僕の名前は比企谷八幡。
今日は妹とかくれんぼをしていたんだけど、近くから助けを呼ぶ声が聞こえた。
僕は声のするほうに走っていって苦しんでいる女の子をなんとか助け出すことができた。
僕はひとまず、その子を落ち着かせたあと公園のベンチに座らせ話を聞いていた。
「宝石?」
「うん、誰かわからないけど【みんなを守る力が欲しくない?】って聞いて私が欲しいっていったらそれが体の中に入ってきて…」
「とても熱くて、痛くて、苦しくて…、そしたらいつの間にか、鳩さんやカラスさんが動かなくなってるのみて…」
「そうだったんだ…」
「でも、君が助けてくれた…」
「ありがとう!」
女の子はニコッと笑ってそう言った。
その後、日も暗くなってきたので今日のところはひとまず家に帰ることにした。
女の子を1人で帰すのはダメと母ちゃんが言っていたので女の子の家まで送っていった。
「あ、ここ!ここが私の家だよ!」
「えっ!僕の家のすぐ近くだ!」
女の子の家は僕の家の3軒隣だった。
「今日はありがとう!私、狂三!時崎狂三!君の名前は?」
「僕は八幡、比企谷八幡!」
「八幡…うん、八幡君!また明日!」
「うん!またね狂三ちゃん!」
そうして僕たちはそれぞれ家の中に入っていった。
ちなみに妹の小町は急にお腹が痛くなって先に家に帰ってたらしい。それは見つからないわけだ。
・・・・
次の日、僕は家で本を読んでいた。
というのも今は夏休みであり、宿題も終えているためのんびりとしていた。
小町は友達とプールに行っているし、両親は仕事だ。
ピンポーン
「あれ、誰だろう?」
もしかして小町かな?
インターフォンを確認してみた。
「あれ?合ってるよね?八幡君ー!」
「狂三ちゃん!」
僕は急いで玄関に向かい、鍵を開けた。
「あ、八幡君!こんにちは!」
「うん!こんにちは!上がって上がって!」
「うん!お邪魔しますー!」
家に来たのは昨日出会った少女、時崎狂三であった。
僕は狂三ちゃんを家に招きいれた。
「あ、これよかったら」
「ありがとう…?何これ?」
「これ?MAXコーヒーだよ!甘くて美味しいだ!」
「へぇ…、!?美味しい!」
「よかった!そういえば今日はどうしたの?」
「あ、うん!昨日、夢かどうかわからないけど頭の中にこう…何か来てね!こんなのが出来る様になったみたいなの…」
狂三ちゃんはそういうと少し力を入れて念じるようにした。
すると、彼女の体に変化がありみるみるうちに黒と赤のドレスへと変わっていった。
「これは霊装?っていうらしいの、あと天使?を出せるようになったみたい」
「天使?狂三ちゃんのこと?」
天使って可愛いって聞いたからそうかな?
「ふぇ///ち、違くて、これ!これ!来て!【刻々帝】!」
狂三ちゃんが言うと何やら時計みたいなのが現れた。何それカッコいい!
「カッコいい!」
「あ、ありがとう///」
狂三ちゃんは少し力を抜くと元の姿に戻った。
「なんかね、昨日の宝石をもらったらこの2つができるようになったの」
詳しく説明を受けてわかったことがある。
狂三ちゃんが謎の存在から貰った宝石のような物は【霊結晶】というものとのこと。
【霊結晶】を与えられた人は【精霊】という存在になり、【霊装】を身に纏い【天使】を呼び出すことができるようになること。
狂三ちゃんの【天使】である【刻々帝】には時計のように十二種類の能力があること。使用するには大量に【霊力】または狂三ちゃんの【時間】つまり【寿命】を消費すること。
などのことがあった。
また、最初の影のようなものは実際には命ではなく、【時間】を奪っていたことがわかった。それで補充するとのことだった。
聞いてみて驚いたが、この目で見たので間違いないことなのはわかった。
ふと、気になったことがある。
アニメとか漫画とかで見たことがあるけど、大きな力を持つものは狙われるといっていた。狂三ちゃんの力ももしかしたら…
「狂三ちゃん、このこと誰かに言った?」
「ううん、まだ八幡君だけだよ?」
「そっか…狂三ちゃん、このことは誰にも言っちゃダメだよ」
「なんで?」
「もしかしたら、この力を悪いように使う人たちが出てくるかもしれない。そうしないように僕と狂三ちゃんとの秘密だよ?」
「八幡君との秘密…うん、わかった!」
「あと、【天使】の能力をしっかり確認してみよう。母ちゃん曰く、『使えるものは使ってなんぼ』だって」
「わかった!」
こうして、比企谷八幡と時崎狂三は出会い、知り合った。
その夏休みのときは、お互いの家に遊びに行ったり、プールに出かけたりした。
両親たちも子供たちを通して仲良くなり、一緒に旅行などにも行ったりした。
比企谷八幡の妹である比企谷小町も時崎狂三に懐いており、良好な関係だった。
しかし、事件は起こった。
俺たちが住んでいた街で突如大規模な火災が起こったのだ。
俺たちの家にも火が燃え移り、家具が倒れ来た!
