幻想郷…
それは日本のどこかにあるとされている場所であり人間・妖怪・鬼・神など多種多様な種族が住んでいる…
博麗大結界により「外の世界」とは隔離されており、通常その存在を知るものはおらず、簡単に行き来することはできない…
中には能力によって自由に行き来できる者が存在するがそれは少数である…
本来は神々でさえも容易に存在を知らず、また行き来することなどはできない…
それは博麗大結界により、「外の世界」で力あるものは幻想郷では力が弱くなり「外の世界」で力なきものは幻想郷では力が強くなるため…
力ある存在は「外の世界」からは決して入ることはできない…
例外はいるが…
だが、まれに何かのきっかけで「外の世界」の人や物が結界を通り幻想郷に入り込んでしまう場合もある…
これを「幻想入り」と呼び、また外の世界から幻想入りした人物を「外来人」と呼ぶ…
このお話は、「外の世界」から幻想郷に迷い込んだ、とある人物のお話である…
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「戸塚またなー!」
「うん!またね八幡!」
僕の名前は戸塚彩加、今日は友達の比企谷八幡と遊んでいた。
八幡は僕が高校生になってからできた友達で、同時に尊敬できる人。
でも過去の出来事で女性が苦手みたい…
小町ちゃんでさえも…
唯一大丈夫なのは八幡のお母さんだけ…
詳しくはまだ聞けてないけど、こんな僕でも八幡の力になれればいいなと思う。
そんなことを思いながら、僕は自宅に向かって歩いていた。
いつも通り…そう、いつも通りに歩いていた。
曲がり角を曲がり、瞬きをしたときに…
景色が一変した
「あれ…ここは…どこ?」
さっきまで普通の道だったはずなのに周りを見渡す限り、木に囲まれている。つまり、森だ。空は見えるけど、状況が把握しきれてない。
「何がおきたの…」
人の気配もない気がする…
何もわからないけど…とりあえず自分の状態を確認しよう。
こういうときは焦ってもしょうがないって八幡のお母さんも言っていたしね。
まずは、服装は…変わりない…
よかった、これで変わってたら僕も焦ったかもしれなかった。
次に持ち物、今日は八幡と遊んでいたからバッグに全て入っていると思うけど…
お財布、学生証、充電器、帽子、モバイルバッテリー、携帯…携帯!?
「あ!もしかしたらナビで場所がわかるかも!」
昔は携帯電話といったら電話とメールができるだけだったけど、今は様々な機能を利用できる。
通信キャリアも大手3社が有名だけど、最近は4社目が参入したり、格安SIM会社もある。
また、端末も大手キャリアが通信とセットで販売していたけど、最近はSIMフリー端末も増えている。
僕は端末はSIMフリーを購入して、格安SIMで契約している。そのほうが安くすむって両親がいっていた。
ってそんなことは今関係ない!
「やっばりインターネットつながってないよね…ってあれ?」
ふと、携帯を見るとさっきまで電波がなかったのに電波がたっている!?
どういうこと?
まずは確認してみよう
「設定からモバイル通信…『Kappa mobile』?知らないなぁ…」
『Kappa mobile』…知らない通信会社だ…
アンテナ部分も心なしかキュウリに見えるけど気のせいだよね?
「あ、これならナビ使えるかも!」
ホーム画面に戻って、ナビを確認するが…
使えなかった…
やっぱりダメなのかなあ…?
「って知らないアプリが入っている?『幻想郷マップ』?」
いつの間にか、知らないアプリがダウンロードされていた。
なんだろうこれ?
幻想郷?音読みで読むと『ゲンソウキョウ』だけど合っているのかな?
と思っていたら勝手に起動した!?
え?触ってないと思うけど…
「あ、でも現在地が表示されている!ってことは使えるかも!」
使い方は普通のナビと同じみたいだ。
縮小や拡大などもできる…
「近くに何か人がいそうな建物か何かあれば…紅魔館?」
『コウマカン』?
ここからだと一番近い建物らしい…
館ってことは誰かしら人はいるはず!
