「モモンガ様、戻って参りました」
モモンガの話が終わると同時に、セバスが帰ってくる。
「うむ。では、どうなっているのかを聞かせてくれ」
「はっ。まず、ナザリックの周辺ですが――」
沼地から草原に変わってしまっていることや、人工物も知的生命体が確認できなかったことなど、セバスは淡々と報告をしていく。
「次に各階層守護者に、聞きたいことがあるお前たちにとって私たち――創造主はどのような人物か?」
セバスの報告を聞いた後、最後にモモンガは自分達が守護者たちにとってどの様な人物かを問いかけた。
モモンガ、ペロロンチーノ、ぶくぶく茶釜と続いて最後に残ったイズナの評価を聞く
「では最後に……お前達にとって、イズナはどのような人物か?」
その問いに対してまずは、シャルティアが
「イズナ様は慈愛の結晶であり聖母でもありんす。その慈愛を持ってすればどのような聖女や聖母でさえ裸足で逃げだすでしょう。それに、その実力もトップクラス。たとえいかなるものもイズナ様の前では赤子も同然。まさに"武神"の名にふさわしきお方でありんす」
『そういえば、イズナさんの時は、"武神"の二つ名を持っていましたっけ?』
『はい。主な武器は槍ですが、刀も扱うのでよく武者修行的な感じの戦いをやっていたら、いつの間にかそんなあだ名がついていました。』
コキュートスは、
「守護者各員ヨリモ強者デアリ、我が創造主ノライバルデアリ一人ノ武人トシテモ優レタ強サヲ持ッタマサニ武神カト。マサニナザリック地下大墳墓ノ絶対ナル支配者ニ相応シキ方カト」
『……あぁ〜。イズナさんはよく武人武御雷さんとたっち・みーさんのガチ前衛とPVPをやってましたっけ』
『ええ、懐かしいですね。あの2人はやはり強かった』
『そう言うイズナも充分強かったよね。前衛の主力メンバーでは41人いる中でも剣の腕なら、たっちさんに武御雷さんと続く主力メンバーだもんね』
『……いやいや。それほどでも』
『なに言ってんだよイズナちゃん! イズナちゃんは強いんだからな! ましてやまだイズナちゃんを軽く超える"ナドレ"ちゃんもあるんだしな!』
アウラは、
「イズナ様は至高なる力を正しく振るえ、すごく慈愛に満ち愛に溢れたお方です」
『慈愛に溢れすぎて"慈愛の女神"とも言われていましたっけ?』
『モモンガさん……その事はもう忘れてくださいイイデスネ?』
『あ、はい』
マーレは、
「す、すごく優しい方だと思います!」
『まぁ、イズナちゃんはゲームでもリアルでも、凄く優しいからねぇ』
『そうだよなぁ。女神―いや、聖母の名に相応しい娘だからなぁ』
『……そ、そんなこと――って、娘って何ですか!?ペロロンチーノ! 確かに私はユグドラシルでは女の子ですが、リアルでは男の子です!』
『『え? 男の娘?』』
『男の"娘"じゃないです。男の"子"です!? その前に、ほんと仲いいですね!息がぴったりですよこのやろー!』
『えぇ〜、いいじゃない。実際リアルでもむちゃくちゃ可愛いじゃないの。アニメ美少女レベルの可愛さなんだから。』
『だから私は…………あぁ、もう男の娘でいいですよ…もう――はぁ』
デミウルゴスは、
「イズナ様は、慈愛に満ちナザリックの全ての物に対して慈愛を下さる方です。そして全てを超越した絶対的な力を持つ武神であらせられます」
『慈愛…笑顔…怒り……う、頭が!』
『……何ひとりで騒いでいるんですか、ペロロンチーノ』
セバスは、
「イズナ様は我が創造主のライバルとも言える友であり、武神であると同時に聖女の如くその慈愛を持ってナザリックを照らす太陽のごとき御方かと」
『凄い恥ずかしくなるようなセリフですね』
『そ、そうですね』
アルベドは、
「イズナ様は、愛しのモモンガ様の友であり、慈愛に満ちた私達の母なる存在であり、最高の主人であります。そして強くお美しく正にその美貌は女神ですら嫉妬するほどでございます」
「なるほど。各員の考えは理解した。今後も忠義に励め。では行くぞ」
そしてモモンガ、イズナ、ペロロンチーノ、ぶくぶく茶釜の4人は転移していった。
――――――――――――――――――――――
転移することで移動してきた4人は、闘技場から玉座の間の扉の前に転移した。
「なんかすごい忠誠心でしたね」
「忠誠心が高すぎてひくわぁ」
ぶくぶく茶釜とペロロンチーノの感想にモモンガとイズナが同意する、忠誠心は高い方が良いのだが、あれは高すぎるような気がする。
「確かに、モモンガさんはともかく、途中でナザリックを離れていた私にもあの高評価はやばいですね。それにしても、聖女や聖母…更には母なる存在ですか。
武神はまだわかりますし、太陽の様な暖かさは、私のこの九尾の狐は元太陽神でもありますのであながち間違ってはいないのですが……嬉しいような悲しい様な…なんとも言えない感覚ですね」
