「どういうことだ?」
確か俺は盗品蔵にいたはず。
周りを見回すと、変なポーズをしたスバルが立っていた。
「……何やってんだ、あいつ」
とりあえず話しかけるか。
「――にかく、サテラとパックを探さないと……」
「おいスバル」
「なんだよ、俺は今から行くところが……って、つっくん?」
「ああ。スバルも気づいたらここにいたのか?」
「あ、ああ。それよりもつっくんが無事でよかったよ。腹切られてたし」
実際は服が切れただけなんだが。
「とにかく、今は盗品蔵に行かないと」
「そうだな。俺としても、確認したいことがあるしな」
さて、俺の予想が正しければ……
「よお、兄ちゃんたち。少し俺らと遊んで行こうや」
やっぱりいたか。一応確認しておくか。
「なあ、あんたら。財布はちゃんとあるか?」
「は?何言ってんだ?」
「状況がわかってないんだろ。教えてやったらいいんじゃないか?」
この反応……。つまり、俺の予想通りってことか。
「とりあえず兄ちゃんたち。持ち物全部置いてけ。それで勘弁して――ガッ!」
「ぐふっ」
「ぐあっ!」
確認も済んだので、三人組に手加減して拳を叩き込む。
「ま、こんなところか」
「……つっくんって、すげえ強かったんだな……」
「まあな。それより、盗品蔵に行かなくていいのか?」
「お、そうだった」
一時間ほどして、俺たちは盗品蔵の前に到着した。
「誰か、いますか」
深呼吸し、スバルが扉を叩く。
「誰か……誰かいるんだろ!頼むよ、返事し――」
「やっかましいわぁ!合図と合言葉も知らんで、扉をぶっ壊す気か!!」
スバルがこちらに吹っ飛んできたので、キャッチする。
少し離れてて正解だったな。
「なんじゃお前ら!見覚えのない面ぶら下げてなにしに来たんじゃ!どうやってここを知った!ここにたどり着いた!誰の紹介じゃ!」
凄まじい勢いで距離をつめ、俺たちの首根っこを掴み上げるじいさん。
「こっちがナツキ・スバルで俺は九十九神無だ。とりあえず下ろしてくれないか?」
俺は問題ないが、スバルがな……
◆◆◆
「騒がしくして人の晩酌の邪魔しおって。これでつまらん用事ならひどいぞい」
「まだ日が沈み出したばっかだってのに酒なんてあおってんじゃねぇよ、早死にするぞ」
スバルとじいさん――ロム爺と名乗った人物が話してる間に周りを見回す。
「なんじゃ小僧――盗品に興味があるのか?」
「まあな」
フェルトはまだここには来てないみたいだな。
「馬鹿げた話なんだが……爺さん、最近、死んだことないか?」
……スバル、まだ気づいてなかったのか。
「がははは!何を言い出すかと思えば。確かに死にかけのジジイなのは認めるが、生憎と死んだ経験はまだないぞ。この歳になれば、もう遠い話でもないと思うがな」
そう言いながら笑うロム爺。
「じいさん、一つ質問なんだが」
「む?なんじゃ?」
「サテラって名前、知ってるか?」
俺の言葉に驚いた顔をするスバル。
「……小僧、本気で言っとるのか?」
「ああ、本気だ」
「……サテラは『嫉妬の魔女』の名前じゃ。口に出すのも憚られる禁忌の象徴じゃぞ」
「ふーん」
あいつも何かあるっぽいな。
「おいつっくん、……今のどういうことだ?」
俺がそんなことを考えていると、スバルが小声で聞いてくる。
「落ち着けよ、スバル。今からちゃんと説明してやるから」
「おう」
「俺の予想なんだが……」
スバルに俺がずっと考えていたことを話す。一応小声で。
俺の予想は、生き返ったわけじゃなく、時間が巻き戻った。ということだ。
「……なるほどな。にわかには信じらんねえが、そう言われると色々納得できる」
「ま、予想だがな。
……さて、じいさん。俺たちはあるものを譲ってもらいたいんだが」
「あるもの?」
「ああ。このあとフェルトってやつがここに来るだろ?そいつが持ってくるものを譲ってほしいんだ」
「確かに来るが、それをお前さんらが買い取れるかは分からんぞ?」
まあ、そうだろうな。
「ま、それについてはフェルトが来てからだな」
俺の予想では成功するだろ。何もなければ、だがな……