Aqoursと蒼玉の物語(編集中)   作:すいーと

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日付変わっちゃったよ。すいません。
ではどうぞ



ダイビングスーツは水着回に含まれますか?(後)

 

「果南ちゃーーんきたよー」

 

迷惑など知らんと言わんばかりの大声をあげる高海先輩

 

「いらっしゃい千歌」

 

 そう言って奥から出てきたのは大人っぽい雰囲気の一人の少女。長く青い髪をポニテールにしている。紺色のダイビングスーツが引き締まった身体を強調して目のやり場に困る。さっと目を逸らすと長い髪を揺らしながらこちらに近寄って来た。そこに高海先輩が僕たちと店員さんの間に割り込んでくる。

 

「えっとこちら松浦果南ちゃん。でこっちが桜内梨子ちゃんで、後ろにいるのが黒澤サファイア君」

 

なんだ紹介か……。一応頭を下げる。松浦さんは僕たちを一瞥するとこちらに近づいて来た。

 

「この子がダイヤの弟ねぇー」

 

なぜが足から頭まで値踏みするように見ると一言。

 

「思ったより小さいね」

 

――カチン。僕は残念ながら身長155cmしかなく昔から唯一気にするコンプレックスだったりする。

 

「余計なお世話ですっ!!」

 

「怒るとちょっとダイヤに似てるねぇー。可愛いっ」

 

なぜか怒ると松浦さんはくすくすと笑う。周りにいた先輩たちもつられるようにして笑う。ひとしきり笑い終わるとようやく着替えタイムとなった。といってもこういうのに慣れている僕はあっさり準備を終えてしまい、なんとなく外に出て海を眺めていた。横に誰かが並んだ気配がして横を向く。

 

「まだ着替えてなかったんですか? 桜内さん」

 

「少しだけあなたと話したくて」

 

「話ですか?」

 

「ええ。去年ピアノのコンクールに出たでしょあなた」

 

「確か東京で行われたやつですよね? それがどうしたんですか」

 

「私ね、その大会に出ていたの。あなたのすぐに演奏する予定だった。でも弾けなかった」

「え? 何でですか」

 

意味が分からない。僕は先生に頼まれてやめる前にどうしても出てくれないかって言われて出ただけがからその大会にかけていたわけではないが、出ててた人の多くはプロへの1歩って意気込んでいた人もいたぐらいの大きな大会だった。

 

「あなたの演奏を舞台袖で聴いてたの。それで自信なくしちゃって」

 

「だからさっき僕をにらむように見てたんですね」

 

「ごめんなさい。でもこのままじゃいけないって思うの。何か変えなきゃって」

 

「もしかしてそれで海の音なんですか?」

 

――繋がった。

 

謎が解けて少しすっきとしたおかげでテンションが高くなってしまう。それとは対照的に儚げな表情の桜内さん。

 

「聞くことができたら何か変わるのかなって」

 

「変わるといいですね」

 

ここで変わると根拠のない肯定をすることは簡単だ。だけどそれをするのは何か違う気がして……希望を込めてそう返した。

 

「だといいわね。そろそろ着替えてくるわ」

 

「最後に一つだけ。耳で聞こえるものだけが音のすべてではない」

 

桜内さんは何も答えることなく着替えにいった。やる気に満ちたようなその後ろ姿はとてもまぶしく見えた。

(僕はああいう風に挫折して成長することはできないからな……)

柄にもなくそんなことを思いながら先輩たちを待つ。

 

 

 ほどなくして渡辺先輩が走ってやってきた。

 

「サファイア君早いね~」

 

 松浦さんに負けず劣らずの引き締まった身体がダイビングスーツによって強調される。女の子らしさの象徴が走ることによっておこる振動に合わせて揺れる。何とか視線を引きはがして海を眺める。

と、と、とりあえず落ち着け。別に何かあるわけでもないんだ平常心。平常心。はい深呼吸。

心を落ち着けていると渡辺先輩は僕の横に並んだ。

 

「梨子ちゃんと何話してたの?」

 

「ちょっとピアノの話を……」

 

「ふーん」

 

 詳しく語らないため、会話が途切れる。気まずい沈黙が僕たち二人を包む。無言のまましばらくして高海先輩さらにそこから遅れること数分して桜内先輩がやってきた。

唯一ダイビング経験のない桜内先輩にレクチャーをしていよいよ潜る。海の素晴らしさを語る松浦さんの話は長いからカットしておく。

 

 潜り始めてそろそろ30分がたとうとした頃。戻ってきた桜内先輩に高海先輩が問いかける。

 

「どう?」

 

「簡単じゃないわ。景色は真っ暗だし」

 

「そっか。わかったも一回いい?」

 

 言い終わると僕たち4人は泳いで光が入ってくる場所へと移動した。さっきまでの悩みが晴れる様に雲が晴れて雲間から陽光差し込んだことで近くにいた魚の群れが見ることができる。なんとも幻想的な雰囲気が漂っている。

何か聞こえて来るような感覚がして目を閉じる。

しばらくすると息が苦しくなり始めて海面へと上がった。つられるように先輩たちも上がってくる。

「聞こえた?」

 

「うん」

 

「私も聞こえた気がする」

 

「ホント私も」

 

先輩たちが喜ぶのを僕は眺めていた。少し心にもやもやを抱えて。

しばらく喜び合い、しばらく競争したりして遊び戻ることになった。すっかり先輩たちとも打ち解け、名前で呼び合うようになった。着替えを終えて海を眺めていると横にまた人の気配がした。

 

「サファイア君は海を見るのそんなに好きなの?」

 

「千歌先輩ですか。どちらかといえば好きですけど」

 

「いいよね海。なんかこうキラキラしてて」

 

横に並ぶ千歌先輩は髪を下ろしていて、可憐な表情と濡れた髪が少し違って見えて魅力的でドキッとした。

赤くなっているのを悟られないようにしながら二人を待つ。待つこと数分。二人が出てきた。

二人も同様に濡れた髪が色っぽく魅力的に見えた。僕はギャップってやつに弱いみたいだ。

 

その後4人揃って定期船に乗り戻ってくる。

 

「到着っと」

 

「じゃあ僕こっちなので。ではまた」

 

「うんまたね~」

 

手を振る曜先輩と千歌先輩に手を振り返し、背を向ける。しかし背後に気配を感じて振り返る。そこには梨子先輩がいた。この人ちょくちょくへ気配消すけど忍者なの?

梨子さんはすっと僕の耳に顔を近づけ囁いた。

 

「今日はありがとうおかげで何か変わった気がする」

 

はにかみながら離れる。夕日をバックにしたそれは破壊力抜群で、激しく運動した時よりも忙しく心臓が動いている。

家に帰ってすぐに寝るぐらいに心臓に悪い一日だった。

 




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