」
「ここを綺麗にするのもあなたの仕事だと思うのだけれど。」
溶けたポリッツを咥えながら器用に話してくる。
「仰せのままに。」
顔を近づけポリッツの姿をなくし、ダージリンの口周りを綺麗にした2人だけのお茶会だった。