僕は不安ながらもマップを頼りに『紅魔館』へと歩いていった。
なおこのとき戸塚彩加は知らなかったが、このアプリによって安全なルートを通ることができたおかげで妖怪に襲われることなく済んだのだった。
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「ここが『紅魔館』?」
マップを頼りにしばらく歩いていたら目的地についた。
歩きながらマップを確認してたけど、近くにあった湖も載ってたから、合っていると思う。
「それにしても大きいなぁ…」
目の前にある紅魔館らしき建物はとても大きい。その館は紅く、これが館の由来かれしれない。
「誰か人がいればいいなぁ…」
そう思いながら、館に近づいていく。遠くから見ても大きかったから近づくにつれてさらに大きい…。
ふと見ると、門らしきものがあった。
そしてその近くに女性が立って…寝ていた。
「Zzzzz…」
その女性は赤髪でチャイナドレス?なのかわからないけど、身に纏っていた。とても綺麗だと思う。
でも、寝ている…
「Zzzzz…」
寝ているのに無理に起こしてもいいのかな?
でもどうやって立ったまま寝れるんだろう…
そう思いながら、声をかけてみる。
怒られたらそのときだ。
まだ、寝てるけど…
「す、すみま…「どうしました?」せん…」
女性は目を瞑ったままそう答えた。
(いつから起きてたんだろう…?いや、そもそも寝ていたのかな…?)
「あ、えっと…」
「あはは、そんな緊張しなくても大丈夫ですよ!ほら深呼吸、深呼吸…吸って…吐いて…吸って…吐いて…」
驚いたせいで言葉が詰まっちゃった…
でも、そんな僕に女性は怒ることもなく笑いかけてくれた。
深呼吸をして少し、落ち着いた後僕は再び話し始めた。
「あ、あの…僕、信じてもらえるかわからないですけど…」
「うんうん!」
「気がついたら知らない森の中にいて、彷徨っていたらこの館を見つけたので、誰かにお話を聞ければいいかなと思って来ました!」
そう僕が話すとその女性は少し考えてこう僕に聞いてきた。
「なるほど…、少し質問いいですか?」
「あ、は、はい!」
「まず変な質問しますが『弾幕ごっこ』って知ってます?」
「『弾幕ごっこ』ですか?」
「ああ、その反応を見るに知らない様ですね…。では、次は妖怪っていると思います?」
「妖怪…ですか?本でなら見ますが…」
「なるほど…。最後に私のこの格好どんなかんじに見えます?」
「えっと…、チャイナ服な様に見えます!」
「ふむ…、どうやらあなたは『外の世界』から来たようですね」
『外の世界』?どういうことだろう?
「あはは…、すみません…いきなりそう言われてもわからないですよね…。少し待っててくださいね。…咲夜さーん!少しいいですかー!」
女性がそう叫んだと思ったら、十数秒後いきなりメイド服を着た銀髪の女性が現れ、赤髪の女性の頭にはナイフが…ナイフ!?
「いっ…痛い!?咲夜さん!私、今寝てなかったですよ!?なんでナイフ刺すんですか!?」
「あら、ごめんなさい。寝てるかと思ったわ」
「あ、あの…大丈夫ですか?」
「大丈夫です。いつものことですので」
いつもってどういうことだろう…
「それで美鈴、この方は…?」
「え、謝罪なしですか!?」
「……」
「わかりましたよ!」
「わかればいいのよ」
「はぁ…こちらの方は恐らく『外の世界』から幻想郷に入ってしまったと思われます。気がついたらこの世界にいたと…」
「なるほど…、では少し私からも…」
と言われたところで何やら着信音が聞こえた。僕の携帯ではないけど…メイドさんのほうから聞こえた気がした。
「少し失礼します…こちら紅魔館メイド長の…え?」
メイドさんがポケットからスマホを取り出して電話をし始めた。
でも、あれ?なにやらこちらを見て驚いた表情を見せた。
「はい…はい、咲夜ですが…」
「はい、特徴…はい、はい、おっしゃっているとおりで…はい、学生証?…はい…」
そこで一度電話を中断して、こちらへと振り返った。
「すみません、お客様。失礼ですが、学生証?というものをお持ちですか?」
「あ、学生証ですか?えっと、…これです!」
「お預かりいたします」
学生証を受け取ると何やらまた話し始めた。
「はい、今少しお預かりして…、はい、はい…間違いございません。はい、かしこまりました。紅魔館のメイド長として承りました。ええ、お嬢様方には私のほうから…、はい、失礼いたします…はい、はい…」
何やら電話が終わったようだ。
「学生証ありがとうございます戸塚彩加様」
「あ、いえ…あれ?僕名前まだ…」
「美鈴…」
「さ、咲夜さんまさか今の電話って…」
「そのまさかよ…」
そうメイドさんが答えると女性の顔が一気に青ざめた、大丈夫かな?
