私は、天才だった。
何をやってもすぐにできた。
そのせいで、周りからはハブられていた。
彼は、天才ではなかった。
だが、独特の考え方をもっていた。
彼は私を肯定してくれた。
そのせいで、周りからはハブられていた。
私は、彼と友達になった。
彼は、私と友達になった。
私たちはよく遊んだ、それはよく遊んだ。
楽しい日常、変わらない日常…
彼は1人ぼっちになった。
彼の両親が妹を連れて夜逃げした。
そのせいで彼の目は濁ってしまった。
私は彼を助けたかった。
心が壊れそうな彼を救いたかった。
私はお願いをした。
両親は私のお願いを聞いてくれた。
そして彼と私は家族になった。
彼は家族からの愛情を知らない。
だから私が、私たちが彼に愛情を与えよう。
私が彼に、死ぬまで愛を伝えよう
「だから杏と八幡で一生楽して生活するためにアイドルの印税で稼がないとね!」
俺の名は比企谷八幡、今日から高校生になる。
「…ん、朝か?」
目が覚めてパジャマから着替えようと起き上がろうとするが、何やら重い。
足元を見ると何やら人がいた。
そう、人がいたのだ。
俺の布団で幸せそうなに寝ているそいつを起こすべく体を揺らす。
「おーい、起きろ杏。朝だぞ」
「んー、杏はまだ眠いから二度寝…、あれ?八幡がなんで杏の部屋にいるの?」
「杏が俺の部屋にいるんだよ…」
「あれ?…ホントだ。あはは…」
俺の布団で寝ていたこいつの名前は双葉杏。
俺の1つ上の高校生であり、今人気急上昇のアイドルだ。
なぜ、アイドルに杏がなったかというと目が危ない人にスカウトされたためだ。
最初は胡散臭な感じで聞いてたらしいのだが、アイドルの印税で一生楽して暮らしていけると聞いたとたん手のひらを返して契約し、アイドルになった。
どんだけ楽したいんだよ…
俺も人のこと言えないが…
ちなみに俺と杏の座右の銘は
[働いたら負け]
である。
「ふぁぁぁ…、おはよ八幡」
「おう、おはようさん。朝ごはんできてると思うから下に行くぞ」
「ふぁぁぁい…」
半分意識が起きてない杏をいつもどおり抱っこ(お姫様抱っこ)してリビングに行く。
「お、2人ともおはよう」
「あらあら、朝から仲良しさんね」
「おはようございます」
「おはよう〜」
この人たちは杏の両親だ。
そう、俺は杏の家に暮らしている、幼稚園の頃からずっと…。
もう小さい頃だからあまり覚えていないが、俺は両親に捨てられたらしい。
前に杏の両親から聞いた話だと、俺の両親はかなりの借金を作っていたらしく、妹を連れて夜逃げした。
そして俺は置いてかれたというわけだ。
その後、杏の両親に引き取られたわけだが、養子ではない。
詳しくはわからないが、なんでも俺は親戚のお姉さんの養子になっているらしく、そのため名字も比企谷のままである。
生活費と学費とか諸々そのお姉さんが全て出しているため、負担は特にないとのこと。
杏の両親曰く、絶対に怒らせてはいけない相手らしいのだが、俺は会ったことがない。
杏とかは会ったことがあるらしいが…
「八幡どうしたのー、食べないなら杏が食べちゃうよ」
「ん?いや、悪い悪い。食べるから勝手に俺の朝ごはんを食べるなよ」
「なら早く席につきなよ」
「はいはい…」
「「「「いただきます!」」」」
こうしていつもどおりの日常を送れると思っていた。
そう、犬を庇って車に轢かれるあのときまで…