オーバーロード 災厄の槍使い   作:三元新

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10話

「あの村人とは少々縁がありましてね」

 

「村人の命乞いでも来たのか?」

 

バカにしながらこちらを見下すニグン。

 

「いえいえ。ですが……お時間をいただけるようでありがたい。さて、まず最初に言っておかないといけないことが一つ。皆さんでは私達には勝てません」

 

そう言うと、陽光聖典の者たちは笑い出した。

 

「無知とは愚かなものだ。我々のことを知って戯言か?それとも我々のことを知った上で気でも狂ったのか?まあ、どちらにせよその愚かさのつけを支払うことになるぞ」

 

その言葉を聞いてアインズさんは肩をすくめ

 

「……さて、それはどうでしょう? 私は全て観察していました。その私がここに来たというのは必勝という確信を得たから。もし皆さんに勝てないようだったら、あの男は見捨てたと思われませんか?」

 

そして、ひとつ嘆息し

 

「それに、お前と戦士長の会話をすべて聞いていたが……本当に良い度胸をしている」

 

そうアインズさんが言った瞬間、周囲の空気が変わった。

 

「お前たちはこのアインズ・ウール・ゴウンと、そして我がわざわざ手間をかけて救ってやった村人たちを殺すと広言していたな。これほど不快なことがあるものか……!」

 

ニグンはモモンガのただならぬ殺気を感じ怯えた。

 

「……ふん。不快とは、大きく出たな魔法詠唱者魔法詠唱者(マジック・キャスター)。で、だからどうした?」

 

「抵抗することなくその命を差し出せ。そうすれば痛みはない。だが、拒絶するなら、愚劣さの対価として絶望と苦痛の中で死に絶えることとなるだろう!」

 

その瞬間、陽光聖典の者たちの隙間を縫うように、死を感じさせる風が通り抜けた。

 

「―――天使達を突撃させよ! こちらに近づけさせるな!!」

 

ニグンはそくざに天使たちに命令し、命令された2体の天使たちが一斉に剣を向け、突撃してきた。

 

突撃してきた二体の炎の上位天使(アークエンジェル・フレイム)がその手に持つ炎の剣をアインズに突き立てる。

 

――ドスドス!

 

アインズは何もせずに剣に貫かれた。

 

「無様なものだ。下らんハッタリでこちらを煙に巻こうと……」

 

だがニグンは何かに気づき再びアインズに視線を送る。

 

すると、そこでは先ほどの2体の天使が強くジタバタと何かに逃れようともがいている。

 

二体の天使がゆっくりと左右に別れるように動いた。ただしそれは異様な動き方。誰かに無理やり動かされるように離れていく。――そう、ニグンたちには見えているでしょうね。

 

「……言っただろ? 君たちじゃ私達にには勝てないと。人の忠告は素直に受け入れるべきだぞ?」

 

アインズさんはおかしそうにいいながら、先ほどのニグンが見下しバカにするような声でそう言った。

 

いまも、アインズさんの伸ばした両手の先にある二体の天使たちは逃れようと必死にもがく。しかし、それぞれの手でアインズは暴れる天使をつかんで離さない。

 

しかもアインズさんの体には天使が持っていた光の剣が体を貫通したままだ。天使を捕まえているだけではなく、体を貫かれているのにもかかわらず、まるで痛みが感じないかのように平然と佇んでいるアインズさんに敵方は畏怖していた。

 

「バカな…ッ!」

 

「なにかのトリックに決まっている…ッ!」

 

敵方さんたちは、驚き戸惑い、いまの状況に混乱していた。

 

「上位物理無効化 データ量の少ない武器や低位のモンスターの攻撃による負傷を、完全に無効化にする常時発動型特殊技術(パッシブスキル)なんだが―――はぁぁああ!!」

 

アインズは両手にそれぞれ掴んでいた天使を、拳ごと地面にすさまじい速さで叩きつけた。ズン、という音とともに大地が振動したと思ってしまうほどの桁の違う力を込めて。

 