「だ、大丈夫ですか?もしや、やばい…?」
「いえ、大丈夫よ。むしろ幻想郷で最初にあったのがあなたで安心したとおっしゃっていたわ」
「そうですか…えへへ…」
「さて…改めまして、戸塚彩加様。私はこの紅魔館でメイド長、料理長をしております十六夜咲夜と申します。そして、こちらが…」
「あ、まだ自己紹介がまだでした…、紅美鈴!紅魔館の門番、兼庭師をしてます!」
「あ、戸塚彩加です!よろしくお願いします!」
「はい、それで戸塚彩加様…彩加様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「あ、いえ様をつけなくても…大丈夫「いえ、そうはいきません!紅魔館のメイド長として大切なお客様を呼び捨てになどできません!」あ、はい…それでいいです」
「ありがとうございます」
な、何か執念のようなものが感じ取れたかも…メイドさんとしての誇りなのかな?
「あ、私は彩加さんって呼んでもいいですか?」
「あ、はい!大丈夫です!」
「それで、彩加様さえよろしければなのですか、突然のことで疲れもあるかと思いますので紅魔館で休んでいかれませんか?あなたの今の状況を含めてご説明もさせていただきます」
「え、本当ですか!」
「はい、そのほうが安全かと思いますし」
安全?どういうことだろう?
「ここには私や彩加様のような人間だけではなく…人を喰う妖怪などもおります。1人でおられるのは危険です」
「な、なるほど…」
「さあ、こちらへ…」
「あ、はい!」
そうして僕は咲夜さんに案内されて紅魔館へと入っていった…
なお、美鈴さんが妖怪なことや咲夜さんが突然現れた理由について知るのは少し先のことであった…
「ふぅ…てか咲夜さんナイフ忘れてるし…あとで届けよ…ってあれ?もう傷ふさがってる?普段ならも少しかかるのに…まあ、いいか…」
紅美鈴は傷がいつもより早く塞がっているのに違和感を感じたが、そこまで気にせずに持ち場に戻った。
地面に落ちた一枚の真っ白い羽には気づかずに…
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その少し前の博麗神社では…
「あー、平和だわ…」
今代の『博麗の巫女』、『博麗霊夢』が縁側でお茶をすすりながらそう呟いた。
「龍神様からお菓子もらったし、しばらくは大丈夫そうね…」
「いやいや、お菓子を主食にするなよ…」
そう呆れて言葉を返したのは『普通の魔法使い』と呼ばれる『霧雨魔理沙』、霊夢の親友である。普段は決して口には出さないが…
「いや、だってお菓子がダメなら家にあるの雑草だけよ?しいて言うなら茶葉ぐらい」
「雑草って…まあ、後でキノコでももってきてやるよ…」
「本当!?嘘じゃないでしょうね!?」
「心配するなって、ちゃんと持ってくるから」
「てか、妖夢のとこでもいけばご飯作ってくれるだろう。幽々子に比べればお前のご飯の量ぐらい大したことないだろう」
「あー、今日はあの子と稽古すると言ってたからやめたのよ」
「あ、なるほど…」
「……」
「……」
「でも、あれは凄かったんだぜ。たしか、忍っていったっけ?と異世界の霊夢が完膚なきまでやられてる姿は…。あの人を怒らすとか何を本当にしでかしたんだか…」
「まあ、いいじゃない?世界が消滅もしてないし」
「極端すぎる…、てかあの人歳いくつなんだぜ?私たちが小さい頃から変わってない気もするけど…」
「さあ?でも、永林が小さいときからあの姿とか言ってたような…本当にいくつよ…」
「……」
「……」
「「あの子が常識人に育って本当によかった…」」
「さて、そろそろ行きましょうか?」
「ああ、早めにいかないと怒られちまう。てか、霊夢は報酬の酒と食べ物目当てだろ?」
「だって食料は死活問題よ」
「はいはい…たしか、戸塚彩加って言ってたっけ?幻想郷に迷い込んだ『外来人』は」
「そうそう…ほら行くから箒準備して」
「へいへい…あれ?お前は飛んでいかないのか?」
「…たまにはあんたの箒で飛ぶのもいいかなって」
「!…嬉しいこといってくれるのぜ…じゃあ行くか!」
「ええ!」
博麗霊夢と霧雨魔理沙は『外来人』を探しに出かけた。
博麗霊夢
『博麗の巫女』
主に空を飛ぶ程度の能力
夢想封印・天
夢想天生
夢想開放
夢想覚醒
霧雨魔理沙
『普通の魔法使い』
魔法を使う程度の能力
マスタースパーク・壊
ファイナルスパーク・改
魔力開放
魔力暴走
魔力融合