それじゃぁ、かなり遅くなりましたが、ゆっくりしていってね!
あれから暇ができた。ぶくぶく茶釜……改めお姉ちゃんとのティータイムが終わった私は暇を持て余している。
そんな暇なある時、ふと思い出したのだ。そう、私はまだ自分の息子、娘達に挨拶が出来ていなかった事を。
「……と、いうわけで私は家にきたのです」
息子、娘達に会っていない事を本当に今更ながら思い出し、こうしてナザリックに作った拠点にきたのだ。
いまいるここは第6階層。そこに私の領域がある。
「さて、みんなは元気かな?」
生い茂る深い樹海を抜けると、そこには大きな屋敷があった。そこには桜の花が舞い落ちて、大きく立派な庭がある。
ここの名前はない。ちょっとした和風の屋敷だ。広さはナザリック内でも大きく、どれぐらいかというと、寝殿造り並の広さである。ちなみに寝殿造りとは、日本の平安時代くらいで見られる貴族の家だそうだ。
「……あら? あなた達2人が一緒にお茶をしているのは珍しいな。ラヴァ、クレア」
いま、自分の目の前には青髪のポニーテールの着物少女クレアと黒髪ストレートの黒色の着物を着ている少女ラヴァがいた。
「い、イズナ様!? お戻りになられたのですか!?」
「あ、主様! 主様の目の前でこのようなッ!……ご、ご無礼をお許しください!」
縁側でお茶をしていた2人は私の存在に気づいたのか慌てて立ち上がり頭を下げようとするが私はそれを止めさせる。
「よしなさい。実の娘にその様な接し方をされると気分が悪い。あなた達の普段通り普通にしなさい。命令です」
私は出来るだけ主っぽく、モモンガさん改めアインズさんの魔王ロールっぽくしながら命令する。だって、私が手塩をかけて作って育てあげた娘みたいな子にそのような他人事の接し方をされると泣ける自身があるほどだ。
「「は、はぃぃ///」」
…………な、なぜ顔を赤くして、その様に嬉しそうに?
「私は他の子達にも挨拶しないといけないから、また今度ゆっくりお話しましょうか。それじゃ、またね」
「「はい!イズナ様!」」
私は2人と別れ家の中を探索していく。中はかなり広いので探すのに手間をとる。基本的にはここの部屋の掃除や片付けは自立起動型お掃除ゴーレムと数人の私お手製のメイドNPCで動かしている。
この屋敷が使われるのは主に侵略者である相手プレイヤーの一時の休憩場所だ。昔のゲームで良くある休んで自動回復なる機能は付いていないが、このナザリック内で唯一無二のセーフゾーンなのである。ちなみにだが、過去にこのナザリックに大規模で侵略行為を行ってきたプレイヤー一同もここで休憩し、戦力を調えていた。
ここは確かにセーフゾーンだ……帰るまでわね。
そう、ここは来て入るのはいいがこの建物から出ようとするとあらゆるトラップと私の生涯(笑)をかけて作ったNPC達が多数存在する。……と言ってもレベル100のNPCはたったの4体。この館を守る砦でもある。
ちなみに作ったNPCは全部で20体。100越えの4体を除けば16体。メイドタイプがその内5体。残り11体は戦闘型のNPCである。ちなみに先ほど出会ったクレアとラヴァはこの8体のNPCに入っている。
更に付け加えるとみんな異型種だ。誰がどの異形種なのかはまた話そう。
ガキン……ギャギャギャ…キィィィン――
この館の中にある道場から音が聞こえる。……どうやら誰かが戦っているようだ。
中を除くとそこに居たのは……
「おや。アザミ、それにトウテツも2人で打ち合いですか。感心ですね、私は嬉しいですよ」
道場にいたのは2本の木刀を持っているショートヘアーの金色の目が特徴の少女アザミと、同じく2本の木刀を持っているザ・侍と言った感じの雰囲気を出している緑色の目が特徴の男性、トウテツがいた。