「【七の弾(ザイン)】八幡君!早く!」
【七の弾(ザイン)】対象の時間を止める能力だ。
「ありがとう狂三ちゃん!逃げよう!」
ちょうど俺たちの両親は出張で家におらず、小町も県外への遠足だったためいなかったことが幸いした。
狂三ちゃんのおかげで助かった。
俺たちはすぐさま家を出て、避難場所に逃げていたがその途中で見たのだった。
「は、八幡君!あ、あれ!」
狂三ちゃんが指差したところには兄妹だろうか…、2人の男女がいた。
男の子は倒れており気絶しているようだ。
しかし、女の子のほうは燃えている。いや、炎を身にまとっていた。だが、制御できていないのかその炎が周りに燃え移っていた。
「八幡君!あの子、多分私と同じ…」
「えっ!ということは【精霊】!」
そして俺たちが驚いていると女の子が気絶している男の子にキスをした。
すると、女の子が身にまとっていた【霊装】が消えて元に戻っていた。女の子もその後、すぐに倒れてしまった。
聞きたいことが山ほどあるが今はそれどころじゃない!
「「このままだと危ない!助けないと!」」
でも、どうしよう。俺たちだけだと力が足りない…、せめてあと1人ぐらいいれば!
「あ、そうだ!【八の弾(ヘット)】!お願い、私!手伝って!」
「わかったわ、私!」
【八の弾(ヘット)】過去の自分を再現する能力だ。
こうしてこの兄妹?と共に避難場所へと向かった。
その後、住んでいた場所は全焼したこともあり俺と狂三の家族は親戚がいる千葉へと引っ越した。今度は1軒隣りになった。
その後、俺たちが中学3年までは千葉に住んでいたが高校1年になるときに両親の都合で天宮市へと両家揃って引っ越した。
そしてお隣になった。
俺たちの呼び名も『狂三』『八幡さん』に変わっていった。
その間にも狂三の【霊装】【天使】について検証を行っており、あらゆるトラブルにも対応できるようにした。
【影】は制御できるようになり、【時喰みの城】と名付けた。【時間】は世界中にいる死刑囚から奪っている。また、見かけた範囲で犯罪を犯したものから少し奪っているそうだ。
しかし、そのとき俺と狂三は2人とも中二病になってしまっていた。たまに小町が傷をえぐってくるのでつらい。狂三が【精霊】になったときに『きひひひひ』と笑うのはその名残である。
あと色々あったせいで俺の目が腐った。
狂三が【八の弾(ヘット)】で作り出した分身体の中にそのときの自分もいるため、苦労しているらしい。
そしてとある朝のこと
「…さん、八幡さん。起きてくださいまし。朝ですわよ」
「…ん?ああ…朝か。おはよう狂三」
「ええ、おはようございます。朝ご飯できてますわよ」
「ああ、いつもありがとうな」
そうして2人でリビングに向かった。
「あ、おはようお兄ちゃん!」
「おう、おはよう小町」
「早く座って食べよう!」
「ああ、そうだな…」
「「「いただきます」」」
「うん、やっぱりお義姉ちゃんの作るご飯は美味しいですなあ!これはお兄ちゃん、しっかり稼がないとね!」
「朝から何言ってるんだ…、狂三もいつもありがとうな」
「いえいえ、私がやりたくてやっておりますので」
そんな話をしながら朝食を食べ終えた。
「あ、お兄ちゃんたちそろそろ行く時間じゃない?片付けは小町がやっとくよ!あ、これ小町的にポイント高い!」
「はいはい…あ、親父たちは?」
「あー、入学式には間に合うと思うけどまだ疲れてるから寝てるって。小町は今日休みだからあとで起こしとくよ。お義姉ちゃんのお母さんたちも起こしてって頼まれたからついでだし」
「小町さん、よろしくお願いしますわ」
「うん!いってらっしゃい!」