「……やはり、ユグドラシルの炎の上級天使(アークエンジェル・フレイム)と同じということか」

 

そう言うとアインズさんはゆっくりと立ち上がる。

 

「さて、お前達がなぜユグドラシルと同じ魔法、同じモンスターを召喚できるのかを知りたかったのだが……まぁ、それはひとまず置いとくとしよう」

 

「(…………えっ! おいとくの!?)」

 

私はその言葉に思わず驚く。ふと視界に入ったペロロンチーノを見ると、表情はわからないが羽がバタバタと忙しなく動いているのでこっちも驚き戸惑っているのだろう。

 

天使を屠ったアインズさんは姿勢を正しながら手をゆっくりと広げる。

 

「次はこちらの番だ」

 

気持ち悪い静けさの中、アインズさんの言葉はどこまでも大きく聞こえた。

 

「いくぞ? 鏖殺だ!」

 

アインズさんの一言にニグンがすぐさま構える。

 

「全天使で攻撃を仕掛けろ! 急げ!」

 

弾かれたように、全ての炎の上位天使(アークエンジェル・フレイム)がアインズさんに迫る。

 

私たちが構えようとするが

 

「本当にお遊びが好きな奴らだ。……皆下がれ」

 

アインズさんに手で制され、私たちは構えをといた。

 

天使たちが襲い掛かる中、アインズさんは四方八方から飛び掛かる天使によって一分の隙間もない状況下でありながら、焦りすら感じていないようだった。

 

……まぁ、正直いって、この程度の天使のランクでは私たちを殺せるなんて笑い話にもなりませんが。

 

無数の剣によって串刺しになる、ニグンたちそう思ったのか顔が"勝った!"みたいな、勝利を確信した表情になっているがそれより早くアインズさんの魔法が発動する。

 

〈負の爆裂(ネガティブバースト)〉

 

ズンと大気が震えた。

 

光を反転したような、黒い光の波動がアインズさんを中心に一気に周辺を飲みつくす。波動が迸った時間はまさに瞬きひとつ。ただ、その結果は歴然として残る。

 

「……あ、あり…えない……」

 

誰かの呟きが風に乗って聞こえる。それほど彼らにとって信じられない光景が広がっているようだ。

まぁ、それもそうですよね。なんせ、彼らの絶対と信じている総数四〇体をも超える天使たち。それらが全て、黒の波動にかき消されているのですから。信じられず呆然と立ち尽くすのも頷けますよ。ええ。

 

「う、うわぁああ!」

「なんだ、そりゃ!」

「化け物が!」

 

天使が意味をなさないと知り、悲鳴のような声を上げながら、自らの信じる魔法を立て続けに詠唱し始めた。

 

「光の光線(ホーリー・レイ)!」「毒(ポイズン)!」「衝撃波(ショック・ウェーブ)!」「炎の雨(ファイアー・レイン)!!!」「人間種魅了(チャーム・パーソン)!!」「束縛の鎖(ホールド・チェイン)!」

 

その他幾つもの魔法がアインズに打ち付けられる。

 

――が

 

多数の魔法を直撃しているが、すべて無効化されているためダメージはなくアインズさんはビクともしない。

 

「……ねぇ、ペロロンチーノ」

 

「何だい、イズナさんや」

 

「これ、私達来た意味有るのかな……」

 

今目の前で起きている光景、敵が必死に魔法を打っているがアインズさんは立っていていた。

 

「……う〜ん…――うん!来る意味なかったね! でも、俺は幼女と戯れ、更に幼女の聖水を臭えただけでとても満足です」

 

「……アア、ソウデスカ…」

 

私は最後の言葉にもう何も感じず、ただただ無心で答えた。

 

そう会話している間も戦闘は続いている。

 

「ふむ…やはりユグドラシルの魔法ばかりだ」

 

そして、最後の魔法があたりアインズさんは黒煙に包まれ。

 

