保健室に戻ると、やはり誰もないない。仕方なく、棚を勝手に漁り、湿布腫れた頬に貼る。
「冷たっ」
頬の熱が急速に奪われつい声を上げてしまう。湿布を棚に戻して。保健室を出る。
まだ少し痛む頬をさすりながら教室へと急ぐ。
授業開始3分前いうこともあり、すでにクラスの大半が席についている。
僕もしれっと席に着く。例のごとくクラスメイトの大半が築いておらず、特に声をかけられること無く席に着くとができた。がさすがに後ろに座るルビィには気づかれる。
「お兄ちゃん気がついたんだね」
「ああ。ついさっきな」
振り返りながら答える。授業さぼったなんてばれたらまずいのでごまかしを入れておく。
「ふーん。じゃあその湿布は?」
あっ。すっかり適温になって馴染んでいたから忘れてた。
「いや。これはあれだよ魔除けだよ魔除け。今日はろくなことが起こらないし」
なんだよ魔除けって嘘つくにしてももっとましな嘘つけよ僕。
「じゃあどうしてジュースの匂いが口からするずら?」
何とかごまかそうとしたところに、花丸ちゃんが追い打ちをかけてきた。花丸ちゃんの嗅覚は犬並みなのか?
「それもさっき飲んだんだよ」
「それは嘘ずら。だってこの匂いは中庭の自販機にしか売ってないみかんジュースの匂いずら」
なんでそんなもん把握してんだよ。名探偵ずら丸かよ。
二人は浮気した夫を追い詰めるが如く詰め寄る。これ詰みってやつですね?
「わかった。素直に白状するよ。授業が終わったらね」
幸いにも次は昼休みだ。うまくいけばごまかせるかもしれない。
「あとで聞かせてもらうねっ」
ルビィが小悪魔のように微笑むのと同時に先生がやってきた。
この授業中が勝負だ。いかに逃走手段を用意できるかにかかっている。天才といわれた頭脳で必死に考える。たぶん才能の無駄遣いを上げろと言われたら上位に入ること間違いない。
そして授業が終わる。礼をする一瞬の隙をついて席を立ちクラスメイト達の間を縫って逃げだす。後ろで待てーとか聞こえたが無視して、急いで二年生の階へと向かう。うまくいけばかくまってもらえるかもしれない。
何とか追いつかれずに2年生の教室に逃げ込むことができた。
「あれ? サファイア君どうして二年生の教室に?」
「曜先輩。実は追われてまして」
「だれにー?」
「妹達です」
「あははっ。大変そうだね」
「なのでしばらく隠れさせてください」
「いいよー」
よしこれで何とか逃げ切った。あとはチャイムぎりぎりまで隠れていれば勝ちだ。しかしそこに、
「曜ちゃーんサファイア君見てない? あっいた。花丸ちゃーんいたよー」
歩くスピーカーこと千歌先輩が。
あっさりとらえられて、尋問をうけた。結局ルビィ達に口止め料を払うことになったのだった。厄日は続きそうだ。