「「いってきます」」
そう、今日は来禅高校への入学式。俺と狂三は仲良く歩いていたのだが、しばらくすると犬がいた。そう犬。飼い主と一緒に散歩していた。いや、散歩というより飼い主が引っ張られているかんじだな。
そのまま通り過ぎようと思った瞬間、犬のリードが外れ道路に飛び出した。
そしてそこには車が来ている。
「【七の弾(ザイン)】」
狂三が【七の弾(ザイン)】を打ち込み、犬と飼い主を停止させる。車は犬とぶつかることなく、そのまま通り過ぎた。何事なくてよかった。
「よかった…でも狂三、なんで飼い主も停止させたんだ?」
「いえ、なんとなくやっかいなことになりそうな気がしましたので…女の勘ですわ」
こうして俺たちが通り過ぎてから少しした後に飼い主たちの時間が動き出した。
その後、俺と狂三は、昔俺たちが助けた男、『五河士道』と再会するのであった。また、狂三にはその日、山打紗和と友人になった。
「あ、サブレ!…あれ?無事?車は?」
「きゃんきゃん!」
・・・・・
その後、高校2年生になったと思ったら色々あった。五河士道が【精霊】を【封印】する能力を持っていたり、俺が周辺の【霊力】を【隠蔽】する能力を持っていたり、狂三が【ラタトスク】を信頼できるものか確かめるために暴れたりなどだ。これまで狂三のことがバレなかったのはそのおかげらしい。
まあ、狂三が暴れた件で、狂三が【精霊】なのがバレたのだが【封印】はしていない。俺の能力のおかげなのもあるが、【ラタトスク】の上層部が許可したのだ。
『彼女を怒らせることは我々もしたくはないからね』
とのことだ。彼女って誰だろう?
それにしても学校全体を巻き込むのはやりすぎだと注意したら謝ってきたのでよしとした。うん、可愛い。天使だわ。
そんなこんなので、とある日のこと。
俺と狂三は琴里に呼び出され、【フラクシナス】に来ていた。
そう、あのとき助けた女の子が『五河琴里』であり【フラクシナス】の司令官だったのは驚いた。
俺たち以外にも士道を始め、夜刀神十香・四糸乃・八舞夕弦・八舞耶倶矢・誘宵美九も呼ばれていた。
「ゲーム?」
「そう、名付けて『恋してマイ・リトル・シドー2』よ!」
「ああ…でも、ゲームならここじゃなくても…」
「そういうわけにもいかないわ、今回は簡単に言うとバーチャル体験ゲーム。フラクシナスのスーパーコンピュータじゃないとできないってわけね。わかったかしら士道」
「あれ?じゃあ俺いらなくない?」
「士道1人だと不安だから八幡も呼んだのよ」
「おう…、マジか」
「頑張ってくださいまし、八幡さん」
そういう経緯で士道と巻き込まれた俺はこのバーチャルゲームの中へと意識を飛ばされた。
・・・・
目が覚めると…、ここは俺の家?
『気がついたみたいね八幡』
「これは…琴里か?頭に直接…」
『ゲームの中だからね、直接あなたの意識に飛ばしてるわ』
『私もおりましてよ』
狂三の声も!?
やっぱゲームの中なのか…
『詳しいことは士道と合流してからまとめて話すから、まずは士道と合流して頂戴。士道もあなたと同じように自分の家で目が覚めているわ』
「わかった」
その後、俺は士道と合流し、詳しい説明を受けた。それからこの仮想世界を士道と探索していたのだが、急に琴里との連絡が途絶えた。まあ、なんか通信難しいといっていたし深くは考えずにいた。
とそんなときに、1人の女性が現れた。名は『或守』。彼女は『愛』とは何かを俺たちに尋ねてきた。
そうこうしているうちにこのゲームに狂三たちが乱入してきて、俺たちがゲームから出られなくなったらしい。
琴里が言うには或守は人工精霊らしいが…?
