それから感想ありがとうございました。とてもやる気がチャージされました。
入学式当日。
黒澤家には、いつも以上に静かな朝が訪れていた。ことりのさえずりが耳に心地よい。
そんなすがすがしい朝に、
「ピイィィィィィ」
朝7時30分。僕が朝食の食パンをかじっていると、悲鳴のようなものが家の中に響き渡った。どたどたと、廊下を走る音が聞こえる。そして襖が勢いよく開け放たれる。
普段ならこれを咎める姉や両親がいるのだが、三人そろってすでに家を出てしまっている。
登校時刻は8時半だから慌てなくても十分間に合うはずなのはずなのだが、なぜかルビィは慌てた様子で居間に現れた。ちなみに僕は朝の4時から起きていたりする。まあ眠れなかっただけではあるが。
「朝からうるさいぞルビィ」
「お兄ちゃんこそなんでそんなに呑気なのっ! もう8時半、遅刻だよ!!」
慌てふためくルビィを横目に僕は少しぬるくなった眠気覚ましのコーヒーをすすった。コーヒーの苦みが口に広がりながら昨日のことを思い出した。
「昨日、絶対遅刻したくないからとか言って1時間時計進めてなったか?」
「あっ……」
さっきまでの勢いはどこへ消えたのかルビィは恥ずかしさと気まずさでいっぱいというような表情を浮かべ、視線を逸らすと、愛想笑いをしながら、ゆっくり後ずさりを始めた。そこから一気に部屋へダッシュ。昔から恥ずかしくなると逃げる癖がある。困ったことに閉じこもってしまうとなかなか出てこない。手間がかかるのもルビィの可愛さではあるんだけど……。
「はぁー。早く引っ張り出さないと遅刻確定かな」
僕はため息を一つつくとルビィの部屋へと向かう。
「おーいルビィ出てこいー」
「…………」
中から物音はするが、返事はない。
「ホントに遅刻するって」
この後何度か呼びかけてみるがやはり返事はない。しびれを切らした僕は強硬手段に出ることにした。勢いよく扉を開ける。そこにはスカートを穿こうとしているルビィの姿。ばっちりとピンク色の可愛らしいパンツが見えている。
「あっ」
扉を開けた音でルビィが顔をあげてしまい今度は目がばっちり合ってしまった。みるみるルビィの顔が赤くなり、
「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー」
朝は静かでおなじみの黒澤家に二度目の悲鳴が響き渡った。さらに僕の頬に痛みが走る。
この後ルビィの機嫌を直すのに放課後、沼津に買い物に付き合わされることになった。しかも昼飯僕のおごりになったし、ラッキースケベって全然ラッキーじゃない。
当然こんな話し合いをしてたわけだから遅刻しかけたのは言うまでもない。