「主様、帰って来ていたのですね。それならば話をして頂ければ盛大に歓迎したものを」
「そうですな。アザミの言う通りですぞ? 主様」
2人に怒られてしまった……。そう言う設定に作ったのは私だけれど、なんか、悲しいな。でもまぁ、これはこれでいいかな? ナザリックの階層守護者みたいに主君は神様みたいな扱いもいいけれど、私的にはこっちの主君だけれど絶対視せずちゃんと悪いところも見てくれる様な感じの子達のほうが好きなんだよね〜。性格的にさ。
「ごめんなさいね。それよりも、他の子達はどこにいるか知らないかしら?」
私がそう聞くと2人は少し悩み答える。
「ララ様とラーム様はいつもの場所で花に水をやっているのを見ました。エル様とグラデンス様は居間でお茶をしているかと。メルキオ様とゼクト様は『狩り場』に出かけており、ロヌエル様とリリス様、セフィア様が寝ております。」
ララとエルとラームとゼクトの4人が私の作ったNPCの中で階層守護者と同じレベル100のNPCだ。他の子達は90〜80代のレベルだ。ちなみにだがリリスとロヌエルはメイドで、リリスの種族はシズ・デルタと同じ自立人形(オートマトン)と呼ばれる種族で、ロヌエルは大天使と呼ばれる種族で、モモンガさんがまだ単独で勝てる天使である。
それと、メルキオは一応NPC扱いされているが、実はワールドエネミーの1種にして私が創り出した召喚モンスターである、『災厄の五大天使』の1体である。前は同じ『災厄の五大天使』セラフィモンと同系統のモンスターで、NPCと言うよりかは使い魔扱いなのである。……だが、この五大天使の中でも特に知識が多くそれ故の戦術も多いので、こうしてNPC扱いされているのである。ちなみにだが、『災厄の五大天使』はセラフィモンやメルキオを含めみなレベルは100代だ。先もいったがNPCではなく使い魔(モンスター)扱いなため私のNPCのレベル100のメンバーの中には入っていないのです。
メルキオはこの館にいるメンバーの中で唯一無二のモンスターだ。
そのためこの館に来たものは、館から出る時にこのワールドエネミーの一種の『セフィラーの十天使』を超える『災厄の五大天使』の1体であるメルキオと戦わなければならぬのだ。一応、逃げれない訳では無いが、逃げたところで私の創りしゴーレム達とそれを指揮する5人のメイドメンバー。
更にそれから逃れても戦闘メインの11人のメンバーが待機し、その後方にはこの館の守護者である4人のレベル100代の子達がスタンバっている。それらを突破して、初めてこの館から出ることが可能なのである。
そうすることで、ナザリックの7階層に侵入する事を困難にすることが出来てきたのだ。
ナザリックの歴史にて最大の侵略行為であった1500人のプレイヤー。実は本当に侵略してきたのは5千近くであり、うちの殆どがこの館の餌食になったのだった。館の餌食のあと、その残りは6階層のコロッセオと8階層にて全滅したのでした。
……あと『狩場』についてはまた後日話そう。ここはいわゆる遊び場所。私の作ったね。
「そう。わかったわ。今日は止めておきましょう。また、次の機会にくるわね。しばらくはナザリックにいるし。……貴方達を放置してしまった私が言ってはいけないことだけれど、もしものときは力をかしてくれないかしら?」
私が言うと、2人は目を見開いたあと、フルフルと身体を震わせると片膝を地面に付いて顔を下げた。
「「主様の仰せのままに。我が身と命、主様をお守りする盾と喜んでなりましょうぞ!」」
まるで、長年待ちに待っていたと言わんばかりの声量で歓喜した声で打ち震えている2人を見て、私は思わずこう思った。
『ああ……この子たちもアルベルト達と同じなのですね』
……と。
そう、騒がしい1日が過ぎていったのだった。
見じけぇ(´゚Д゚`)