「まぁ、こうして考えても仕方ない。守護者達の期待に応えられるよう対応する、ということでいいですね? では、手持ちのアイテムの確認などもあるので。ここで一時解散で」
モモンガの言葉に皆のが頷き、各々の部屋に戻っていく。
同刻・第六階層 闘技場
「す、すごく怖かったね、お姉ちゃん」
「ほんと。あたし押しつぶされるかと思った」
「流石はモモンガ様。私達守護者にすらそのお力の効果を発揮するなんて……」
「至高ノ御方デアル以上、我々ヨリ強イトハ知ッテイタガ、コレホドトハ」
「あれが支配者としての器をお見せになられたモモンガ様なのね」
「ツマリハ、我々ノ忠義ニ応エ、支配者トシテノオ顔ヲ見セラレタトイウコトカ」
「確実でしょうね。それに、至高の方々はその力を全く受けていなかった」
「あたしたちと一緒にいた時も全然、オーラを発してなかったしね。すっごくモモンガ様、優しかったんだよ。喉が渇いたかって飲み物まで出してくれて」
アウラの発言に対して、各守護者からピリピリとした気配が立ち込める。それは嫉妬。その濃厚さは目視できる気がするほど。特に大きかったのはアルベドだ。手がプルプルと震え、爪が手袋を破りそうな気配すらある。
びくりと肩を震わせたマーレが若干大き目に声を発する。
「あ、あれがナザリック地下大墳墓の支配者として本気になったモモンガ様なんだよね。凄いよね!」
即座に空気が変わった。
「全くその通り。私達の気持ちに応えて、絶対者たる振る舞いを取っていただけるとは……流石は我々の造物主。
至高なる四一人の中の4人。そして最後までこの地に残りし、慈悲深き方々」
アルベドの言葉に合わせ、守護者各員が陶然とした表情を浮かべる。
守護者にとって、自分達を作ってくださった創造主を護る事こそ指名であり、幸せであると考えている。そのため、そんな創造主をこれからもまた護れるという幸せにいろんな思いをよせ酔いしれるのだった。
そんな緩んだ空気を払拭するかのように、セバスが口を開いた。
「では私は先に戻ります。モモンガ様がどこにいかれたのかは不明ですが、お傍に仕えるべきでしょうし」
「分かりました、セバス。モモンガ様に失礼が無いように仕えなさい。それと何かあった場合はすぐに私に報告を。特にモモンガ様が私をお呼びという場合は即座に駆けつけます。他の何を放っても!」
聞いていたデミウルゴスが困ったものだという表情を微かに取る。
「ところで……静かですね。どうかましたか、シャルティア」
デミウルゴスの言葉に合わせ、全員の視線がシャルティアに向けられる。見れば、シャルティアのみがいまだ跪いている状態だ。
「ドウシタ、シャルティア」
再び声がかけられ、初めてシャルティアが顔を上げた。
その目はとろんと濁り、夢心地であるように締まりが無い。
「あ、あの凄い気配を受けてゾクゾクしてしまって。それに、イズナ様の美しさと武神としての威圧にあてられて……少ぅし下着がまずいことになってありんすの」
――その言葉に、まわりは静まり返った。
全員が何を言うべきか、そんな顔で互いを窺う。守護者の中でも最も歪んだ性癖を多数持つシャルティアの性癖の二つ、死体愛好癖(ネクロフィリア)と両刀(バイセクシャル)を思い出した守護者各員は処置無しと手を額に当てる。
そんな中、アルベドの嫉妬にも酷似した感情が、その口を開かせる。
「このビッチ」
この発言の後、言い争いに発展したのだが、他の守護者は、我関せず、と各々の話を始める。
その話はナザリック地下大墳墓の将来の話から、至高の方々御世継ぎ問題、つまり子作りが出来るかどうか…となっていく。
そもそも、ギルドの長であるモモンガはアンデットの中でも骨だけなオーバーロードなので、子作りができるのかすらわからないからだ。
だが、ずっと長でいれるかもわからない。なので後継者を作らなければならないのだが、アンデットは子供を作れるのかわからず、その話をしていた。結婚に冠してもどうするべきかと話し合いをする。
しばらくすると、アルベドとシャルティアの言い合いが終わったのかこちらに戻ってきた。
どうやらモモンガとペロロンチーノに対しては一夫多妻制をとり、イズナと一応ぶくぶく茶釜に関しては本人が同意するするのであれば関係を持ってもよい、となった。
何故、ぶくぶく茶釜は一応かというのは……ぶくぶく茶釜の性別が不明で、リアルでは女だがそんな事を一切知らない守護者たちは、女だとは聞いているので一応という扱いになった。
「さて皆さん。そろそろ私達も持ち場に戻りましょう。何時、賊が来てもすぐに至高の御方を守り、賊を対処できるように」
アルベドの一言により、守護者たちは各持ち場である階層へと移動していったのだった。