「誰が――その魔法を教えた!!」

 

「ひぃ!?」

 

アインズさんは物凄い気迫でそう言うと、その気迫と声にビビった1人が情けない声を出して鉄のスリングを放とうと構え、それを放ったが――

 

――ヒュンッ!……ブシャァァァ

 

「え?」

 

その者の首から上が無くなった。一瞬の出来事に、隣にいた1人の男が『え?』…と、声を出す。

 

「何が…起こった……?」

 

ニグンも突然の事に状況が追いつけづ、困惑していた。

 

――ニグンたちは見えていなかった。だが、私たちは見えていた。アルベドがアインズさんに鉄のスリングが当たる直前に、アインズさんの前に出て放った本人へと跳ね返したからだ。

 

「アルベド……私達があの程度の飛び道具で傷つく事は無い事は承知している筈だ。わざわざお前が……」

 

「――お待ちください、アインズ様。至高の御身と戦うのであれば、"最低限度"の攻撃等言うものがございます。あのような飛礫など……失礼にもほどと言うものがございます」

 

アルベドは"最低限度"というところを強調しながらそう言った。すると、その言葉にアインズさんは笑い出す。

 

「ふはは!それを言ったらあいつら全員失格じゃないか?なぁ、我が友たちよ」

 

すると、アインズさんが私とペロロンチーノの方を向きながらそう言ってきた。

 

「……ふむ。まぁ、そうですね。確かにアルベドの言う通りだ。最低でも私たちの自動無効化の防御を突破できる、つまり私たちの体に傷が付けれる程度にまで力がないと、それを受ける気にもなりません。

そして、アインズさんの言う通り、彼らの存在意義がなくなりますよね」

 

「ははは!確かにそうだな! 俺だってそう思うぜ、イズナちゃん! モモンガさん!」

 

「ペロロンチーノ。こんなギルメン以外の人達が多数いるところで語尾に"ちゃん"をつけるなといつも言っているだろう! 何度言えばわかるのだ! あと、いまのギルド長は、"モモンガ"ではなく"アインズ"だ。それも覚えておけ」

 

「はいはい、わかってますよ〜」

 

「その返事はわかっていないだろう!?……はぁ、まったく。これだからペロロンチーノは………もう」

 

私は思わず嘆息してしまった。

 

「――なぁっ! 監視の権天使(プリンシパリティ・オブザベイション)かかれ!」

 

ニグンが監視の権天使(プリンシパリティ・オブザベイション)に命令し、アインズさんにけしかける。

 

監視の権天使(プリンシパリティ・オブザベイション)は、何も持っていなかった右手にハンマーの様な武器を持って、アインズさんに振りかぶるがアインズさんは難なくそれを受け止める。

 

「やれやれ……反撃と行こうか。〈獄炎(ヘルフレイム)〉」

 

アインズさんの伸ばした右手の指先から放たれた、ポツンとかすかに揺らめく指先程のとても小さな黒い炎。吹けば消えるようなその黒い炎が監視の権天使(プリンシパリティ・オブザベイション)の体に付着する。

 

ゴゥッ、と監視の権天使の全身を黒い炎が一瞬で覆い尽くした。

 

物凄い勢いで、一瞬で燃え上がる黒炎の中、監視の権天使(プリンシパリティ・オブザベイション)の姿が溶けるように一瞬で掻き消えた。――そう。とても余りにも呆気なく。そして同時に炎も消える。

 

そこには……何も残っていなかった。いままでの光景 天使がいたのも黒い炎が起こったのも嘘であったかのように。

 

「ば、ばかな」

 

「一撃…だと……」

 

あまりにも衝撃の出来事にザワザワと騒ぐ仮面の人達。

 

「――ありえるかぁああ!上位天使がたった一つの魔法で滅ぼされるはずがない!」

 

無数の混乱が生じる中を、ニグンの怒鳴り声が響く。

 

「ニグン隊長! 我々はどうすれば…ッ!」

 

