さて、そろそろ敵さんも殆どいなくなりましたし出てもいいじゃないですか?
「モモンガさん……そろそろ」
「ああ、わかっている」
魔王ロールに変わったモモンガさん。その声を聴いたペロロンチーノの雰囲気も変わる。
そこで、更に魔王ロールをするため、私達は転移(テレポート)で空に飛び、ちょうど村の中心部に位置するあたりで浮遊する。
「そこまでだ、死の騎士(デス•ナイト)」
モモンガさんが先に地に降り立ち、続くように私達が降り立った。
「はじめまして、私はアインズ・ウール・ゴウン。しがいない魔法詠唱者(マジックキャスター)だ」
モモンガさんはそう自己紹介したあと、残った兵士を見て叫ぶ。
「諸君の上司、飼い主に伝えろ。騒ぎを起こすなら、貴様らの国まで死を告げに行くと。行け!!そして我が名を伝えよ!!」
そうモモンガさんが言うと騎士たちは走って逃げていった。すると村人が近づき、その中から村長らしき人が近寄って来て、モモンガさん――改めアインズさんにお礼を言っていた。
そんな人達の様子を見ながら私はアルベドと話をしていた。
「ねぇ、アルベド。一つ質問してもいいかい?」
「はい、なんでございましょうか。イズナ様」
私はアルベドに聞きたい事を質問した。
「……アルベド、人間は嫌い?」
私の問いに対し、アルベドは普段の声とは比べ物にならないくらい低く吐き捨てるような声で応える。
「脆弱な生き物。下等生物。虫のように踏みつぶしたらどれほど綺麗になることでしょうか。私にとって人間という生物は所詮その程度です」
「……」
私はアルベドの言葉にやっぱりと思ってしまう。私だって、人間と言うものはそれ程好きじゃない。むしろ嫌いと言ってもいい。ユグドラシルというゲームでは、異形種のプレイヤーは狩られる側の存在として扱い、あたかも自分たちは正義だといわんばかりに徹底的に排除しようとしてくる。それはリアルでも同じ。自分の嫌いな者がいれば、1人ではなく同じ思いの者達と一緒に集団でその嫌いな者を屠ろうとするのだ。
よく人は自分たちの以外の動物や生き物を、化け物や危険生物などと言い忌み嫌うが、私にとってはこの世で一番の化け物は"人間"だと思う。人間が化け物と危険視している生物達にとっても、人間はそう認識されているだろう。
そもそも、私達のリアル。そのリアルで住んでいる地球があんなにも汚染された根本的な原因こそ"人間"なのだから。恐らく、いや絶対に人間という生物がこの世に生まれなければ、地球は汚されなくてすんだかもしれない。人間以外の生物が絶滅しなかったのかもしれない。
全てが人間のせいとは言わないが、それでも地球がこうなってしまった原因は人間にあると私は思っている。
……ましてや、今の私は本物の異形種――所謂、人間で言う"化け物"になってしまっているせいか、よけいに強くそう思ってしまうのだ。
「……ですが」
「ん?」
アルベドの話が終わったと思いいつもの一人思考に潜っていると、アルベドが口を開いた。……次は何を話すつもりなのだろうか?
「私は同時にイズナ様を通して人間を見てきました。イズナ様は人間を"嫌いだ""醜い生き物だ"などと言いつつも、それでも尚、人間の中にはまともな生物はいると話してくれました。特に、"子供"という人間は『アルベド。人間は確かに醜くてとても邪悪でどうしようもない生き物だけど、その中でも子供だけは純粋でとても綺麗なんだ。子供が汚く染まるのは、まわりにそんな汚い大人と汚い環境があるからそうなってしまう。私は、そんな穢れた人間達から罪のない子供だけは守りたいと……いつもそう思ってる。本当は世界中の子供達を助けてあげたいけれどそれは無理。いまの世の中(世界)では、そんな事は不可能に近いから……。
なら、せめてもの、私は自分の孤児院の子達だけは守っててあげたい。……これからも、ずっと』――そう、私に会う度にお話してくれました。
……人間は確かに嫌いです。脆弱な生き物、下等生物…それはいまもこれからも変わらないでしょう。――しかし、イズナ様の信じる"純粋な子供達"だけは、信じてみようと思います。……だって、私の親友『八雲・N・イズナ』が信じているんだもの」
そう言ったアルベドの顔はとても綺麗だった。……ふふ、アルベド。あなた達は私の事を『慈愛の聖母』なんて言っていますが、貴女のいまの顔は充分、"聖母"に相応しいですよ。
……まぁ、こんな事をアルベドに言ったら怒っちゃいますから言いませんがね。
「ありがとう、アルベド。貴女の気持ち、しかと受け取ったわ。流石、私の親友ね。私と同じ思いでとっても嬉しいわ。これからも、よろしくね? アルベド」
「ええ、こちらこそ」
そうして、私とアルベドは握手をする。……また、硬い絆で結ばれた。そんな気がした。
「……っと。こんな事をしている場合じゃありませんでした。こちらに何か大軍が近づいているのをアインズさんに知らせなくては。……知らせるにしても、気配だけではしっかりとはわかりませんね。よし、ここは空を飛べて、職業柄で遠くまで見えるペロロンチーノさんにお願いしましょうか。………………ん?あれ? ペロロンチーノさん?」
私はペロロンチーノさんに空から確認してもらおうと後ろを向くと、そこにいたはずの人影が無かった。……はて、何処に行ったのでしょうか
「イズナ様。ペロロンチーノ様なら先程、『――はっ!? 美幼女の匂いがする! これは至急行かなくては!』と言って何処かに行かれましたが……イズナ様?」
「………………あんのやろぉ…早速、言ったそばからぁ…」プルプル
私はアルベドの報告に、頭に血管を浮かばせながら怒りで身体を震わせていた。
全く、言ったそばから約束を破りやがって…………やはり、ペロロンチーノ…殺すか
「……いいえ。駄目ですよね。ペロロンチーノはアレでも私の友達、いえ、もはや家族の1人とも言うべき幼馴染みです。ここでペロロンチーノを殺してしまっては、私も悲しいし、何より実の姉であるぶくぶく茶釜さんが悲しんでしまいます……………………悲しみますよね? あの人………………まぁ、いいでしょう。とりあえず、殺しはしません。えぇ。――その代わりお仕置きは確定ですが」
私は1度頭を降って気持ちを落ち着かせる。自分に確認する様に独り言を言いながら気持ちを整理する。……途中、姉弟仲に不安を感じながらも、きっと姉らしくするだろうと暫定し、今後のペロロンチーノのお仕置きをどんなのにするか考えたが、すぐにいまの状況を思い出し一旦、取り敢えず保留にしいまの状況を考える事にした。
「それよりも、また厄介事が増えましたね……。はてさて、これからどうしたものか」
私はそう呟きながら、その"何者"か達が来ている方向へと視線を向けていたのだった。
……うわぁ〜、短ぇ。