或守曰く、士道と愛を育む可能性があるやつを呼んだらしい。
俺は?というと『もうあなたにはいるはずです』と言われた。うん、まあ…
そうして或守のことは士道たちに任せて(手伝いはするが)俺と狂三はのんびりと街を散策していた。
その夜、買い物からの帰り道、ふと或守が見えた。
「今の或守…じゃないが何か似ていたな」
「八幡さんも…?なら、追いかけてみましょうか」
俺と狂三はその人物を追いかけて公園へと入っていった。
「この辺だったはずだが…」
「やっぱり来たね。比企谷八幡、そして時崎狂三」
「或守ではないな…お前は?」
「さすがは比企谷八幡、鋭い洞察力だ。あたしは…鞠奈、或守鞠奈だよ」
「或守…鞠奈」
「今日はここまで、それじゃあまたね比企谷八幡」
そう言うと、光に包まれて鞠奈はいなくなってしまった。
「八幡さん…今のは?」
「さあな…」
俺たちもさすがに暗くなったのでその日は帰っていった。
が…次の日の夜にまた会った。
「ポテト買ったけど、イートインじゃなかったな。その辺で食べるか」
「そうですわね…あら、あれは?」
ふと、狂三が指したところには或守…或守鞠奈がいた。
「お、昨日ぶりだな」
「比企谷八幡と時崎狂三!?」
「そう、びっくりするなよ。傷つくだろ俺が」
「ふふふ…、あ、鞠奈さんよかったら一緒にこれいただきませんか?八幡さんの奢りですわよ」
「これはポテト?」
鞠奈は物珍しそうに見ているが、手につけなかった。ったくじれったいな。俺はポテトを鞠奈の口に突っ込んだ。
「!美味しいわ…」
「あ、ずるいですわ鞠奈さん!八幡さん、私もやってくださいまし!」
「わかった、わかった…」
その後も、毎日のように鞠奈は現れ、俺たちと話した。他愛のない話や俺たちのことなどだ。鞠奈からは人工物についてや人造人間、ロボットなどのことを聞かれた。専門分野ではないためはっきりとしたことは俺と狂三も言えなかったが思い思いのことは言った。
それがいつまでも続くかと思っていた…
しかし、終わりは突然来るものだ。
「あなたたちとの会話も今日でお終い。今まで楽しかったわ、八幡そして狂三…」
鞠奈は何やら決心したよう顔をして言った。
「そうか…」
「最後に1つだけ…質問してもいい?」
「ああ…」
「ええ…」
「もし、あたしが例え、仮初の…人工的に作られた存在でも仲良くしてくれた?」
なんだ、そんなことか…
「「もちろんだ(ですわ)」」
「そう…、ありがとう。じゃあ行くわ…。さようなら…」
「俺からはあのときの答え合わせをしよう」
「?」
「お前は言ったな。『人工的に作られたものに感情が芽生えたらそれはなんだ』と。俺は自分で判断し、行動できているなら『人間』と答える」
「!そう…」
「あと選択を間違えない人なんていない、いくらでも間違えてもいい。どちらを選んでも後悔することなんてざらにあるんだ。だが…」
「『後悔の少ない方を選べ』ですわね」
「狂三にセリフ取られた…」
「ふふふ…、八幡さんの考えてることなんてお見通しですわ」
「ありがとう2人とも…じゃあ行ってくるわ…」
「「いってらっしゃい」」
・・・・
その後、しばらくして俺たちはゲームから解放され、現実世界へと帰ってこれた。
士道たちから聞いた話だと、黒幕はやはり鞠奈だった。その後、士道の携帯に人格と記憶が移っていたため鞠亜は無事であった。
だが、鞠奈は…
しかし、なんだろうな。
また、鞠奈とはすぐ会えそうな気がする…
なぁ、狂三…
ええ、そうですわね…
「これでよし…、あの子のデータは五河士道の携帯に移したわ。あとはこのまま私が消滅すれば大丈夫…」
「大丈夫…このまま…このまま…」
「………」
「ああ、ダメだ…、後悔が少ないほうを選べなかったよ…」
「また、会いたい…会いたいな」
「八幡…狂三…」
「もっと…もっと…もっと…」
ポロポロ
「あれ…?おかしいな…」
「私、人工精霊なのに…」
「涙が…」
「八幡…狂三…」
バリィ!
「な、何!?」
バリィ!バリィ!
「ここはもう私しかいないはずなのに…」
バリィ!バリィ!バリィ!
「空間がこじ開けられていく…!」
バンッ!
「ふぅ…やっと空いた…。さすがに壊れかけの電脳空間に壊さないように入っていくの大変ね…」
「」
「まあ、生身でゴリ押したからしょうがないか…。お、まだ間に合った間に合った♪」
な、何この人?いや、人なの?
生身とか言ってたけど!?え!?え!?
「」
「ねぇ、さっそくだけどあなたに選択肢を与えるわ」
「へ?」
「このまま消滅するのを待つか…」
「それとも…」
あたしは最初彼女?が何を言っているのかわからなかった。でも!その2つ目の選択肢を聞いた時驚いた。それって!それって!
「あまり時間がないから早くでお願いしたいけど…」
後悔の少ない方を選びなさい
「ああ、ああ…あたしは…あたしは!」
あたしが選んだ答えは…!