ニグンに縋るように脅えながらそう訴える人。すると、ニグンは『はっ!』と、何かを思い出し、クククと気持ち悪い笑みを浮かべながら懐に手を入れゴソゴソと何かを探して、見つかったのか"それ"を天に掲げながら嬉々として叫ぶ。

 

「お前達!最高位天使を召喚する!!」

 

『お、おおお!』

 

「(――む? あれは……『魔封じの水晶』ではないですか。それにあの輝き……ふむ。なるほどなるほど。あれが彼らの最後の切り札といったところですか)」

 

「……あれは魔封じの水晶か?」

 

アインズさんがこちらを見ながら聞いてくる。

 

「…そう見えますね。それにしても最高位天使と言いましたね」

 

ペロロンチーノがそれに答える。

 

「それにあの輝きは超位魔法以外を封じるものだ……」

 

「ええ、その様ですね」

 

アインズさんもペロロンチーノも気づいたのか話をしていた。

 

「アインズさん、ここは私がやりましょう」

 

そんな2人を見ながらも、私は1歩前に出てそう言った。

 

「待つんだ、もしも熾天使級(セラフクラス)だったら……」

 

「なに、いまの私なら大丈夫ですよ。仮に"熾天使"クラスが出てきたところで私の固有スキル『光・闇の攻撃完全無効化』がある限り、私を倒すことなどできません。……それに、私には"アレ"があるんですよ? つまり、眼には眼を歯には歯を――"天使"には"天使"を…ね?」

 

「そうですよ。ここはイズナちゃんに任せましょう。ましてや天使が相手ですよ? あの"天使"という種族相手ならイズナちゃんに右に出る者は、ギルメンどころかユグドラシル内にいませんって。だから、アインズさんと俺はおとなしく待機しときましょうよ。イズナちゃんなら大丈夫ですって!」

 

「……すみません。なら、あとは任せてもよろしいですか?」

 

「ふふ。いいんですよ、これくらい。――アルベド、アインズさんにスキルを使用して守ってください。…あ、ペロロンチーノはいいです。どうせ避けますし。仮に当たっても天使なのでついでにそのどうしようもない煩悩も消してくれるでしょうから」

 

「はい! 了解いたしました」

 

アルベドはアインズの前に出ていつでもスキルを使える状態にした。

 

「え!? 俺の扱い酷くない!?」

 

――さて、何か聞こえるが無視をしよう。……本当に熾天使級(セラフクラス)だったら、いくら無効化があるとしてもあくまでも"光と闇"だけ。熾天使級ともなると、もともとのステータスが馬鹿げたほど高いから少しやっかい。……まぁ、だとしても熾天使級なら問題はない。まぁ、でも、すこ〜しばかり本気を出してみるのも、たまにはいいかな?

 

 

そしてニグンが歓喜の声を上げる。伝え聞く伝説の降臨を前に。

 

「見るが良い!!最高位天使の尊き姿を!」

 

おっと。とうとう来るか……ッ!!

 

 

そして、ニグンが持っている結晶が光り輝き――

 

 

「いでよ! 威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)!!」

 

 

 

 

 

 

 

………………ん?

 

「…………え? 威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)?」

 

私は思わず耳を疑った。さっき最高位天使って言いましたよね?え?聞き間違いだったかな?

 

だが目の前にはどや顔してるニグンの姿と、威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)がいた。……どうやら私の耳は正常のようだった。

 

「なんてこと……」

 

「そうだ!怯えるのも仕方ないが、これこそ最高位天s――」

 

「……警戒して損した」

 

「ですね……」

 

「右に同じく……」

 

私の発言にアインズさんもペロロンチーノも嘆息しながらそう言った。

 

「な……なんだと?」

 

ニグンは今の発言が信じられないような顔でいた。

 

「この程度の幼稚なお遊びに警戒していたとは……」

 

アインズさんが落胆しながら言う。まったくその通りです。

 

