ロクロウ「なぁライフィセット。昨日神衣の話をしただろ?」
ライフィセット「……もうその話はやめようよ。誰も得しないよ」
ライフィセット「昨日もアイゼンが暴れだして大変だったし」
ロクロウ「いや、そのアイゼンなんだが。今朝から様子が変なんだ」
ロクロウ「なにか心当たりないか?」
ライフィセット「昨日さんざんマギルゥに妹さんの神衣相手で弄られてたからそのせいじゃないかな?」
ライフィセット「ほら、アイゼンにとっては大切な家族なんだし」
ロクロウ「なるほど。お、噂をすればアイゼンだ。おーい、アイゼン」
アイゼンがやってくる
アイゼン「ああ、お前達か。ちょうどいい。俺は少し出かけてくる」
ライフィセット「どこに行くの?」
アイゼン「妹に四股をかけたクソ野郎を殺しに行く」
ライフィセット「…………」
ロクロウ「…………」
アイゼン「待っていろエドナ。お前の未来は俺が守ってみせる」
ライフィセット「落ち着いて! 僕に生き方を教えてくれたアイゼンが自分を見失わないで!」
アイゼン「俺は自分を見失ってなどいない。自分の舵は自分で取る。それが俺の流儀だ」
ロクロウ「だいぶ迷走してるな……」
ライフィセット「こんなアイゼン見たくなかったよ……」
アイゼン「妹の純情が弄ばれるとわかって黙ってるなんて兄貴じゃねぇだろうが」
ライフィセット「そ、そもそも妹さんが四股かけられるなんて決まった事じゃないでしょ?」
ロクロウ(ん? そういえばライフィセットはいつのまに四股なんて言葉を覚えたんだ?)
マギルゥ「いやいや、アイゼンの妹は将来四股をかけられる。これは間違いないぞえ?」
ロクロウ「魔女が出たな」
ライフィセット「なんでそんな事がわかるの?」
マギルゥ「簡単なことじゃて。昨日魔女占い(インチキでフ)でアイゼンの妹の未来を占ってみたんじゃよ」
ライフィセット「それって異海探索の時のあんまり意味がない――」
マギルゥ「そうしたら面白い結果がでてのう」
ロクロウ「そりゃそうだろ。お前が占ったんだから」
アイゼン「俺の妹は千年後に導師と名乗る男に誘われて後に四股をかけられる旅に出るそうだ」
ロクロウ「……それ、絶対適当に言ってるだけだと思うぞ」
アイゼン「くそ。フェニックスはなにをやっている。そんなクソ野郎はぶちのめして――いや、まさかそいつにやられちまったのか?」
ライフィセット「だからねアイゼン。マギルゥが適当に言ってるだけで――」
アイゼン「それだけじゃねぇ! なんでも一緒にいる年下のガキに毎日弄られながら旅する羽目になるんだぞ。だから今のうちにそいつら全員殺しておく」
ロクロウ(ううむ……あの手紙を読んだ限りだと、むしろアイゼンの妹は誰かを弄る側だと思ったんだが……)
ライフィセット「あのねアイゼン。千年後だったらまだその人生まれてないよ。その人のお父さんもお母さんも生まれてないよ」
アイゼン「妹のためなら……俺は時を越える!」
ロクロウ「いや無理だろ」
アイゼン「マギルゥ。四股野郎の名前はなんだ?」
マギルゥ「今占ってやろう。ど・れ・に・し・よ・う・か・な。フィッチ・ウィッチ・フィッチ?」
ロクロウ「紙に書いてある名前適当に選んでるぞおい」
ライフィセット「あれを見てアイゼン。目を覚ましてよ」
マギルゥ「占いの結果がでたぞえ。お主の妹に四股をかける導師はスレイという名じゃ」
アイゼン「スレイか……たとえドラゴンになってもそいつの名前は忘れねぇ!」
ライフィセット「ライラ、アリーシャ、ミクリオ、デゼル、ロゼ、ヘルダルフ、セルゲイ、サイモン、……あ、ザビーダの名前もある」
ロクロウ「やっぱりこれ、どう考えても適当だよな」
マギルゥ「適当ではないわ。案外その中に坊の神衣相手もいるかも知れんぞ?」
ライフィセット「そんなわけないよ……」
ロクロウ「ライフィセットが神衣したい相手はベルベットだもんな」
ライフィセット「うん。ってなんでロクロウが知ってるの!?」
ロクロウ「この前漏らしてたぞ。というか見ればわかる」
ロクロウ「もっともあれを見る限り先は長そうだがなぁ」
ロクロウの視線の先にベルベットとエレノアがいる
ベルベット「いいエレノア? 将来的に神衣が危険じゃなくなったらフィーに相応しい相手をしっかりと見つけること。これは命令よ」
エレノア「はい。それは私の希望でもありますので、喜んで従います」
ベルベット「でもあんたは絶対に駄目。マギルゥは論外」
エレノア「マギルゥが論外というのは異論はありませんが、私も駄目なのでしょうか?」
ベルベット「死ぬまであたしに従うって約束でしょ」
エレノア「……わかりました。ですがライフィセットはしっかりとしていますので、マギルゥ以外のちゃんとした人を自分で選べると思いますよ」
ベルベット「フィーはいい子だから誰かに騙されるって可能性もあるでしょ。それでマギルゥと神衣しちゃったらどうするのよ?」
エレノア「なるほど……確かに私達がしっかりと目を光らせておく必要がありそうですね」
ライフィセット「…………」
ロクロウ「どうやらむこうはアイゼンの妹よりもお前の神衣相手に夢中らしいな」
ロクロウ「マギルゥは論外だが、それ以外なら大丈夫だと思うぞ」
マギルゥ「のうお主ら? 昨日からわしは論外ってひどくないかの?」
ライフィセット「え? その……」
ロクロウ「いや、お前は論外だろう。アイゼンも言ってたぞ」
マギルゥ「お主ら、わしでも傷つく事はあるんじゃぞ……」
ライフィセット「あれ、アイゼンは?」
ロクロウ「スレイぶっ殺す! と叫びながら走っていった。すぐに帰ってくるんじゃないか?」
マギルゥ「どうかの。案外本当に時を越えて千年後に行ってるかも知れんぞ」
マギルゥ「ま、どーでもいいがの」
ライフィセット「どうでもよくないよ! 探しに行かなきゃ! アイゼーン!」
ロクロウ「あ、おいライフィセット……行っちまったか。まぁその内帰ってくると思うが」
ロクロウ「あいつらはいつまでやってるんだ?」
ベルベット「まずしっかりと働いているのは前提条件ね。仕事もしてないグータラにフィーを任せられないわ」
エレノア「あとは当たり前ですが、ライフィセットを大事にしてくれることですね」
ベルベット「なるべく家庭を持ってないほうがいいわね。それでフィーに家族として接してくれたほうが……」
エレノア「男性よりも女性のほうがいい気がします。女性の扱いが少しでもできるようになれば、ライフィセットの成長にもつながるはずです」
ベルベット「それもありか……なら家事ができる事も絶対よ。お米のとぎ汁を粗末にするような女だったら失格」
エレノア「他には――」
ロクロウ「なんと言うかあいつら……あれじゃ見合い相手を選んでるみたいだぞ」
マギルゥ「ふん、もうどーでもいいわい」
ロクロウ「おいおい、神衣の相手に論外って言われたからってすねるなよ」
マギルゥ「すねてなどおらん」
マギルゥ「マギンプイ。じゃよ」