まだ入学すらしてないのにと、かなりびっくりしております。
今回は少し頑張ってみました。その結果長くなりすぎたので前編後編に分けさせていただきました。
ルビィとの一幕の後、僕たちは大急ぎで学校行きのバスに飛び乗った。
「ふぅー間に合ったぁ~」
「そうだな」
ルビィの呟きに同意を返す。どうやら機嫌は直ったようだ。
特に話すこともなくなり窓をぼ~っと眺める。気を抜いて過ごすのも悪くない。なんだか眠くなってくる。
そういえば昨日あまり寝てないんだった。もうすぐ眠りにつくというところで、体をゆすられるような感覚が……。
「……ちゃん? お兄ちゃん!!」
「ん?」
「もう着くよっ」
「ん? ああ……わかった」
寝起き特有の鈍い脳の回転のまま返事をする。
脳が本調子に戻る頃、計ったように学校に着いた。
「ようやくついたはずなんだが」
バスから降りて、視界に飛び込んできたものを見ながら月並みなセリフをつぶやく。
「学校見えないね」
横に並んだルビィが、悲しそうに僕の発言に答える
僕たちの目の前に見えるのはそこそこの傾斜の坂。そこを叫びながら登る先輩の姿。
「曜ちゃん待ってぇー」
オレンジ髪の先輩が曜ちゃんという人を追いかけているところだったらしい。曜ちゃんとやらは足が速いのか、すでに姿は見えない。
「あの先輩の後ろについていけば学校に行けるはずだしついていこう。」
「うん」
オレンジ髪の先輩の後ろを走ること数分入学式と書かれた看板と共に今日から通う浦の星女学院が見えてきた。
「今度こそ到着」
走ってきたため息を切らしているルビィが落ち着くのを少し待ち、玄関で上靴に履き替える。
「じゃあルビィはこのまま教室へ向かってくれ」
「え? お兄ちゃんはどこいくの?」
「職員室。女子高になんの説明もなく男子がいたら騒ぎになるだろ?」
捨てられそうになった小動物のような表情のルビィの頭を軽くなで、教室のほうに体を向けさせる。
「ふあぁ」
普段頭を撫でられることのないルビィには、効果絶大だったようで照れて走り去ってしまった。
ルビィの姿が見えなくなったのを確認してから職員室に向かう。
職員室に到着してすぐある違和感に気付く。
「あれ? 誰もいない」
外から覗いた限り人は見えない。僕は少し恐怖を感じながら。ドアをノックした。
「失礼します。誰かいませんか?」
恐る恐る中へ入るとやはりそこは無人ではなく、一番奥に禿げたおっさんがいた。
おっさんのデスクには校長と書かれたプレートが付いている。
「おやおやずいぶん来るのが遅かったねぇー。黒澤サファイア君」
「すみません校長先生」
「いや、君には感謝しているんだよ。この学校男私しかいなくてねどれだけ肩身の狭い思いをしていたか……」
「この後僕はどうするんですか?」
突然いかに自分が肩身の狭い思いをしていたかを語りだした校長先生の話を遮り話を進める。
「あーそうだったね。君は私と一緒に入学式の会場に行くことになるそこでテスト生の話をするから合図したら出てきて挨拶をお願いしたい」
「わかりました」
黒澤家の人間たる者これぐらいできて当然。僕は迷うことなく返事を返した。
「そろそろ時間だね私の後ろについてきてくれ」
校長先生の後を続いて体育館に入る。生徒たちの横を通り過ぎ、ステージの横に到着。そして舞台袖まで来たところて校長先生がこちらに振り返った。
「サファイア君。君はここで待機だ。呼んだ入ってくれ」
「はい」
入学式が始まった。
浦の星女学院では入学式に2,3年生が参加するみたいで体育館の半分ぐらいが生徒いる。
式は大きなトラブルもなく進み、校長の話の終盤になった。
「――今年浦の星は共学の第一歩として、初の男子を入学させることになった。きたまえ」
舞台袖から転ばないように出ていく。集まる視線。それは友好的なものではなく、鋭い鷹のようだった。正直怖かった。しかし挨拶しなければ印象が悪くなる。意を決してマイクの前に立つ。
「共学のテスト生とて入学しました黒澤サファイアです。テスト生としての役割をしっかり果たしたいと思いますよろしくお願いします」
当たり障りのない挨拶の後、一礼して舞台袖に戻る。
鋭い視線は少し減った気がした。
その後も問題なく進み入学式は無事終了。生徒が教室に戻って行く。僕もその流れに乗ってこっそり教室へ向かおうとした。出口までついたところで待っていたルビィとその友達の花丸ちゃんと合流して教室に向かった。
誤字の修正を行いました