「本当ですよ……すみません、アルベド。せっかくスキルまで使ってもらって……」

 

「とんでもありません。想定以上の何者かが召喚される可能性を考えれば、御身を傷つける可能性はできる限り低くするべきです」

 

「……そう言ってもらえると助かります」

 

ニグンは信じられない面持ちでいた。最高位天使を前にしてなぜそんな平気でいるのかわからないようだ。だが、それでも強がるのかまたニヤけた顔でこちらを見てきた。

 

「アインズ・ウール・ゴウンの部下であるそこの白い鎧の小娘を消し飛ばす、そのあとは貴様の番だ!」

 

ニグンは挑発するように、私の後ろに下がったアインズさんを指差し、そう宣言した。

 

「はぁ……まったく。熾天使が出ると身構えてたのに、こんな雑魚が出てくるとは……はぁ、なんて私はバカなのでしょうか」

 

「――ざ、雑魚だとぉ!……どういう意味だ!小娘!!」

 

ニグンが驚愕の表情で私を見つめてくる。

 

「どういう意味も何も…そのままの意味ですがなにか?」

 

私は思わず首を傾げながらそうたずねる。

 

「最高位天使のを前に、何故そんな態度ができる!」

 

「あぁ、そういう事ですか。そんなもの簡単な話ですよ。――この私を天使で相手にするのなら最低でも最高位天使である"熾天使(セラフ)"を五体ほど呼びなさい。……まぁ、それでも熾天使級(セラフクラス)程度の力では何体来ようとも私に大きな傷を負わせることは出来ませんがね。」

 

私は心底呆れながら、バカにするようにニグンにいった

 

「いや! ありえん! ありえん! 最高位天使に勝てる存在がいるはずがない! 魔神にすら勝利した存在だぞ! はったりだ! はったりでしかない!」

 

「そんなこと知りませんよ。実際に私には効きませんし。……なら、試してみますか?」

 

私は右手を出して手のひらを上にし、チョイチョイと揺らすように挑発した。

 

「―――ッ!? ならばお望み通り消し去ってくれる!《聖なる極撃(ホーリースマイト)》を放て!」

 

ニグンがそう命令すると威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)は魔法を使用した。

 

「人間では決して到達し得ない極限級の領域、第七位階魔法。魔神すら消滅される神のみわざをくらうがぃぃぃぃ!!!」

 

そして魔法の発動され、そして光の柱が落ちてきた。私はその光の柱に包まれた。

 

「今度こそやったか!?」

 

ニグンの嬉々した声が聴こえてくる。私はいまだ光の中だが、徐々に視界が元に戻ってきた。

 

アインズさんたちやニグンの姿が見えると、アインズさんが私によってきた

 

「……一応聞きますがダメージ入りますか?」

 

「もちろんノーダメージですよ。強いて言うなら、ただまぶしいだけですね」

 

「ですよね〜…」

 

さ〜てと、せっかくだし、こんな茶番をさせたやつに、天使の上――否、熾天使の上の存在。私の創り出した最強の天使を見せてあげようかな?

 

そう考えているとアルベドが

 

「か、か、下等生物がぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ア、アルベド?」

 

「至高の御身に――何より私の大切な、大好きな親友を傷物にするなんて――なんてことをぉぉぉぉ!!!ゴミである身の程を知れぇぇぇぇ!!!!」

 

「お、落ち着け!落ち着くのだアルベド!」

 

「そ、そうですよ!落ち着いてくださいアルベド!あと、傷物になんてなっていません!?」

 

「しかし、アインズ様、イズナ様……ッ!!」

 

「いいんですよ、あの程度ではダメージ入っていませんし……と言うよりも、あの程度の攻撃で一々ダメージをくらっていたら私は今頃何千回と死んでいますしね」

 

「そうだぞ、アルベド。お前は外に出ていないから知らなかったかもしれないが、我らアインズ・ウール・ゴウンの中――いや、ユグドラシルの中で、天使を狩るのにイズナの右に出る者はいないからな。伊達に『天神の九尾』なんて言われてはいない、」

 

「…わかりました。それにしても流石はイズナ様。敬服いたしました」

 

「いやいや、私の身を憂慮してのお前の怒りは嬉しいよ。ただ……アルベド、あなたは微笑を絶やさないほうが魅力的かな」

 

「くっふー!みりょ、魅力的!――ゴホン。ありがとうございます、イズナ様。……ですが、イズナ様も私なんかよりも、ずっとお美しくて魅力的ですよ」

 

「あら、アルベド。ありがとうございます」

 

――さぁ、お話はここまで。

 

「さて、お待たせして申し訳ない」

 

「大丈夫ですよ。さぁ、さっさと片付けますか」

 

そして私は彼らに振り向いた。

 

「さて、この際せっかくなんであなた達に特別に見せて上げましょう。威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)の上の上である至高天の熾天使(セラフ・ジ・エンピリアン)……そして、その更に上の存在である、"セフィラーの十天使"――それと同格の存在とも言われる伝説級の超天使、『災厄の五大天使』を!!」

 

そして私は、一つの宝玉を取り出した。

 

「――さぁ、時は来たれり! 災厄にして災害、世界に終末をもたらす最凶の天使よ。 我が創りし最高にして最強の天使よ!我の忠実な下僕よ!!――いでよ…… 『災厄の五大天使』セラフィモン!!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ―――ッ!!!!

 

宝玉から放たれる凄まじい光と共に、地を割るような音が響く。

 

「アルベド……よく見ておけ。アレこそが、お前の親友にて『天神の九尾』と言われ恐れられた彼女の創り出す、『災厄の五大天使』だ」

 

アインズさんの声と同時に、空間が歪みそこから何かが出てきた。

 

その姿は人のようであるが、背丈は五メートル程あり、その背には金色に輝く五対十枚の翼、身に付けている鎧は青と白銀色に分けられ、全身に神々しいほどの白の淡い光をともしている。

 

至高天の熾天使(セラフ・ジ・エンピリアン)。

天使の中でも最高位に位置する熾天使(セラフ)級の一種。アインズさんですら全力を出したとしても相性的に勝ち目は薄く、アルベド共に全力で相手をする必要がある強さ。

 

そして、セフィラーの十天使。至高天の熾天使(セラフ・ジ・エンピリアン)を超える天使で、天使級では最強種。なぜなら、ワールドエネミーの一種だから。

 

つまり、セフィラーの十天使と同格とされている私の召喚したこの子『災厄の5大天使』は少なくても強さはワールドエネミークラス。なぜそんな天使を持っているのかは、いまは話せないが、深いわけがあるとだけ伝えておく。

 

そんな、ユグドラシルでの最高位天使の一角、敵はその神々しい姿を呆然と見つめていた。

 

「――さぁ、わが最高の天使よ。そこの愚かな人間共に真の最高位天使の力を魅せるがよい」

 

そして召喚された熾天使が動き出す。

 

『セブンヘブンズ』

 

セラフィモンが七つの光を槍のように威光の主天使(ドミニオン・オーソリティ)に向かわせ、抵抗も無く胴を七つの光に貫かれ、光の粒子となって崩壊していく。

 

主天使が完全に消滅し、辺りは静寂に包まれている。

その場にはセラフィモンと、ただ呆然と立ち尽くす敵の姿があった。

 

 

「……バカな…こんなの……ありえるはずがない!………お前たちは…いったい何者なのだ………」

 

そんな中ニグンは声を発したが、その声は震えていた。

 

そう言って、全ては光に包まれた。




ちなみに、災厄の五大天使は完全オリジナルで、セラフィモンのモデルは、デジモンのセラフィモンです。

後に他の天使も出てきます……が。先に言っておきますと、二体ほど、天使(?)となりますのでご注意を!

それでは、さようならぁ〜!
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